最近ホロライブ見てたけど面白かったし、ちょっと真面目にストーリー構成考えて息抜きがてら書いてみようと思って作った迷作。
※ホロライブの誹謗中傷はありません。
※見始めなのでキャラの性格に乖離があるかもしれません。
※オリ主とホロメンのカプ要素的なモノは少ないですが嫌な場合は引き返してください。
ホロライブ最近見始めたけど、推しにしようとした天音かなたが卒業間近で割とショックを受けた。
血が抜けていく。
臓器が吹き飛んで身体から熱が失われる中、聞こえたのは泣き叫ぶ仲間の声だった。力が入らず痛みに視界が赤くなる中、自分の死期を悟った。この傷は魔術でも薬でも治せない。魔術は万能ではない。失った臓器を再生出来るだけの魔術は存在しない。
「……泣く…なよ…」
「だって、だって……沙花叉のせいで……!」
あの時油断しなければ、あの時敵を殺し切っていたら。
そんな言葉が脳裏に過ぎる。けれど無情にも結果は変わらない。失っていく血と弱くなっていく命。沙花叉は傷口から流れる血を必死に止めようとする。けど、もう無理だった。この場に総帥がいれば話は変わったかもしれないが、その総帥も直ぐにはここに来れない。
「楽し…かった…だ…から…いい…」
涙を拭おうとしたら手に付着した血が頬を汚した。
いつか終わる命だとしても、誰かを救って死ねるなら意味のない死よりはカッコ良く生きたって胸を張って死ねるから。
さようなら、とは言わない。
例え死別であったとしても絆が消えるとは思えなかったから。
「こ…っちに…すぐ来…んなよ……」
「いやっ、生きてよっ!沙花叉にまだ教えてよっ!!みんなと一緒に……!」
「総帥と…みんなに…すまんって…言っとい…てくれ……」
瞼が閉じる。
泣き叫ぶ沙花叉の声が遠くなる。
鼓動が完全に停止し、脈絡は途絶える。
苦しそうな顔をせず、最後は安心させるような笑みで。彼の命はここに終えた。
「あ、ああ……!」
冷たくなっていく彼の身体を抱きしめ、後悔と絶望に浸りながら沙花叉は天を見上げて泣き叫んだ。
「うあっ、ああああああああああああああああああっっ!!!!」
それが崩壊の始まりだった。
沙花叉クロヱが、holoXが崩壊していく序章の軋みが静かに動き始めていた。
★★★★★
★★★★★
「転生したら中学生だった件……ってどこのラノベ展開だよ」
俺の名は木原。元holoXの社員である。
まあ社員というには汚れ仕事の方が多かったから掃除屋や傭兵のポジションを良く請け負ってた元社員だ。まあ多分ルイさんの次に忙しかったと思う。沙花叉や総帥も掃除出来ないし、ピンクコヨーテは色々と問題児だし、いろはさんとルイさんに結構お世話になってた記憶が多い。
「転生か……そんな魔術は存在しないんだけどな」
魔術。
この世界で使える人間はかなり
だが、魔術で転生が可能か。
それを聞かされたら答えはNOだ。
魔術は
例えば瞬間転移や時間停止など人類が実現出来ないような力は不可能だ。魔力を練り上げて自分のイメージに沿う形に変えて術を使う。けれどそれは万能ではない。
「総帥の権能でも死者蘇生は出来ない。けど転生の権能を渡せばいけんのか……?けどそれだと『縛り』をかなり破る必要があるし……」
可能性はゼロではない。
総帥であるラプラス・ダークネスは人智を超えた力を持つ人間の尺度では測れない怪物。あの人ならと思う部分はあれど、それ以上は考えられなかった。
「14年、俺が死んでからそんなに経ったのか」
あの日の任務から死んで14年。
