憑依系男子のIS世界録   作:幼馴染み最強伝説

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またまたオリ主視点。

こういうのが多いのは単純にそっちの方が話が進めやすいから。

基本的にはこういうのよりも何時もの方が進めやすいけど、こういう時はこっちの方がやりやすい。そう感じてしまうのは偏に私に文才がないからでしょうね。

無駄話をしてすみません。それでは本編をどうぞ。


甦える意志

 

「………ッ!」

 

三時間以上の眠りから目を覚ました俺を襲ったのは全身に走る強烈な痛みだった。

 

あまりの激痛にベッドから転げ落ちそうになるが、何とかそれを堪え、無理矢理ベッドから起き上がり、扉へと向かおうとするが、すぐに足を縺れさせて床に倒れる。

 

「〜〜〜〜ッ⁉︎」

 

床に倒れた衝撃に思わず叫びそうになる。

 

しかし、それでも俺は壁に身体を預けながら立ち上がり、部屋を出る。

 

たったそれだけの動作だというのに、酷く呼吸が乱れ、足取りも覚束ない。

 

「何処に行くの?」

 

正面から歩いてきた人物を焦点の合っていない目で見やる。

 

IS学園の服を着ていれば、おそらく誰なのかはわからないが、その奇抜なデザインの服ゆえに誰なのかがわかった。

 

「………福音の、所……だよ」

 

「そんな身体で行ってどうするの?」

 

「さあな……助けに行く、って……言いたいが」

 

「間違いなく、助けが必要なのは君の方だよね。それをわかった上でも行く気かい?何のために?」

 

何のために……か。

 

愚問だ。俺は箒を護る為に闘う。

 

何時だってそれを目標にして自身を鍛えてきたし、今回もそれを貫くために文字通り命を懸けた。

 

悪運が強かったお蔭で、幸い死ぬ事は無かったみたいだが、はっきり言ってあの時は死んだと自分でも思った。

 

それに今だって死ぬ程身体が痛い。もし状況が切迫していなければ、何故生きているのかと聞いているところだ。

 

「理由は………また今度言ってやる………今は話してる時間がない。今は………意識がある……内に行っておかないと」

 

「健気だねぇ………というか、よく立てたね。さっきまで死んでた(・・・・・・・・・)とは思えない程の元気っぷりだよ」

 

「そりゃ…どうも……………あん?」

 

さっきまで……………死んでた?どういう事だ。

 

「おやおや、そんなに驚く事かい?あれだけの傷で、即死じゃなかったのが奇跡なくらいだよ。いや、そもそもこうして私と会話している事自体、普通はあり得ない事なんだよ?いくらISに絶対防御があるっていっても、超至近距離からのISの攻撃を受けたら、例えちーちゃんでもタダじゃ済まないよ。それを普通の人間である君が喰らえば、過程がどうであれ、死は不可避。そしてその摂理を無理矢理捻じ曲げられるのはーーー」

 

「天災である篠ノ之束ただ一人………か。何処まで人間辞めてるんだよ…………お前」

 

人の生き死にすら変えられるとか、人間の領域はみ出してるぞ。強さとかそういうの抜きで人外だな。

 

「まあ、どちらにしてもそろそろ時間だね」

 

?どういう意味………あれ?

 

突然身体から力が抜けて、床に倒れ込む。

 

さっきはこれで身体中が悲鳴を上げたというのに、今は痛みどころか、床の冷たさすら肌に伝わらない。何も感じない。ただ、全身から急速に熱が奪われていくのだけはわかる。

 

「何………しや、がった……!」

 

「何もしてないよ。何もしてないから君は今床に寝てるんだ」

 

「ど……い……いみ……?」

 

「ありゃりゃ、呂律回ってないよ。そんなギリギリだったのか。えい」

 

束はそう言って、俺の首に何かを刺す。

 

すると鋭い痛みと共に全身の感覚が戻ってきて、また激しい痛みが襲ってきた。

 

「っ⁉︎はぁ……はぁ……、何ださっきの」

 

「どう?意識がある時とない時じゃ全然違うでしょ?さっき君死にかけてたんだよ?」

 

さっきのが………死?

