憑依系男子のIS世界録   作:幼馴染み最強伝説

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一風変わった誕生日

 

ついに来てしまった。

 

八月十日水曜日。今日は何の日か?何を隠そう俺の誕生日だ。

 

生徒会の仕事やら学園祭の準備やらの所為で忘れていたが、今日は誕生日なのだ。

 

彼女持ちで一人で誕生日とか辛くね?いやマジで。今まで彼女なんていなかったけどさ。こうなんか心の奥底から来るものがあるよね。まさか彼女出来て初めての誕生日は一人だけとか泣けてきた。

 

とはいえ、表に出す訳にはいかない。臨時とはいえ、俺は生徒会副会長。一人の誕生日が虚しくて落ち込んでるとか知られたら、下手すればIS学園で永遠に語り継がれる黒歴史になる。そんな恥ずかし過ぎる歴史は残したくない。

 

それにしても。

 

「あいつら遅いな」

 

生徒会室で一人そう呟いた。まだあの四人は来ていない。

 

時刻は四時半であるから、とっくに来ているはずなのだが、生徒会のメンバーはクラスの出し物には参加しなくても良いからな。というか、あいつらにそんな暇はない。

 

生徒会の仕事もさる事ながら、あの四人には今珈琲や紅茶の淹れ方を教えているのだが、何故だかこういう事に限って不器用なのが優秀な奴等の性なのか、上達に時間がかかっている。

 

まあ、そんなこんなで一人で職務をこなしている訳だが、静かだと仕事は捗るが落ち着かない。

 

ここは煩い位がちょうどいいのかもしれない。少なくとも今はそう思う。

 

只管無心で仕事をする事一時間。千冬からメールが来た。

 

何でも以前集会を行ったホールに来てくれとの事だ。

 

全くまたどんな面倒事があったのか。

 

俺は脱いでいた上着を着なおしてホールへと向かっているのだが、おかしい。誰一人として生徒とすれ違わない。おまけに教師達の姿も見えない。

 

嫌な予感がして、俺は走ってホールまで向かう。もしかしたら、亡国機業がまた来たのかもしれない。

 

「はぁ……はぁ……」

 

全力疾走でここまで来た為、額には汗が滲み、呼吸も荒い。

 

そして俺がホールに足を踏み入れた時だった。

 

真っ暗だったホールに突如光が点灯する。それと同時に凄まじい音量の声がホールへと響き渡った。

 

『藤本副会長!誕生日おめでとう!』

 

ぐおっ!文字通りホールが揺れたぞ。音って凄いね。ソニックブームを起こしたよ。

 

いや、それよりもだ。

 

「何で皆俺の誕生日知ってるの?」

 

「その質問には私が答えよう。とうっ!」

 

そう言ってホールの壇上から、ワンジャンプで俺の目の前に出てくる。おそらく何かしら機械を使ったに違いない。流石に俺達でもそんな事は出来ない。

 

「答える前に………見て見てまーくん。この服どう?」

 

ずずいっと束が俺に迫ってくる。因みに束の服装はというと、何故だかわからないが、バニーガール。こいつは普段から機械で出来たウサ耳のヘアバンドを着けているせいか、とても似合っている。おまけにある一部分の主張がとても激しい。はっきり言って目のやり場に困る。

 

「に、似合ってる……ぞ」

 

「えー?よく聞こえなーい。ちゃんと、束さんを、見て、言ってよー」

 

こ、こいつ。わかった上で言ってやがる。ちらっと見てみたが、より谷間を強調するかのような姿勢でこちらを覗き込んでいる。人が得意じゃないのをいい事に遊びやがって………かくなる上は。

 

「束」

 

「んー?なーに?」

 

俺は束を抱き寄せて、耳元で囁く。

 

「とても似合ってるよ。何時も可愛い束がより可愛く見える。眩しすぎて直視出来ないよ。思わず抱き寄せたけど、許してくれ。俺だけの天使を他の誰にも見せたくないから」

 

「は、はにゃ?」

 

ふははは、束、俺は知っているぞ。この一ヶ月。お前は自分が素直に褒められることに慣れていないと!さしずめ自分で連呼している所為で、周りに体良くあしらわれていたのが原因なのだろうが、ともかく今の俺には反撃するチャンスなのだ!

