H社8区 黎明事務所
特大のケーキが置かれ、飾り付けがされたリビング
「それじゃあ...」
「ええ、スペちゃん。」
「「4級昇格おめでとうー!」」
クラッカーの鳴る音が室内に響く、クラッカーの紙吹雪が舞い落ちる中、スペシャルウィークは目を丸くして立ち尽くしていた。
「わー...!ありがとうございます!」
「ふふ、ようやくスペちゃんも1人前といったところね」
「本当よ、貴方がフィクサーになってもうすぐ4年目になるけど、こんなに早く昇格出来たフィクサーを見るのは初めてよ!」
「えへへ!嬉しいです!」
「スペちゃんも都市疾病に慣れてきたみたいだし、いずれは所長みたいに都市悪夢に挑んで1級を目指したりしないとね」
「そうね、スズカさんも協力ありとはいえ都市悪夢鎮圧の実績も積んで、2級ではかなりの実力者になったことだし、私たち全員が1級になる日も近いかもね」
「1級フィクサー...!はい!スペシャルウィーク、1級目指して頑張ります!」
事務所内に和やかな時間が流れる中、玄関のチャイムがなり、2人のウマ娘が入ってくる
「お邪魔するよ〜」
「失礼します」
「スカイさんにグラスさん!どうしたのかしら?」
「いやー、ちょっと近くに任務が発生したからさ。その帰りに寄ったんだよ。」
「都市悪夢の案件でしたが、私とスカイさんで無事に解決できました」
「流石ね、二人とも」
「にゃっはっは、そういえば聞いたよスペちゃん、4級に昇格したんだって?凄いじゃん!」
「ありがとうございますセイウンスカイ協会長!」
「ふふ、スペシャルウィークさんもようやく1人前ですね」
「ええ、最近は都市疾病相手でも勝てるようになってきたんですよ。いずれは都市悪夢相手にも届くはずです」
「へー、それなら1級昇格も近いかもね」
「はい!私も所長みたいな1級目指して頑張ります!」
その時、グラスワンダーの持つ通信デバイスに指令が入る
「ん?おっと任務が入りました。」
「あら、どんな任務かしら?」
「ええ、最近都市の星から都市悪夢に格下げになった「胡蝶の深夜」という案件を解決せよとハナ協会から指示が出ました。場所はR社18区ですね」
「都市悪夢か〜、でも元都市の星ということを考えると一筋縄じゃいかなさそうだね〜。じゃあ私もついて行くよ」
「なら私も行くわ!元都市の星がどれほどの実力か見させてもらうわ!」
「ありがとうございます二人とも」
「スズカさん、スペさん。貴方たちはお留守番していなさい。貴方たちにはまだ早いからね」
「分かりました」
スペシャルウィーク「頑張ってください所長!」
その時サイレンススズカのデバイスにも通知が入る
「あら、なにかしら?」
「どうしましたかスズカさん?」
「ハナ協会からの指令ね、Q社17区で発生した都市疾病「三日月の時間」の鎮圧だって」
「あら、スズカさんにも指令?それじゃあスペシャルウィークさんには1人で留守番していてもらおうかしら」
「でもスペちゃん1人で大丈夫でしょうか...」
「大丈夫よ、ここの区は比較的平和なんだし」
「事務所のお菓子を全部食べ尽くさないか....」
苦笑いしながら言うサイレンススズカ
「ってそっち!?」
「流石にそんなことしませんよ〜!」
スペシャルウィークが頬を膨らませながら抗議する
「それじゃあ私たちはそろそろ行くよ」
「それでは失礼します」
「スペシャルウィークさん、大人しくしてるのよ」
「スペちゃん、行ってくるわね」
「お気をつけて!」
4人がそれぞれの任務に向かう
「ふぅ...みんな凄いな〜、都市悪夢や都市疾病に向かうなんて...私もいずれは都市悪夢にだって...!でもちょっと怖いな...」
それからしばらくして3時間後
暇になったスペシャルウィークは昼寝していた
「zzz....」
その時
\ピンポーン/
「...んえ?」
\ピンポーン/
「ふあ...誰だろう?お客さんかな?」
玄関
「はい、どちらさまでしょうか?」
「失礼、ここはフィクサー事務所で間違いないか?」
白い外套を羽織り黒いスーツを着た大柄な男性が現れる
「はい!ここは黎明事務所です!依頼人の方ですか?」
「依頼ではないが...1つ聞きたい、この事務所には4級フィクサーは何人在籍している?」
「4級ですか?私1人ですけど」
「ほう...君は4級フィクサーで間違いないか?」
「はい!そうです!」
「そうか...」
ヒュン!
