ゲの字、人の世に生を受ける   作:ばぐひら/Baguhira

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レフよ、レ/フになる気はないか?



4話 USJ

「私が〜…普通にドアから来た!!!」

 

 

そう勢いよく教室の扉が開かれ、俊典が顔を出す。ご丁寧に、ファンサなのか知らないがシルバーエイジ時代のコスチュームを着けながら

 

 

「うぉ……マジで教師やってんだオールマイト!」

「凄い…一人だけもう画風も違うぜ…!」

「私は今回俊n――オールマイトの補佐役だ。何分そういった事に慣れていないからなこのデカブツは」

「HAHAHA!……補佐お願いねレフ

 

 

俊典の登場により、クラスの面々は分かりやすいほどに興奮を隠しきれていない。憧れを目の前に目を輝かせる子供達の様に………いや、子供達だったな。流石はオールマイト(平和の象徴)とでも言うべきか、やはり素晴らしい人気だ

 

 

「アレは…シルバーエイジ時代のコスチューム!?凄い!」

 

 

緑谷出久がそう口にする。いや、本当に良く分かったな君。ファンとしてヒーローの知識量だけなら他の追随を許さない程に、彼のヒーローへの熱量はイカれてる。いやはや流石に評価するよ。ファンも突き詰めればこうなるのだとね。なに?普通のファンはこう(・・)はならない…?まぁ確かに

 

 

「HAHAHA!さて、君たちの今日の授業はコレだ!戦闘訓練!!!」

 

 

 

 

「良いねぇ!カッコイイぜ有精卵ども!」

 

 

コスチュームを着けたA組の面々が揃い踏み、各々が個性的な良いコスチュームを着けている。あー、いや、緑谷出久と轟焦凍のコスチュームだけはノーコメントだ

 

緑谷出久、流石にオールマイトイメージなコスチュームし過ぎじゃ無いかな?続けば続くほどに少し少しで緑谷出久のコスチュームは変化していくが、最初期はこんなにもオールマイトなコスチュームだったか

 

轟焦凍は…なんと言うべきか。半分を氷で覆うその自身の個性を完全否定するかのようなコスチューム。戦闘に向いているわけでもなく、機能性重視でもなく。自身のしがらみを分かりやすく表しているコスチュームだと言えるだろう

 

2人とも、他と比べてだな……随分と特徴的な(ダサい)コスチュームをしているな…?勿論私の個人的主観だがね?

 

 

「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!!」

「いいや、今回は更にもう2歩踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」

 

 

そう俊典が言う。今回の屋内での戦闘訓練。勿論のことながらこれにはきちんと意味がある。世間一般で見られる敵退治は基本的に屋外だが、統計で言えば凶悪敵の出現率は屋内のほうが高い

 

 

「監禁、軟禁、裏商売……このヒーロー飽和社会…ゲフンゲフン!真に賢しい敵は常に屋内(やみ)に居る!と言うわけで、今から屋内戦を行う!!」

 

 

ルールはこうだ

 

ヒーロー側とヴィラン側に別れた、屋内戦闘を想定とした時間制限ありの2対2の戦闘訓練。ヒーローはヴィランを制圧するか屋内の何処かに隠された核を奪取する、ヴィランは攻めてくるヒーローを制圧するか核を守り抜く事がそれぞれの勝利条件となっている

 

 

「それじゃ、チーム決めをくじで行うよ」

「くじ?つまり適当と言うことですか!?」

「ヒーローは場所や状況によって即席でチームアップを行うことが結構有るからね!それの想定さ!」

「成る程!失礼しました!」

 

 

そうしてくじを各々が引き、チーム分けが終わる

 

……まぁ、チームは原作の時と変わりない。最初のメンバーである緑谷出久と麗日お茶子、爆豪勝己と飯田天哉以外でモニタールームへと移動をする

 

 

「最初は緑谷少年と爆豪少年か…間違いなく激戦となるな」

「そうだな…そういやぁ緑谷くんと爆豪くんは幼馴染だったか、それに彼らの会話を聞けば色々と訳ありなんだろうね、随分と」

「うーん…これは一波乱有り得るかな」

 

 

できることなら面倒臭いことは起こらないでほしいが、原作通り行くのならそうは行かないのだろうな

 

………ん?管制局(本体)からの通信…

 

……………そうか、そうかね。良いだろう

 

管制局からの通信を聞き届け、私はモニターへと視線を移した

 

