一人(ソロ)を好む竜騎士とドジっ娘騎士がパーティを組む!?   作:ジャック・オー・ワンタン

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第7話:迫る影

 翌朝、今日も俺はアインを連れてダンジョンへ向かう為、ギルドへ向かう。昨日は寿司も食ったし満足だ。今日は張り切って依頼をこなせそうでなによりだ。

 

だが、アインがカテゴリーⅡになったならいよいよだな。今日はちょっと厳しめにいくか。寿司を奢ってもらったがソレはソレだ。

 

「ジーク。今日はどうしますか?」

 

いつものように今日の流れを聞いてくるアインに俺は仕掛ける。・・・アイン、何回でも言うがお前を強くするためだ。悪く思うんじゃねぇぞ。

 

「今日はお前、単独でカテゴリーⅣ級の魔物を討伐しろ。」

「はーい!分かり・・・ええっ!?」

 

案の定、驚いて脚を震わせる。・・・面白い奴だ。

 

「い、いや!無理です!」

「我慢しろ。昨日も言ったが魔物は敢えて強く格付けされている。カテゴリーⅣ級の魔物はお前とほぼ同格だ。」

「い、嫌です!ジークは助けてくれないんですか?」

 

その言葉を待っていた。俺は強さを求めない性分だが俺ばかり甘くなっては教えている立場とは言えない。だからこそ自分も追い詰める気だ。

 

「俺は今日は思い切ってカテゴリーⅧ級の魔物を一人で仕留めに行く。お前だけ強くなっちゃ俺が教えている意味も無くなる。自分にも厳しくしねぇといけねぇだろ?」

「カテゴリーⅧを一人で?」

 

アインはポカーンとした表情を浮かべて思考停止する。コイツにとっては未知数な強さだろう。カテゴリーⅧ級の魔物はどれくらい強いかと言うと俺が単独でギリ討伐できると言えば分かるだろう。

 

つまり経験のある冒険者でも油断すれば返り討ちに遭うレベルの強さだ。今回俺はソイツを一人で倒しに行く。勘違いして貰いたくないのはアインを強くする為だけではない。俺自身も強くしないといけないと思ったからだ。

 

断じて彼女を強くしたいからだけではない!

 

「早く行くぞ。討伐したい魔物は選ばせてやる。カテゴリーⅣ級の中から弱そうな奴を選んで倒してこい。」

「うぅ・・・はい。」

 

ベソをかくアインに鞭を入れながらギルドへ向かうと各々倒したい魔物の依頼を受けることにする。

 

今回俺が倒すのはカテゴリーⅧ級の魔物、【ファイヤースカラベ】。経験値は15000。報酬は脅威の40万ポンドの火を纏う巨大なコガネムシだ。

 

ただの火を纏えるデカいコガネムシだがスートがダイヤである俺とは相性が悪い相手かつ攻撃力はそこそこあるが防御力はかなり高い。下手をすれば俺の体力が切れて返り討ちに遭う。

 

そんな相手に俺は今回挑ませてもらう。・・・っとそうこうしている内にアインも決まったようだな。

 

「決まったか?」

「は、はい・・・本当に弱そうなのに決めました。」

 

アインはそう言って自分の依頼を見せる。彼女の今回の討伐対象は【ビッグ・ボア】。経験値は3000。報酬は10万ポンドか・・・。

 

「・・・フッ、丁度いい奴を選んだな。お前なら倒せる。自信を持てよ。」

「は、はい。」

「だが無茶はすんな。やられそうなら離脱も視野に入れんだぞ。」

「わ、分かりました!」

 

緊張しながらもアインは返事を返して意気込む。よし、気合はあるようだな。場所はノルド洞窟。とっとと行くか。

 

各々依頼を手にギルドを出ようとした時、ロビーで話していた冒険者達の不穏な話が耳に入ってきた。

 

「おい、聞いたか?フォーカードの面々が昨晩から帰ってきてないらしいぜ?」

「マジかよ!あのバジルさん率いるフォーカードが!?アイツら昨日は推奨カテゴリーⅦエリアに居たよな?」

 

フォーカード・・・あぁ、あの馬鹿(バジル)のパーティか。・・・待て、カテゴリーⅦエリア?アイツのカテゴリーは知らねぇが俺より格上と言ってよな?それが嘘か本当かはどうでもいいが俺より格上、それにパーティの規模もデカい奴らが一晩ダンジョンから帰って来ないことがあんのか?

 

あーあ、嫌な予感がするな。それにカテゴリーⅦエリアはがっつり俺が通るルートじゃねぇか。めんどくせぇ!

 

「バジルさん達・・・大丈夫ですかね?」

「・・・ほっとけ。今は自分達の事を考えろ。」

「あっ!ジーク。待ってください!」

 

心配するアインを他所に俺はノルド洞窟へ向かう。

 

頼む、めんどくせぇことは起こらないでくれ。

 

◇◇◇

 

 雫が滴り落ちる洞窟内・・・ノルド洞窟へ入った俺は推奨カテゴリーⅣエリアでアインと別れるとそのまま道中の魔物を倒しながら奥へ進んでいく。

 

ファイヤースカラベは推奨カテゴリーⅧエリアで出現する。Ⅵでジョーカーとして出てくることもあるが奴らの生体上、あのエリアから他へ行くことは無いだろう。

 

そうなると泣いても笑っても推奨カテゴリーⅧエリアまで向かう事になる。相手にとって不足はない。あとは俺が狩るだけだ。

 

・・・にしても静かだな。思えばこうして一人(ソロ)で依頼をこなすのはいつぶりだろうか?アインとパーティを組んでからそんなに日は経ってねぇが一人だったことが遥か昔の様に思える。

 

ドジばっかで臆病で明るさだけが取り柄だったアイツが今や格上の魔物を倒せる程まで成長している。まぁ、勿論まだドジばっかしてるがな。そんな奴が一瞬いなくなっただけでもこんなに寂しくなるなんてな。

 

なんだろうなこの感覚・・・すげぇドキドキしてる。よく分からねぇが俺はアインの事が好きになってるかもしれぇのか?

 

「何くだらねぇこと考えてんだ俺は。兎に角今は目の前の依頼を済ませるか。」

 

首を横に振って気を取り直し問題のカテゴリーⅦエリアまで到達する。何も起きねぇと良いが・・・。

 

「ん?」

 

ふと気配を感じて立ち止まる。なんだ?この異様な感覚は。明らかに魔物じゃねぇ!しかもこの匂い・・・血か?

 

「うっ・・・誰だ?」

 

刹那、何者かの声が聞こえてそちらに振り向いた途端、驚きを隠せなくなる。そこにはフォーカードのリーダーであるあのキザ野郎・・・バジルが血まみれで座り込んでいた。

 

 

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