ウマ娘×ProjectMoon   作:桜餅 ステラ

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虚と実

都市西部 M社13区 裏路地

 

西部の裏路地は、都市の裏側そのものだった。

崩れかけたビルの影が長く伸び、油と血の混じった臭いが鼻腔を刺す。

地面には、使い捨てられた注射器の破片や、用途不明の残骸が転がり、

時折、遠くから聞こえるのは、笑い声とも悲鳴ともつかない音。

それらはすぐに、何かを噛み砕くような鈍い音にかき消される。

 

ここでは、

「生きる」こと自体が、すでに罰ゲームに近い。

 

その裏路地の中心に、

一人のウマ娘が静かに立っていた。

 

スティルインラブ。

 

紅色の髪が、薄暗い街灯の下で不気味に揺れる。

背中には、目が複数ついた赤い肉塊の大剣――ミミック。

その存在感は、まるで彼女自身が幻想体の一部になったかのようだった。

 

スティルインラブ

「……ふっ……!

 はぁあっ……!!」

 

ミミックが、彼女の腕に合わせて唸りを上げる。

 

刃が振るわれるたび、

ねじれた人影、暴走した幻想体の残滓、

裏路地に根を張った犯罪組織の構成員たちが、

抵抗する暇すらなく切り裂かれていった。

 

音が、違う。

斬撃というより――捕食。

 

肉が裂け、骨が砕け、内臓が飛び散る。

それらがすべて、ミミックに吸い込まれるように消えていく。

 

スティルインラブ

「……っ……!」

 

最初、彼女は不安だった。

「正規品の五分の一以下」と言われた性能。

ALEPH級E.G.Oを扱うリスク。

 

だが――

 

スティルインラブ(……違う……)

 

一振りごとに、確信が積み重なる。

 

スティルインラブ

(これで……五分の一……!?

 今まで使ってきた、どの工房製武器より……

 圧倒的に、強い……!!)

 

切れ味、速度、衝動への追従性。

武器が、彼女の意思を先読みしているかのようだった。

 

スティルインラブ

「……すごい……

 これが……E.G.O……!」

 

その瞬間。

 

――もっと。

 

声が、した。

 

――もっと……。

 

スティルインラブ

(……!?)

 

胸の奥が、熱を帯びる。

心臓の鼓動が早まる。

 

――斬りたい。

――壊したい。

――まだ足りない。

 

スティルインラブ

(強い……!

 もっと……!

 もっと斬りたい……!

 壊したい――!!)

 

視界が、わずかに赤く染まる。

 

スティルインラブ

「……っ!!」

 

その瞬間、彼女は我に返った。

 

スティルインラブ

「はっ……!

 い、今……私は……何を……!?」

 

荒い呼吸。

握り締めた柄が、汗で濡れている。

 

スティルインラブ

「……いけません……

 一度、落ち着いて……

 冷静に……」

 

彼女は深呼吸し、

改めてミミックを見つめた。

 

赤い肉塊。

歪な刃。

無数の“目”。

 

スティルインラブ

「……うう……

 やっぱり……この見た目は……

 好きになれませんね……」

 

そして、気づく。

 

スティルインラブ

「……それに……

 さっきから……

 頭の中に……声が……」

 

それは、幻聴ではなかった。

 

ミミックは幻想体由来のE.G.O。

つまり――他者の自我を借り受けている状態。

 

抽出元は、

ALEPH級幻想体――「何もない」。

 

言葉にならない、音。

誰かを真似るような、歪な意思。

 

歯が削れ、

骨が砕け、

肉が潰れる音。

 

それらが混ざり合い、

人間の言葉を模倣しようとして失敗している何か。

 

意味は分からない。

だが、切実さだけは伝わってくる。

 

空っぽであるがゆえの、

執着。

愛着。

空虚。

 

スティルインラブだけに聞こえる声。

耳ではなく、脳そのものに直接響く音。

 

スティルインラブ

「……大丈夫……

 私は……特色フィクサー……」

 