「っうわぁ!?」
突然振り下ろされた大剣を咄嗟に避けるスペシャルウィーク
「...ほう、今のを避けるか」
「な、何するんですか!?死ぬところだったじゃないですか!?」
スペシャルウィークが慌てて剣を構える
「当然だ、殺すつもりだったからな」
「ええ!?わ、私何か恨まれることしましたか!?」
「...お前、私の格好を見ても気づかないのか?」
「えっ?...えっと、普通の服じゃないんですか?」
「...まさか人差し指を知らない訳ではあるまいな?」
「人...差し指?」
首を傾げるスペシャルウィーク
「...ふん、こんな世間知らずが4級とは、フィクサー協会も堕ちたものだな」
「ああ!今バカにしましたよね!?」
スペシャルウィークが真っ赤になりながら抗議する
「まあいい、私は人差し指の代行者ソンリュウ。指令によって貴様を殺すことを命じられた者だ」
「し、指令...?」
「...「8区にいる全ての4級フィクサーを殺せ」...これがその指令だ」
「ええ!?8区の4級の人達を皆殺し!?」
「そうだ、よって4級フィクサーの貴様は殺すしかない」
「な、なんでですか!?私何も悪いことしてませんよ!」
スペシャルウィークが真っ青になる
「指令には関係ない。善人だろうが悪人だろうが指令が命じた以上、4級フィクサーの貴様には死んでもらう」
「うう...!そ 、そんな...!いや...私まだ死にたくない...!」
「....ではこの場で昇格するか降格しなければならないが、そんなことが起こらない以上は殺す」
「うう...なら、あなたを倒せば見逃してもらえますか?」
「その場合は別の代行者が来るまでだ。もっとも、私を倒して等級が変われば話は別だが」
「...なら、あなたを倒します!私だってまだ死ぬわけには行きませんので!」
戦う決意を固め、スペシャルウィークが剣を構える
「...ほう、中々根性はあるようだな。良いだろう、指令のついでに少々遊んでやる」
「行きますよ!てりゃー!」
事務所の外で戦闘が始まる
ガキン!キン!
「...ふむ、多少は戦えるようだな。だが...」
キン!ドスッ!ザシュッ!
「きゃあ!」
「まだまだ構えがなってないな。そんなことではこの代行者ソンリュウには勝てぬぞ」
「ま、まだまだです!」
「ふん...来い」
「はぁぁ!」
ガキン!キン!ヒュン!カッカッ!キンッ!
「う、うう...!」
「...素質はあるようだが、未熟だな。4級なのも納得か」
「だ、黙ってください!」
ヒュン!カッカッ!キンッ!ガキン!キン!
「...これ以上長引かせるのも退屈だな。そろそろ終わらせてやる。はぁ!」
ザシュッ!ザシュッザシュッ!ズバァン!
「うわああ!?」
滅多切りにされるスペシャルウィーク
「う、うう...」
「...ほう、まだ息があるか。体力は多いみたいだな
だが、そろそろ指令を達成せねばならぬ。その首、いただくぞ」
ソンリュウが倒れたスペシャルウィークに近づく
「う...あ...」(私...ここで死んじゃうのかな...ごめんなさい...お母ちゃん、所長、スズカさん...)
痛みが酷く、一歩も動けなくなるスペシャルウィーク
(...いや、私、まだ死にたくない...!お母ちゃんと約束したもん...誰にも負けないウマ娘になるって...!こんな酷い人に...負けたりしない!...「あなた」の言うことも聞きません!)
「ぐ、うう...!」
「!、まだ立ち上がるか。何がそこまでお前を突き動かす?」
「私は...お母ちゃんたちと約束したんです...!誰にも負けないウマ娘になるって...!あなたに勝って...!私は生きる...!こんなところでは...死なない...!」
その時スペシャルウィークの服が紅く輝き始め、
そして真紅の武将みたいな服に変わる
開花E.G.O『日ノ本一の総大将』
「むっ...!」
「はぁ...!私は...あなたに勝つ...!」
「...良いだろう...ならばこちらも全力で行く。我、人差し指代行者にして東部十剣が1人 ソンリュウ!」
「私はスペシャルウィーク!黎明事務所の...フィクサーです!」
ガキン!
互いの武器がぶつかり合う
「むう...どこからそんな力が...!?」
「これが...私の想いです...!」
ガキン!キンッ!ヒュン!キンッキン!
先ほどとは別人のように力強い攻撃で代行者を追い詰めるスペシャルウィーク
「くっ...良いだろうスペシャルウィーク、ならば次の一撃に私の全力を乗せよう。それで貴様を殺す」
「...受けてたちます」
「はぁ...!「刑罰」!」
ソンリュウの全力の一撃がスペシャルウィークに向けられる
「...はぁああ!」
ガキン!!
スペシャルウィークはそれを刀で弾くと
「てりゃああああ!」
ズバァァン!!
