憑依系男子のIS世界録   作:幼馴染み最強伝説

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明かされる真実

人知れず、一夏と将輝が激戦を繰り広げて数日が経った頃。

 

生徒会室には一年の専用機持ち全員と生徒会長である更識楯無。担任である織斑千冬ーーーーそして篠ノ之束が一同に会していた。

 

なぜこの場に束が。本人を除く全ての人間の疑問を孕んだ視線が将輝へと向けられる。

 

何故ならこの場に彼、彼女達を呼んだのは他でもない将輝であるからだ。

 

束自身も何故自分が呼ばれたのかは幾つかの可能性こそ考慮しているものの、状況を上手く飲み込めていないのが現状だった。今も昔も、彼女の予想を超える事態は殆ど起きた事がない。そしてその大凡が将輝に関連することであり、それ故に彼女は今、動揺と共に心を躍らせてもいた。また自分の予想を超える出来事か起きるのではないか、と。

 

そうして束が浮かれていることを悟ったのは彼女の唯一の友人と呼べる千冬だけだった。

 

重要な話があると呼び出され、其処に束がいた為に千冬は将輝に対して大いに警戒心を抱いていた。以前、本人は否定こそしていたが、束と関わりを持っているという事は何かしら裏で繋がっていると疑惑を持たせるのには理由としてあまりにも十分過ぎた。

 

そして今、束が浮かれているのを見た千冬はなお一層警戒心を強めていた。

 

絶賛指名手配中の人物とそれを見て警戒心を高める世界最強の様子を見て、楯無もまた只事ではないと静かに覚悟を決めていた。

 

一年の専用機持ち達はというとやはりというべきか、この状況を把握しきれていなかった。

 

自分達だけが呼び出されればある程度予想もついた。けれども、自分達以外にも人間がいる。

 

そのメンバーの顔ぶれを考えると一体何故呼びだされたのか、全くと言っていいほど予想出来ず、若干一名を除いて混乱していた。

 

「さて、これからちょっと大事な話をしたい訳だが………その前に皆には言っておきたい事がある。今から話すことは偽りのない真実って事。かなりぶっ飛んだ話をするけど紛れも無い事実だ」

 

「はいはーい。まーくん。一つ質もーん」

 

さながら園児のように元気よく手を挙げて束は問いかける。シリアスムードをぶち壊すテンションに一瞬空気は緩和し、将輝も額に手を当てて溜息を吐いた。

 

「何でしょうか、篠ノ之束さん」

 

「それって私の知らない事ー?」

 

「絶対に知らねえよ。つーか、知ってたらヤバい。お前が元凶なんじゃないかって疑うレベル」

 

『絶対に知らない』。そう断言された事で束はさらに心を躍らせた。天才たる自身に知らない事など存在しない。だというのに目の前の少年は自分の知らないことを知っている。それはまだ自分の知らない未知の世界が存在するという証明になるのだから、科学者でもある彼女としてはこれに心を躍らないわけがなかった。

 

「気を取り直して………実は俺、この世界の人間じゃないんだ」

 

『は?』

 

「正確には精神だけだが、ともかく俺は別の世界の人間って事になる」

 

全員が度肝を抜かれ、間の抜けた表情で素っ頓狂な声を上げた。日頃毅然とした態度を崩さない千冬も、どんな状況でも笑みを崩さない束も例外なく、そんな表情をしていた。

 

その様子に将輝は思わず、写真を撮って後で見せたいなと場違いなことを思うも、すぐに話を再開する。

 

「俺のいた世界にはISなんてものはなかった。ISに関連する事とISのお蔭で進歩した科学とか、変化した文化とか風潮以外は特に変わりはない………けど、この世界は俺の知る限り、俺の世界であった創作物から為った世界だ」

 

「つまり、私達の生きるこの世界は創られたものだと、そう言う事か?」

 

「そうとも言えるし、そうとも言えない。現にその創作物の世界に俺はいるし、皆生きている。だからこの世界は創られたものか或いは限りなくそれに近い別のものとも考えられる」

 

「言い切れる根拠は?」

 

「精神云々はともかく、少なくとも創作物の中に俺は存在しなかったし、全員とまでは言わないが、性格も実力も違った。俺が干渉した部分以外にも幾つかの相違点もある」

 

誰よりも早くに復活したラウラの問いに将輝は淡々とした口調で返していく。

 

