憑依系男子のIS世界録   作:幼馴染み最強伝説

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連日投稿出来たぁ〜!

お蔭でテスト勉強全くしてないZE♪

後悔はしていない!ということで2話をどうぞ。


武芸者は剣で語り合う

転校してから一週間。初めは同級生の他、上級生や下級生からも質問攻めの嵐だったものの、それも徐々に落ち着きを見せ始めた頃。将輝はどういう訳だか、剣道に精を出していた。

 

一週間前、インフィニット・ストラトスの世界だと分かってはいたが、それでは他の細かな詳細は全く理解していなかった為に出来たばかりの友人達の誘いをそれらしい理由をつけて断り、只管情報の海へとダイブしていた。

 

結果、原作でも語られていた『白騎士事件』や『モンド・グロッソ』などについてもより詳細に知る事が出来た。だがしかし、一つだけどうしても気になる事があった。

 

それは同じクラスの隣席の女子━━━篠ノ之箒の事だ。

 

原作では各地を転々としていたという箒自身の独白があったにも関わらず、将輝が箒の事を担任に聞いた時、「彼女は転校してきたのではなく、入学式から此処にいる」と答えた。直後に「一目惚れか?若いな」と茶化されたが、将輝には不思議でならなかった。考えられる可能性は幾つかあったが、どれも憶測の域を出ず、それでいて確信の持てないものばかり、結局、結論は出ずじまいだった。

 

一応、彼女と接触も測ってはみたものの、彼女自身は誰からも接触を拒み、必要最低限の会話しかしてこない為、将輝も本人から何かを知ろうとするのを諦めたのはつい昨日の事だった。しかし、放課後、かなり予想外な出来事が起きた。

 

「………藤本」

 

「篠ノ之さん?」

 

何と箒自身の方から将輝へと話しかけてきた。が、やはり何処か歯切れが悪く、仕方なしと言った雰囲気があった。

 

「お前は………………武道の嗜みはあるか?」

 

「武道?まあ、一応」

 

それは一昨日前の出来事。何時も通りに学校に登校していた時の事だった。突然、上級生と思しき人物数人に呼び止められ、何事かと近寄ってみれば、部活動の勧誘だった。

 

もちろん、将輝は丁重にお断りしたが、どの部も空手部、柔道部などの格闘技系の部で、勧誘した理由が「一つ一つの行動に無駄がない」と口を揃えて言っていた。武道の熟練者はどれだけ隠しても一挙手一投足にそれが現れるというが、将輝のはおそらくそれだろう。現時点で将輝自身に武道をしていた記憶はないが、未だ身体が覚えているのだろう。一応筋トレの類いは『一日でもしなければ処刑』と真っ赤なペンで書かれた意味深な紙があった為、欠かさず、壁に貼り付けられたメニューをこなしているものの、何れその技術は朽ちることはなくとも錆びてしまうだろう。武芸というのは熱した鉄のようなもの、と何かの漫画で言っていた事を将輝は思い出した。

 

「剣道をしてみるつもりはあるか?もちろん無理強いはしないが……」

 

断ろう、そう考えていた将輝だったが、ふと思い留まる。「ん?これはひょっとしなくても箒と親しくなるチャンスなのでは?」と。そうと決まれば答えは一つ。

 

「いいよ。ちょうど身体が鈍り始めた頃だから」

 

二つ返事で承諾し、現在へと至る。

 

だが、甘かった。

 

そもそも将輝は男子、箒は女子なのだ。人数が少ないならまだしも、格闘技系の部でましてや女尊男卑の傾向が強いこの世界で男女が共に練習をしている筈がなかった。

 

場所は同じ剣道場であるものの、男女共にキャプテンが存在し、仲は限りなく険悪なもの、その所為もあって、男女の接触など殆どない。仲には男女の部員が仲良く会話をしていたりもするが、それも両方のキャプテンがいない時に限られていた。

 

(あーあ、やらかしたなぁ)

 

だが後悔など無意味で、今更辞めるなど不可能である。そんな事をすれば箒との距離が更に開くだろう。故に辞めるなどという選択肢はなかった。

 

「全員集合!」

 

キャプテンの声に全員が一箇所に集まる。

 

「今日、二年生ではあるが、新たな新入部員藤本が入った。噂ではかなりの有力株と聞く。それらを踏まえて、今日の交流戦こそは彼奴らを打倒するぞ!」

 

『オー‼︎』

 

「は?交流戦?何すか、それ?」

 

「そういえば、藤本は知らんのだな。この剣道部は月に一度、女子と互いを研磨すべく交流戦をするのだ」

 

「して、その結果は?」

 

「………………ここ数年間、全て負けている。だが、どの格闘技系部活動からも有力視されているお前がいれば、今日こそ勝てる!彼奴らに土をつける事が出来るのだ!」

 