それは突如蘇った記憶、最初は激しい頭痛と死んだ記憶のフィードバックにより三日間気を失ったが、そのおかげで全てを思い出した。真っ先に調べたのはholoXについてだ。記憶していた電話番号からアジトに連絡を入れたが繋がらず、過去の記事などを調べてもholoXの情報は何一つ出ていない。
holoXが逮捕された記録がないのならまだみんな生きている可能性が高い。総帥に関しては死ぬ姿が想像出来ないし。
探したいが今の俺は中学生で住んでる場所は北海道、東京まで一人で行く事は許可されないし中学生のお小遣いで行ける距離でもない。そんな中である転機が訪れた。
「キタァァァァ!!!!」
中学の修学旅行、しかも場所は東京というミラクルに俺は天を見上げてコロンビアポーズを決めた。同級生は不審者を見る目で視線を集中していたがそんな事気にせず狂喜乱舞だった。神はまだ見捨てていなかった。
そうだ、修学旅行を抜け出そう。
そして東京に行ったら元居たアジトまで足を運ぶ事を計画した。
★★★★★
「よしっ、抜け出せた。ホント魔術様々だな」
身体強化の魔術をこっそり使って隙を見て逃げ出す事に成功した俺は急いでアジトに向かっていった。使える魔術がかなり限られているとはいえ、便利な事に変わりはない。速攻で電車を乗り換えてアジトの場所まで走る。
会いたかった。
みんなに会ってどうしたいかなんて決めてないけれど、会って話がしたかったから。そんな想いを抱えながら辿り着いたアジトに目を見開く。
「っ……」
それはもうアジトとは言えないくらい古びた廃墟と化していた。周りには木々の根が壁を伝うように生え、外壁も幾つかヒビ割れた跡が残る。窓ガラスは割れ、入ろうと扉を開こうとすれば脆く軋むような音が聞こえた。
「……もう、此処には誰も居ないのか」
アジトを変えたのか人の気配はなく、アジト内に溢れていた荷物は一つもなかった。
キッチンを見れば総帥がフランベに失敗して焼け跡が残った壁、こよりさんが生み出した薬品を溢して溶けた床の名残、沙花叉が掃除してなくて一部が腐食したかのように脆くなった一部の床、いろはさんと鍛錬した時についた刀傷やルイさんの銃痕などがアジトには見つかる。
普通なら証拠を残さないためにアジトを燃やす必要があるのだが、それをしないまま離れていったのか。
「おっ、俺の部屋」
ドアを開ければあったのは一つのベッド。
それだけしかなく他に荷物はない。処分しなかったのかそれだけがそのままだ。
「………」
やっぱり、此処には手掛かりみたいなものはない。
14年も経てばそんな気がしてた。変わらないものなんてない。あの人の夢は世界征服だ。力での支配ではなく、世界が面白おかしく楽しい世界にするための優しい魔王。だからこそこの小さいアジトはいつか離れて大きなアジトを作りたいって言ってたから。
俺の部屋の柱には色々な目標が油性で書かれている。『世界征服!』だったり『大きなアジトを作る!』とか『年に一回は旅行に行きたい!』とか『今夜はハンバーグがいい!』など様々な事が書かれてる。
それに触れれば、少しだけ涙が出た。
あの頃が懐かしい。あの時に生きていれば今も笑って過ごせていたのか。そう思うと少しだけ胸が痛んだ。
その時だった。
キィ─とドアが開く音が聞こえたのは。
「──誰?」
「はっ?」
そこにいたのはかつての仲間だった。
黒いフードに赤いリボン、灰色の髪と整った顔立ち、身長は伸びていて髪も伸びているけど見間違うはずがなかった。
「さ、かまた……?」
「この部屋だけは汚したくないの」
頭の中で警鐘が奔る。
動け、そうしなければ死ぬぞと身体が警告を告げ即座に動き出すとガキンッ!!と音が聞こえた。
それは彼女の力、あの頃笑ってholoXにいた沙花叉クロヱは容赦無く俺を殺しに来た。
