ハナ協会本部 本部長執務室
壁一面のモニターに映るのは、D社4区の森。
林の中を、金色の暴君と緑の旅人が激しく交錯する。
「あはは! やっぱりオルフェは強いね!」
「シービー、今度こそ決着をつけてやる!」
剣と槍が火花を散らし、画面が一瞬白く染まる。
執務室の主、ドリームジャーニーは紅茶を一口含みながら、静かに微笑んでいた。
「ふふ、やはりシービーと戦っている時のオルは生き生きしている。
でも……旧友を仕留めるのは、流石に複雑かな?」
その時、ノックの音。
「失礼します、本部長」
扉を開けて入ってきたのは、白の制服に身を包んだビワハヤヒデだった。
手に抱えたファイルには「不純物:ミスターシービー 追跡報告書」と記されている。
「おや、どうしましたか、ハヤヒデさん」
「頼まれていたミスターシービー関連の書類です」
「ああ、ありがとう。そこに置いておいてください」
ビワハヤヒデは机にファイルを置き、ふとモニターに目をやる。
「……ほう、オルフェーヴルさんですか」
「ええ、今まさにミスターシービーと戦っているところなんですよ」
「特色の中でも上位クラスの実力者であるミスターシービーと互角に渡り合うとは……
流石本部長の妹さんですね」
ドリームジャーニーは首を振って笑った。
「ふふ、オルは既に私を超えていますよ。
とはいえ、ミスターシービーには勝てないでしょうけど」
「と、言いますと?」
「二人の実力はほぼ互角。
外的要因がなければ決着はつきません。
これまでの戦績も、全て引き分け。
今回もシービーは逃げるでしょうが、オルも深手を負わせるでしょう」
「……妹のことを、本当によく理解していらっしゃる」
「おや、確かハヤヒデさんにも妹さんがいらっしゃいましたよね。
センク協会東部5課のナリタブライアンさんでしたか」
ビワハヤヒデの表情が少しだけぎこちなくなる
「……ここ数年、ブライアンはあまり話してくれません。
仕事の話程度ならいくらかするのですが、プライベートに関しては互いに関わることが減っていて......」
ドリームジャーニーは立ち上がり、窓の外を見ながら静かに言った。
「同じ姉として、少しだけ助言をしましょう。
姉妹の絆は、そう簡単に消えません。
ブライアンさんも、心のどこかでは貴方を大切に思っているはずですよ。」
「……そうですかね、あの子は一人が好きなので...あまり関わられるのを良しとしないんです...」
「まあ、私も他人の家庭に口を出すつもりはありません。
ただ、いつかは向き合わなければいけない問題だということは、
理解しておいてください」
その瞬間、モニターが大きく揺れた。
ミスターシービーが煙幕を張り、廃墟の奥へと消えていく。
オルフェーヴルが槍を地面に突き立て、悔しげに歯噛みする姿が映る。
「ふふ、おや? 決着がつきましたね。
予想通り、シービーには逃げられました」
「本当に本部長の言った通りになりました……」
ドリームジャーニーは椅子に戻り、静かに指示を下す。
「ではハヤヒデさん。
ハナ協会のフィクサーたちに伝えてください。
ミスターシービーの行方を全力で追え、と」
「分かりました。早速伝えてきます」
「お願いしますよ。
……協会長の機嫌が悪くならないうちに、ね」
「っは、はい!」
扉が閉まり、部屋に静寂が戻る。
ドリームジャーニーは再びモニターを見つめた。
画面の中、オルフェーヴルが傷を押さえながら立ち上がる。
姉は、誰にも聞こえない声で呟いた。
「……いつまで続くのかな、この追いかけっこ。
でも、オルが望むなら、私はいつまでも見守るよ」
紅茶の湯気がゆらめく。
その向こうで、金色の暴君は再び槍を握りしめ、
緑の旅人の残した足跡を追い始める。
暴君の姉はそれを静かに眺めていた
....一方で
その夜 ナリタブライアンとビワハヤヒデの家
「おい、姉貴」
「な、なんだブライアン...?お前から話しかけてくるなんて久しぶりじゃないか...」
「...ふん、最近以前にも増してアイの奴が野菜を食えって鬱陶しい、だから姉貴お得意の私でも食べれる野菜カレーを作れ。それで私でも野菜が食べれるってところを見せてあいつを黙らせてやる」
「!あ、ああ、分かった....!いっぱい作ってやるからな!」
「そうか、....姉貴の料理は都市で一番だからな」
「え...?」
「...もう寝る」
「ちょ、ちょっと待てブライアン!い、今なんて...」
もう一つの絆も、しっかり存在していた
ドリームジャーニー
ハナ協会 本部長
オルフェーヴルの姉であり、ハナの本部長をしているウマ娘
妹への愛情が強く、誰よりも大切にしている
いわゆるシスコン
ビワハヤヒデ
南部ハナ2課 1級フィクサー
妹のナリタブライアンを大切に思っているが、世話焼きな性格と都市の過酷さも相まってちょっと過保護気味。
南部ハナは1課が残響楽団によって壊滅し再建活動中なので2課が代わりの最高戦力となっている