セブン協会本部・最上階 協会長執務室
部屋は薄暗く、無数のモニターが青白い光を放っている。
壁一面に張り巡らされた情報網が、都市の鼓動をリアルタイムで刻み続ける。
机の前、伊達メガネを光らせながら協会長トランセンドは優雅に紅茶をすすっていた。
「それじゃ、ミスターシービーの次に逃げそうな場所の予想情報を
ハナ協会と頭に伝えておいてね、フリオ」
東部1課フィクサーのフリオーソはファイルを抱え、深く一礼する。
「分かりました、協会長」
トランセンドはモニターに映る緑の影を指でなぞり、くすくすと笑った。
「ふっふっふ、シービーさんも随分逃げ回ってるみたいだけど、
ウチらセブン協会の情報網からは逃げれるとは思わないでよん?」
「それにしても……不純物指定から既に4ヶ月。
未だに捕まらないとは、末恐ろしいですね」
「まあ、シービーさんの並外れた生存本能が為せる偉業だろうね〜」
フリオーソは少し首を傾げて尋ねる。
「しかし、なぜミスターシービーはこの無意味な追いかけっこを続けているんでしょうか?
あの実力なら外郭でも十分生きていけるはずなのに……」
トランセンドはカップを置き、指を組んで微笑んだ。
「恐らくだけど、シービーさんはオルフェさんとの死闘を楽しんでるんだと思うよ?
昔の古い友人らしいし、特別な感情があっても不思議じゃない。
ハナ協会や頭は、ついでってところかな?」
「なるほど……」
トランセンドは別のモニターに視線を移し、深紅と黒の二人の姿を映す。
「そういえば協会長、
マルゼンスキーとカツラギエースがリンバス・カンパニーに協力して
黄金の枝を集めている件については、いかがいたしましょう?」
トランセンドは軽く手を振った。
「それなんだけどさ、しばらくは保留にしといて。
ハナ協会と頭からは『今はミスターシービーの情報だけ提供するように』って言われてるし」
「分かりました。保管しておきます」
「頼んだよん、フリオ」
フリオーソが静かに退室する。
扉が閉まる音が響いた瞬間、
トランセンドはメガネを外し、静かに呟いた。
「ふふ、シービーさんもよく頑張ってるけど、
流石にそろそろ終わってもらわないと困るからね」
モニターに映る緑の旅人は、まだ走り続けている。
その背後を、金色の暴君が確実に追い詰めていく。
情報の価値は、誰がいつ、どこで死ぬか、
それを正確に知っていること。
セブン協会の協会長は、微笑みながらその終幕の時刻を、
静かにカウントダウンし始めていた。
「もうすぐだよ、シービーさん」
「最高の情報は、最高のタイミングで売れるからね」
部屋の明かりが、ほんの一瞬、赤く染まった。
トランセンド
セブン協会協会長
セブン協会長にして都市一番の情報屋であり、セブン協会の情報の全てを掌握している
その実力はトランセンドが協会長に就任して以降、セブン協会の業績が倍以上に上がったほどである。
フリオーソ
セブン協会東部1課 2級フィクサー
トランセンドに気に入られていることもあって、現在彼女の秘書代わりをしているウマ娘。いざという時の護衛でもある
トランセンドの情報収集能力は信頼してるものの大量に押し付けられると整理に追われることもある。