「あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙クソが!!!」
「死柄木弔、落ち着いて下さい」
とあるバーにて。死柄木弔と呼ばれた青年はコップを叩き割り怒りに燃えていた。その腕と脚には応援に駆けつけたプロヒーローの一人であるスナイプから受けた銃痕があり血が滲んでおり、腹にはオールマイトから受けた一撃により青痣が出来ていた
「コレが落ち着いてられるか!!寄せ集めとはいえ数はあった、脳無も居た、相手は餓鬼とそのお守りのプロヒーロー数人。途中
死柄木弔は思い出す。その脳裏には般若のようなオールマイトではなく、駆けつけた複数のプロヒーロー達ではなく、子供でありながら奮闘した生徒たちではなく
「アイツだ、アイツだ!アイツが居たから脳無は満足に動けなかった、そのせいで仕留め切れなかったイレイザーヘッドは今も健在だ。生徒たちに意識を向けるのも難しかった、生徒を殺そうとしたら間に割って入ってきた!!!」
怒りが、憎しみが。強い憎悪となって死柄木弔の内に湧き上がる。弔自身、
死柄木弔はヴィランである。気に食わないのなら壊せばいい、今までもそうしてきたからこそ
だがその対象は既に居ない。レフ・ライノールの言う男は既に死んでいる。ならば、その男が命を賭して護ろうとしたものを壊す
「オールマイト……あの餓鬼共もだ……殺そう、殺してやろう。絶対殺す、殺す殺すコロすころすコロス……!!!」
『血気盛んだねぇ、弔』
「……先生」
声が聞こえる。バーに設置されていたモニターが点灯して男が映し出され、死柄木弔はその人物に先生と呟く
『やる気があるのは良いことだ、ただ少し急ぎ過ぎだ。大丈夫だよ弔、また次がある。今回は使った部下が弱すぎたのが原因さ』
「あぁ、あぁ……あいつら、ホントに数だけだった、子供相手に情けねぇ、恥ずかしいぜ敵連合!!」
『そう、だから強い仲間を集めなさい』
「あ?」
『部下が強ければ起こらなかった事態だろう?』
そう優しく諭すように、子どもの癇癪をなだめる大人のように語り掛ける
『じゃがあの脳無も貸し出したと言うのに…それほどまでに引率のヒーローは強かったのか?それともこちらの予想以上にオールマイトが弱っていなかった?というか弔よ、脳無はどこじゃ?』
男とは違うもう一つの声がする
「脳無ならオールマイトに成す術なくふっ飛ばされたさ、回収も間に合わずに向こうに取られちまった」
『なぬ!?あの脳無は全盛期のオールマイトのパンチに耐えられるよう設計したのにか!?まさか……』
「ドクター、死柄木弔の言っていることは正しい。確かに脳無はオールマイトとの一対一の末に建物の遥か彼方へと殴り飛ばされ、現在では警察の手に渡ってしまっています」
『いやなにも嘘だと疑っているわけではなくてな?だがしかしそうか………ぐぬぬぬ…惜しいことをしたもんじゃ、アレは今までに比べて最高の出来だったと言うのに』
『ハハハハハハ!まぁ仕方ないさ、彼がこちらの予想を超えただけだからね。良くやったよ弔は』
ドクターと呼ばれた老人が悔しそうに言うが、そんなドクターを横目に男は笑う。普段の彼の笑いには一切の喜楽は無く、いっそ無機質と感じ取れる笑いだが、今回のは違う。それこそ心から愉しくて笑っていた
先生と呼ばれたその男――オール・フォー・ワン――は、思考を巡らせ想起する。それは勿論
オール・フォー・ワンは実は死柄木弔のUSJ襲撃の際、個性を用いてその状況をリアルタイムで観戦していた。死柄木弔は彼にとって大事な後継者…いや、後継機であり、大切な後釜であるからこそ、死柄木弔がヴィランとなり初の大仕事を後ろから観察していた。勿論本当に危なくなったら介入しただろう
そうして臨んだUSJ襲撃。その結果はオール・フォー・ワン個人としてはとても愉快な結果に収まった。死柄木弔がその自らの手で
柄にもなく笑みが溢れた、有頂天とはこの事か!
