呪術廻戦〜青の魔弾〜 作:華々
やる気か、アイツ。
目の前で呪力を纏い、戦意を滾らせている東堂を見て、思わずため息が漏れた。
勘弁してくれよ。今日は長旅で疲れているし、京都校の寮に泊まって、生徒たちと親睦を深める――そんな平和な一日になるはずだったんだが。
「さあ、行くぞ!」
ッ、速い!
気づいた時には、すでに眼前。
右腕を大きく振りかぶった東堂が、間合いを詰めてきていた。
振り下ろされる拳を逸らし、その勢いのまま脇腹へカウンターを叩き込む――が、
「……っ!」
返ってきた感触に、思わず顔をしかめる。
堅てぇ!
こいつ、俺がカウンターを狙うのを読んでやがった!
拳を弾かれた瞬間、脇腹に呪力を集中させてガードしやがったんだ!
「その程度か!」
東堂は俺の腕を掴むと、呪力で強化したまま、豪快に回転し始める。
「うあっ!」
凄まじい遠心力。
足が地面を離れ、抵抗する間もなく視界がぐるりと回る。
「行くぞ!」
回転速度がさらに上がり、次の瞬間――
「ふんぬぁ!」
投げ飛ばされた。
空中で何度も回転し、受け身を取ることすらできないまま、いくつもの仏閣を破壊してようやく止まる。
「クソッ!あのゴリラ、めちゃくちゃしやがって……!」
瓦礫を魔弾で吹き飛ばし、這い出た瞬間だった。
上空から、影。
東堂がドロップキックの要領で降ってくる。
「バカか!その体勢じゃ身動き取れねぇだろ!」
殺さないよう、速度重視。
威力を抑え、衝撃だけを与える零式で気絶させる――はずだった。
パァンッ!
「……はっ?」
乾いた音。
蒼い線を引いて射出した魔弾が、消えた。
次の瞬間、地面の感触が消える。
視界が反転し、目の前には――東堂。
「何が……ッ!」
術式を発動しようとするも、僅かに遅い。
ズドンッッ!!
腹に突き刺さる蹴り。
自由落下と呪力の乗った一撃が重なり、地面に叩きつけられた。
「……っ、ぐ……」
ヤバい。
ヤバいヤバいヤバい。
痛みで体が悲鳴を上げ、呼吸ができない。
肺から空気が抜け、過呼吸じみた呼吸で必死に酸素を求める。
そんな俺を見下ろし、東堂は静かに言った。
「はぁ……退屈だよ、ベストライバル」
目から、つうっと涙を流しながら。
「こんなもんじゃないだろう?
そうだろう、ベストライバル!」
「うるせぇ!誰がベストライバルだ!
この変態ゴリラが……!」
もういい。
やってやる。
ふらりと立ち上がり、懐から和紙を十枚ほど取り出す。
そこには、俺自身が込めた呪力。
「魔弾装填式神――白夜」
本来は四体まで。
だが即興で縛りを変更し、掌印を組み続けることを条件付けその制限を踏み倒す。
「放て」
十体の白夜から放たれる
蒼嵐呪法・烈光。
蒼い燐光が、槍衾のように殺到する。
だが東堂は、感覚と呪力探知、そしてあの音で――入れ替わるように回避する。
「もっとだ!もっと俺を興奮させてみろ!」
「うるせぇ!この変態ゴリラ!」
蒼嵐呪法・無月
式神を維持するための掌印を拡張術式として組むことにより通常単発の魔弾をビームのように呪力を込め続けることで継続されるものに昇華させる。
「それでこそベストライバルだ!!」
パァン!
(またこの音!)
白夜のうち蒼也に近い白夜が東堂に変わる。虚を突き殴りかかるが、
「もう2回もやれば種がわかるんだよ!」
蒼也も脚から魔弾を射出し高速で東堂に飛びかかる。
「お前の術式、入れ替えだろ!何らかの音を鍵として発動する術式、そうだろう!」
「!そのとおり!俺の術式は不義遊戯!手を叩くことで俺と物を入れ替える!」
東堂に向かって拳を放とうとした瞬間にパァン!と不義遊戯による位置替えが起こり空振ってしまう。
何てめんどくさい術式だ!
