憑依系男子のIS世界録   作:幼馴染み最強伝説

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キャノンボール・ファスト

マドカの言葉に俺は固まった。

 

話の流れから概ね予想はついていた発言だが、それだけはあり得ないと思っていた。

 

織斑マドカが藤本将輝を勧誘する意味などないはずだし、そもそも基本的に一匹狼だ。俺どころか同じ組織に所属するスコールやオータムにさえ仲間意識が存在しなかったほどの。

 

そのマドカが俺を勧誘。

 

一体なんの冗談だ?

 

疑惑の目を向けていると、マドカは少しだけ俯く。

 

「……貴方が私に対して疑念を抱くのも無理はないでしょう。貴方の知るように私の目的は『織斑一夏を葬り、織斑千冬の妹であると証明する事だったのですから」

 

「……その言い方だと、終わったことのように聞こえるんだが?」

 

「ええ。その呪い(望み)についてはもう決着がついています。私にとっては最早織斑千冬との関係性も織斑一夏の存在も、どうでもいい(・・・・・・)ことです」

 

……どうやら本気でこの織斑マドカは俺の知る織斑マドカでないらしい。

 

原作で強い執着心を抱いていた織斑千冬を指して、どうでもいいと言ってのけたのだ。なんの感慨もなく。

 

普通ならあり得ない。何かしらの形で決着がついていなければ、踏ん切りがついていなければ、まずこんな言葉は出てこない。

 

そうなると、マドカのこれは冗談ではないという結論に至ってしまう上、ひょっとしなくてもアレな答えに行き着くわけだが。

 

「勝手な憶測になるが、そっちの俺は亡国機業にいたのか?」

 

「はい。私達実働部隊専門の整備士でした。それも超一流の」

 

奇しくも敵側では本来の目標を達成してしまっていたようだ。まぁ、亡国機業に行くぐらいだから、箒とは会ってなかっただろうし、そもそもマトモな人生を送っていなかったんだろうが。

 

「ISは動かさなかったのか?」

 

「いえ。貴方はこちらでもISを動かしていました。知れ渡るまでは私達だけの秘密でしたが、操縦技術は間違いなく国家代表クラスかと」

 

やっぱりか……となると、やっぱり俺がISを動かせている理由としては『憑依転生した』ことが一番可能性が高い。というか、それぐらいしか思い浮かばない。

 

しかし……整備は超一流だし、操縦技術は国家代表クラス。

 

おかしくないですかね。憑依転生している以上、条件は同じはず………?

 

いや、待てよ。なんでここにいる俺が憑依転生した藤本将輝なのに、あっちも同じ人間が憑依転生したことになってるんだ?もしかして俺じゃない誰かか……もしくはそもそも憑依元の藤本将輝になにかがあったか。或いは俺の意識が二分割されるというおっかなびっくりな状態になったか。なにそれ、すごい。

 

まぁ、今はいいか。そこは気にしてもどうしようもないだろうし、ある意味これが一番気になる。

 

「マドカ。そっちの俺は……お前にとっての何だった(・・・・)?」

 

恐らく織斑マドカがこちらに来た理由に深く関わっていると思う質問を投げかける。

 

どういう理屈で世界間移動などという神様の奇跡レベルのことをしたのかは聞いても意味がないから聞かない。

 

だが、それを実行した理由は聞くべきだと思った。

 

どんな理由にしろ、そんな大それたことをしてまでここに来た理由も、わざわざ俺に会おうとした理由も聞いておかなければならない気がした。

 

「私にとって貴方は……いえ、藤本将輝は……」

 

ここまで来ればある程度想像もつくが、それでも思い込みや勘違いでなく、織斑マドカの口からそれを聞いておきたい。

 

マドカは一呼吸置くと、噛みしめるようにこう口にした。

 

「私が……信頼し、敬愛し、……そして最も愛した方です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

将輝は全てを聞いた。

 

織斑マドカと藤本将輝と亡国機業ーーそして彼女達の生きてきた時間を。

 

聞くべきではなかった。必要以上の情報を求めるべきではなかった。

 

