ミアレでの生活…想像と大分違くね? 作:色違いフラージェス
さて、皆さんはミアレシティと聞いて何を思い浮かべるだろうか?
風光明媚な観光地?ご飯の美味しい所?過去に色々有った曰く付きの街?
そのどれもが正しいが俺の思うミアレシティは…
「はい、俺の勝ち。約束通りコイン置いてけよ」
戦闘狂が集う修羅の街だ。
確かに越してくる前は街並み綺麗だし、オシャレだし最高じゃね?と思ってたんだけどな…
最近越して来たばっかだが今行われてる街ぐるみでのポケモンバトル、ZAロワイヤルとか言うイベントのせいで夜でもどんちゃん騒ぎが絶えない。
ランダムでエリア指定されてるからまだマシ?いやいや、地震やら雷やらが飛び交ってる上位帯ともなると隣の地区だろうが関係なくやかましいんだよ。
…まぁ、そのおかげで金には困らないんだけども。
「おかげで昼夜逆転しちまってるよ俺…」
現実逃避する様に呟く俺の目の前で手持ちのポケモンを全滅させられた坊っちゃんが項垂れている。
「負けた…エリートの僕が…」
項垂れてる坊ちゃんからコイン…換金用アイテムを貰ってさっさと次の獲物を探す。
時間制限は夜いっぱい、朝日が昇ったら終了だから急がねぇと…
「まだ行けるかフラージェス?」
相棒のフラージェスに声をかけると当然!と言いたげな様子で鳴く。
フラべべの時から一緒に育った相棒はまだまだ元気一杯だ。
「悪いな…今月の支払いがちょっと厳しいから最低でも後2〜3戦はして行くぞ」
しょうがないなぁ…と言わんばかりに首を振る相棒を撫でながら次の相手を探す。
…下にいる奴らは大概片付けたから後は上か。
建物の屋上で戦闘するとか安全面で大丈夫か本気で心配してた時期もあったが今はもう慣れたもんだ。
「さっさと片付けて帰るべ。あー…手っ取り早くランク上がんねぇかなぁ…」
ランクで分けられてる故に報酬も上がるにつれてデカくなってく仕様になってるし。
今はまだJランクだから換金率もそんなに良くない。
これがCとかBとか行くと昼の仕事を放っぽり出してもお釣りが来るくらいには稼げるらしいんだが。
「…分かってるって。地道にコツコツと、だろ」
フラージェスから責める様な視線を受けて弁解する。
相棒は堅実な性格なのかギャンブルなんかを嫌う傾向にある。
…まぁ、俺がちゃらんぽらんだからそうなった可能性も否めないが。
「じゃ、やっちまうとするかね」
ホロベーターを上がった先で油断してるワニノコを連れたトレーナーに忍び寄る。
気づかれてないな。…ハンドサインで奇襲の合図を送ると躊躇なくマジカルリーフを仕掛ける相棒。
頼りになるぜぇ。
「なッ!?いつの間に!?」
効果はばつぐんだ!1発で沈むワニノコを見て動揺するお姉さん。
それでも即座に次のポケモンを出す辺り修羅だよなぁ…
「悪いねお姉さん。…サイコキネシスでよろしく」
綺麗に奇襲が決まって動揺している隙に更に畳み掛ける。
続いて出てきたピジョンにサイコキネシスが命中して一撃で戦闘不能に追い込んだ。
「強すぎない!?」
相手のお姉さんが驚いてるが…運が悪かったと諦めてくれ。
ぶっちゃけこのランク帯じゃ相性悪い相手でも負けることはないレベルで俺の相棒は強い。
…むしろ高ランク帯でも余程相性が悪くない限りは負けないんじゃないかな?少なくとも可愛さでは負ける気がしねぇわ。
そんなトンチキな事を考えながらも会話を続ける。
「ランク制なんでしょうがないね…飛び級させてくれない運営が悪い」
クエーサー社…運営には一度聞いたんだよ。
『うちの子だと勝負にならないんでCランク位まで一気に上げてくれません?』
『規則ですので』
そう言われたらしょうがないね。規則らしいし。
俺達が上に上がるまでは申し訳ないけど蹂躙させて下さい。
そうだそうだと頷く相棒。愛いやつよなぁ…
「それにしても力の差がありすぎる様な…」
いまいち納得がいってない様子のお姉さん。
俺もそう思うけど、運営がそう言ってるからしょうがなくない?