震える手を、必死に抑える。

 

スティルインラブ

「……強いウマ娘……

 この程度で……」

 

彼女は、無理やり声を無視することにした。

 

数日後 ハナ協会 西部支部

 

ハイセイコー

「それでスティルちゃん……

 ミミックの様子はどう?」

 

スティルインラブは、

明らかに寝不足だった。

 

目の下にうっすらと影があり、

動きもいつもより鈍い。

 

スティルインラブ

「……声が……

 響いてくる以外は……

 大人しいですけど……」

 

言葉を選びながら、続ける。

 

スティルインラブ

「……正直……

 かなり、不安定です……

 持っている間……

 ずっと、語りかけてくるので……

 ……それに……“目”が……

 ずっと、私を見ているような気がして……

 ……正直……いい気分では……ありません……」

 

周囲の1課フィクサーたちも、

心配そうに顔を見合わせる。

 

「支部長……

 ミミックって、幻想体分類では

 ALEPH級E.G.Oですよね……?」

 

ハイセイコー

「うん……

 旧L社では、ある程度の実力があれば

 装備できたらしいけど……」

 

「とはいえ、これは不安定品です……

 いきなりALEPH級は、無茶ですよ……」

 

「せめてTETHかHEクラスから

 始めるべきだったのでは……」

 

ハイセイコー

「……それが出来たら、良かったんだけどね。

 今、フィクサー協会で確保できてるE.G.Oは……これだけなの」

 

少し間を置いて。

 

ハイセイコー

「スティルちゃん……

 やっぱり、使用中止にする……?」

 

スティルインラブ

「……いいえ」

 

即答だった。

 

スティルインラブ

「……このまま……

 使わせてください……」

 

ハイセイコー

「本当に……?

 何かあったら……」

 

スティルインラブ

「……あと少しで……

 何か、掴めそうなんです……」

 

ハイセイコー

「……」

 

しばらく沈黙。

 

ハイセイコー

「……分かった。

 もう少しだけ、任せる。

 でも約束して。

 侵食が進んだら、

 今度こそ使用中止」

 

スティルインラブ

「……もちろんです……」

 

数日後 F社6区 裏路地

 

裏路地の一角。

瓦礫に腰を下ろし、

スティルインラブはミミックを膝に置いていた。

 

スティルインラブ

「……最近……

 声が、はっきりしてきましたね……」

 

以前のような奇声ではない。

拙く、歪だが――言葉。

 

スティルインラブ

「……今なら……

 対話……出来るでしょうか……」

 

彼女は、目を閉じた。

 

スティルインラブ

(……ミミック……

 貴方は……

 なぜ、殻を求めるのですか……?)

 

――……

 

返事はない。

だが、何かが揺れた。

 

スティルインラブ

(……人間に……

 なりたいからですか……?)

 

スティルインラブ

(……なぜ……

 人間になりたいのですか……?)

 

沈黙の中、

意味不明な音が流れ込んでくる。

 

スティルインラブ

(……貴方は……

 何もないから……

 “何か”に、なりたいのですか……?)

 

質問のたびに、

頭の奥に声が響く。

 

意味は、分からない。

だが、彼女は知っていた。

 

資料で読んだ、

あの一文。

 

――ALEPH級幻想体「何もない」は、

 何かになりたいという望みから生まれた幻想体であり、本質は、本当に何もない

 故に、常に殻を求めている。

 

スティルインラブ

(……貴方は……

 なぜ……

 生まれたのですか……?)