あくまでも別世界の同一人物でいるべきだった。

 

だがもう何もかも遅かった。

 

完全に敵側の事情を知ってしまった主人公のような心境になっていた。

 

あの組織ははっきり言って『悪』だ。別にやり方が間違っているだけとか、見方によってはなんていうものではない。

 

国際的テロリストであるし、何より将輝達にとっては危険な存在でしかない。

 

それだというのに…….。

 

マドカと別れた後、将輝はIS学園へと帰った。マドカは去ったとはいえ、とてもその場にいられそうになかった。

 

最早キャノンボール・ファストどころではない……と言えたのなら良かったが、そういうわけにもいかないのが現実だ。あれは学園が行う大きなイベントの一つであるし。将輝は男だからこそ注目度が高い。なら、辞退するにはそれなりの理由がないといけないだろう。

 

マドカのことを話すのは簡単だ。

 

だが、そのマドカの存在を知った時、一夏や千冬がどうするのか。

 

まだしっかりと明かされていなかった彼らの関係。

 

このタイミングで露呈してしまったら、一体どうなるか、将輝にはわからない。

 

マドカがどのようにして生まれたのか、内容次第では確実な混乱を招く。

 

異母兄弟が一番マシな可能性だが、原作の千冬への執着を考えればその線は薄いだろう。

 

織斑千冬のクローンならまだショックは少ないかもしれない。問題はそれ以外の場合だ。

 

マドカだけでなく、千冬や一夏までもがなんらかの目的を持って意図的に生み出された存在(・・・・・・・・・・・・)だった場合の話だ。

 

そうなれば並みの感性を持つ人間なら冷静ではいられないだろう。特に一夏は感情的になりやすい一面がある。どんな行動に出るか想像に難く無い。

 

幸いなのはマドカが一夏を歯牙にもかけていないことだろう。

 

例え一夏がマドカに襲いかかってもマドカは一夏を必要以上に痛めつけようなどとは考えず、機械的にあしらい、処理することだろう。それ程までにマドカにとっての一夏は無価値な存在だった。

 

「あー、くそ。なんでもっと平和な学園ライフを送らせてくれねえかな」

 

元々物語的には平和か怪しいところだったが、少なくともここまでこじれていなかったのは確かだ。こじれた原因が大体自分が存在したことによるズレなので文句を言えない立場であるものの、それでもそう言わずにはいられなかった。

 

「……悩んでても仕方ねえか。とりあえずマドカの件はみんなには内緒でーー」

 

「そうか。私達には言えない理由があるのか?」

 

「そりゃまぁ。みんな混乱するだろうし……へ?」

 

なぜか会話が成立していることに将輝は間の抜けた声をあげた。

 

だが、時すでに遅し。

 

「まったく……考え事をしていると周りの音が全く聞こえていない。将輝の悪い癖だぞ」

 

「ほ、箒……」

 

将輝が頬をひくつかせる。

 

知られてはマズい人間ランキングでいえば、限りなく低い。

 

ただ内緒にしておこうと決めた矢先にバレてしまった上、それとなく箒がご立腹なのがわかったからだ。

 

「将輝がまた一人で解決しようとしているのを阻止できただけでも良しとしよう。……さて、将輝」

 

「な、なにかな?」

 

「ここで耳に挟んだのも将輝のパートナーとしての縁だ。その話、私に聞かせてもらおう」

 

(駄目って言ったら、絶対拗ねるよなぁ……)

 

口もきいてくれない……ということはないが、数日は刺々しい態度になるのは想像に難くない。そしてその機嫌を直すにはやはり正直に話すしかない。

 

元よりバレるに至ったのは自分のミスだ。

 

「……わかった。けど箒。一つだけ頼みがある」

 

「ああ、なんだ?」

 

「他のみんなには内緒にしてくれ。特に一夏や織斑先生には」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛しい人がいた。

 

生きとし生けるもの全てが敵であった自分に出来た唯一にして絶対の存在。

 