即座にカウンターでソンリュウの身体に致命傷を与える
「ぐはぁ...!?」
「...はぁ...はぁ...!」
「...くぅ...見事だったスペシャルウィーク...だが、指令は必ず達成される...。残り短い余生を過ごすんだな...グフッ」
ソンリュウが絶命する
「はぁ、はぁ...か、勝った...でも、もう、1歩も動けないや...」
スペシャルウィークが膝をつく
その時
「スペシャルウィークさん!」
「スペちゃん!」
「...所長?スズカさん...?」
「スペちゃん!大丈夫ですか!?」
「うわ酷い傷!早く手当てしてあげないと!」
任務から戻った4人が駆け寄る
「なんで...ここに?」
「8区で人差し指が大規模な動きをしてるって通達が入って急いで帰ってきたのよ!」
「スペちゃんが人差し指に襲われてないか心配で...!」
「くっ!少し遅かったみたいですね...」
「でも...そこの代行者って...まさかスペちゃんが倒したの...?」
「は、はい...私、勝ちました...すっごいボロボロですけど...」
「〜ッ全くあなたはとんでもない子ね...!協会でも手を焼く指に勝つなんて...!」
「すぐに手当てするからじっとしてて!」
「は、はい...!」
1時間後
事務所内
「ふぅ...何とか手当てが済んだわ」
「ありがとうございます...所長...あの人差し指ってなんですか...?」
「そういえば教えてなかったわね...この都市の裏路地は五本指という組織に支配されていて、その中の1つが人差し指なの。フィクサー協会でも手が出せないすっごく危ない奴らよ」
「でもスペちゃん、なんで代行者に襲われたの?」
「確か...8区にいる4級フィクサーを全て殺せという指令があったと言ってましたね...」
「はぁ...あいつらが指令を盲信してるのは知ってるけど、それでスペちゃんを殺そうとするなんて許せないね」
「でも、スペちゃん。なんで逃げなかったのですか?」
「えっと...昇格か降格すれば見逃すし、もし倒せればそれで昇格するかも知れないと言われて...挑んじゃいました...」
「おばか!それであなたが死んでたらどうするの!?」
「うう...絶対逃がしてくれなさそうな感じだったのでそれなら...戦って勝てる可能性に賭けたんです...」
「でも、まだスペちゃんが4級な以上、他の代行者がいつ来るかわかんないわ。所長、今すぐスペちゃんを他の区に行かせるべきでは?」
「そうね!スペシャルウィークさん、今すぐ逃げるわよ!」
「は、はい!」
その時
ピロン
「うん?ハナ協会からの通知...?...ええ!?」
「どうしたのグラスちゃん!?早く急がないと!」
「ま、待ってください!皆さんこれを見てください!」
【黎明事務所所属 4級フィクサースペシャルウィークを1級フィクサーに昇格し、特色フィクサー『紅白の流星』に認定する】
「...はっ?」
「ス、スペシャルウィークさんが特色認定...!?」
「ええ!?わ、私が特色...!?」
「ど、どういうこと!?ただ昇格するならまだしも特色だなんて...!?」
「スペちゃん!あなた一体誰と戦ったのですか!?」
「えっと...確かソンリュウっていう人と...」
その名前を聞くと4人が固まる
「えっ...?そ、ソンリュウ...って、あの東部十剣の...!?」
「東部...十剣...?」
「都市の東部地域にいる10人の大剣豪...そのうちの1人をスペちゃんが...!?」
サイレンススズカが信じられない目でスペシャルウィークを見る
「そ、そんな...!あの都市の星クラスの実力者を...!?」
「でもさ特色になったってことは...スペちゃんは襲われなくて済むんじゃないの!?」
「そうよ!良かった...スペシャルウィークさん、本当に危なっかしいんだから...!」
「あはは...ごめんなさい...」
「でもスペちゃんが特色だなんて...信じられないわね...」
「東部十剣の1角を倒した功績と思えば当然ですけど...まさかスペちゃんが倒すとは...夢じゃないでしょうね?」
「確かに...」
グラスワンダーとセイウンスカイがスペシャルウィークの頬をつねる
「い、いひゃいでふ!ちょっとグラス協会長にスカイ協会長信じてくださいよ!あのソンリュウって人東部十剣ってしっかり名乗ってたんですから!」
「あはは...ごめんごめん。でもさほら!生き残ったんだしスペちゃんのことを祝おうよ!ほら!黎明事務所から特色が出たんだよ!」
「それもそうね...!スペシャルウィークさんの特色認定、人差し指の動向が落ち着いたら盛大に祝うわよ!」
「はい!所長!」
「あ、ありがとうございます!」
事務所に和やかな雰囲気が広がり、ようやくスペシャルウィークも一息つく
ハナ協会本部 本部長執務室
「ハヤヒデさん、通達は出来ましたか?」
ドリームジャーニーが紅茶を飲みながら問いかける
「はい、スペシャルウィークの特色認定終わりました」
「ありがとうございます。それにしてもスペシャルウィーク...見事ですね、人差し指代行者にして東部十剣を単独で倒すとは」
「ええ...東部十剣は1級フィクサーでも容易には勝てない相手...しかもソンリュウは人差し指の代行者。それを4級フィクサーがだなんて...信じられません」
「ふふ、彼女のこれからが待ち遠しいですね」
夢見る少女はついに夢を叶え、星となった
しかしその物語は、まだ続く