ウマ娘×ProjectMoon   作:桜餅 ステラ

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接待 ― 紅色の衝動 ―

図書館 ― 総記の階

 

図書館の最初の階層。

 

総記の階。

 

ここは他の階とは少し違う雰囲気を持っている。

天井まで積み上がる本の山、机の上に無造作に重ねられた書籍、床にすら散らばるページの束。

 

都市の歴史、組織の記録、誰かの人生。

 

それらがすべて「本」としてここに存在している。

 

静かな空間の中央で、

 

二人のフィクサーが向き合っていた。

 

黒いスーツの男。

 

ローラン。

 

そして赤髪のウマ娘。

 

スティルインラブ。

 

彼女の背には、赤い肉塊のような巨大剣。

 

E.G.O武器、ミミック。

 

スティルが静かに頭を下げる。

 

スティルインラブ

「よろしくお願いします…」

 

ローランは肩を回しながら笑う。

 

ローラン

「おう、接待となったら手加減はしないぞ」

 

スティルはローランの手を見た。

 

黒い手袋。

 

そこから様々な武器が出てくることを、彼女は知っている。

 

スティルインラブ

「……その手袋、アンジェリカさんのですね…」

 

ローランの目が少し細くなる。

 

ローラン

「アンジェリカを知ってるのか?」

 

スティルは頷く。

 

スティルインラブ

「昔、一度だけ会ったことがあります。特色に昇格したばかりの頃に、少しだけ、お世話になったんです」

 

ローランは少し驚いた顔をした。

 

ローラン

「へぇ…そんな繋がりがあったのか」

 

軽く息を吐く。

 

「俺もアンジェリカほどじゃないが、似た戦い方は得意だ。

油断してると痛い目見るぜ?」

 

スティルはミミックを構える。

 

スティルインラブ

「大丈夫です、いつでも行けます」

 

ローラン

「よし、始めるか!」

 

---

 

少し離れた場所。

 

書架の影。

 

二人の戦いを観察する者がいた。

 

青い髪の館長。

 

アンジェラ。

 

そして赤い霧。

 

ゲブラー。

 

アンジェラ

「どう見る?」

 

ゲブラーは腕を組む。

 

ゲブラー

「ローランの実力は知っている

問題はスティルインラブだ」

 

少し目を細める。

 

「素の実力だけなら、

特色の中では中堅、いや…少し下かもしれない」

 

アンジェラ

「随分厳しい評価ね」

 

ゲブラー

「だが」

 

ミミックを見る。

 

「E.G.Oを使いこなしているなら話は別だ、

どうなるかは分からない」

 

---

 

戦闘開始。

 

ローラン

「行くぞ!」

 

スティルインラブ

「はぁ!」

 

二人が同時に地面を蹴る。

 

距離ゼロ。

 

ローラン

「デュランダル!」

 

手袋から長剣が現れる。

 

鋭い一撃。

 

ガキン!!

 

ミミックと衝突。

 

衝撃が総記の階に響く。

 

スティル

「くっ…!」

 

ローランはその瞬間を逃さない。

 

三連斬撃。

 

ザン!ザン!ザン!

 

スティルが押し込まれる。

 

しかし。

 

スティルインラブ

「お返しです!」

 

ミミックが唸る。

 

三連斬撃。

 

ローラン

「やるな!」

 

武器を入れ替える。

 

ローラン

「クリスタルアトリエ!」

 

双剣。

 

高速連撃。

 

火花が散る。

 

スティル

「くっ…!」

 

ローラン

「止まってる暇はないぞ!」

 

「アラス工房!」

 

ランス。

 

四連突き。

 

ドドドドッ!!

 

スティル

「はぁ!」

 

ミミックで弾く。

 

反撃。

 

突き。

 

斬撃。

 

ローラン

「ならこれはどうだ!

老いた少年工房!」

 

巨大ハンマー。

 

ドゴォ!!

 

床が揺れる。

 

スティル

「うっ…!」

 

しかしミミックで受け流す。

 

縦斬り。

 

横斬り。

 

ローラン

「タフだな!

狼牙工房!」

 

ガントレットとナイフ。

 

猛攻。

 

ザシュ!

 

ザシュ!

 

ザシュ!

 

スティル

「ぐっ!」

 

ローラン

「遅い!ムク工房!」

 

太刀。

 

一閃。

 

ザシュ!!

 

スティルが吹き飛ぶ。

 

しかし。

 

ゆっくり立ち上がる。

 

スティルインラブ

「……ふぅ」

 

空気が変わる。

 

心。

 

スティルの身体に黄色い気が纏う。

 

ローラン

「おっ、お前も心が使えるのか、面白い」

 

スティル

「行きます!」

 

ガキン!!

