憑依系男子のIS世界録   作:幼馴染み最強伝説

9 / 92
ラッキースケベ

 

「うう…………い、意味がわからん……。なんでこんなにややこしいんだ……?」

 

「そりゃ、科学の最先端で超兵器だからさ」

 

放課後。一夏は机の上でぐったりとしていた。

 

半ば済し崩し的に一週間後にIS同士の戦闘が決まり、真面目に授業を受けようと意気込んだまでは良かったのだが、残念ながら、その脳みそは心についてくることはなく、専門用語の羅列は今日一日、彼の時間を奪っていった。自業自得だが。

 

対して将輝は、現在の所はスムーズに進めている。ISを動かすという面に於いては一夏と一緒ではあるものの、知識は申し分ない。伊達に中学時代の一年半を費やした訳ではないが、今はまだ初歩も初歩なので、なんとも言えないというのが、彼の心境である。

 

因みに周囲の状況は放課後になっても、全く変わっていない。遠回りに女子達が学年・クラスを問わず、押しかけ、きゃいきゃいと小声で話し合っている。

 

昼休みも、とても学校とは思えないような光景だった。

 

二人が移動すれば大名行列のように全員ついていき、学食では再度モーゼの海渡り。軽くガリバー状態の一夏は「ウーパールーパーかよ」とボヤいていたが、強ち間違いではない。

 

「ああ、織斑くんと藤本くん。まだ教室にいたんですね。良かったです」

 

「はい?」

 

「何ですか?」

 

呼ばれて顔を上げると、副担任の真耶が書類を片手に立っていた。やはりというべきか、身長は低めの印象を受け、もし私服であるならば同年代か年下の友人、或いは彼女にも見えるだろう。

 

「えっとですね、寮の部屋が決まりました」

 

そう言って別々の部屋番号が書かれた紙とキーを何故か二人共に渡す真耶に一夏は疑問の声を上げた。

 

「俺の部屋、決まってないんじゃなかったですか?ていうか、俺と将輝の部屋って別なんですか?」

 

「男同士だから、同部屋だと思ったんですけど……」

 

「本来ならそうなんですけど、事情が事情なので、一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したらしいんです。その時に手違いで男子が別々になったと思うんですけど………」

 

ここIS学園は全寮制だ。生徒は全て寮で生活を送る事が義務付けられ、それは将来有望なIS操縦者達を保護するという目的がある。実際、未来の国防が関わっているともなれば、学生の頃から優秀な人材を引き入れようとするのは必至であった。

 

手違い、と真耶は言っていたが、実のところ、この部屋割りは政府からのお達しで決められた部屋割りだった。何せ現在世界で最も貴重な男性IS操縦者。何かしらの事故や天災などで二人同時に失うようなことがあれば、日本は各国から非難を浴びるどころではなくなる。其処でもし何らかの事故や天災などで片方を失う事があっても、もう片方がいるという、保険をかけたのだ。

 

「そういうわけで、政府の特命もあって、とにかく寮に入れるのを最優先したみたいです。一ヶ月もすれば二人共に個室の用意ができますから、しばらくは女子との相部屋で我慢してください」

 

真耶のその声が聞こえたのか、周囲の女子達からは悲鳴にも似た歓声が上がる。それは「もしかしたら私と相部屋かも!やったー!」的な意味合いの歓声だ。男子と如何にかしてお近づきになりたい女子達からすれば、相部屋というのはかなり嬉しいサプライズのようなもので、何人かは既に脳内がお花畑の状態へなっていた。

 

「あ、でも、荷物は一回家に帰って準備しないと……」

 

「荷物なら私が手配しておいてやった。ありがたく思え」

 

ダースベイダーの曲を流しながら(一夏の脳内のみ)現れたのは、姉である織斑千冬だ。有無を言わせないその言葉に一夏は引きつった表情ながらも一応礼を言う。

 

「ど、どうもありがとうございます……」

 

「まあ、生活必需品だけだがな。着替えと、携帯電話の充電器があればいいだろう」

 

しかしこの完璧超人のような姉。家事の方は全くでかなり大雑把。着替えと携帯電話の充電器だけで、しかもそれすら取り敢えずバッグにぶち込んだだけみたいな事になっているのは一夏には簡単に想像できた。