 

答えは、まだ返ってこない。

 

だが――

ミミックの“目”は、

確かに彼女を見つめていた。

 

声も相変わらず、はっきりした言葉にはならない。

ノイズと摩擦音、歯が擦れるような不快な響きが、直接思考に流れ込んでくる。

 

しかしその混濁の中で、スティルインラブは確かに“それ”を聞いた。

 

――なら、お前には存在意義はあるのか

 

耳ではない。

脳裏に、直接突き刺さる問い。

 

スティルインラブは、息を詰まらせた。

 

その言葉は、あまりにも正確に、彼女の心の奥を抉っていた。

フィクサーであれば、誰もが一度は抱く問い。

そして、多くが見ないふりをする疑念。

 

――果たして、自分の命の価値は、自分が殺してきた者たちの価値と釣り合うのか。

 

ねじれ。幻想体。犯罪組織。

裏路地に溢れる“処理すべき存在”。

 

正義でも秩序でもなく、

ただ契約と依頼のもとに振るわれた刃。

 

血を血で洗った先に、何が残るのか。

答えは、とうに分かっている。

 

血に濡れた殻。

中身を失った、空虚な存在。

 

ミミックは、再び問いを重ねてくる。

 

――お前も、やはり人間の殻を求めているのではないか

 

スティルインラブの思考が、一瞬止まりかけた。

視界が揺らぎ、足元の感覚が薄れる。

 

侵食。

その兆候を、彼女自身が誰よりも理解していた。

 

だが――

 

そこで、彼女の脳裏を過ぎったのは、血と刃ではなかった。

 

ハナ協会西部支部の、騒がしくも温かい空気。

軽口を叩く同僚たち。

心配そうに自分を見る、支部長の顔。

 

そして――

記憶の奥に焼き付いた、青い背中。

 

都市疾病の任務。

死にかけていた自分を、迷いなく庇った人物。

 

アドマイヤグルーヴ。

振り返りもせず、前だけを見て立っていた、あの背中。

 

(……きっと)

 

スティルインラブは、静かに思考をまとめる。

 

(赤い霧も……この声と対話したんでしょうね)

 

数多の幻想体。

数多の歪み。

それでも彼女は、惑わされなかった。

 

自分が何を信じるのか。

何のために刃を振るうのか。

 

それを、最後まで手放さなかった。

 

スティルインラブは、ミミックに向けて語りかける。

 

(……貴方は、本当に“何もない”んですね)

 

声は出さない。

だが、意志ははっきりとした。

 

(だから人間を模倣して、何かになりたがる。

 でも、それは――空虚な虚像に過ぎません)

 

ミミックの目が、僅かに揺れた。

 

(今の私には……既に、大切な人がいる)

 

血ではなく、記憶。

殺意ではなく、繋がり。

 

(模倣だけに囚われて“虚”である貴方とは違う。

 私には、“実”の仲間がいる)

 

その瞬間――

頭に響いていた声が、すっと消えた。

 

ノイズも、衝動も、渇望も。

まるで最初から存在しなかったかのように。

 

ミミックは、沈黙した。

 

スティルインラブは、深く息を吐く。

迷いは、もうなかった。

 

ハナ協会 西部支部

 

ミミックを背負ったスティルインラブが、支部へ帰還する。

足取りは、以前よりも静かで、安定していた。

 

スティルインラブ

「ただいま戻りました」

 

ハイセイコーが、ぱっと顔を上げる。

 

ハイセイコー

「スティルちゃん!……あれ?

 なんか、雰囲気変わった?」

 

その場にいた1課のフィクサーたちも、気付いていた。

張り詰めていた何かが、消えている。

 

スティルインラブ

「ええ……ミミックが、やっと馴染んできました。

 侵食ではなく、適応の意味で」

 

ハイセイコー

「本当!?

 あのミミックが扱えるようになったの!?」

 

「マジですかスティルさん!?」

 

「じゃあ、もう大丈夫なんですか!?」

 

スティルインラブ

「少なくとも……私はもう大丈夫です。

 ただ、誰にでも扱えるものではありませんが」

 

ハイセイコーは、安堵と覚悟の入り混じった表情で頷く。

 

ハイセイコー

「そっか……

 じゃあ、そのミミックはスティルちゃん専用だね。

 抽出技術が確立するまでは、E.G.O装備の運用も延期だし」

 

「でもかっこいいですよスティルさん!