『失敗作』の誹りを受け、否定され続けた自分を初めて肯定してくれた人。

 

施設(掃き溜め)にいた頃とは違う。

 

世界に愛されていない。約束された未来もない。希望などない。絶望しか、憎しみしかない。

 

そう言われ続けてきた。

 

それを否定するために強くあろうとした。

 

そうでなければ私に価値などなかったから。

 

けれど、あの人は違った。

 

私を一人の人間として扱ってくれた。

 

初めは戸惑った。

 

なんだ、こいつは。訳がわからないと拒絶し続けた。

 

それでもあの人は私を否定しなかった。

 

周囲の声など気にも留めずに私を気にかけてくれていた。

 

いつからだっただろう。

 

あの人の言葉に耳を傾けるようになったのは。

 

私を『一人の人間として』認識してくれることを嬉しいと感じるようになったのは。

 

いつからだっただろう。

 

触れるたびに、触れられるたびに満たされるような感覚を覚えたのは。

 

組織の人間がちょっかいを出すたびに胸がもやもやするようになったのは。

 

いつからだっただろう。

 

織斑千冬(姉さん)への想いよりも、織斑一夏への憎悪よりも、ただあの人に愛して欲しいと思うようになったのは。

 

私という出来損ないに与えられた最大級の幸福。

 

マスターはーー藤本将輝は私の全てだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャノンボール・ファスト当日。

 

会場は満員御礼。空には花火がポンポンと打ち上げられていた。

 

「おー、よく晴れたなぁ」

 

秋晴れの空を見上げながら、一夏は日差しを手で遮る。

 

今日のプログラムはまず初めに二年生のレース、それから一年生の専用機持ちによるレース、そして一年生の訓練機組のレース。最後に三年生によるエキシビション・レースとなっていた。

 

「一夏。なにしてんだ。早くしねえと最終チェック出来なくなるぞ」

 

「おう。いやなに、すっげー客入りだなと思ってな」

 

「そりゃ、例によってIS産業関係者と各国政府関係者が来てるしな。警備だけで洒落にならねえくらいいるぞ」

 

おまけにそれを抜きにしても相当な人数がいることを考えると、やはり世界におけるISの注目度の高さが伺える。

 

「何にしてもこんなに人がいる前だし、恥はかきたくないよな」

 

「恥か。……そんなこと気にしてる場合じゃねえかもしれねえけどな」

 

「ん?なんか言ったか?将輝」

 

「なんでもねえよ。やる前から弱気になるなって言っただけだ」

 

「それもそうだな。……よし、優勝目指して頑張るか!」

 

「はいはい。お前のそういう切り替えの早さは尊敬してるが、さっさと行かねえと準備以前に織斑先生に制裁されるぞ」

 

「あ、その前に蘭を……」

 

「んなこと気にしてる場合か!」

 

一夏の頭を叩くと将輝は首根っこをひっ掴み、そのまま引きずって行く。

 

何が起こるかわからないとしても、こんな大イベントを前に別のことに意識を向けられる一夏の鈍いのか、大物なのかわからないメンタルに呆れを通り越して感心する将輝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二年生の抜きつ抜かれつのデットヒートを終え、いよいよ将輝たち一年生専用機持ちの出番が回って来た。

 

将輝、一夏、箒の三人を除く専用機持ちは各々キャノンボール・ファスト仕様となっていた。

 

だが、その中でも特化しているのが鈴だった。

 

「それにしてもなんかごついな、鈴のパッケージ」

 

「ふふん。いいでしょ。こいつの最高速度はセシリアにも引けを取らないわよ」

 

増設スラスターを四基積んでいる状態の高速機動パッケージ『(フェン)』は、それ以外にも加胸部装甲が大きく突き出しており、体当たりでもされようものならひとたまりもない。

 

さらに衝撃砲を真横に向けることで追い抜きを妨害出来るようにもなっている。まさにキャノンボール・ファスト仕様のパッケージであり、本来強襲離脱用であるブルー・ティアーズの高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー』や急造で仕上げた他のメンバーより一歩先を行っている。