 

今度は、スティルが押した。

 

ローラン

「おっと!?」

 

スティル

「四連突き!

縦斬り!」

 

ローラン

「ケヤキ工房!」

 

メイスと斧。

 

激突。

 

戦闘は完全に互角になった。

 

やがて。

 

二人の武器に

 

光の輪が現れる。

 

望。

 

ローラン

「来たな、望か

ロジックアトリエ!」

 

拳銃。

 

バン!

 

バン!

 

ショットガン。

 

バァン!

 

スティル

「ふん!」

 

三連斬撃で弾く。

 

ローラン

「ならこれはどうだ!

ホイールズインダストリー!」

 

巨大大剣。

 

ドゴォォン!!

 

スティルが押し込まれる。

 

スティル

「くっ…!」

 

息を整える。

 

「流石はあの伝説のチャールズ事務所の隊長だった方ですね...南部中指を含めてあらゆる組織を壊滅させた実力も頷けます...!」

 

ローラン

「だからその話はもう無しにしてくれ...!」

 

仮面を取り出す。

 

ローラン

「よし、ならここから本気だ」

 

仮面を被る。

 

黒い沈黙。

 

ローラン

「Furioso!」

 

嵐のような攻撃。

 

拳銃

 

 

 

ハンマー

 

太刀

 

 

 

ショットガン

 

すべてが連続する。

 

18連撃。

 

総記の階が揺れる。

 

スティル

「ぐぅ…!!」

 

しかし。

 

立つ。

 

スティルインラブ

「……大切断」

 

ミミックが唸る。

 

赤い眼が開く。

 

スティル

「大切断・縦!!」

 

ザシュ!!

 

ローラン

「うおっ!?」

 

スティル

「隙あり!」

 

突き。

 

ローランが吹き飛ぶ。

 

ローラン

「くっ!流石ハナの特色だな!化け物みたいな強さだ!」

 

スティル

「貴方こそ本当に元1級フィクサーですか...!?特色並ですよ...!」

 

ローラン

「特色はアンジェリカの奴なんでな!俺は今は9級なんだよ!」

 

スティル

「余計おかしいです!」

 

ローラン

「そろそろ決めるか!」

 

スティル

「望むところです!」

 

最後の衝突。

 

剣。

 

銃。

 

槍。

 

ミミック。

 

すべてがぶつかる。

 

そして。

 

ローラン

「デュランダル!!」

 

スティル

「大切断・横!!」

 

ドゴォォォン!!!

 

衝撃波。

 

本の山が揺れる。

 

煙。

 

静寂。

 

アンジェラ

「終わったわね」

 

煙が晴れる。

 

そこにいたのは。

 

立っているスティル。

 

膝をつくローラン。

 

アンジェラ

「スティルの勝ちね」

 

ゲブラー

「ああ」

 

スティル

「……勝ったみたいです」

 

ローラン

「負けたか」

 

仮面を外す。

 

ローラン

「疲れた…」

 

アンジェラ

「お疲れ様、2人とも。どうだった模擬戦は?」

 

ローラン

「くっそ疲れた...残響楽団や頭を相手した時よりはるかにしんどかったぞ...」

 

ゲブラー

「スティルも中々だった。ミミックの扱い方が上手かったな」

 

スティル

「ありがとうございます」

 

ローラン

「そういえば、お前アンジェリカと知り合いなんだって?」

 

スティル

「ええ、9年前にアンジェリカさんと

アルガリアさんに出会いました」

 

ローラン

「アルガリアも!?」

 

スティル

「ふふ、ローランさん本当にアルガリアさんのこと嫌ってるんですね」

 

ローラン

「いやまあ...今はある程度落ち着いたけど、あいつかなり嫌な奴だったからな。頭のイカレ具合じゃあ特色で右に出る者はいないってぐらいだったし。」

 

スティル

「でも、私に言ってくれたんです。

フィクサーに正しい在り方はない、気楽にやれって」

 

ローラン

「へぇ…アンジェリカはともかくアルガリアの奴がそんなこと言うなんてな...あいつやっぱり俺だけに嫌がらせしてただろ...」

 

少し笑う。

 

スティル

「ローランさんはアンジェリカさんの夫だったんですよね?...私の知らないあの人のことを教えてもらいませんか?

 

ローラン

「おお、それは良いけど...結構長くなるぞ?」

 

スティル

「構いません」

 

そして。

 

ゲブラーを見る。

 

スティル

「赤い霧の話も」

 

ゲブラー

「いいだろう」

 

笑う。

 

「途中で寝るなよ?」

 

スティル

「分かってますよ、ふふ」

 

図書館の静かな階層で

 

伝説のフィクサーたちの、長い過去の語りが始まった。

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