 どうやって侵食を跳ね除けたんですか?」

 

スティルインラブ

「……大切な人のことを強く思いました。……絶対に忘れたくないような人のことを」

 

その時――

 

扉が開き、冷たい空気が流れ込む。

 

アドマイヤグルーヴ

「……支部長、ここにいたんですね」

 

ハナ協会西部4課部長。

背筋を伸ばし、無駄のない足取り。

 

ハイセイコー

「アルヴちゃん!書類?」

 

アドマイヤグルーヴ

「はい。提出が必要なものがありまして。

 ……それより、何かありましたか?」

 

スティルインラブ

「アルヴさん……いえ、何でもありませんよ」

 

アドマイヤグルーヴの視線が、ミミックへ向く。

 

アドマイヤグルーヴ

「それが、噂のE.G.O装備ね」

 

スティルインラブ

「はい」

 

アドマイヤグルーヴ

「……詳しくは知らないけど、調子に乗らないこと。

 どんな武器でも、使い道を誤れば死よ」

 

一瞬の間。

 

アドマイヤグルーヴ

「特色なんだから、それくらいは刻みなさい。

 ……貴女っていつも、戦闘中は暴れるんだから」

 

スティルインラブ

「……ふふ。もちろんです」

 

アドマイヤグルーヴ

「……?

 何、笑ってるのよ」

 

ハイセイコー

「あはは……書類は受け取ったよ。ありがとう、アルヴちゃん」

 

アドマイヤグルーヴ

「では、失礼します」

 

去っていく背中。

 

その後ろ姿を、スティルインラブは静かに見送った。

 

「……もしかして、スティルさんの“大切な人”って……?」

 

スティルインラブは、少しだけ困ったように笑う。

 

スティルインラブ

「……ふふ。それは、秘密です」

 

ミミックは、もう何も語らない。

ただ、静かに、彼女の背に在り続けていた。

 

――虚ではなく、実として。

 


 

後日...

 

ハナ協会西部支部

深夜

 

支部の照明は最低限に落とされ、廊下には機械音だけが静かに流れていた。

夜勤の職員が巡回する足音も、今は遠い。

雪混じりの冷たい風が窓の隙間から入り込み、

薄暗い通路に微かな霧を発生させている。

 

スティルインラブは自室の前で立ち止まり、

背中のミミックにそっと手を伸ばす。

 

触れた瞬間、かつて感じていたざわめきはない。

脳裏を引っ掻くような声も、欲望も、衝動も。

 

――静かだ。

 

だが、完全な無音ではなかった。

 

スティルインラブ(……いる、のは分かります)

 

答えは返らない。

それでも、かつての「何もない」とは違う“気配”だけが、そこにあった。

 

まるで、

言葉を失ったまま、こちらを見つめ続けている何かのように。

 

部屋に入り、ミミックを壁に立てかける。

歪な形状の刃が、蛍光灯の光を鈍く反射した。

無数の“目”が、暗闇の中でぼんやりと光っているように見える。

 

スティルインラブは椅子に腰を下ろし、深く息を吐く。

 

スティルインラブ

「……ねえ」

 

独り言のように呟く。

声は小さく、部屋の空気に溶ける。

 

スティルインラブ

「貴方は“虚”だった。

 でも……私は、貴方を完全に否定したわけじゃない」

 

ミミックは動かない。

目も、口も、存在しないはずなのに――

それでも“見られている感覚”だけは消えなかった。

 

スティルインラブ

「何かになりたいって思うこと自体は……悪いことじゃないんです」

 

指先が、震えた。

彼女は自分の手をじっと見つめる。

 

スティルインラブ

「……ただ、それを他人から奪う形で埋めようとするなら……

 私は、それを振るう側でいなければならない」

 

自分に言い聞かせるような声。

 

これは説得ではない。宣言でもない。

ただの、境界線の確認だ。

 

彼女は立ち上がり、ミミックに背を向ける。

鏡に映った自分の姿を見る。

 