 

 

 

「おいおいおい…不味いんじゃないかこれ」

「なぁオールマイト!」

「爆豪少年ストップだ!緑谷少年を殺す気か!!」

『当たんなきゃ死なねぇよ!!!』

 

 

戦闘が激化し、爆豪勝己がビルを大破させられるだろう威力の爆発を引き起こす。しかし緑谷出久は間一髪のところで回避をしたようで無事であったが、あの威力はヴィラン側が守るべき核にも影響が及ぶのではないかという懸念と、訓練とは言えクラスメイトに向ける火力では無かったことから、俊典から怒声が響く

 

 

「次その技を使ったら失格だからな!爆豪少年!!」

『ッチ』

 

 

爆豪勝己も本気で理解したようで、納得した態度ではないものの一応飲み込んだようだ。流石の爆豪勝己もオールマイト(平和の象徴)には強く出れないな

 

だが爆豪勝己がそうやって注意された後、緑谷出久もビル上階を力でぶち破るとかいう力技を使用したり、麗日お茶子の彗星ホームランなる技が炸裂したりして、ヒーロー側である緑谷出久と麗日お茶子の勝利で終わった

 

 

「勝ったほうが倒れてて、負けたほうがピンピンしてらぁ……」

「勝負に勝ち、戦いに負けた……というところなのか?」

 

 

まぁあながち間違いではないな

 

そうして緑谷出久は医務室へと搬送された。スマンなロマニ、そっちに行ったから任せるぞ

 

そんな緑谷出久は置いて。戻ってきた爆豪勝己、飯田天哉、麗日お茶子を含めた先の試合の講評が行われることとなった

 

………俊典は何か言いたげだったが、全てを八百万百に言われてしまったな。教師の面目が潰れているぞ俊典

 

こうして2回戦、3回戦と続いていく。特に何かしら見どころがあるわけでもなく、変わらず進んでゆく。クラスの面々は時に魅入り、時に話し、時に情報を交換しあい、時にアドバイスを出し合ったりしていた。向上心が高いのは実に良いことだ

 

時間は過ぎていく

 

 

 

 

「相澤、すまないが少し席を外したい。いいだろうか?」

「あー、いいですよ」

 

 

先の戦闘訓練も終わりオールマイトも帰り、各々が着替えて教室へと戻る。そうしてあっという間に時間帯的にもう既に放課後ではある。そんな頃合いに私は相澤に断りを入れてある場所へと向う

 

場所は……嗚呼、そこか成る程

 

 

「全く、本体(ゲーティア)の気まぐれはいつ起こるか分からん。に、しても………私も気にはなるがな」

 

 

盗み聞きとはいえ、気になるものは気になるのさ。いや、視覚情報としても取り入れるから正しくは盗み見聞き…かな?

 

 

 

 

『僕のこの個性は…人から授かったものなんだ』

『は?』

 

 

『いつかちゃんと自分の力にして、僕の力で君を超える!』

『ンだそりゃ…借り物?どんだけ俺をコケにしてんだ…』

 

 

『だからなんだ!?俺はテメェに負けた、それだけだろうが!!』

 

 

『こっからだ!こっから俺は!……一番になってやる!』

『僕だって君をホントの意味で超えたわけじゃないから……悪いけどかっちゃん、僕が一番になる!』

『言ってろ!俺に勝つなんて二度とねぇよクソが!』

 

 

見る、覧る、観る。そして私は呟く

 

 

「おぉ……正しく青春か」

 

 

…なんだか年寄りの様な事を口走ってしまった

 

フラウロスの視界から、緑谷出久と爆豪勝己の原作シーンを観ている私。緑谷出久が、自身の言ってはいけない秘密を爆豪勝己へ吐露する場面だ。いや本当に、何をしているのか緑谷出久は

 

幼馴染だからと、爆豪勝己だからと、言ってはならぬとオールマイトと契りを交わした筈なのに。罪悪感か罪滅ぼしか、はたまた爆豪勝己の心情を感じ取ったのかは知らないが…何故言うのか、これにはオールマイトも頭を抱えること間違いなしだ、同情もしよう

 

だがこれは理屈ではないのだ。感情論にはなってしまうが、どうしても緑谷出久という人間は爆豪勝己へ己の秘密を言ってしまう。理屈ではなく感情によって

 

