百合に愛と書いてゆりあと言います   作:足でされたい

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初仕事

「それじゃ今転送したファイル開いて貰ってもいいかな?」

 

「確認します」

 

割と自分が思っている以上に山鳥さんに惹かれているのかもしれない。横顔も死ぬほど素敵だし、山鳥って言うより小鳥のような囀りをイメージさせるような声色で、そんな人に声を掛けられたら仕事のやる気も自然とあがるというものだ。もちろん女同士だし恋愛的な意味は全くないけどね。

 

山鳥さんから転送されたファイルを開いてみると、中には今後の会社のスケジュールや今週の私がやるべき事が綺麗に細かくまとめられていた。これを一人で山鳥さんが作っていたらと思うと凄いなぁと思ってしまう私だった。

 

「それじゃ今日の予定だけど、午前中は沖さんが今後どんな物を作りたいか、こんな文房具があったらいいなっていうイメージを作って欲しいかな。それをもとに、午後は沖さんがイメージした作品を、実際商品化したらどういうお客さんに人気が出てどの場面で活躍出来るか一緒に考えていこ。私は午前中他の事してるけど何でも聞いていいからね」

 

 

どんな物があったらいいかか……ぱっと出てこないけどやっぱり指に負担のかからないボールペンとかが私は欲しいかもしれない。ずーっと書類書いてたりするとペンだこ出来ちゃうしどうしても疲れちゃうからね。学生から社会人まで使いやすくて欲しいって思えるような物が開発できたら一気に会社に貢献出来て山鳥さんにも褒めて貰えるかもしれない。どちらかと言うと、会社への貢献より山鳥さんに褒められたい気持ちの方が強いかもしれないなぁなんて今の私は思ってしまった。私が女でほんとに良かったと思えるぐらいにはこの短時間で山鳥さんの魅力はたくさん伝わってくる。後輩に対しての接し方なども丁寧で、ただ綺麗で可愛いだけじゃなくしごできなのも憧れる。若い男の子が入ってきたら一瞬で好きになっちゃうんだろうなと言うぐらいには同性の私から見ても魅力的な存在だった。

 

「分かりました。私なりに頑張ってみます。」

 

第一印象は大切。それは誰よりも分かっているつもりだった。最初から仕事出来ないような人間だと思われたら、天使に見える山鳥さんにも呆れられてしまうかもしれない。

 

『はぁ、何だこの新人使えねーな』

 

なんて思いながらタバコ吸ってる山鳥さんも魅力的っちゃ魅力的だけどそれはできるだけ避けたい。少しでも役に立たなきゃだよね。

 

私は気を引き締め治すと山鳥さんが作ってくれたファイルを開いて商品開発を始める事にした。

 

とりあえずさっき思ったボールペンにしようかな。在り来りだけど変に尖った物を考えるよりは簡単だと思うし商品のイメージも頭の中で作りやすいかな。山鳥さんが新人の時に考えてた商品ってなんだったのかなぁ、なんて思いながらふと山鳥さんの方を見詰めると人間離れしたようなスピードでキーボードを打っていた。

 

え?何あれ……そう言えば年齢聞くの忘れちゃったけど私も数年であのぐらいパソコン打つの早くなるのかな。今までも大学であの人パソコン打つの早いなぁって思う人はいたけれど山鳥さんの打つスピードは異次元だった。綺麗な細い指からは想像出来ない速さで1文字1文字正確に打ち込まれていく様は芸術とまで思えた。

 

「ん?何かあった?」

 

「え!?えっと、文字打つの早くて凄いなって思って見惚れてしまって」

 

何を馬鹿正直に言ってるのだろうか……そこはちょっと分からないところがあってって誤魔化すのが普通だろ私……入社して作業もせずに綺麗なお姉さんのタイピングに見惚れてましたって変なやつにもほどがある。

 

「あはは、全然そんな事ないよー。慣れたら沖さんもこれぐらい打てるようになるから大丈夫。私も入ったばかりの時は、社内で1番遅くて先輩に笑われてたからねー」

 

いや絶対無理……ってか笑った顔死ぬほど可愛いのずるいな。笑った時に見えるしっかり並んだ綺麗な白い歯にちょっとだけ出てくる笑窪。あんなの不意に見せられたら男の人達は即死するんだろうな……私が笑ったところで山鳥さんのように可愛い!ってならないし、お父さんにはお前の笑い方ユリアってよりサウザーだなって言われるレベルには女の子っぽく無いらしい。ってかサウザーって誰だよ。ってなって中学生ながら北斗の拳をレンタルDVD屋さんに借りに行ったっけなあの時……

 

いやサウザーとか私の話はいいんだよ!今は山鳥さんが可愛いって事を思っただけなんだから。

 

「山鳥さんが1番遅かったって言うのが全く想像出来ないです。私も少しでも早く追いつけるように頑張りますね!」

 

「若いねー。あんまり気負いすぎずのんびりで大丈夫だよ。それじゃ作業戻ろっか」

 

「はい!」

 

私は精一杯の返事をして作業へと戻った。自分の中で山鳥さんに伝わるように商品を分かりやすくまとめるのがとても難しかった。単純に指に負担をかけないでーって文字を羅列するのは簡単だけど、それを実現するのにどうしたらいいのか?って考えるとなると死ぬほど難易度が上がることを痛感し始めていた。

 

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キーンコーンカーンコーン。

 

「あれ?もうこんな時間?」

 

どうやら私が商品開発と格闘してるうちにあっという間にお昼の時間が来たみたいだった。なんとか形にはなったが、これでいいのかな……っていう不安だけが心の中に残っていた。

 

「お疲れ様。それじゃ一旦お昼にしよっか。お昼ご飯とか持ってきてる?」

 

「お疲れ様です。持ってきてなくて適当にコンビニとか行こうと思ってました。」

 

「それなら一緒に食堂で食べる?値段もそんな高くないしメニューも色々あるしコンビニより美味しいと思うよ」

 

「ほんとですか!是非ご一緒させて下さい!」

 

「はいよー。それじゃタバコだけ吸ってくるからちょっとだけ待っててね」

 

「分かりました!」

 

山鳥さんからご飯を誘って貰えるなんて思ってもいなかった私は喜びのあまり席を立ちそうになってしまった。学生時代からほぼぼっち飯だったせいもあって、憧れの人とご飯を食べるシチュエーションに自分が遭遇するなんて思いもしなかった。やっぱり春は希望に満ち溢れた季節かもしれない。そんな事を思いながら、ご飯を食べながら何話そうかな?なんて考えている私だった。

 

 

 

 

 




ユリスキーさん感想ありがとうございました!

感想、評価など良ければ宜しくお願いいたします!

次回はやっと山鳥さんのプロフィールが少し出てくると思います。
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