まぁつまるところ、オール・フォー・ワンは機嫌が良かった。それこそ失敗しやさぐれる死柄木弔に対し「良くやった」と労いの言葉を掛ける程度には機嫌が良かった
『レフ・ライノールは死んだ、これは大きな成果だよ』
オール・フォー・ワンはレフ・ライノールについて毛程の情報しか知り得ていない。時計塔という組織から来た無法者、ヒーローで無い身でヒーロー免許を取得し、町中のヴィランを退治し市民を守る、オールマイトの
「………あぁ、そうだ、殺した。あのクソもみあげを殺して、餓鬼のお遊び感覚でやってたヒーローの卵共に現実見せつけて、担任教師のイレイザーヘッドの片腕は折った、13号は大怪我だ。んでもってこっちは失っても痛くも痒くもない雑魚共を失った…脳無を失ったのは痛手だな」
死柄木弔の目に光が――いや、殺意が宿る。持っていたグラスを五本の指で触り、瞬間そのグラスが壊れる。狭まっていた思考が、霧がかったソレが一気に晴れた
「そうだ、なにも難しい事じゃない。餓鬼にも分かる事だ。気に入らない、だから全部、壊そう…この腐った社会ごと」
悪辣な笑みを浮かべて確かに、そう呟いた
■
「微量感染とはいえ私の邪視の精神汚染を跳ね除けた……?」
光帯。
「流石は
「フハハハ!そうでなくては面白くないだろう、フラウロス?」
「あぁ、最もだとも」
軽度の精神汚染とはいえ、まさか精神力――いや殺意で上書きされるとは思いもよらなかったことだ、流石に想定を通り越した
私は死に間際、邪視により少し死柄木弔の精神に細工を施した。それはレフ・ライノールという人間に対する過剰な悪意、勿論それに本人が自主的に気づくことは出来ない。そして怒りの矛先を失った時、自然的にヒーロー科A組へと向う
何故そんなものをわざわざ施したのか?簡単だ、レフ・ライノールという人間が居たことにより発生しなかったイベントのフラグ回収だ
原作だと緑谷出久は死柄木弔達に対して攻撃を仕掛け、その時に「SMASH」と口から出たことで死柄木弔から「お前、オールマイトのリスナーか?」と言われる。そして、それが死柄木弔にとって緑谷出久を始めて認識した瞬間である
まぁ要するにだ、原作で集めるはずだったA組へのヘイトを私が全部掻っ攫ってしまったから改めてそのヘイトをA組へと向けたわけだ
「なんだか私のやった事が徒労に終わりそうで泣けてくるな、全く」
〘ははは、まぁ過程はどうあれ、あるべき形へと収束したんだからいいんじゃない?〙
「おいロマニ。それ結局のところ私の取り越し苦労ではないのか?」
念話の向こう側で言葉を返される。私は今現在
〘はいはい、わかりましたよ〜っと〙
〘ハハハ!団欒中に失礼するよ諸君!私も話に混ぜてくれないカナ!〙
「うん?バエルか?」
〘確かに私はバエルだが、今は別の名があるのでネ、どうかそっちで呼んで欲しい。犯罪界のナポレオン、ジェームズ・モリアーティと!〙
話ていると、突如としてバエル――いや、モリアーティが
〘あるべき結末への事象の収束、この世界に修正力は無いと仮定していたが、これは考えを改める必要がありそうだ。ただ型月と違い世界の修正力ではなく作品の修正力と、そう分けて考えたほうが腑に落ちるねこれは〙
〘あー、そういう小難しい話は僕の専門外だなぁ〙
「ふん、端からロマニにその辺の頭を期待していないから別にいいさ」
〘キミィ中々に辛辣だネ!?〙
〘ははは、だからお言葉に甘えるよ。僕は言われたことをしっかりやるだけだ〙
魔神柱序列1位バアル、またの名をバール、バエル。GrandOrderにおいて1.5部に悪の親玉ジェームズ・モリアーティと共に黒幕として登場した、時間神殿より生き延びた魔神の一柱
私やロマニと同様、我ら魔神柱の中には個々としての人の形を取っている者がある程度存在しており、そしてそれはこのバアルも同様。彼にとって一番親和性の強い個であったジェームズ・モリアーティ、それも
