「《ローグライト》などと言う意味不明な《加護》持ちなどうちの家にはいらん!追放だ!」
ということで15歳にして国境を跨いだところにある別の国の野原に放り出されました私、元子爵令嬢のロゼリアです。家名はなかったことになりました。
私の《ローグライト》と言う加護、前例がないのでございます。加護をいただいた時に伺ったお話しでは戦闘系の加護、らしいのですが、詳細は不明。まあ、《ローグ》と名がついているので、ごろつき、悪漢、そこらとかなり近いのではないかと思われたのでしょう。そんな加護、子爵家令嬢とは縁遠くあるべきですわね。
というわけで、まあお父様の立場からは納得出来るのですが、私個人として言わせてもらえれば、もうちょっと加護について試してからの放逐でも良かったのではないですか?かわいい娘の筈でしょう?と。
しかし嘆いてばかりというのもせんなきこと。早速生き延びるための最初のステップとして、おそらく最も近いであろう街、サイファスへ向かいましょう。
するとなにやら半透明の青い柵のようなものが現れ、
真ん中には最弱魔物と名高いスライムが一匹。
【全ての敵を倒せ!】
謎の声が頭に響きます。
なるほど、コレ、おそらく《ローグライト》によるものですわね。
戦闘系の加護は、そのまま戦うことに対してなんらかの益がある、と聞きました。その益が具体的にはわかりませんが、私のようなものでもスライム程度には勝てるようにしてくれるのでしょう。
「えーい!」
手にした扇を振りかぶり、スライムに叩きつけようとしました。
しかし哀れ私の攻撃は回避されます。うーん、戦闘系加護とは?
そのままスライムは私の顔にべちゃっと貼り付いてきました。
あれ、息が出来ません。
これ、死ぬのでは?
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気づくと私は豪奢なティーラウンジに居ました。え、なんですのこれ?
「お嬢様は死にました。記念すべき一度目の死は、スライムによる窒息です。おお、なんと情けない事か!」
むう。
「誰ですの?」
「これは失礼、私冥界執事のセバスチャンと申します」
現れたのは渋めのお顔の執事姿の男性。うーんもしかしてこちらも、《ローグライト》によるもの? でも、戦闘は終わっておりますよね?しかも私の死という形で?
「《ローグライト》は初めてですか?」
「当たり前ですわ!」
では、チュートリアルを開始しましょう、とセバスチャンと名乗った老紳士は語ります。 長いお話、嫌いですわよ、私。
「要は何度でも死んでやり直しができます」
「そんな! 人の生は一度きりという、聖典に反しますわ!」
「聖典は只人のためのものですので」
にこりと笑われる。
「まあ、長い話はお嫌いとのことですので、最低限『死んでもやりなおせる』ということだけ覚えていただければ。それと、こちらは初回サービスです」
キラキラと光るカードを差し出される。なんですの、これ?
「それは『
言われるがままにカードを手に取ると、脳裏に言葉が浮かんでくる。
『
……わかったような、わからないような。
「受け取りましたね。これはここでのみ得られる、《失われないスキル》の一つでございます。魔物のエナジーと交換で、さまざまなカードと交換いたしましょう」
「説明が! 説明が足りていませんわ!」
「長い話はお嫌いとおっしゃったのはお嬢様でしょう? しかしあえて言うなれば、《ローグライト》は経験が強さの源となりますので、体感するのが一番よろしかろうと愚考いたしますれば。 ……それでは2回目の生、頑張ってくださいませ」
セバスチャンと名乗った老紳士がお辞儀をすると、意識が暗転する。
つぎに目覚めたのは、また野原の真ん中でした。
「なんですの、これ……?」
スライムに出会う前と全く変わらない光景。さっき、私はスライムに顔に張り付かれていた筈? 現実味がありません。