「沙花叉はさ、掃除が苦手なの。だからなるべく抵抗しないで──死んで」
「待っ──!」
説明するよりも早く。
虚空から生み出された牙が襲い掛かってきた。
★★★★★
総帥ラプラス・ダークネスは最強の存在。
部下と認めた人間……5人にそれぞれ権能という異能を渡している。それは人智を超えた力を持ち、魔術のような理解が及ぶものとは違う力。人外の異能。時間や空間にさえ干渉できるような反則級の能力がある。
「うぉっ、ぶなっ……!?」
沙花叉クロヱの能力は『牙の創生』
沙花叉を中心に50メートル以内にシャチの牙を生み出す能力。牙を鉤爪のように扱ったり、挟む事によってホオジロザメの5倍はあると言われるシャチの咬合力を再現したりする。牙は強力で噛み付かれたら引き剥がせず食い千切られる。
「チッ、やっぱその能力強すぎるだろ!俺のショボい奴より反則過ぎる!!」
牙は最大で5つまで同時操作可能。
ただし複数になれば速度が落ちる。だが牙の大きさが大小関係なく生み出せるのだから脅威すぎる。
「落ち着け沙花叉、俺だ!木原だ!」
「……あの人は14年前に死んだ。沙花叉が殺した」
牙をかろうじて躱す。
インターン時代の癖がまだ残っているからギリギリ躱せるに過ぎない。身体強化の詠唱を即座に済ませて対応しているが、俺には戦闘の才能も魔術の才能も二流止まり。沙花叉の才能は一流を遥かに超える。
「このっ、落ち着け!」
「!」
魔弾。
俺が使える数少ない魔術の一つ。詠唱を省略した魔弾は打撲程度の衝撃しか与えられないが沙花叉に対してはそれで充分だ。魔弾を三発放てば牙を巨大化させて盾のように止められる。
というより戦って理解した。
沙花叉は本気を出していない。いや、この部屋で戦う事を嫌がっているように見える。
『この部屋だけは汚したくないの』
つまり、この部屋に思い入れがあり傷付けたりしてほしくないと聞こえる。沙花叉が此処にいる理由はこの部屋を墓として見てるのか、思い出の場所として訪れたのかはわからない。けど、そこに勝機が存在する。
「おおおおっ、らっ!!」
「っっ!!」
ベッドを思いっきり沙花叉にぶん投げた。
大切だと思う物を傷付けられない。沙花叉は掃除屋だけど、優しい女の子なのを知ってるから。
「っ……」
だからこそ思い出のある物を壊せない。牙を噛んで揃えた状態で壊さないように優しく受け止める。
「お前ならそうするよな」
「っ、しまっ」
けど、そのせいで俺から目を逸らした。
首元に突き付けたナイフに沙花叉は権能を発動したまま無表情で立ち尽くした。二流止まりの俺には何でも使うしか出来ない。だからこそ周囲の物を利用する俺に僅かに軍杯が上がったに過ぎない。
「俺の勝ち、だな」
沙花叉は抵抗しない。
ゆっくりと牙の上に乗せたベッドを下ろすと両手を上げた。
「……殺して。辱めは受けないよ」
もう疲れたと言わんばかりに沙花叉は俯いた。それを見てため息をつきながらナイフを首元から離した。
「やるわけねえだろ。せっかく戻ってきたのにお前があっちに行ってどうする」
「っ……?」
「コッチに戻ってくるのに14年かかったんだぞ」
「えっ……?」
困惑と動揺に沙花叉の視線が揺れる。
そりゃあ信じられないのかもしれない。沙花叉も死者蘇生や転生なんてものはあり得ないと考えているから。総帥の能力は万能であっても全能には届かない。
「嘘……本当に…?」
「お前は俺を殺してねえよ。殺したのはあの組織の奴等だ。だからお前がそんなモノ背負わなくていい。あの日の事は俺の責任なんだから」
「で、でも沙花叉が……沙花叉が殺し切れたら」
「まあ、油断はしたかもしれねえけど。それは俺も同じだ」
