オラ!ご注文のキツネうどんだ!!! 作:コントラポストは全てを解決する
智乃と光良の痴話喧嘩……痴話尋問から数日が経ったある日のこと。
心愛が「チノちゃ〜ん!!!」と相変わらずの明るさで、とあるアルバムを持ってきたところから話は始まった。
「ねぇねぇチノちゃん ! これなに ? 」
「あぁ、3Dラテアートですよ。コウさんが作ったんです」
「へぇ〜、こーくんってこんな事も出来るんだ〜。私も出来るようにならなきゃね〜」
「コウさんしか出来ませんよ。私とリゼさんは普通のラテアートしか覚えてません」
どうやら光良秘伝の術らしく、心愛は一層目を輝かせた。
「じゃ、じゃあ、これを覚えたら、皆から憧れの眼差しで……」
「憧れの眼差しを買って何するんですか……」
「おねーちゃんになる ! 」
「最近、そういう妖怪になって来てません ? 」
妖怪姉を名乗る人。心愛の見てきた姉がよほど頼れる人なのか、姉に燃える心愛は少し怖かった。
「早速こーくんに──」
「コウさんなら出張中ですよ。私が通ってる中学校に行ってるはずです」
「ち、チノちゃんの学校に ? い、一体なにしに……」
「料理部の講師代わりだそうです。部長の子と仲が良いらしくて」
「……チノちゃん、もしかして怒ってる ? 」
「別に……」
ラビットハウスをほっぽって、他所で油を売っているのは面白くない。少なくとも智乃的には。
それも、智乃の学校は女子校。確実に何かを拾ってくる。
「たっだいま〜! ちーちゃん ! 見てこれ ! 料理部の余った材料で作ったケーキ ! 」
「おじゃましま〜す ! チノ〜 ! 遊びに来たよ ! 」
帰って来た光良と、光良が拾ってきた女の子。
そして、女の子は条河麻耶。智乃は頭を抱えてしまう。
「ま、マヤさん……? なんでコウさんと一緒に ? 」
「えっ、学校で料理してたから混ぜてもらって、そのまま。はい、お土産のカブトムシクッキー ! 」
「い、いつから……? 今日出会ったわけじゃないんですよね…… ? 」
「コンタローの事なら、前から話してたじゃん ? 」
「こんたろー……? ま、待ってください。コンたろーってあれですよね ? お菓子上げたら懐いた……とか、結構大きくてマヤさんを乗せて走れる……とか言ってた、犬か何かの……」
「いや、全然人だけど。コンたろーって犬なのか ? 」
「頑張れば狐になれる」
「ほんと !? 見せて見せて !!! 」
ショックのあまり智乃は頭痛を錯覚した。
目の前の親友が、知らないうちに義兄兼幼馴染を手なづけていたのだ。
いや、毒牙に掛けられていると言った方がが正しいか。
今も光良が手品で出した狐の尻尾をキラキラした目で触っている。
絵面が危ない。
「ち、チノちゃん ? 大丈夫 ? 膝枕しよっか ? 」
「いえ、遠慮しておきます……。ちょっと仕事に打ち込んで現実逃避をするので、しばらくキッチンを覗かないでください……」
「う、うん……お大事に……」
ふらふらした足取りでキッチンに入り、ワンマンで接客と調理をやり始めた智乃。
その姿はアシュラのようだった。
「それで……こーくんはなにしてるの……? 狐の……ハリネズミ……?」
「狐の神様に九尾っていうのがいるんだけど、他にも九十九っていうなんか神様関連の言葉があるんだよ。だから九十九本の狐の尻尾で威厳を──」
「私も詳しくないから強くは言えないけど、多分間違ってると思うよ……」
ご丁寧に狐耳まで生やして、ファンサのごとくマヤにモフらせる。
気づけば外から人が引きよせられてるし、知らないケーキが店の大テーブルを陣取っていた。
「よ〜し、今日は気前よくラテアート解禁しちゃおうかな〜 ! マヤっちはどうする ?」
「じゃあ、ヘラクレスオオカブト ! ケーキのやつと戦えるようにして ! 」
「かしこまりー。ここあはどうする ? 」
「その前に、このケーキって……? クワガタ……? 」
「オウゴンオニクワガタ。下はブッシュドノエル」
「ブッシュドノエルってオシャレなケーキだったよね……? 」
「オシャレなケーキだぞ。クワガタが乗ってるから山の蒸し暑さを感じるだけで」
心愛まで頭が痛くなってきた。
狐の男が作ってきたクワガタケーキと、狐のお供兼妹の友達(妹じゃない)が持ってきたカブトムシクッキー。
加えて、増える客。
「こんにちはー……って、なんだこの大盛況……」
「助けてリゼちゃん !!! 」
キャパを超えた結果、出勤ホヤホヤのリゼにさじを投げた。