 

「もし二人きりなら今頃、お前を俺だけの物にしていたかもしれない。束、今の君は最高の女性だ。愛しているよ」

 

「ふにゅ〜……」

 

プシューと頭から煙を上げると束が俺に寄りかかってきた。どうやら処理落ちしたらしい。

 

「勝った」

 

「阿呆か!」

 

気がついたら後ろに立っていた千冬にスパンと頭をハリセンで叩かれた。痛くはないのだが、一瞬目眩がしたため、相当の威力である事はわかる。ていうか、叩いてきた相手が千冬なので必然的に威力が高い。

 

「お前、衆人環視の中でいきなり何をしている⁉︎」

 

「報復行為だな。日頃の仕返し」

 

「どうやったら、報復行為が抱き寄せる事に発展するんだ!」

 

「実はだなーーー」

 

千冬に解説するとヒートアップしていたテンションが元に戻ってくれた。でも何故だろう。普通に千冬がキレてたら冷や汗止まらないのに、寧ろ可愛く見えた。

 

「時に千冬」

 

「なんだ?」

 

「俺の誕生日を祝ってくれるのは本当に嬉しい…………けど」

 

「けど?」

 

俺は一通り、周囲を見渡した後、千冬の方に向き直る。

 

「何で皆バニー姿(・・・・・)なんだ?」

 

そう束を無力化しようとした時に気がついたが、全員が全員その服なんだ。いや、男としてはかなり眼福なんだけどね。なんやかんやでIS学園て女子の偏差値が八十くらいだし。本当ここからアイドルユニット作れるレベル。それはともかく、全員バニーなもんだから、実はただのコスプレ会か何かなのではないかと思った俺は悪くない。

 

「ま、大方言い出したのはこの万年発情兎だろうが………まさかヒカルノはともかく千冬や静までするとはな」

 

「私はともかくってどういう事だ⁉︎こんな美少女を捕まえて!」

 

「確かに美少女だが、自分で言うなよ。で、二人がその服になった経緯は?」

 

「そ、その、なんと言うか……」

 

「気がついたら言いくるめられていたんだ……」

 

ああ……成る程な。

 

普段なら千冬や静は口も達者なのだが、こと根拠のない理屈を使わせれば束はまさに最強。そこにヒカルノも参戦すれば鬼に金棒なのだ。今回もおそらく俺の誕生日を理由に適当な事言われて着させられたという事だろう。なんやかんやで二人は真面目だからな。

 

「両手に花どころの騒ぎじゃないな、これ」

 

ある意味男の欲望の一つくらいはここで達成出来るのではなかろうか?しないけどね。俺、節操なしじゃないから。

 

「それでもう一つ聞くけど、無駄に中心だけ開けてるって事は……」

 

「そう。将輝の予想通りさ!ポチッとな」

 

ヒカルノは豊かな方々がよくするあれ、谷間からリモコンを取り出すとボタンを押す。するとゴゴゴ……とホールの中心部の床が開き、下から超巨大なケーキが出てきた。おおーっ!これマジパネェ!

 

「流石に蝋燭は用意出来なかったが、まあ私達がコスプレしてるから良いだろ?」

 

「どういう差し引きの仕方だよ。でも、こんな人数に祝ってもらえるなら、コスプレ誕生日だろうが嬉しいよ」

 

こうして、一人だと思っていた俺の誕生日は図らずも人生最大規模のコスプレ誕生日会へと化した。だが、そんな誕生日会も俺にとってはとても嬉しかった。因みに後で復活した束に聞いたが、皆が俺の誕生日を知っていたのは、数日前のSHRでそれを全クラスに伝えたからだそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、疲れた」

 

「お疲れ様、将輝」

 

就寝時間ギリギリまで続いた誕生日パーティーに俺は嬉しいながらも疲労が酷かった。何せ、写真を撮る為に引っ張りだこにされたからな。どういうわけか、皆やたら無防備だから、目のやり場にも困った。

 

そうして、俺達生徒会は後片付けした後、一旦生徒会室に帰ってきていた。もちろん千冬達は制服だ。

 

「本当、今日は忘れられない誕生日だったよ」

 

「おいおい、まだ終わってないぞ?」

 

やれやれと言った感じに静が言う。あれ?でももう十一時半だし、あと半時間で終わりじゃん。

 

「「「「誕生日おめでとう」」」」

 

四人声を揃えて、俺に差し出してきたのは個々にサイズの違ったラッピングされた箱。

 