無茶言うなよ、そう思った。どれだけの理想を持っているのかは知らないが、将輝は憑依してから八日間、筋トレしかしていない。ましてや武道をしていたとは言ったが、誰も剣道をしていたなどとは一言も話していないのだ。武術の知識はかなりある方だし、剣道も大体のルールこそ知っているが、それはあくまで試合をするのに支障が出ない程度であり、勝つか負けるかという点において全く関係ない。

 

「ということで、藤本。お前、大将な」

 

「はい⁉︎ちょっと待ってください!俺、まだ………って人の話聞けよ」

 

将輝の意志など関係ないとばかりに男女のキャプテン同士が口汚く言い合っている。神聖な剣道場はどうしたのかと問いたくなるような光景だが、周囲の部員達はそれを笑いながら見ている。おそらくこれが恒例行事なのだろう。

 

「あの女狐め………今に見ていろ……ッ!」

 

(ハハ、駄目だこりゃ)

 

かくして剣道の男女交流戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中堅までは男子が圧倒していた。しかし相手の副将もといキャプテンが出てきた事により一気に状況は激変し、男子キャプテンである副将もあえなく破れた。

 

「残念ね、今回は私を引き摺り出せたというのに」

 

「何時もはもっとダメなんですか?」

 

「ええ。次峰の時点で全員負けているわ、よほど貴方にかけているのでしょうね」

 

「勘弁してくださいよ。全く」

 

「本当に困った連中だわ。だいたい()()()が私達に勝とうなんて思い上がりも甚だしいわ」

 

「……………は?」

 

流石の将輝もこの瞬間、思考が止まった。確かに彼女からすれば先程戦ったメンツは数段劣る。勝つ見込みなど殆どないのは充分本人達も承知だっただろう。だが、それを男風情がと罵って良い訳がない。

 

「いやぁ……参った参った」

 

「早くも降参?やはり腰抜けだったよう「違いますよ」はい?」

 

「さ、始めましょう。貴方のおっしゃる男風情の実力をお見せします」

 

一応笑顔でそうは言っているが、将輝は内心腸が煮えくり返っていた。別に弱いと罵るのはいいだろう。それは強者の特権だ。しかし男だからというのは強い弱い以前の問題だ。それは明確な差別発言。そう言った発言が大嫌いな将輝は笑顔を張り付けたまま、ブチ切れていた。

 

「始め!」

 

「ハッ!」

 

試合開始と同時に仕掛けたのはキャプテンの方からだった。先の先。嵐のような攻撃を持って、倒すのが彼女の最も得意とする戦術。敵に反撃の隙を与えず、虚実を織り交ぜた攻撃で防御をこじ開けて、トドメ。そうして男子達も二、三十秒程で敗北した。それは偏に彼女の攻撃に対し、彼らが防御、即ち後手に回ったのが敗因だった。それ故に将輝が取った方法は……………その更に上をいく速さでの先手の攻撃だった。

 

バシンッ!

 

横一閃に振るわれた竹刀がキャプテンの胴を薙いだ。

 

誰もこの結果を予想だにしていなかったのか、全ての人間が固まっていたが、数秒後に硬直状態を抜け出した審判役の部員が「い、一本!」と言うと、男子部員全員が歓喜の叫びを上げた。

 

「う、嘘………まさか私が………男なんかに……」

 

(そんなだから負けるんだよ。って言っても納得しないだろうな)

 

男に負けた事に相当なショックを受けている女子のキャプテンを尻目に将輝は定位置まで戻る。あくまで彼女は副将だ。大将ではないのだ。だが、女子達は副将戦までで勝負が決まると思っていたらしく、騒ついている。あの慢心を抜きにしても彼女の実力は本物だし、将輝の知るところではないが、彼女は県大会は全て圧勝出来るほどの実力者だ。そんな彼女が負けるのを予想していた者は誰一人━━━━━━正確には一人だけいた。騒つく女子の中でスッと立ち上がり、出てきたのは将輝をこの場に誘った篠ノ之箒だった。

 

「大将は篠ノ之さん?」

 

「今のを見てお前と戦おうなどと考えるのは私しかいないだろうからな」

 

箒がそう言って女子の方を見ると、女子達は何処か安心したように箒の事を見ていた。自分が駆り出されずに済んだ事に安心したのだ。

 

「それに…………」

 

「それに?」

 

「いや、何でもない。これ以上口で語るのは少々無粋だ。後はこの竹刀で語らせてもらう」

 

「いいね、それ。実に分かりやすくて」

 

お互いに前に出て構える。二人の準備が整ったのを確認した審判役は開始の合図を告げるが、お互いに一歩も動かない。先程の勢いのある試合に対して、二人の試合は全くと言っていいほど動かなかった。否、動けないのだ。箒が後の先の構えを取るのに対して、将輝は隙を見いだせていなかった。どの角度から行っても全ていなされ、その後の反撃で負ける。将輝ではない将輝の感覚がそれを本能に伝えていた。故に動けない。先程のキャプテンが県大会で優勝出来るほどの実力に対し、篠ノ之箒は全国大会優勝を狙える実力。比べるにしては些か次元が違い過ぎた。