「まぁトリミアンに噛まれたと思って下さい…じゃ、俺もう行くんで」
そう告げると次の獲物を探して屋上を飛び回る。
結局その日は17人のトレーナーをしばいて終わった。
「ん〜…もう朝か」
後3人で大台の20人だったんだけどなぁ。
ま、最後の方は俺達に見つからない様に隠れる連中ばっかりだったししょうがない。
「今回の報奨金は…おぉ!これなら余裕で支払えるな!」
スマホロトムを確認すると数万単位で金が振り込まれてた。
昼間に稼ぐよりよっぽど効率がいい。
相棒を酷使しちゃうのが申し訳ないんだが…とフラージェスを見ると気にするなと首を振る。
「いつも悪いな相棒…」
頭を撫でるとフラべべの時と変わらず目を細めて喜ぶ相棒。
その姿は先ほどまで大体一撃で相手を沈め続けてた凛々しい姿とは対照的で。
「可愛い奴め!このこの!」
つい撫で回しちまった。目を細める相棒は最高に可愛いから仕方ないね。
「んじゃ、帰るとしようか」
存分に愛でた後帰路に着く。
空が明るくなった頃に帰るとか昔の俺じゃ考えられないわ…
朝日に照らされてる街並みを見てると昨晩の乱闘騒ぎが有った所と同じ街だとは思えねぇわ。
「せめて昼間にやってくれりゃ良いのにな」
なんで夜にやってんのか分かんねぇ…と呟きながら古いアパートの一室に入る。
物が少なく殺風景な部屋だ。
…まぁそこまで生活に余裕がある訳じゃねぇし、しょうがない。
「フラージェス、お疲れ様…俺はもう寝るわ…」
直接戦った訳じゃないが流石にほぼ歩きっぱなしで疲れが溜まっている俺は直ぐにベットへとダイブ…する直前で体が宙に浮いた。
咎める様に鳴き声を上げる相棒。
「…今日は良くない?もう一歩も動きたくないんだけど」
ダメだ、と首を振ってサイコキネシスで俺をベットから引き摺り出した相棒。
こういうところは厳しいんだよな…
「分かったよ…ちゃんとシャワー浴びて着替えるよ…」
だから降ろしてくれ、というと満足したようにサイコキネシスを解いてくれた。
ノロノロとシャワールームへと向かうと相棒が器用にタンスから着替えを用意してくれているのが目の端に映る。いつの間にか俺が世話される側になってんな…
そんなことを思いながらシャワーをさっと浴びて汗を流す。
朝シャンって気持ち良いわ〜…これから寝るって考えると朝シャンで合ってんのか疑問だが。
ざっと洗い終えて部屋に戻ると相棒が着替えを手渡してくれた。
「さんきゅー…いつも悪いねおっかさん」
冗談混じりに言うと何言ってんだか…みたいな顔をされる。
実際オカンみたいだし構わんだろがい。
渡された服に着替えると今度こそベットに飛び込んだ。
「何かあったら起こして…おやすみ…」
そう言うと直ぐに夢の中へと旅立つ意識。
それを暫く見つめた後、自分の寝床へと移動するフラージェス。
この分だとまた寝過ごすんだろうなぁ…と呆れた様に鳴き声を上げてから眠りに着いた。
これが此処最近の一般ミアレ住民の生活リズムである。
ポケモンバトルに少しでも覚えがあるなら参加しない手はない。
そのため腕に覚えのある住民がこぞって参加するZAロワイヤルは大盛況と言えた。
此処最近始めたばかりと言うのもあってルールに多少の不備はあったが…
この少年の様にやたら強いポケモンが低ランク帯に紛れ込んでしまったりだとか。
それでもポケモンと人の共生という目的は果たしつつある様に見える。
この街で起こるメガシンカを巡る騒動が起きるのはまだ先の話であった。