オラ!ご注文のキツネうどんだ!!!   作:コントラポストは全てを解決する

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行こうぜ、女子校

 

 ついに始まる新学期。

 各々が学校の支度を整える中、光良だけは休み気分のままダラダラしていた。

 

「コウくん、学校の準備しないの?」

「おん? あぁ、へーきへーき。あとでやるから」

「あとでって……もう出ないと遅刻しちゃうよ?」

「あー、もうちょっと待って。ちーちゃんの弁当包んでるから」

 

 慣れた手つきで風呂敷を包み、おまけで水筒を準備するがそっちは智乃に拒否され、弁当だけ渡して一息ついた。

 

「お待たせ……それで、何の話してたっけ? 流しで聞いてたから」

「学校だよ学校! 新学期!」

「おぉ、ここあもピカピカの一年生だな。いってらっしゃい」

「いってらっしゃいって……こーくんも行かなきゃ ! 」

「うん? 俺の学校は明日からだし、慌てなくても平気だぞ」

「……えっ?」

 

 心愛が固まる。

 

 なにかおかしなことを言ったのかと、光良まで不安になってしまった。

 もしかして、登校日を間違えた……とか。

 

「こーくんって同じ学校じゃないの !? 」

「そもそもここあの学校、女子校だし」

「えっ……あっ、そういえば」

「というわけだ。良い土産話を期待してるよ」

 

 心愛の弁当を包み、カウンターの上に置いておく。

 

「そっか……なら、行ってくるね ! 明日は途中まで一緒に行こう ! 」

「はいはい。行ってらっしゃい」

 

 ドタドタと元気な足音を響かせて、心愛は駆け出していった。

 

 良い門出を迎えられるように……なんて、大げさに願ってみる。

 

「……弁当、忘れたまま行っちゃったか〜」

 

 昼時に心愛がしおしおになるのは目に見えている。

 男が女子校に入れるのかは分からないけれど、高校初日を血糖値不足で乗り切る心愛に比べればこんなの些末な問題だろう。

 

「女装ぐらいはして行った方が良いのかな? じいさん的にはどう ? 」

「やめとけ」

 

 おにぎりウサギからガチめの反対を貰い、光良はラビットハウスの制服で家を出た。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 家を出てから早足で駆け抜け、千夜と合流出来た心愛。

 

「千夜ちゃんも同じ学校なんだね。知ってる人がいると安心するな〜」

「私で良ければいくらでもお供するわ。分からないことがあったら何でも聞いてね」

「ありがと〜 ! 」

 

 なんてことのない談笑を交えながら、二人は学校まで辿り着く。

 新入生歓迎の看板、少し気の早い部活勧誘、教室の組分け票。絵に描いたような新天地。

 

「ここから私達の青春が始まるんだね」

「そうね〜。心愛ちゃんは部活何するの? 」

「私はラビットハウスの仕事があるからね。あと、こーくんのお世話」

「あらあら、変わった関係になったのね」

「こーくんはねぇ……それはもうすごくて。ず〜っとなにか嘘付いてるし、なんか……ユラユラしてるし、いっつも誰かに怒られてるし」

「光良さんらしいわね。けど、楽しいでしょう? あの人といると」

「それはそうなんだけど……やっぱり、嘘つきはダメだと思うんだ。いつか、酷い目にあっちゃうんじゃないかって」

 

 心愛の想像の中では、もう10回くらい檻の中に入れられている。

 それほどに印象が悪い。きっと、いろんな所から変な誤解を買っているはずだ。

 

「心配しているのね」

「だって……えっと、なんだろう……。危なっかしいっていうのかな?」

「心愛ちゃん、お姉さんみたい」

「ほんと !?」

 

 姉と言われて胸が高鳴ってしまう。

 やはり日々の姉修行は間違っていなかった。

 

「お~い ! ここあ〜 ! 」

 

 姉気分でルンルンの所に光良が走って来た。

 これは絶好のアピールチャンス。頼れる姉であるところを光良に見せつけるのだ。

 目指すは光良からの主導権奪取。

 

「どうしたの、こーくん? おねーちゃんに会いたくなっちゃった ? 」

「それもあるけど……はい、これ。お弁当忘れてたぞ」

「……へっ ? 」

 

 光良のカバンから出された弁当を渡され、心愛はポカンとしたまま固まった。

 

 同時に、心愛は理解する。

 

 たった今、姉ゲージが壊れた……と。

 

「千夜博士、ここあがぷるぷる震えながら動かなくなったんだけど。これは一体 ? 」

「夢が叶ったあと、夢から覚めた感じかしらね〜」

「一億当たったけど夢オチだったんだな。可哀想に。よしよし」

「撫でないで……! 妹になっちゃう……!!! 」

 

 妹みたいにびえびえ泣きながら、心愛はそのままの情緒で走り去って行った。

 

「ああいう姉がいても良いと思うんだけどな」

「女の子はいつだって、セクシー&クールビューティに憧れるものよ」

 

 水筒の蓋コップをカクテルグラスの様に撫でながら、千夜はキメ顔で語る。

 女の子とは難儀なものだと感心しながら、光良は千夜から貰った水筒を一口飲んだ。めっちゃ抹茶。

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