紅色の髪。

疲れた目。

背中に寄り添う、赤い肉塊。

 

スティルインラブ

「……貴方は“何もない”ままでいいんです」

 

鏡の中の自分が、かすかに頷いた気がした。

 

翌日

ハナ協会西部・模擬戦訓練室

 

訓練室の空気は、いつもより張り詰めていた。

強化ガラス越しに観測室のハイセイコーと数名のフィクサーたちが、

緊張した面持ちでモニターを見つめている。

 

ハイセイコー

「……準備はいい?」

 

スティルインラブ

「はい」

 

彼女はミミックを構える。

赤い肉塊が、わずかに脈打つように動いた。

 

「――始め!」

 

合図と同時に、模擬標的が展開される。

 

スティルインラブはミミックを抜いた。

 

刃が空を裂く。

速度、威力、精度――以前と変わらない。

だが、決定的に違う点がひとつあった。

 

斬撃に“迷い”がない。

 

暴力的な高揚もない。

血を求める衝動もない。

 

ただ、

「必要だから斬る」という、冷えた判断だけがあった。

 

ハイセイコー(観測室)

「……侵食反応、安定。

 精神波形も……ほぼ単独」

 

隣にいた職員が息を呑む。

 

「E.G.Oが……使われてるのに、

 使用者側の自我が優勢……?」

 

ハイセイコー

「ううん、違うね」

 

モニター越しに、スティルインラブを見る。

 

ハイセイコー

「対等なんだよ。

 支配でも、服従でもない」

 

「...あくまでビジネスパートナーということですか」

 

ハイセイコー

「そうだね、...赤い霧とはまた違う方法で使ってる。

赤い霧はE.G.Oの力を100パーセント引き出せたらしいけど...

今のスティルちゃんはE.G.Oが自主的に力を貸してる形に近いかな。

使用者が引き出すんじゃなくて、E.G.Oが貸し与えてる。

赤い霧のような完全なフルパワーではないけど...浸食の心配もない」

 

「そんなことが....」

 

ハイセイコー

「...流石だね、スティルちゃん」

 

訓練終了後

通路

 

スティルインラブが歩いていると、前方からアドマイヤグルーヴが現れた。

 

アドマイヤグルーヴ

「……さっきの模擬戦、見たわ」

 

スティルインラブ

「……見られてましたか」

 

アドマイヤグルーヴ

「ええ。正直に言うわね」

 

一拍、間を置く。

 

アドマイヤグルーヴ

「今までの貴方より……少しだけ、怖くなかった」

 

スティルインラブ

「……それ、褒めてるんですか……?」

 

アドマイヤグルーヴ

「半分は」

 

背を向け、歩き出しながら続ける。

 

アドマイヤグルーヴ

「力を制御できる人間は危険よ。

 でも……暴走する人間よりは、ずっと信頼できる」

 

一瞬だけ、振り返る。

 

アドマイヤグルーヴ

「そのE.G.Oも同じ。

 飼い慣らしたと思わないの。

 “隣に立たせている”だけだと、忘れないことね」

 

スティルインラブ

「……はい」

 

その背中を見送りながら、スティルインラブは小さく笑った。

 

再び自室

 

ミミックは、変わらずそこにある。

 

スティルインラブ

「……ねえ」

 

今度は、優しく。

 

スティルインラブ

「貴方は“何もない”ままでいいんです。」

 

返事はない。

 

だが――

ほんの一瞬、刃の奥で、何かが静かに脈打った気がした。

 

虚は虚のまま。

実は実として生きる。

 

それでも同じ都市で、

同じ血の匂いを吸いながら、共に在る。

 

それは勝利ではない。

救済でもない。

 

ただの、選び続けるという意志。

 

スティルインラブはミミックを背負い、灯りを消した。

 

都市の夜は、今日も変わらず騒がしい。

 

――そして、“何もない”ものは、

初めて「失わずに済んだ何か」を、確かに抱えていた。

 

 

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