 

ごく自然にそれでいて呆気なく俺は死にかけてたのか?束に麻酔薬みたいなのを打たれたって訳じゃないのか?

 

「うーんとね。時間がない君に簡単に説明してあげるけど、君は福音の攻撃で殆ど死んでたんだ。君の担当医がそこそこ優秀だったから、微妙に延命してたけど、それも微々たるもので、箒ちゃん達が福音を倒しに行って間もなく君は死んだ(・・・)。それを私がとある方法で蘇生させたって訳さ。魔法カード《死者蘇生》ってね」

 

そう言って束はとあるカードゲームのカードを懐から取り出す。巫山戯ているのか、真剣なのか、相変わらずわからないやつだ。しかし、こいつのお蔭で助かったのは事実のようだ。

 

「一応礼は言う。サンキュー。そんでもって、サヨナラだ」

 

無理矢理身体を起こして、俺は再度壁に身体を預けて歩みを進める。

 

意識はさっきよりもずっとはっきりしているし、普通に話せる。

 

だからこそ、俺はマトモに歩けない。意識がはっきりしている分、痛みがよりダイレクトに伝わってくるからだ。

 

無言になった束の横を通り過ぎようとした時、束の腕が俺の歩みを遮った。

 

「止めときなよ。今の君は無理矢理こっちに繋ぎ止めてるような状態なんだ、闘う為の余力なんて欠片も残っていない」

 

「じゃあ、生きる為の力を闘う方に使うだけだ」

 

「馬鹿だね、死ぬ気?」

 

「どうせ一回無くなった命だ。今更変わらねえよ」

 

さっき死んだのが、後で死ぬのに変わるだけだ。大した問題じゃない。それに今死のうが、後で死のうが結局何も変わりはしない。そもそも俺の存在自体がイレギュラーなんだから。

 

「つーか、何でお前は俺を止めるんだ?はっきり言って俺が死んで一番嬉しいのはお前だろう?」

 

「………冗談、で言ってる訳じゃなさそうだね。根拠は?」

 

「まず一つ目は俺が死ぬと男性IS操縦者の被験体を合法的に手に入れる事が出来る。二つ目は一夏と箒を恋人同士にする事が出来る。白式と紅椿を対になるように作ったのはつまりそう言う事だろ?三つ目は俺がいると盤上が狂ってお前のしたいように事が運べなくなるから………って所か?」

 

「あー、うん。死にかけのドヤ顔で言ってくれてる所悪いけど何一つあってないよ。こっちが申し訳なくなるくらい」

 

束は本当に申し訳なさそうにそう言う。そんな束の反応に俺は思わず目を見開いてしまう。そりゃそうだ、最後のはともかく二つは絶対あってると思ってたからな。

 

「訂正すると、私は君やいっくんがISをどうして動かせているかなんて、正直どっちでも良いんだ。わからない事はわからないなりに面白さがあるからね。二つ目に関してはかなり前の話。君と出会う前まではそれを考えてたかな。三つ目なんてそもそもどうしてその考えに至ったのか聞きたいレベルだよ」

 

束は心底呆れたような表情でやれやれと首を横に振り、一つ深い溜息を吐いた後、束は真剣な表情でこう言った。

 

「君はこの篠ノ之束が認めた人間なんだ。この程度の事で命を捨てられると困るんだよ。箒ちゃんを護る役目だって君自身が自ら望んだ役目の筈だ。それを途中で投げ出すなんて私が許さない。その為の力を私は君に渡した筈だ。なのに、何を諦めようとしているんだ、藤本将輝!」

 

はぁ…………全く、ここで初めて人の名前を呼ぶなんて、狙ってるのかコイツ。

 

もしこんな奴が同期にいて、誰にも惚れてなかったら、確実に惚れてるな。ていうか、マジになると口調は箒と一緒だな。何時ものはやっぱりキャラ作りか。

 