俺は先輩で沙花叉は後輩だから。
沙花叉が殺し切れなかったと言っていたが新人のミスをカバーするのが先輩としての責任だから。
「沙花叉が生きてくれてよかった。だから後悔はないよ」
「あっ……」
「ありがとな。俺の罪を背負おうとしてくれて」
「ああっ……!」
沙花叉は胸に縋り付いて泣いた。
ただいま、と告げると涙腺が壊れたかのように泣き叫んで抱きしめられた。
「ああっ、うああああああああああああああああっっ……!」
ゆっくりと抱き寄せて背中を撫でる。
あの時死んじゃってごめんとか、色々と言いたい言葉はあるけどそれを飲み込んだ。彼女にとって今の涙はきっと辛いものを流すために必要なものだとわかっていたから。
★★★★★
それから10分後、目元を腫らした沙花叉とベッドに座る。
涙を流し過ぎてグッタリとしてる沙花叉に水を渡すとコクコクと飲み、深呼吸をする。どうやら少しは心が安定したようだ。
「落ち着いたか?」
「うん……」
「沙花叉、お前に言いたい事がある」
「なに?」
目を細めて質問を口にした。
「お前……いつ風呂入った?」
「…………ぽぇぽぇぽぇ?」
「普通に臭い」
「臭くなぁい!なによ、乙女に向かって!!」
「乙女は毎日風呂入るわ。二週間くらい入ってないな?」
抱き寄せた後に髪の毛からツンとした臭いがした。
女の子にこういうのは言いたくないが、流石にやばい臭いがしている。そういえばコイツあの頃から全然風呂入らなくていろはさんやルイさんから怒られてたな。
「い、言い訳をさせてください。
「家じゃなくても銭湯くらいあるだろうが」
「ぐぅ……」
やっぱり意図して入ってなかったな。
こいつの風呂嫌いはどうしたものか。乙女を捨ててないか?
「……ん?アジトがない?総帥やルイさん達はどうした?」
総帥達は別の所に住んでると思ってた。
確かに稼ぎは安定しなかったりする事もあったが、路頭に迷う事はないはずだ。ルイさんがそこらへんはしっかりまとめてると思ってた。
「それが、いろはちゃん以外全員捕まっててholoX壊滅の危機です」
「……えっ、ガチィ?」
どうやら事態は思った以上に深刻だった。
沙花叉クロヱ 職業 : 掃除屋
インターン後に入社し、正式にholoXとして働く。社員の木原は先輩関係であり、事務仕事や仕事の仕方を教えたりしていた。沙花叉を庇って死んだせいで自分が殺したと思っている。割と過保護気味になる。
木原アキラ
死んだと思ったら14歳の身体で生まれ変わってる。憑依とかではなく大事な記憶を忘れていたような感覚だったらしい。ラプラスから権能を貰っているが、傷を治せるようなモノではない。
魔術
この世界で使える人間はかなり
権能
ラプラスが部下に与えた異能。過程をすっ飛ばし結果のみ生み出せるそれは『願望器』とも呼ばれている。部下が欲しいと思った異能をラプラスは構築し渡している。ただ、権能を貸し出す事はラプラス・ダークネスの魔力総量から引かれる。より強い権能、それこそ時間停止も不可能ではないがそれに伴い強力であればあるほど総量が減っていく。
膨大な魔力を持つ総帥でさえ、強い力の貸し出しはそう多く出来ない。なので敢えて条件を作る事『縛り』を設けて貸し出す権能と引き換えになる魔力総量を減らしている。そしてもう一つの条件は『権能は一人につき一つまで』既に権能を持っていた場合二つ目を貸し出す事はできない。無理にその条件を破れば総量どころの問題じゃない。命に関わる差し引きが発生する。
続くかは未定です。
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