 

「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。因みに各部屋にはシャワーがありますけど、大浴場もあります。学年ごとに使える時間が違いますけど……………今の所、二人は使えません」

 

「え?「何でとか聞くなよ、一夏」………」

 

何でですか?と聞きかけた一夏の言葉に被せるように将輝が釘を刺した。

 

「同年代の女子と入る事になるだろ」

 

「あー………それはマズいな」

 

ここには二人以外の男子は過去現在においていない。となると必然的に浴場は一つであるし、それはもちろん女子用。そしてわざわざ男子二人の為だけの浴場を作るというのはあまり建設的な話ではない。

 

「えっと、それじゃあ私達は会議があるので、これで。二人共、ちゃんと寮に帰るんですよ。道草食っちゃダメですからね」

 

校舎から寮まで五十メートル程しかないのに、何処で道草を食えというのか。ここにいた真耶以外の全ての人間がそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーと、ここか。1025号室だな」

 

「俺は1010号室だから。また後で……………じゃなかった。一夏、ストップ」

 

「へ?あれ、開いてる」

 

一夏は部屋番号を確認して、ドアに鍵を差し込んだ状態で将輝の方に向いた。その手は既にドアノブを握っており、今まさにドアを開こうとしていた。

 

「一夏。さっき山田先生が言ってた事を忘れてるのか?中にはもしかしたら同室の人間がいるかもしれない。それでもって、一夏が鍵を開ける前に鍵が開いてたろ?て事は既に中には人がいるという事だ。もし同室の人間が下着姿だったり、風呂上りだったらどうする?色々マズいだろ?だからノックくらいして、入っていいかの確認くらいはした方が懸命だと思うぞ。ていうか、しろ」

 

「お、おう……………」

 

言っていることは理に適っているが、将輝としては一夏の部屋番号が原作と同じ=同室の人間も同じ=中にいるのは箒=風呂上がりエンカウントという図式が出来上がっていた。何としてでもそれだけは防ぐべく、それっぽい事をベラベラと並べただけだった。最終的に命令っぽくなった事で、一夏は三回ノックした後、「誰かいますか?」と問う。すると少し遅れて中から「少し待ってくれ」とドア越しに返事が来た。

 

待つ事、三分。中から現れたのは予想通りというか、胴着姿の箒であった。急いで着替えられるのがそれだったのだろう。帯の締め方も少し緩かった。

 

「一夏に将輝ではないか。どうした?」

 

「よ、良かったぁ…………箒だ……」

 

「や、やっぱりか……」

 

救いはあるとばかりに喜ぶ一夏とこの世に神はいないと落ち込む将輝。事情が全くわからない箒は首を傾げる。

 

「一体、何を言っているんだ?」

 

「実は俺、今日からここに住むんだ」

 

「そうか。今日からここに…………ん?ちょっと待て、今日からここに住むだと⁉︎」

 

あっけらかんと言う一夏に普通に納得しかけた箒だったが、頭の中で二、三回反復させるとすぐにその意味に気づき、声を荒げた。

 

「どういう事だ!と、年頃の男女がど、ど、同棲など!」

 

「同居だけどな」

 

「同じだ!だいたいお前という奴は……」

 

その時、箒の声を聞きつけて、それぞれの部屋から女子達がゾロゾロと出てくる。

 

しかも困った事に全員ラフなルームウェアで、全くと言っていいほど男の目を気にしない格好をしている。一部の女子に至っては、長めのパーカーに下はズボンもスカートも穿いていない。つまりは下着のままという、襲ってくださいと言わんばかりの服装だった。

 

「あっ、織斑くん。それに藤本くんも」

 

「もしかして、篠ノ之さんとどっちかが同じ部屋?羨ましいなぁ…」

 

「俺は1010号室で、箒と同じ部屋なのは一夏だよ」

 

「そうなんだ!いい情報ゲット!」

 

そう言ってそそくさとその場を退散しようとした将輝だが、ガシっとその腕を一夏に捕まれ、脱出に失敗する。

 