この程度も何も原因は束なんだけどな。箒のデビュー戦に軍用IS引っ張り出してくるなっての。危険な目にあったらどうする気だっつーの。お蔭で俺が命の危機に瀕したけどな。

 

「大体君がいなきゃ箒ちゃんの命が危なかったんだよ?なのに、君が邪魔だとか、普通言えるわけないじゃん」

 

「あれは俺の方が近かったから出来ただけの話だ。俺と一夏の居る場所が逆なら今頃寝てるのは一夏の方だ」

 

「かもしれないね。けどいっくんと君が逆だったとしても君は自ら時間稼ぎを買って出た筈だよ。だとしたら、結局君はここで寝てた」

 

それはない。と言いたいところではあるが、束の言う通り、多分俺はどんな状況であれ、あの時時間稼ぎを買って出ていたと思う。それが一番最悪の形でなっただけだ。あの瞬間は死を覚悟したから割と後悔していたが、今は案外そうでもない。箒を護って、俺も天災の手で半ばゾンビ状態ではあるが生きている。本当に奇跡といっても差し支えない事態だ。

 

「ともかく、君には死なれる訳にはいかない」

 

「だから、止めるってか?巫山戯るな、お前が招いた事態をお前の都合で変えていいとでも思ってーーー」

 

俺の紡ぐ言葉は強制的に何かに封じられ、ついでに口の中に何か入った。

 

一瞬、何が起きたのかはわからなかったが、目の前にある束の顔が離れて漸く何をされたのか理解した。

 

「そう。私が招いた結果。だから私もそれなりの覚悟を持って君を送り出す(・・・・)。先に忠告しておくけど、あと十秒以内にISを展開した方が良いよ。でないと意識がとんじゃうから」

 

十秒で意識がとぶ?意味がわからないが、とりあえず窓からで良い。

 

痛みが急速に引いたので、窓を開けて、外に出ると俺は夢幻を展開した。

 

「ギリギリセーフだね。実はさっき君とキスした時に特製の麻酔薬を飲ませてあげたんだ。あまりに強力だから、飲んで十数秒で意識がとんじゃうんだけど、ISの操縦者保護機能でそれも無力化出来るから。今は痛覚だけ部分的にカット出来てる筈だよ」

 

そう言われてみれば、さっきまでの痛みが嘘のように消えている。だというのに、身体は何時もと同じくらい動くし、意識もはっきりしている。

 

「それにしてもISが起動するとは思わなかったよ。どう見ても、ダメージレベルがDを超えてるからね、それ」

 

「俺もびっくりだよ。これだけズタボロだってのに、起動するなんてな」

 

俺のIS『夢幻』は原作の『白式』と違って第二形態移行をしていない。その所為でエネルギーは回復しているものの、福音による物理的ダメージは全く直っていない。装甲は壊れているし、ところどころに俺の血やらなにやらで黒ずんでいて美しさの欠片もない。だが、こんな状態でも俺の呼びかけに応えてくれたコイツには感謝してもしたりない。

 

「さて、あまり時間はないだろうし、これ以上はまた後で話そうね」

 

「その時に俺が生きてたらな」

 

「生きてるよ。さっきも言ったけど君はこの束さんが認めた人間なんだから。絶対に生き延びる。それにこの世紀の大天才のファーストキスをあげたんだから、生きて帰って来なきゃ、輪廻転生しても君を許さないからね、まーくん♪」

笑顔で何えげつない事言ってんだ、コイツ。それにまた幼稚な渾名付けやがって…………不思議と嫌な感じがしないのが束らしいといえばらしい。

 

「じゃあ、皆を助けてくる。話は全部終わった後でだ」

 

俺は半壊した夢幻を纏い、箒達と福音の交戦する海上へと飛び立った。

 





まさかまさかの天災にファーストキスを奪われてしまうオリ。

かといって束はヒロインじゃないので、ノーカンにならないかなぁ………。

次回、福音戦集結…………の予定。そして夢幻が覚醒する………かも。
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