あーあ、そういう事か。ヤバい………涙出そう。

 

その場で全部開けてみると、中に入っていたのは千冬がペンダントでヒカルノがブレスレット、静がリングで束がまさかのIS学園の制服(改造)だった。

 

「皆のはわかるが、これなんだ?」

 

「んー、この服はね。防弾防刃素材で出来てて、尚且つ軽く動きやすいようにしてるんだよね。だから、ほら関節の部分が若干薄いでしょ?もちろん其処も防刃加工はバッチリさ!そんでもって、襟には小型の通信機がついてるから、緊急事態には万全だよ?」

 

「そうおいそれと緊急事態にばっかり出会いたくないけどな。まあ、お前なりに俺を思ってのことだろうし、ありがとうな」

 

まあ、これなら多少の無茶は出来るよな。かなり痛いだろうけど、死ぬ事はない。ついでにいうと大抵の場合、危険を持ってくるのは束なのは言わないでおこう。

 

「じゃあ、さっそくこれ全部つけて写真撮ろうよ!」

 

「私も束に同意見だ」

 

「篠ノ之にしては珍しく良い事を言うな」

 

「むぅ〜、珍しくって何さ!」

 

「はいはい、タバねん落ち着いて。将輝、時間ないから早く着替えてくれよん」

 

「わかってるよ、ちょっと外に出てろ」

 

四人が出て行ったのを見届けて、俺は上着を脱ぎ、ベルトを外そうとして止まった。

 

「おい、何考えてんだお前ら」

 

ドアの方を見ると、ほんの少しだけ隙間が開いていて、其処から四人がジーっと此方を見ていた。おいおい、男の覗きとか誰得っていうか、罰ゲームじゃないのかそれ。覗きは男の特権だっつーの。いや、俺はやらないけどな。この世界でそんな事すれば何十年牢屋にいなきゃいけないかわかったものではないし、おそらく殺される。

 

今度はしっかりと鍵をかけ、扉を閉めて着替える。それにしても、毎回寸分違わずサイズが合っているのはどういう訳なのか。悪い事ではないのだが………いや悪い事か?

 

取り敢えず着替え終わったし、あいつら呼ぶ「まーくん、終わったー?」必要なかった。てか、聞きながら入ってきたら意味ないだろうが。

 

「おう、終わってるぞ」

 

「チッ、終わってたか」

 

「おい待てヒカルノ。今の舌打ちなんだ。しかも本心隠せてねーよ」

 

何で終わってるのに舌打ちしてるんだよ。あれか?弄る材料として、俺の着替え中に突撃して、動揺を誘おうという魂胆なのか?だが残念だったな。生憎、俺はそういうのに動揺しない。寧ろ、相手気遣っちゃうタイプだ。見たくもないもの見せられたら誰だって嫌だろう?つまりそういう事だ。

 

「写真撮るのはいいけど立ち位置どうする?」

 

「今回の主役だしな。将輝は中心として……」

 

「もちろん私は隣に「じゃあ隣は千冬と静でお願いする」何でさっ!」

 

「にゃに⁉︎私も異議ありだぞ、将輝!」

 

「えー、だって、お前ら絶対何かしそうじゃん。だから隣に置いときたくないんだよ」

 

寧ろ、堂々と宣言されたほうが清々しいレベル。この短期間ではあるが、篠ノ之束と篝火ヒカルノの性格は大体把握した。もちろんそういう性格であるという事もだ。

 

「ぐっ……否定出来ない自分が悲しい……」

 

「仕方ないよ、ヒカリん。私達の個性だもん」

 

個性で片付けようとするな。他人を巻き込む個性なんていらねえよ。頼むから後十三分だけは大人しくしていてほしい。

 

取り敢えず俺は壁を背にして中央に立ち、両隣に千冬と静。千冬の右隣に束、静の左隣りにヒカルノが立つ。写真は束特製のカメラ。名前は忘れたが、頭の痛い名前をしているのは確かだ。

 

「はい、チーズ」

 

カシャリと取られた写真に写ったのは束とヒカルノから同時に飛びかかられ、態勢を崩して驚いた表情で前のめりに写っている俺と楽しそうに俺に飛びかかっている束とヒカルノ。それを見て、呆れながらも何処か満足そうな千冬と静の表情だった。

 

 

 

 

 

 

ところで俺って何歳になったんだ?

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