 

(勝てる気がしない……………訳ではないが、負ける確率が高すぎて飛び込めない)

 

とはいえ、箒に先手を打たれても負けるのは事実。そして其方の方が敗北の確率は極めて高かった。ならばと将輝が取った行動は━━━。

 

相手の『静』を崩す程の速く、激しく、それでいて正確無比な『動』の篭った一撃だった。

 

「ッ⁉︎」

 

スピード、タイミングのどれもが申し分ない。打ち込むならば、今という絶妙なタイミングで打ち込んだ。

 

だが、剣道という武芸において、将輝と箒とでは経験が違った。あくまで試合が出来る程度の知識しか持たない将輝と知識のみならず技術もある箒にとって、予想の上をいかれるのは予想していた。武術とは常に裏をかかれる事を想定し、動かなければならない。それが出来るか否かが実力の有無を分ける。それが出来なかったキャプテンは敗北し、そして箒はそれが出来た。

 

横一閃に振るわれた一撃を竹刀の必要最低限の動きと力で弾き、逸らすとそのまま将輝の面に向けて竹刀を振り下ろす。だが将輝もそれを想定していなかった訳ではない。身体を無理矢理捻り、その鋭い一撃を面ではなく、肩に当てた。負けはしなかったが、かなり痛い一撃だ。

 

(いって!いって!マジで痛い。痛すぎて痛いのがわからなくなるくらい痛い。こんなに痛いの、剣道って。俺痛いの嫌いなんだけど!好きな人もそうそういないけどね!)

 

心の中で叫びながらも痛がる素振りを見せずに距離を置いて向き直る。

 

(………追撃してこない?どういう事だ?)

 

回避したとはいえ、肩に当たった所為で、今左側の反応は確実に鈍くなっている。にも関わらず、追撃してこないのを将輝は訝しみつつも、右半身を押し出すように構え、痺れたような感覚に襲われる左手は竹刀に添えるだけにする。

 

(うーん。どうしたものか、本当なら最初の一撃が最大のチャンスだった訳だけど決められなかった。かといって時間を稼いでも慣れられて負け確定な訳だし………仕方ない、勝負に出る)

 

精神を研ぎ澄ませ、一太刀に全てを賭ける。剣の道において、相手が上である以上、残されたのは勝負を決める一撃に全身全霊を乗せる他ない。周囲が息を飲む。箒もまた彼が勝負に出ようとしている事を察し、一挙手一投足に集中した。

 

数秒の間をおいた後、将輝は仕掛けた。

 

最初の一撃を放った時よりも更に速く、力強い踏み込み。

 

将輝が無意識に行ったのは古武術において奥義の一つとされている『無拍子』だった。

 

人間は簡単に言えば、リズムで生きている。それは心臓の鼓動であったり、呼吸のタイミングであったりと様々だ。例えば『息が合う』というのは肯定、『肌が合わない』というのは否定だ。

 

そんな律動を意図的にずらすことで相手の攻め手を崩したり、律動を合わせることで場を支配したりする事が出来るのだが、それらの最上段に位置するのが律動を一切感じさせることなく、また感じることなく律動の空白を使う技術がある。それが『無拍子』だ。

 

もっとも、将輝が行えたのは偶然と身体に染み付いていた武人としての経験が起こしたものに他ならない為、将輝本人は『良い感じに仕掛ける事が出来た』程度にしか思っていない。

 

対して、相手の箒は将輝のそれに思わずギョッとした。

 

(先程の零拍子といい、この無拍子……何処が一応だ⁉︎)

 

そしてその一瞬の硬直が勝負を分けた。

 

ただでさえ、無拍子というテクニックは律動の空白を使うという事もあり、相手を後手に回すことが出来る。だというのに箒は将輝のそれに対しての迎撃が遅れてしまった。つまり、ワンテンポどころかツーテンポ遅れてしまったのだ。幾ら将輝でも明らかに出来た隙を見逃す筈もなく、そのまま鋭い一撃を面へと叩き込んだ。

 

「一本!勝者、藤本!」

 

かくして男女交流戦は将輝の勝利により、男子が7年振りの勝利を収める事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






もしかしたら無駄な描写が多いかもしれませんが、それは見逃して下さい。

やっぱり剣の道を進む箒さんと語り合うなら剣以外にありませんよね!

因みにプロローグ書いた時点ではこの展開を考えていませんでしたので、何処かおかしい点があるかと、何せ作者は剣道に全く詳しくないからです。あ、武術は大体わかりますよ?ですのでおかしい点があればご指摘お願いします。

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