ウマ娘×ProjectMoon   作:桜餅 ステラ

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探索

エイト協会西部支部

 

第8協会――エイト協会。

都市の外、すなわち**外郭**の探索を主な業務とする協会である。

 

その最終目標は、都市の一部の翼の創設者たちを含むごく僅かな者しか辿り着けなかったという場所、

**「外郭の果ての星雲」**の調査と確認。

だが、今の彼らにとっては、都市近辺の探索ですらまだ容易ではなかった。

 

そんな西部支部では、今日もいつも通り、フィクサーたちがせわしなく動いていた。

 

「ウオッカさん、頭への次の外郭調査の申請ってどうなってますか?」

 

問われたウオッカは、書類の束から顔を上げた。

 

「ああ、今部長と支部長が申請書を作成してるはずだ! 俺たちは今のうちに準備しとけってよ!」

 

「分かりました!」

 

ウオッカ。

エイト協会西部2課所属の3級フィクサー。

サバサバした性格のオレっ娘で、硬派でアウトローでハードボイルドなものを好む。

ただ、根が真面目で良い子なので、妙に“なり切れていない”ところがあって、それがまた微笑ましい。

 

彼女は軽く拳を握ると、壁の向こうにあるまだ見ぬ外郭へ視線を向けた。

 

「へっ、外郭の星雲だかなんだか知らねぇけど、いつかその正体暴いてやるぜ!」

 

「流石ウオッカさん、強気ですね!」

 

「当たり前だ! 俺もいつかはステイゴールドさんみたいに外郭の果てに行って、世界の裏側ってやつを知ってみたいからな!」

 

その言葉に、周囲のフィクサーたちが小さくどよめく。

 

「先代支部長ですか。あの方、エイト協会を退職後にたった1人で外郭の果てに辿り着いたそうですけど、頑なに話そうとしないんですよね……」

 

「ああ、何かがあったとはいうけど、詳細についてはなんでか教えてくれないんだよな……」

 

ウオッカは、少しだけ目を細めた。

 

「俺はわかるぜ。ステイゴールドさんの想い、自力で知ってこそ意味があるってやつだろ。だって直接見てもないのに言葉だけで何があるかって知っても意味がねぇからな。いつか同じ場所に俺たちが辿り着くことを期待してくれてるんだ!」

 

「なるほど……! なら私たちも頑張らないとね!」

 

そんな声が上がった、その時だった。

 

「お前ら! 調子はどんな感じだ!?」

 

「うわっ! ゴルシ部長!」

 

オフィスの扉が勢いよく開き、エイト協会西部2課部長のゴールドシップが、いつもの調子で入ってきた。

 

「もう申請は終わったんすか?」

 

「おうよ! アタシの申請書はいつもパーフェクトだからな! ただ支部長のやつに止められたけどな!」

 

ウオッカは、すぐに顔をしかめる。

 

「止められたって……また変な書き方したんじゃないっすか?」

 

「そんなことないぞ、ただ頭に『外郭に行かせてちょんまげ☆』って伝えようとしただけだぞ」

 

「って、そんなんじゃあ1発で弾かれるに決まってるじゃないっすか! 支部長はただでさえ厳しい人なんすから!」

 

「相変わらずですねゴルシ部長……よく支部長からお咎め受けませんよね……」

 

ゴールドシップは、まるで自慢にもならない自慢をするように胸を張る。

 

「まあ支部長のやつとは長い付き合いだからよ。なんだかんだで許してもらってんだよ。ゴルシちゃんだってやる時はやるからな」

 

ウオッカは半ば呆れたように、それでも少し安心したように言った。

 

「そういえば支部長は?」

 

「ああ、今本部から来てるスカイのやつと話し合ってるぞ」

 

「セイウンスカイ協会長と?」

 

「おう」

 

---

 

支部長室

 

エイト協会西部支部の支部長室では、協会長セイウンスカイと西部支部長メジロマックイーンが対話していた。

 

「にゃはは、久しぶりマックイーン。西部支部の様子はどう?」

 

「ええ、何も問題ありませんわ。ゴルシさん以外は皆さん頑張ってくれていますのよ」

 

メジロマックイーン。

スラッとしたスレンダーな芦毛の美女ウマ娘で、その見た目にふさわしく一流のフィクサーとしての実力を持つ。

だが本人は、その平坦な胸を気にしているところが少々ある。

 

セイウンスカイは、のらりくらりとした笑みを浮かべたまま答える。

 

「それはなにより、ゴルシの様子は?」

 

「いつも通りですわ。頭に対して『ちょんまげ☆』なんて申請書を出そうとしたんですのよ。当然却下しましたわ」

 

「にゃはは、つまりいつも通りね」

 

マックイーンはため息をつく。

 

「全く……あの人ももう少し真面目にして欲しいというのに……。時に協会長、今日はどういった御用ですの?」

 

セイウンスカイは、いつもの調子のまま言った。

 

「うん、実は今日はマックイーンに用があってね。君、ハナ協会の特色の審査受けてみない?」

 

「わたくしが特色に? 一体どういう風の吹き回しですの?」

 

「私としてはその方が良いと思ってるんだよね〜。特色になったら色々困ること減るし、マックイーンはエイト協会の中でも強いし……どうかな?もちろん受かるとは限らないけど、まあもしかしたらの可能性もあるし」

 

マックイーンは少しだけ目をそらした。

 

「……わたくしはあまり乗り気ではありませんわ。都市外関連の仕事が多いので、あまり特色の地位も活用できなさそうですので」

 

「いやいや、最近は協会同士の合同任務も増えてる時代だし、なんなら前回の外郭探索だってディエーチ協会が協力してきたし、地位が上がるのは何かと便利だよ?」

 

「それは否定しませんが……」

 

「にゃはは……まあ、一考はしておいてくれないかな? 先代のステイゴールドさんは特色だったわけだし、マックイーンも特色の箔が付くメリットは知ってるでしょ?」

 

メジロマックイーンは、少し目を細める。

 

「……わたくしはあまり特色の地位に興味はありませんのよ。かつて特色でありながら、数々の問題行動でフィクサー資格を剥奪された青い残響の一件……協会長もご存知でしょう?」

 

「でも実際、特色の付加価値は依然として高いのは事実だからね〜」

 

「はぁ……なら、代わりに特色の称号は協会長が考えてくださいまし。わたくしは忙しくて時間がないので」

 

「おっけー、じゃあマックイーンの特色申請出しておくね」

 

「全く……協会長もなんだかんだで強引なお方ですわね」

 

「にゃはは、まあ悪いようにはしないからさ。マックイーンも頑張ってよ」

 

「ええ、分かりましたわ」

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