何故千冬でも束でもなく、彼女が混乱から立ち直るのが早かったのか。それはラウラにとって、この世界が創られたものであろうがなかろうが、どちらでも良く、気になっているのはもっと別の事だからだ。

 

「聞きたい事は山程あるが、私がお前に聞きたいのは一つだ。何故このタイミングで切り出した?いや、そもそもその話をする意味はあったのか?混乱するのは目に見えていたはずだ」

 

ラウラが気になったのはこのタイミングで将輝が話をするに至った意味だった。

 

今は学園祭前。皆一年に一度の大イベントに向けて各々のクラスの出し物準備に勤しんでいる。

 

それはラウラとて例外ではなく、無表情ではあるが内心では人生で初のイベントに静かにモチベーションを上げていた。

 

そんな矢先にとんでもない爆弾を将輝は投下した。それは大凡後回しに出来る問題ではなく、何よりも優先すべき事柄でもある。

 

「意味はある。さっきも言ったが、俺が干渉して変わった点以外にも相違点が幾つもあった。実力も性格も皆違う。そして俺が干渉した事で変わった事もあった。これらの齟齬の結果から鑑みて、多分もう俺の知識だとかは役に立つ事はない可能性が大いにある」

 

「ならば余計に話す必要はないだろう」

 

「逆だよ、ラウラ。良くても悪くても、この齟齬はいずれ大きな変化を生む。最悪、助かるはずの人間が助からない可能性もあるし、事と次第にもよるけど、俺は敵になるかもしれない」

 

『ッ⁉︎』

 

その言葉には全員が驚愕の表情に包まれる。

 

今の今まで学園生活を共にしてきた人間が状況次第では敵になると言っているのだ。ましてや、幾度となく自分達を救ってきた存在でもある将輝が敵対する可能性を示唆したのだから。

 

「まぁ、あくまで可能性の話。そうせざるを得なければそうするだけさ。その時は俺の意志を尊重してくれると助かる……質問はそれだけか?」

 

「私からはな」

 

「じゃあ、他の人」

 

将輝がそう問いかけると今度はラウラ以外の全員が手を挙げた。それは混乱がある程度落ち着いた証拠であり、質問をするだけの余裕が生まれた事を意味している。

 

「一夏から順に答える。千冬さんと束は最後で良いですよね?その方が都合も良さそうだし」

 

「構わん」

 

「全然いーよ」

 

千冬と束から了承を得ると将輝は一夏の方へ視線をやる。

 

「はっきり言って全然訳わかんないけど、将輝は………今までの事全部わかってたんだよな?」

 

「大体はな。違う部分もあったから全部とまでは言えない」

 

「やっぱり………将輝はわかってたから助けたのか?知らなかったら何もしなかったのか?」

 

一夏は不安そうに問いかけた。その質問を将輝以外の全員は訝しむ。それは仕方のないことで、あれはあのやり取りを知らない者達からしてみれば意味のわからない質問だった。

 

「さあな」

 

そしてその質問に対する将輝の返答はそれだけだった。

 

そんな事はわからない。たらればの話だ。あったらとか無かったらという話をここでしてしまっても意味はないという意味合いも込めて将輝はそう言うつもりだったが、訂正した。

 

「………まぁ、やってる事は結局変わらなかったと思うがな」

 

「………そっか」

 

将輝のその返答に一夏は嬉しそうな表情を浮かべる。将輝はそれが気恥ずかしかったのか、顔をそっぽへと向けて「次」とだけ言った。

 

「えーと、ね。将輝のいない世界……本来の世界は私達はどうなってるの?」

 

「今のところは特に変わりはない。ただ、俺に向いてるベクトルが一夏の方に向いてて、皆苦労してるくらいだな」

 

「あはは……大変そうだね」

 

それだけで一夏以外の全員には伝わり、全員微妙な表情をしていた。なお、その皆のうちに一夏も入っている事だけは伝わらなかった。

 

「次、質問してもいい?」

 

「いいぞ」

 

「あたしが聞きたいのは……ううん、言いたいのは一つよ。将輝。あんたを仲間だって信じてもいい?」

 

「信じるか否かは皆の自由だ。こんな話をした以上、信じてもらえなくなるのは覚悟の上だ。だから俺から言えるのは………信じろって事だけだ」

 

