オラ!ご注文のキツネうどんだ!!!   作:コントラポストは全てを解決する

7 / 7
ラテアートはコーカサスオオカブト

 智乃と光良の痴話喧嘩……痴話尋問から数日が経ったある日のこと。

 心愛が「チノちゃ〜ん!!!」と相変わらずの明るさで、とあるアルバムを持ってきたところから話は始まった。

 

「ねぇねぇチノちゃん ! これなに ? 」

「あぁ、3Dラテアートですよ。コウさんが作ったんです」

「へぇ〜、こーくんってこんな事も出来るんだ〜。私も出来るようにならなきゃね〜」

「コウさんしか出来ませんよ。私とリゼさんは普通のラテアートしか覚えてません」

 

 どうやら光良秘伝の術らしく、心愛は一層目を輝かせた。

 

「じゃ、じゃあ、これを覚えたら、皆から憧れの眼差しで……」

「憧れの眼差しを買って何するんですか……」

「おねーちゃんになる ! 」

「最近、そういう妖怪になって来てません ? 」

 

 妖怪姉を名乗る人。心愛の見てきた姉がよほど頼れる人なのか、姉に燃える心愛は少し怖かった。

 

「早速こーくんに──」

「コウさんなら出張中ですよ。私が通ってる中学校に行ってるはずです」

「ち、チノちゃんの学校に ? い、一体なにしに……」

「料理部の講師代わりだそうです。部長の子と仲が良いらしくて」

「……チノちゃん、もしかして怒ってる ? 」

「別に……」

 

 ラビットハウスをほっぽって、他所で油を売っているのは面白くない。少なくとも智乃的には。

 それも、智乃の学校は女子校。確実に何かを拾ってくる。

 

「たっだいま〜! ちーちゃん ! 見てこれ ! 料理部の余った材料で作ったケーキ ! 」

「おじゃましま〜す ! チノ〜 ! 遊びに来たよ ! 」

 

 帰って来た光良と、光良が拾ってきた女の子。

 そして、女の子は条河麻耶。智乃は頭を抱えてしまう。

 

「ま、マヤさん……? なんでコウさんと一緒に ? 」

「えっ、学校で料理してたから混ぜてもらって、そのまま。はい、お土産のカブトムシクッキー ! 」

「い、いつから……? 今日出会ったわけじゃないんですよね…… ? 」

「コンタローの事なら、前から話してたじゃん ? 」

「こんたろー……? ま、待ってください。コンたろーってあれですよね ? お菓子上げたら懐いた……とか、結構大きくてマヤさんを乗せて走れる……とか言ってた、犬か何かの……」

「いや、全然人だけど。コンたろーって犬なのか ? 」

「頑張れば狐になれる」

「ほんと !? 見せて見せて !!! 」

 

 ショックのあまり智乃は頭痛を錯覚した。

 目の前の親友が、知らないうちに義兄兼幼馴染を手なづけていたのだ。

 いや、毒牙に掛けられていると言った方がが正しいか。

 

 今も光良が手品で出した狐の尻尾をキラキラした目で触っている。

 

 絵面が危ない。

 

「ち、チノちゃん ? 大丈夫 ? 膝枕しよっか ? 」

「いえ、遠慮しておきます……。ちょっと仕事に打ち込んで現実逃避をするので、しばらくキッチンを覗かないでください……」

「う、うん……お大事に……」

 

 ふらふらした足取りでキッチンに入り、ワンマンで接客と調理をやり始めた智乃。

 その姿はアシュラのようだった。

 

「それで……こーくんはなにしてるの……? 狐の……ハリネズミ……?」

「狐の神様に九尾っていうのがいるんだけど、他にも九十九っていうなんか神様関連の言葉があるんだよ。だから九十九本の狐の尻尾で威厳を──」

「私も詳しくないから強くは言えないけど、多分間違ってると思うよ……」

 

 ご丁寧に狐耳まで生やして、ファンサのごとくマヤにモフらせる。

 気づけば外から人が引きよせられてるし、知らないケーキが店の大テーブルを陣取っていた。

 

「よ〜し、今日は気前よくラテアート解禁しちゃおうかな〜 ! マヤっちはどうする ?」

「じゃあ、ヘラクレスオオカブト ! ケーキのやつと戦えるようにして ! 」

「かしこまりー。ここあはどうする ? 」

「その前に、このケーキって……? クワガタ……? 」

「オウゴンオニクワガタ。下はブッシュドノエル」

「ブッシュドノエルってオシャレなケーキだったよね……? 」

「オシャレなケーキだぞ。クワガタが乗ってるから山の蒸し暑さを感じるだけで」

 

 心愛まで頭が痛くなってきた。

 

 狐の男が作ってきたクワガタケーキと、狐のお供兼妹の友達(妹じゃない)が持ってきたカブトムシクッキー。

 

 加えて、増える客。

 

「こんにちはー……って、なんだこの大盛況……」

「助けてリゼちゃん !!! 」

 

 キャパを超えた結果、出勤ホヤホヤのリゼにさじを投げた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。