「頼むから置いていこうとしないでくれ!」

 

「1025号室がお前の部屋なんだから、置いていくも何もないだろう」

 

「そりゃそうだけど……箒も何か怒ってるし……」

 

一夏としては将輝にだけ聞こえるように言ったつもりなのだろうが、それはしっかりと箒の耳に届いていた。

 

「私は別に怒ってなどいない。当然の事を口にしただけだ。いい加減、理由を説明してくれ」

 

「それは「一夏と俺は急遽部屋割りに無理矢理組み込まれたから、手違いで女子と同室になったらしいよ」」

 

一夏が理由を説明しようとして、ややこしくなる前に将輝が言う。一夏に喋らせると碌な事になりそうにないと思っての発言だった。それを聞いた箒は一応納得したようで、頷いた。

 

「……という事は、将輝も誰かと同じ部屋という事か?」

 

「そういう事。俺としては箒の方が(かなり気が楽だし)良かったんだけどね」

 

「ふぇ?……………そ、そうか。私が良いのか………」

 

頬を赤らめて、俯く箒。しかし将輝は理由がわからず、キョトンとしていた。

 

「り、理由はわかった。部屋に入れ、一夏。ここでは人が多い」

 

「お、おう。また後でな、将輝」

 

「で、ではな。将輝、また後で……」

 

「うん。また後で」

 

将輝は二人と一旦別れて、数十メートル離れた自身の部屋へと向かう。流石に女子達は付いてくるという事はなかった。先程、付いてこられるのを避けるために予め部屋番号を明かしたのが、功を制したといえるだろう。

 

「1010号室。此処だな」

 

着くと同時に先ず鍵が開いているかの確認━━━開いていない。次にノックと確認━━━返事なし。

 

「これで問題ないな」

 

安全を確認した将輝は、鍵を差し込み、ドアを開ける。

 

部屋に入ると、先ず目に入ったのは大きめのベッド━━━━━━ではなく天蓋付きのベッド。そして並みのビジネスホテルを遥かに凌ぐ家具。部屋の割合こそ半々であり、化粧台などのものは共同で使えるようにとの気遣いが感じられるが、将輝は使わないので、割合としては7:3となっている。そんな事をしそうな人間は一人しか心当たりがなかった。部屋の光景に思わず、頭を抱えてベッドの上に座った将輝だったが、突然声が聞こえた。

 

「同室の方ですか?これからよろしくお願いします」

 

ドア越しのせいか、声に独特の曇りがある。聞こえてきたのは全ての部屋に取り付けられているシャワー室から。つまり同室の人間は今ちょうどシャワーを浴び終えた事になる。

 

ギギギ……と壊れた人形のようにぎこちない動きで其方に振り返る将輝。幸い、まだ同室の人間は出てきていない。今から走って部屋の外にさえ出てしまえば、問題はない。そうと決まれば行動は早かった。すぐさまベッドから立ち上がり、一目散にドアへと向かう将輝。

 

ここで補足すると、シャワー室は入り口から入ってすぐの所に設置されており、ベッドなどのある場所はシャワー室を挟んで存在する。つまりこの部屋から出るためにはシャワー室の前を通過しなければならない。

 

そして、事このタイミングにおいては、すこぶる悪かったとしか言いようがなかった。

 

ちょうど将輝がシャワー室の扉の前を通過する直前、同室の人間がシャワー室から出てきてしまった。

 

「このような姿ですみませ━━━きゃっ」

 

「うわっ⁉︎」

 

突然目の前に現れた同室の人間━━━セシリアを巻き込みながら、将輝は盛大に床に倒れたのだが、その後の態勢はさらにまずかった。

 

「ま、将輝さん……」

 

「せ、セシリア…」

 

上から覆い被さるように倒れた将輝は絶妙に彼女の左胸を鷲掴みにしていた。

 

 





ここで敢えて一夏ではなく、オリの方にラッキースケベ発動!もう遅い!脱出不可能よ!といった感じです。

リアルにラッキースケベなんて発動したら、多分通報されますけどね…………夢は見たいですよね!

次回、一夏並みのラッキースケベを発動した将輝は如何なるのか!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。