真剣な眼差しで将輝を見据えて問いかける鈴。それに対して将輝もまた視線を一切逸らす事はなく、真っ直ぐ見据えたままそう返した。

 

「ん。それだけ聞ければあたしは満足よ」

 

満足したように鈴は笑顔でそういった。

 

鈴は自分の性格をよく理解している。

 

こういう状況であっても、なんだかんだと考えるよりも至ってシンプルな答えを求めたのだ。例え、どんな隠し事をしていたとしても、仲間として信じろとそういうのであれば信じるのが仲間だ。それが鈴の考えだった。何時だって凰鈴音という少女はシンプルで確実な答えを求めるのだ。

 

「それでは次はわたくしの番ですわね」

 

セシリアは軽く深呼吸をした後に疑問を投げかける。

 

「将輝さんが精神的には別人で、記憶喪失の理由もわかりました…………ですが、それでは何故将輝さんは将輝さんとしての記憶を部分的に思い出されたのですか?もし将輝さんの仰る通りなら、記憶はその身体に入る前のもの、入る時に完全に消えてしまっていると考えるのが普通だと思いますが」

 

セシリアの疑問はもっともであり、それは将輝自身も抱いていた疑問の一つだった。

 

憑依したにもかかわらず、何故部分的にとはいえ、憑依前の記憶が思い出せたのか。

 

セーブデータを上書きする事と同じように上書きされた記憶はもう思い出せるはずなどない。

 

ならば何故思い出せたのか?その答えは将輝も持ち合わせていなかった。

 

「………悪い、セシリア。俺もわからないんだ。ただ、本当ならセシリアには俺の全てを賭けてでも贖罪をしなければならない義務がある。意図しなかったとはいえ、君の愛する人を奪ったのは俺だからな」

 

「いえ、そういうつもりで聞いたのではありませんのでお気になさらないで下さい。私はただ、本当に将輝さんの精神が別なのか否か、気になりまして」

 

手を大袈裟に振って否定するセシリア。

 

言い方こそ、ああではあったものの、セシリアとしては本当にその点について攻める気など毛頭なかった。

 

確かに意図してそうしたのであれば、それなりに憤慨もし、また責任は取ってもらうつもりではある。

 

だが、無作為的に、偶々将輝が選ばれたのであれば話は別だ。

 

それに責任だの義務だのを理由に現状を放棄し、自らの愛を受け入れるというのはセシリア自身を侮辱しているのと同義だ。そんなものはセシリアには必要なかった。

 

「……次、質問してもいい?」

 

スッと手を挙げて問いかける簪のいつになく真剣な表情に将輝は頷く。

 

わからないものは答えようがない。セシリアもそれはわかっているため、それ以上追求しようとはしなかった。

 

「……やはり貴方は選ばれた人間だったから、ISを動かす事が出来た?」

 

一瞬将輝は「また厨二病か……」と思ったが、簪の質問はかなりマトモなものだった。

 

聞き方こそ、あれだが、確かに地球上の数十億人の人口からただ一人。この世界に飛んできたというのであれば、選ばれた人間というニュアンスはあながち間違いでもない。ただ、本当にこの世界に来たのが将輝のみであればの話ではあるが。それがISを男で動かせることと関係があるか否かと問われればこちらもわからないとしかいいようがなかった。

 

「俺が憑依してもしなくてもISを動かせたかはわからない。さっきも言ったようにそもそもこいつ自体が俺の知る物語じゃ存在しないからな」

 

「……本体ごとイレギュラーということ?」

 

「そうなる」

 

そう答えると簪は真剣な表情のまま、目をキラッキラッとさせて将輝に熱のこもった視線を送っていた。

 

簪からしてみれば将輝は現実世界に存在する生きた厨二要素。世界中の何よりもレア度の高いそれに簪は表情には出さないものの、ものすごく喜んでいた。

 

将輝は引き攣った表情で次と言うと将輝同様、引き攣った表情をしていた楯無が問いかけた。

 

「将輝くん。君がこの世界のことをある程度把握していると言うのなら、今後どのような敵が、どのような方法で攻めてくるのか、知っているのよね?」

 

「ああ。その通りにしてくるとは限らないが、知ってる」

 

「なら、後で教えてもらえないかしら?私の家のことやその他諸々も知っているんでしょう?」

 

「ああ」

 