ここで疑問に思うだろうか。なぜ魔神柱たる我々が、わざわざ人の規格に収まるようスケールダウンしてまでそのような形を取るのか?それ解は至ってシンプル、難易度調整のためである
はっきりと言おう。魔神柱の一柱に対してプロヒーロー数人がかりでなんとかと言った具合、いや、勿論のことだが足止めがなんとかと言うところが精々関の山。
我らは第三勢力なのでありこの世界の主人公ではない、そういう第三勢力は体制や活動方針などもものにより多岐あるが、基本的に淘汰されるものであると考えている。主人公より強くあってはならないし、かと言って薄れるインパクトでもいけない。この
だからこそ人間に打倒できる範囲である者共に合わせる。それに魔神柱の見た目は総じて悍ましいものなので、色々と配慮した結果だと言えよう
「で、そっちはどうだモリアーティ?」
〘ん?あぁ、問題ないとも。ただあの面々は私が下せる者たちではない、協調性が無い連中なのでね!諌めるのがそろそろ限界に近しいカナ!〙
「…問題がないとは?」
〘仕方ないよね、うんうん…〙
モリアーティ含め数人には、次の計画に参加してもらうことになっている。そしてその司令塔としてモリアーティを採用しているのだが…悪属性と言うのは全く、総じて一癖二癖ある連中ばかりだ。我らの変容はその在り方にさえ干渉していくものである為に、そういう面では不便であると言えるだろう
〘ねぇモリアーティ〙
〘ン?なにかなロマン君?〙
〘やっぱりさ、組織名とか考えてたりするのかい?〙
「組織名?いるかそれ?」
〘レフはそういう所、適当で雑だよねぇ…〙
〘ネー〙
なんだ、今疎外感を感じたぞ
〘んーー……そうだなぁ……よし、決めた!〙
〘お、なになになに?〙
〘折角だし名乗り的なあれで………あーおほん、少しカッコつけて…………
――我ら72の魔神なり。連ねる名を
バアル
ハーゲンティ
ベリト
グレモリー
今此処に、我らを示す名を印そう
幻影魔人同盟!!!
それ即ち、人と魔神の同盟である!!!――
……………ってのは、どうかね?我ながらいい感じだと思うのだが?〙
「いや丸パクリじゃないか」
〘良いじゃないか!だってカッコイイんだもーん!〙
〘いい年したアラフィフが「もん」って…〙
おいロマニ、お前も人のこと言えないだろう。この前「あわわ…」とか言ってるの聞いたぞ私。自分で「あわわ」を口でいう30あたりのオッサンである君も大概だ
〘良いじゃないかそれくらい!自由な言葉を言えなくなったのかなこの国は!そういう常識はんたーい!悪に満ちた世の中に変えろー!ッてガフゥォォォォ………あ、ぁ…腰…腰がぁ…ぁ……………ジャック・ザ・リッパーくん、お願いだから…体当たりしないでってオジサン何回も言った………よネ?ピンポイントで腰なの、分かる?え?遊んで?いやそれならそこに居るお姉ちゃ――ってアレーだぁれもいなーい!?待機命令出したばっかりだよね!?……え?
〘………〙
「………」
念話が切られる。まぁ、あぁ、うん
「ロマニ、今からそっちに行くんだが、今大丈夫か?」
〘あぁレフ、今は時間も時間だし誰も居ないさ〙
「よし来た、少し語らおうじゃないか。君がさっき食べていた菓子も出してくれ」
そうして私はその日、ロマニと共に談笑に勤しんだのだった
◆死柄木弔
レフにいつの間にやら邪視による精神汚染を受けていた模様。殺意で上書きした
◆オール・フォー・ワン
オールマイトの苦しむ顔を見られてウッキウキ
◆ジェームズ・モリアーティ(バアル)
新宿のアラフィフ。悪特性の集いである幻影魔人同盟のまとめ役、何故なら一番向いているから。ジャック・ザ・リッパーと良く遊ぶ(遊ばれる)姿が確認されている。腰が弱点。幻霊マックスと融合したモリアーティを参考に変容しているために、クソデケェ棺桶から適当に振り回すだけでなんか当たる銃弾やら爆発物やら。これにはアラフィフもニッコリ
◆ロマニ・アーキマン&レフ・ライノール(ブエル&フラウロス)
一緒にお茶した
◆ゲーティア(ゲの字)
今回ロクに出番無し