 

「いくら速くとも、それが勝敗を決めるわけではない」

 

「戦いとは流れだ。全体を支配したものが勝つ」

 

「えーと。みんな、全力で戦おうね」

 

箒、ラウラが強気な発言をした後、シャルロットが締めた。

 

『みなさーん、準備はいいですかー?スタートポイントまで移動しますよ〜』

 

麻耶ののんびりとした声が響き、将輝たちはマーカー誘導に従ってスタート位置へと移動を開始する。

 

『将輝』

 

『……どうしたんだ?箒』

 

移動する最中、将輝に箒からのプライベート・チャネルが飛んでくる。

 

『お前は襲撃があると言っていたが、それでもこの瞬間は全力で戦え。例え中止になる可能性が高くても、ならない可能性だってある。もしそんな事になったらきっと後悔するぞ』

 

『……かもしれないな』

 

あくまで襲撃は将輝の予想でしかない。

 

確率で言えば高いことは確かなのだが、絶対ではない。

 

そして仮に襲撃がなければ、レース以外のことに意識を割いていた将輝が優勝できる可能性は限りなく低いだろう。いや、十中八九最下位だ。それほどまでに一年生の専用機持ちは拮抗していた。

 

だからこそ、レースには全力で臨むべきだという箒の忠告であるが、やはり将輝はこのレースで敗北し、後悔するよりも自信を狙ってくるであろう織斑マドカ(存在)の方が重要だ。このイベント自体は来年も再来年もあるのだから、優先すべきは襲撃者の方だと。

 

『いいや。絶対だ』

 

しかし、将輝の心情を悟ってか。箒は断言する。

 

必ず後悔すると。この試合に優勝できなかったことを。

 

何故そこまで断言できるのか、その理由を考えようとしたその時ーー

 

『な、なにせ……わ、私になんでもお願いできる機会を無くすのだからな!』

 

そう言うと箒は一方的にプライベート・チャネルを切った。

 

失念していた。マドカと出会う以前に箒としていた約束だ。

 

キャノンボール・ファストに勝利する理由は一も二もなく、それだったのだ。

 

ハッとして箒の方を見てみれば、俯いて肩を震わせていた。

 

それが自身の大胆発言による羞恥に悶えているのだと将輝にはわかった。

 

そしてそこまでしたのが自身を叱咤激励するためのものであると言うことを。

 

(……あそこまで言わせて、やる気出さないわけにはいかないよな)

 

例え無事終わる可能性が低くても。

 

『それではみなさん。一年生専用機持ち組のレースを開始します!』

 

終わった後に悔やまないためにも今は全力で戦おう。

 

高速機動用のハイパーセンサー・バイザーを下ろし、意識を集中させる。

 

超満員の観客が見守る中、シグナルランプが点灯する。

 

3……2……1……GO!!

 

「ッ……!」

 

急激な加速で一瞬景色が飛ぶものの、ハイパーセンサーからのサポートにより、視界が追いつく。

 

スタート時の加速での戸惑いが少なかったのはラウラと実戦形式で特訓をしたおかげだといえた。

 

あっという間に第一コーナーを過ぎ、セシリアを先頭にして列ができる。

 

「先、行かせてもらうわよ!」

 

そう言って鈴はいきなり勝負を仕掛けた。

 

序盤にもかかわらず、勝負を仕掛ける大胆不敵な作戦は他のメンバーは完全に出し抜かれる形となった。

 

「先頭いただきっ!」

 

横に向けていた衝撃砲を前面に向け、連射する。

 

「くっ!やりますわね、鈴さん!」

 

衝撃砲の弾丸を横にロールしてかわすセシリア。

 

その隙に爆発的な加速で鈴はセシリアを追い抜き、先頭に立った。

 

「このままっ!」

 

「ーー行くと思うか?」

 

「っ!?」

 

鈴の加速に合わせ、スリップ・ストリームを利用して機会をうかがっていたラウラが前に出た。

 

「まずっーー」

 

「遅い!」

 