「そう。なら、他言無用よ?もし私の事が白日に晒された時は其れ相応の責任は取ってもらうから♪」

 

軽くウインクをしながらそう言う楯無だが、決して責任というのは甘々な展開になる事ではない。秘密を露見させた責任をどういう形で取らされるか、将輝としてはあまり考えたくない事だ。少なくとも、誰かに話すつもりもないものの、うっかり口を滑らせてしまわぬように気をつけようと心に誓った。

 

「ま、将輝……。お前は……その、私の事を……何もかも知った上で、中学の時、私に接触してきたのか?」

 

「…………ああ。箒の事は大体知ってた。知ってた上で箒と接触した」

 

「な、なんのためにだっ。まさかお前も……」

 

「………これだけは恥ずかしくて言いたくなかったんだけどな」

 

将輝は視線を逸らし、窓の外を仰ぎながら、ぽつりと話し始める。

 

「俺って結構何処にでもいる凡人だったんだ。何か特別な事が出来たわけでもないし、持て囃されるような存在でもない。友達は結構いたけど、恋人とかそういうのはいなかった。まぁ、顔は良いなんて言われてたけど、俺自身がそういう事に興味がなかったのもあったし、何より誰かを好きになるって感覚がわからなかった。良いとか悪いとかわからなかったんだ。きっと周りもそれがなんとなくわかってたんだろうな。俺が何時も一歩引いた距離から接してるのが。…………でも、この世界に来て、転校した先の中学で箒と会った。俺は始めはここまで親しい関係になれるだなんて思っちゃいなかった。いくら世界が変わっても、肉体が変わっても、中身の俺は俺のまま。誰かを好きになるなんて思ってなかったから。箒と接触したのはいずれ再会する想い人と結ばれて欲しいって、いらないお節介を焼いただけだったんだ」

 

将輝としてはこの世界に来る前。つまり元いた世界での押しメンは箒ではあった。

 

だが、それは一夏へと恋心を抱く箒の事を応援していたといっても過言ではなく、いざ同じ世界に立ったからとはいえ、誰かを好きになるという感情を持ち得たことのない将輝では当然のごとく、箒と出会った当初は好きではなかった。

 

原作の設定上、箒はIS学園に編入するまでの過程での各地を転々としていた時の境遇から、やや情緒不安定で精神的に脆い部分が目立ち、感情に任せてしまいがちであった事を知っていた将輝は中学時代はそれをどうにかできないものかと試行錯誤した。同じ世界に立ったのだから、出来れば応援したいというのはまぎれもない将輝自身の考えだった。

 

とはいえ、結果的には少女漫画よろしく応援してたら応援していたやつを好きになった的な展開になり、そして箒も箒で荒んでいた時期に自分と仲良くしてくれた将輝の方を好きになったのだからなんとも言えない。

 

「正直、ああも自分がロマンチストだとは思わなかったけどな。っていうか、意外に惚れっぽいのかもしれない」

 

「………それを恋人が目の前にいる状態でいうのはどうなのだ?それではまるで私に魅力があまりないと言われていると思うぞ」

 

「まさか。それはない。ただ、自分で勝手にハードル上げてただけなんだろうな。人を好きになるのに理由なんてものは必要ないのに」

 

そう言って将輝は苦笑した。

 

過去の自分は人を愛した事がなかった。人を愛する事に理由を求め、その先にある答えすらも求めた。

 

理由を求めれば求める程に理解できない愛情。自らすらも愛した事がなかった将輝にとっては現実に存在するカップルでさえ、絵空事のようにも思えた。

 

だが、こちらの世界にくることで自分の思い違いに気づき、愛する者が出来た。

 

それはこちらに来なければ得られなかったものであり、永遠に理解できないものだ。だからこそ、将輝はこちらの世界に来た事を少しも後悔していない。

 

「さっき一夏にああ言った手前、矛盾してるようだけど、例え知ってても知ってなくても、俺は箒とこういう関係になってたと思う。だって、全てはあの日、箒が剣道部に誘ってくれた日から始まったんだ」

 

例え知識がなかったとしても、全てが動き出したのはあの日、箒が将輝を剣道部に誘った事から始まった。

 

将輝の思惑がそこにあったのもそうだが、おそらく何があったとしても将輝はあの日剣道部に入り、箒と剣筋を交わらせていただろう。と将輝も、言われた箒も、なんとなく確信していた。

 