それに、ここから爆豪勝己という少年は巨悪との運命の一端を背負う様になっていく。これはこの世界での一種のターニングポイント(転換点)なのだ、だから私も観る必要があった

 

……まぁファンとしての考えが無かったとは言い難いが

 

 

「……ん?あぁ、もういい、引き上げよフラウロス」

 

 

暫く鑑賞していると、フラウロスからこれ以上はオールマイトに気づかれる可能性があると警告が入り、フラウロスを引き上げさせる

 

 

「………ご苦労フラウロス。ん?どうかしたかパイモン――何?そうか、報告ご苦労」

 

フラウロスを労う言葉をかけ通信を途絶する。その時パイモンからの報告が上がってくる。パイモンの報告によると、不審な動きをするオール・フォー・ワンを観測、我々の視界()に捉えたとのこと

 

ついに、か。そうだな。死柄木弔を使うか

 

 

「喜べフラウロス、お前の舞台だ」

 

 

笑みが溢れる。我々の計画に足跡を刻む狼煙を上げるのだ。死柄木弔、原作における緑谷出久の宿敵にして最大の敵。そう、緑谷出久(主人公)死柄木弔(宿敵)が初めて相見える重要な場面

 

原作での盛り上がりシーンだ。だからこそ、それを利用する

 

 

「謎の第三勢力として、初めての仕事だ。気合を入れて臨まねばな………主にフラウロスが、だが」

 

 

 

 

「うぉぉぉぉ!スゲェ!!USJかよ!」

「ここはありとあらゆる事故や災害を想定して僕が作った演習場。その名も……USJ(嘘の災害事故ルーム)です!」

「「「まんまUSJだった!?」」」

「おい相澤これ大丈夫か?特に著作権とかそのあたり」

「俺に聞かないでくれ」

 

 

ここはUSJ(嘘の災害事故ルーム)、A組の皆はUSJの完成度に驚いている、いやどちらかと言えば名前の方かも知れないが。13号のネーミングセンスについて相澤に尋ねるが我関せずの態度を取られてしまう

 

 

「……なぁ、俊典は?今回は来るはずだろう?」

「あ、レフさんと先輩、実はその…」

「………人助けで遅れる?まぁ…はぁ、あの人らしいっちゃらしいが……」

 

 

やはり原作通り俊典は居ないようだ。今回は居られたら困っていたからな、有難いことだ

 

そうして生徒たちの興奮も冷めやらず、13号による演説が行われる。個性の危険性、自身の個性の使い方、その矛先。力の使い方を見誤らずに正しく認識し個性()を行使する。彼女の持論だが、それは大部分のヒーローとしての重要な心構えだ。実際、彼女の言ったことは正しいし、彼女自身の個性からして説得力もある

 

そんな演説を生徒たちは深々と聞き届け、最後には拍手喝采が巻き起こる。私も軽く手を叩く

 

 

「よし、んじゃ先ずは」

 

 

相澤がそう言いかけたその時

 

 

“ズズズッ”

 

 

階段下の噴水前、広場から異音が響く

 

 

「っ!ひとかたまりになって動くな!!!13号は生徒を守れ!レフさん!!!」

「あぁ、こりゃ思わぬ想定外だ」

 

 

相澤は流石というべきか、即座に事態を把握して警戒態勢を取りつつ、13号への具体的な指示と私への声かけ。13号は相澤の言葉に動揺しながらもそれに準じたことからも、流石と言える

 

相澤は首に巻いた捕縛布を、私は杖の様な木の棒を手に取る。明らかな臨戦態勢だ

 

そうして、黒い歪は大きくなり

 

 

「ンだありゃ、試験のときと同じくもう始まってるパターンか!?」

「動くな!アレはヴィランだ!」

「おい、おいおい…オールマイト居ないじゃん…子供殺せば出てくるのかな?」

 

 

ヴィランが姿を現した

 

その時。私の口角が人知れず上がっていたのは、誰の目にも留まることはなかった

 

 

 




◆ゲーティア(ゲの字)
玉座から観戦してる

◆ロマニ・アーキマン(ブエル)
緑谷がまた医務室に運ばれてきたのをリカバリーガールと共に治療した人。ついこの前の説教はやはり意味なかったのかと実感。今回は医務室で一人視界共有して観戦してる

◆オールマイト(八木俊典)
やはり遅れるNo.1。君の友人はなにやら企んでるぞ!

◆レフ・ライノール(フラウロス)
今回、出番が来た人
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