たかだか手を叩くだけで相手の攻撃を透かし逆にアイツの攻撃チャンスになる。恐らく縛りを結びもしないでこの効力。
(普通の術師が持っていれば何の苦もなかったのに!)
………だから戦い方を変える。
「ふぅー。」
白夜を解き両手を上げて構える。
(何だあの構えは。俺の術式が分かった以上あの呪力を放つ式神を使わず呪力を抑えるのは理解できるが隙だらけのあの構えに何の意味がある。)
不測の事態を考慮したIQ35億のCPUがはじき出した答えは、ビクトリー!
(例え罠があったとしてもそれを踏み越えてこそお前と渡り合えるというものだ。そうだろうベストライバル!)
自身が扱える呪力の全てを纏い蒼也に突貫し左足を軸にし全体重に遠心力をも加えた回し蹴りを隙まみれの蒼也の脇腹に叩き込もうとする。
が、
「この瞬間を待ってた!」
蒼也も呪力を込め青く光る拳を上から振り降ろし東堂の蹴りにぶつける。
「無駄だ!いくらベストライバルとはいえ俺の渾身の蹴りだ!止められようはずがない!」
東堂が吠え更に呪力を滾らせる。それにニヤリと口角を上げ心のなかで笑う。
バーカ!ただの呪力強化なわけねえだろ。俺の蒼嵐呪法は呪力を魔弾に変え射出する術式。なら俺に纏わせる形で待機状態にしてた魔弾を俺の任意のタイミングで放つこともできる!
青い光が腕から拳に集中し一気に放出される。
「ぬあっ!」
蒼嵐呪法・纏魔!
東堂は渾身の蹴りを俺の拳と魔弾に押し負け弾かれ体勢を崩す。そしてガラ空きになった胴体に渾身の拳と呪力を込めて叩き込む。
「おあっ!」
東堂が軽い悲鳴を上げたかと思うと拳から放たれた魔弾により上空に上がっていく。
(さすがベストライバルだ!俺の術式に影響されない範囲を予測し術式を使うとは!とはいえこいつをどうにかしなければ!)
両手を打とうとどうにか手を持ち上げるが、そんなことは許さない、
弾けろ。
パアンッッ!あたりに風船が割れた音の数倍低い音が響いたかと思うと体から煙を上げた東堂が落ちてくる。
「な、何が…」
「魔弾はあくまで俺の呪力の塊ならそれを呪力操作でどうこうすることもできる。」
あそこで東堂に術式を発動させていたら性懲りもなくまた突っ込んで来るだろう。なら術式を発動させない、かつアイツを大人しくさせるために魔弾を操作し炸裂させた。
ズドンッ!
鈍い音ともに落ちてきた東堂を生きているか確認しに行くと、
「さ、さすが俺の、ベスト、ライバル………」
戯言をほざいて気絶していた。
疲れた。
その場にしゃがみ込み息を整えていると複数の足音が聞こえてきた。顔を上げるとピアスをバチバチに開けているファンキーなじいさんと顔に傷のある巫女服を着た女性、むかしの貴族が着ていそうな狩衣を着た細目がそこにいた。
「…ふむ、これは一体どういうことじゃ、」
「あっ、」
じいさんの呆然と言った言葉に周囲を見渡すといくつかの仏閣がなぎ倒され複数の大穴に破壊痕極めつけに白目を向いて気持ち悪い顔で気を失っている東堂。
今更ながら周囲の状況確認ができると、
「(すぅ〜。)スミマセン!全部この変態ゴリラがやっことなんです!(デカボイス)」
土下座マイスターが唸るほどの綺麗な土下座を決め東堂に責任を押し付けることにした。
もうちょっと東堂をキモくさせたかったんですがなかなか難しい。
感想お待ちしています!
小説の続き、時間が飛んで原作行くかオリジナルストーリーをいれるか
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