ウマ娘×ProjectMoon   作:桜餅 ステラ

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ウマ娘の人間らしさ

A社1区 A社本社 調律者執務室

 

都市に戻り、ゼンノロブロイと別れたオルフェーヴルがジェナの執務室に帰還する

 

「今帰ったぞ」

 

「おかえりなさいオルフェーヴル、ゼンノロブロイの様子はどうだったかしら?」

 

「知識馬鹿が暴走していたが問題行動は起こしていない、図書館で聞いた話も基本的に12協会の協会長クラスとA社のみにしか共有しない条件で納得した。頭の規律には違反していないぞ」

 

「ならいいわ、後でディエーチ協会から報告書を受け取っておいて」

 

「ああ」

 

オルフェーヴルがソファに座る

 

「...それにしても、あのアンジェラとかいう館長、本当に人間そっくりであったな。AIとは思えなかった。」

 

「そう、故に図書館は外郭へ放逐されたわ。都市の規定では知性を持った生き物は人間だけしか許されない、それ以外の生物や機械が知性を持つと頭にとって非常に都合が悪いからね」

 

ジェナがドヤ顔を強調して頭の原則について説明する

 

それを聞くとオルフェーヴルがなにかを思案するような表情を浮かべる

 

「そうか...ジェナ、余は前々からひとつ気になってることがある。聞いてもいいか?」

 

「何かしらオルフェーヴル」

 

「頭が人間らしさを追求してるのは知っている。基本的に都市にいる怪物やねじれは全て人間由来だから見逃されているのであろう?」

 

「そうよ、頭の禁忌のひとつに生まれた時に人間であるものをあとから改造するのは合法だけど、生まれた時点で人間ではないものは調律対象になるという規定があるのよ」

 

そしてオルフェーヴルが核心をつく

 

「...では私たちウマ娘はどうなる?頭は外郭にいる亜人種を決して都市には入れない、だがウマ娘も生物学上は人間に含まれるとは言い難い。...なぜ都市にはウマ娘が暮らせている?」

 

ジェナのドヤ顔が一瞬無表情になるもののすぐに微笑みを浮かべる

 

「...ふふ、そこに気づくのは流石A社専属の特色フィクサーといったところかしら?見事よオルフェーヴル」

 

「御託はいい、だが人間らしさを何よりも重要視する頭がウマ娘を認めているのには相応の理由があるのであろう?」

 

「ええ、ちょっと待ちなさい」

 

するとジェナが執務机の引き出しから頭の禁忌に纏わる書類を取り出す

 

「まず頭の禁忌では知性を持った生物は人間以外認めていないのが原則よ。それはあなたも知っての通り、次に頭が人間と認める条件にもいくつかの規定があってね。遺伝子や生物学上の分類、歴史など...多岐に渡るわ」

 

「ふむ...ではウマ娘については?」

 

するとジェナが人差し指を立て、問いかける

「その前にひとつ問題よ、人とウマ娘が結婚して子を成せるのは常識だから知ってると思うけど、その際生まれる子供は人間とウマ娘、どちらだと思う?」

 

「確か、ウマ娘からは人もウマ娘も両方産まれるはずだ。未だに原理は不明であると聞くが...」

 

「その通り、ウマ娘の場合この『人間を産める』というポイントが何よりも重要よ」

 

「どういうことだ?」

 

「頭が考える学説では生物は基本的にその種族内でしか交配出来ない。しかしウマ娘は人間と交配し人間を産める、しかも遺伝子上は完璧な人間を。であるのならばウマ娘は人間の一形態なのではないか?...それが頭が出した結論よ。人間を産める、これがウマ娘が都市で認められてる理由の根幹よ」

 

「ふむ...人間が産めるからウマ娘は人間であるか。...では外郭の他の亜人種はどうなんだ?」

 

ジェナが外郭のいくつかの怪物のデータを見せる

 

「例えばこの『鳥鴶人』という亜人種は人間に卵を産み付けて繁殖するという凶暴極まりない亜人種よ。知性も持ってるし当然禁忌に抵触する。

次にこの『ノーム』という怪物は見た目は小さいけど、知性を持っていてしかも人間を襲って加工する。彼らは亜人種ですらないから当然駄目。...その点ウマ娘は身体能力、耳、尻尾などいくつかの相違点はあるけれど人間とほぼ同じ遺伝子を持ち、人間を産め、人間と共に暮らしている。...頭が認めるに値した種族というわけよ。」

 

ジェナがドヤ顔で満足気に話を終える

 

「ふむ...ではもしウマ娘から人間が産まれなくなれば?」

 

「その場合は都市にいる全てのウマ娘が排除されることになるわね。...もっとも、今の都市ではもはやウマ娘は排除不可能な人口まで増えているから、かなり面倒なことにはなるでしょうけどね」

 

「だが少なくとも今すぐ排除されるということではないんだな?」

 

「そうね、頭が認めた以上は合法だから。」

 

「...頭は人間らしさを持てるのは人間だけと規定している。しかしウマ娘は人間と認められているから人間らしさを持て都市に住めるということか」

 

「そうよ、これ以上なくシンプルでしょ」

 

オルフェーヴルがどこか安堵したような表情を浮かべる

 

「そうか、頭の規定は複雑だが、今日ほど安堵したこともないな」

 

「ふふ 、その代わりウマ娘だからといって何か特別扱いすることもないけどね。あくまで人間の女性として扱ってるわ」

 

「ふん...だが、それでも都市に住めるだけ十分だ。...外郭では強さを手に入れることもままならぬからな」

 

「ふふ、ウマ娘の謎多き生態に感謝するべきね。頭としてもその成り立ちや秘密はまだ全て知れてないから調べる意味もあって今都市に住ませているのよ」

 

「ほう、頭といえどもウマ娘の謎を解明するには至らずか。」

 

「ええ、研究チームが随分悩んでるみたいね。H社の黒獣 午が何かヒントになるかとか色々してるみたいだけどこれといって成果が出てないみたい」

 

「ふむ...ウマ娘か。我ながら奇妙な種族として産まれてしまったものよ」

 

「本当にね、ウマ娘の神秘は都市に纏わる永遠の謎の1つよ」

 

頭も全て知れていないウマ娘の謎

しかし確かなのは、ウマ娘たちは今日もこの都市で生きている

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