ラウラの大口径リボルバーキャノンが火を噴く。

 

迎撃よりも回避を優先したのが功を奏したのか、僅かにかすめる程度で済み、コースラインを少し逸れる程度に留めた。

 

さらにラウラの牽制射撃は続き、後続の進行を妨害する。

 

その一発一発が進路妨害だけでなく、コースアウトを狙っているものだ。

 

振り切るのではなく、全参加者を撃退して勝利する。実にラウラらしい行動だ。

 

「くっ!流石にラウラは手強いな!」

 

一夏も加速をかけるが、コーナーのたびに差を広げられ、歯噛みする。

 

「一夏、お先に」

 

「おおい、シャルまで行くのかよ!?」

 

ラストスパートもかくやという序盤からの混戦ぶりに一夏が驚きの声を上げる。

 

「キャノンボール・ファストはタイミングが大事だからね。それにーー」

 

「悪いが私も先に行かせてもらおうかっ!」

 

刀から赤いレーザーを放ちながら箒が一夏に迫る。

 

シャルロットはその隙にラウラへとじわじわ肉薄し、どんどん差を縮めていく。

 

一夏は赤いレーザーを雪羅のビームクローで弾き、箒と格闘戦を繰り広げ始める。

 

さらにそこへセシリアと鈴が参戦して先頭、後続ともに大乱戦となっていた。

 

「レースはまだまだでしてよっ!」

 

「これからが本番よ!」

 

「違いない。ただ、相手を気にしすぎだ」

 

「「「「なっ!?」」」」

 

一夏、箒、鈴、セシリアの声が重なった。

 

というのも、あえて最後尾で様子を伺っていた将輝が恐るべき速度で乱戦状態の四人を抜き去ったからだ。

 

「あの加速……『夢幻』のワンオフか!」

 

明らかに通常とは比較にならない加速は一夏たちを引き離して行く。

 

(全武装のロックか……多少辛いが、これなら大丈夫だ!)

 

妨害したいところだが、他の参加者の攻撃もあり、意識をそちらに向けることが出来ない。

 

その心理を利用し、将輝はそのままトップ争いを続けるラウラとシャルロットへ迫る。

 

「将輝!?もうここまで来たの!?」

 

「ふっ、大人しくしていたかと思えば、ここで仕掛けてくるか!」

 

桁外れの速さにシャルロットは驚き、ラウラは好戦的な笑みを浮かべる。

 

そして『夢幻』の速度を脅威と判断した二人は即座に将輝を迎撃する姿勢をとった。

 

「行かせないよっ!」

 

「撃ち落とすっ!」

 

シャルロットは速度減衰を余儀なくされる範囲攻撃のショットガンを、ラウラは当たれば即コースアウトのリボルバーキャノンを構える。

 

圧倒的な速さだが、その速さゆえ、将輝は完全に回避しようとすれば必然速度を落とさなければならない。

 

その隙に二人は距離を離し、改めてトップ争いを再開しようとする腹積もりだ。

 

(両方避けるのは至難の業……か。だったらーー!)

 

速度を落とすことなく、突っ込んでいく。

 

二人の妨害が自身を撃ち落とすよりも早く、抜き去ろうという一か八かの勝負。

 

分は悪いが、これに成功すればトップに躍り出るだけでなく、差を広げることもできる。

 

将輝はその賭けに出た。

 

今まさに。シャルロットとラウラの攻撃が将輝へ向けて放たれようとした。

 

その時ーー。

 

上空から二人めがけてレーザーが降り注いだ。

 

予想外の方向からの攻撃に二人は回避することもできず、そのままあえなくコースアウトとなった。

 

一見、『ブルー・ティアーズ』の攻撃にも思えるそれは当然違う機体のものだった。

 

将輝が速度を落とし、上空を見上げ……歯噛みする。

 

何故ならそこにいたISは『サイレント・ゼフィルス』。

 

その搭乗者はーー。

 

「……来ると思ってたぜ。マドカ」

 

「また会えて光栄です。藤本将輝」

 

ーー織斑マドカなのだから。

 

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