オラ!ご注文のキツネうどんだ!!! 作:コントラポストは全てを解決する
ふと時計を見ると、短信が0時を指していた。
というか、あと十五分で深夜25時を回る。
「んっ〜 ! 疲れたしもう寝るか〜」
背伸びをして体をほぐし、1日の締めと言わんばかりに喉が渇く。
きし、きし、と少し軋む階段を降りながら、光良は明日の予定を組み立てる。
「あの中で朝が早そうなの……リゼと千夜か ? 朝四時とかに起きそうだけど、あんまり早く行くのはな〜。うーん……朝ごはん、どうしよう……」
一階におり、リビングに続くドアを開けた。
「ダメだ……眠くて頭が働かない。テキトーに3時くらいに起きて、頃合いを見て向こうに行けばいっか──」
ガサッ。
暗くて見えないが、何かが動いた気がした。
テレビ前のソファー辺り。何かがいる。
「警察沙汰にはならないでくれよ。皆がお泊り会してるんだから──」
近場のほうきを手に、光良は明かりを付ける。
そこにいるのは、強盗か、幽霊か──
「……はぇ ? ここあ ? ? ? 」
ぐーすかぴーすか鼻提灯を立てたここあが
、ソファーで寝ていた。
話を聞くために、光良はここあの鼻提灯を割る。
「んぃ……ふぁ〜。まぶし……ふぇ、こーくん…… ? なんでここに ? 」
「俺の家だからな」
「えっ…… ? 」
辺りをキョロキョロと見回す心愛。
信じられないと言った顔をしていた。
「ご、ごめんね、こーくん……。勝手に入っちゃって……」
「ここあの寝相の悪さは折り紙付きだからな」
「ね、寝相とかそういう問題じゃないよこれは ! 私が言えた立場じゃないけど ! 」
「んフッ……そ、そうだな……」
あまりのぶっ飛び具合に、光良の中で堪えてた笑いが漏れ出てきた。
しかし、ここあは本気で気にしてるようなので、上手い事フォローをしないと。
「まあ、夢は心の願望を映すって言うし、『俺の家に来たい』って気持ちが寝相と合わさったんじゃないか ? 家の住人としては、そこまで気に入ってもらえて嬉しい限りだよ」
「そうなのかな……」
「そうそう。なにか心当たりない ? 狐賀家のここがすごい ! みたいな」
「うーん……心当たり──」
光良の出したホットミルクをちびちび伸びながら、心愛は寝ぼけた頭で思考を巡らす。
「あぁ、あれか ? 前にゴキが出たから、行く末が気になったとか」
「うーん……なんか、ピンと来ない……」
「なら、怖いもの見たさでお化け部屋に来たくなったとか ? 」
「あれはもう良いかなって──」
何か思い出せそうと光良を見つめるここあは、不意にピタリと喋るのをやめた。
「……あぁ、そうだ……」
「見つかった ? 心当たり」
「多分……それと、こーくんには良くない話かも……」
「良いよ、聞かせて」
ゴキブリの次だ。白アリでも見たのだろうと腹をくくり、光良はホットミルクをちびちびと喉に流す。
「前にここに来た時さ、見ちゃったんだ」
「なにを ? 白アリ ? 蜂の巣 ? 」
「ううん。もっとすごいもの」
一度深呼吸を挟んだあと、心愛は意を決して口を開く。
「こーくんの部屋でさ、見ちゃったんだ。こーくんの……日記。それで、いつか謝らなきゃって……ずっと思ってたから。それかも」
予想の百倍悪い知らせだ。
あまりの酷い答えに、光良は目頭を押さえて天井を仰ぐ。
「マジかー……」
「それでさ、話も聞きたいって、ずっと気になってたの」
「それはまぁ……しゃーないな」
「こーくん」
「はい……」
真面目な顔で、心愛は光良の目をじっと見つめる。
「──日記に書いてあったさ、『おかーさんが死んだって嘘をついた』って、なに ? 」
墓まで持っていく秘密がバれ、光良は今までで一番大きなため息を吐く。
ショックのあまり泣いてしまいそうだった。