呪術廻戦〜青の魔弾〜   作:華々

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今回は本編で作者が書き忘れた設定を消化する回です。


閑話・裏元服の儀

 

東北守護役呪術家筆頭・青崎家

 

東北において、青崎家は絶対的な発言力を持つ呪術家の名門である。

呪霊祓除に関する広範な権限を呪術総監部から正式に付与され、事実上この地の呪術的秩序を一手に担ってきた。

 

その力の根源は、千年以上にわたって受け継がれてきた二つの相伝にある。

 

一つは、青崎家初代当主が持ち相伝となった術式――蒼嵐呪法。

呪力を圧縮し高速で射出するその術式は、攻撃・制圧・殲滅の全てにおいて高い完成度を誇る。

 

そしてもう一つ。

呪術全盛の時代から一度も途絶えることなく伝えられてきた、蒼嵐呪法を“外側から強化する”秘術。

この秘術は、青崎家の子が元服を迎えた年、自らの意思で施すか否かを選ぶことが許される。

 

――だが、その選択は決して軽いものではない。

 

 

 

元服の夜

 

「良いか、蒼也」

 

元服の儀を終えたその日の夜。

 

外は既に夜の帷に包まれ、室内を照らすのは揺れる蝋燭の火だけだった。

 

向かいに座るじーちゃん――蒼一郎は、俺が今まで一度も見たことのない顔をしていた。

感情を完全に押し殺した、当主の顔だ。

 

「今から施すのは、青崎家秘伝の秘術だ。途中でやめることは縛りによって不可能になる」

 

淡々と、しかし重く言葉が落ちる。

 

「刺青の最中、お前の全身には“死ぬ方がマシだ”と思うほどの痛みが奔る。本当にやるのか?」

 

(…………)

 

返事の代わりに、俺は布団に横になり、口に噛ませた布を強く噛み締めたまま小さく頷いた。

逃げる気はない――その意思表示だ。

 

「……そうか」

 

蒼一郎は短く頷き、部屋の外へ出る。

 

「では、やってくれ」

 

「はいな」

 

入れ替わるように入室してきたのは、青崎家お抱えの彫師だった。

同時に、外で待機していた真希と真依も部屋に入ってくる。

 

「それじゃあお嬢ちゃん達、坊っちゃんが暴れないようにがっちり体を押さえておいてくれ」

 

二人は無言で頷き、俺の両側から布団に体重をかけて押さえつけた。

 

「それじゃ、始めますよ」

 

針が皮膚に触れる。 

 

(……確かに痛いけど、じーちゃんが脅すほどじゃ――)

 

そう思ったのは、ほんの一瞬だった。

墨が体内へと流れ込んだ瞬間、

 

まるで火で炙られ、雷で焼かれるような痛みが刺青の箇所から全身へと奔る。

 

「んんんッッッ!!!」

理性が吹き飛び、反射的に体が跳ねる。

 

「お嬢ちゃん達! もっと強く押さえてくれ!」

 

「「はいっ!/ああっ!」」

 

真依は呪力を纏い、真希はフィジカルギフテッドの膂力を惜しみなく使って押さえつける。

 

それでも俺の足は無意識にばたつき、逃げ場を探していた。

(痛い痛い痛い痛い痛い――!!)

 

なぜ、呪霊との戦闘で重傷を負った時以上の痛みが走るのか。

 

その理由は、体に刻み込まれている“墨”にある。

この墨は、数多の呪霊を集め、蠱毒によって殺し合わせた末に抽出された血液から作られている。

 

それは肉体だけでなく、魂すら侵す毒そのもの。

秘術が完成すれば凄まじい力を得る。

 

だが耐えきれなければ、魂を破壊され――廃人となる。

だからこそ、蒼一郎は何度も確認したのだ。

 

 

五時間後。

背中、左腕、右腕、両脚――全ての刺青が掘り終わった。

 

「いやー、終わった終わった……聞いてたより大変だったけど、いい経験になったよ」

 

汗を拭いながらそう言う彫師の前で、蒼也は完全に意識を失っていた。

その両隣には、最後まで押さえ続けた真希と真依が、同じく汗だくで座り込んでいる。

 

「痛みは一週間近く続くだろうから、できるだけ早く鎮静化させた方がいい」

 

そう言い残し、彫師は蒼一郎に一礼して屋敷を後にした。

 

 

 

一週間後

 

「……おお、すげえ」

 

ようやく落ち着いた痛みの中で、自分の状態を確かめる。

呪力効率は格段に上がり、無駄なロスがほとんど消えている。

 

呪力量、出力ともに明確な向上が見て取れた。

呪霊の血から作られた墨を生涯体に宿すことは、

物を呪いに浸す“浴”に近い、疑似的な儀式を常に行っているのと同義だ。

 

結果、肉体の強度すら底上げされていた。

 

「これなら……約束も守れそうだ」

 

俺は3年前姦姦蛇螺の任務後、二人と縛りを結んだ。

 

――自分の命を囮にするな。

 

術師である以上、簡単に守れる縛りじゃない。

それでも、この力があれば“死ぬ確率”は確実に下げられる。

 

本当に、あの時は2人を納得させるためには他に選択肢がなかった。だからここ三年間は身に危険が迫らないように遠距離からの攻撃を心掛けていた

 

「……まあ、大切な女の子達のためだしな」

 

小さく笑って立ち上がる。外は青々とした空が広がっている。こんな日はあれをするに限る!

 

「さて、今日も二人にちょっかいかけにいきますか!」

 

 

 

数分後両頬に真っ赤な紅葉を付けた蒼也と顔を赤らめる2人が見られたのはまた別のお話




蒼也が入れた入れ墨は宿儺の体に浮かび上がっている模様をモチーフに青崎家が改良したものです。
初代当主が宿儺の力を見て少しでも近づくために作ったものでしたが耐えられるものが少なく江戸時代になると使われなくなっていきました。




この作品を書いて初めて評価1をもらったんですけど、一体どうしてですかね?読者の方の期待していたものと違いすぎたんでしょうか。
評価バーがオレンジから赤に戻ったと喜んでいたらのこれなのでちょっとショックでした。どうして評価1にしたのとか今後の小説投稿のヒントにするために教えてもらいたいです

小説の続き、時間が飛んで原作行くかオリジナルストーリーをいれるか

  • 乙骨編入編から
  • 高専入学編から
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