「……そうか。将輝がそういうのなら、私はそれを信じよう。私が信じなくて、恋人など名乗れはしないからな」

 

「ありがとう、箒。そう言ってくれて嬉しい………さて。残すところは二人ですが、やたら意味深な表情してる束より先に千冬さんからどうぞ」

 

「少し、更識姉と被るがな…………藤本。お前は全てを知っているんだな?」

 

「全部は知りません。ただ、その知り得ている知識が千冬さんの指す知識のうちの一つであるのは間違いないですよ」

 

何の知識か、とはお互いに言わなかったものの、それの事はお互いに何のことであるかを理解していた。

 

白騎士事件。

 

嘗てISを世界に知らしめる事となった世界的大事件。

 

表面上は謎のハッカーによって、全世界のミサイルが日本に向けて放たれ、これを謎のIS乗りが全て撃破。その後、ISの偵察・捕縛に現れた戦闘機なども撃墜したが、誰一人として死んでいない。

 

だが、蓋を開けてみれば実に単純な事ではあった。その謎のハッカーとは篠ノ之束であり、後に白騎士と呼ばれることになるその機体を駆り、自作自演の大事件に関与していたのは他でもない織斑千冬自身なのだ。

 

それを知り得る人物は当事者以外にはいない。ただ一人、将輝だけが例外だった。

 

「ていっても、俺はその事を話す気はありませんよ。それは来るべき時、千冬さんが話すべき事ですからね」

 

あくまで自身は真相を知っているだけの第三者。

 

どんな形であれ、関与しているのであれば真相を話す事も良いが、元々関わりのない人間だ。それを話すのは些か無粋だ。

 

「(まぁ、あり得ないとは思うが、束が話す可能性もあるか)千冬さんの質問はそれだけで?」

 

「ああ」

 

「他にも聞きたい事はありそうですが…」

 

「あるといえばあるが、その大凡の質問も答えもお前とこいつのやり取りでわかると判断したまでだ」

 

「だそうだ。凄え喋りたくてウズウズしてる其処の歩く人間災害。もう話していいぞ」

 

いい加減視界の端でちょろちょろと動き回っていた束に将輝は額に手を当てつつ、そう言う。

 

すると束は思いっきり息を吸い込み…………マシンガンのように言葉を吐き出した。

 

「やっと束さんの出番が来たね!やっぱりやっぱり最後はこの束さんて相場が決まってるのはわかるけどずっと黙っておくのはなかなか辛かったよ新たな性癖に目覚めそうな勢いだったねまーくんもわかっててスルーし続けるんだからなかなかのSだよね私はMもいけるから全然問題ないけどでもでもやっぱり無視されると悲しいなーシクシクまぁ前置きはここまでとしてまーくんとちーちゃんから期待の籠った熱いラブコールを貰ったところで私が謎を徹底解明してあげよう!とうっ!」

 

くるりと宙で一回転したのち、束は生徒会長の座る机の上に立つ。

 

その際、机の上に乗せられていたものが床へと散らばり、楯無が「あ……」と何処か悲しげな声を上げたのに束以外の全員が同情した。

 

「まずはそこの………金髪ロールちゃんっ!」

 

「わ、わたくしですか?」

 

「そうそう。君の疑問に答えて上げよう!君の知る本来の藤本将輝と今のまーくん。殆ど差がないって言ってたよね?」

 

「は、はい」

 

「そりゃそうだよ。だって、今のまーくんは同一人物の魂が宿っているだけなんだから」

 

『ッ⁉︎』

 

「やー、驚いたよ。まさか、こんなところにあの日の成果がいたなんて」

 

楽観的に話す束とは対照的に将輝の表情は強張る。

 

それも当然のことだ。

 

今まで超常現象か、言葉を借りるとすれば神の気まぐれか何かでここに来たのだろうとタカをくくっていた将輝にとってその言葉は衝撃的すぎた。

 

他の誰でもない。篠ノ之束によって連れてこられたというのだから。

 

「姉さん、どういうことですか?もう少しわかりやすく説明して下さい」

 

「んー、もっと簡単に言うと……あ」

 

ぽんと手を叩いて、束は閃いたとばかりに両手を大きく広げて宣言した。

 

「まーくんはISの存在しない世界ーーーつまり幾億にも存在する平行世界に存在する藤本将輝ってことさ!」

 

 

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