The Blank Card   作:カナヤン

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みんな子供だった

 

アヴドゥルさんがジョースターさんを呼びに行ったまま、なかなか戻ってこない。

道端でおままごとをしている女の子たちを見ていたら、なんというかお家の人間関係が見える会話をしている。ポルナレフは子供は無邪気でいいなんて言ってるけど、この子たちのセリフ聞いてた? 要約すると夫の出かけてる間は羽伸ばそうってやつだよ?

 

「ジジイとアヴドゥル、やはり遅すぎるな…。敵と遭遇しているのかもしれん」

「ちょいと見に行った方がいいかな」

「ああ。やれやれだがな」

「何でもないといいんですけど」

 

2人ともホテルにはいなかった。正面からは出ていないけど、出入り口は他にもある。

ジョースターさんたちが何も言わずに出かけるわけがない。きっと何かがあったんだ。

 

街の中を探すが、ルクソールは観光客も多い。ジョースターさんがいたらハーミットパープルで簡単に探せるんだけどな。

 

「おい承太郎ッ! 晶ッ! 敵だッ! 敵があらわれやがった!」

 

ポルナレフの叫び声に振り向いた――が、ポルナレフがいない。

あたりを見渡すが、姿がない。先輩と顔を見合わせた。

ポルナレフは無鉄砲なことをする事もあるけど、大概のことは切り抜けられるだけの強さがある。わずかな間にどうこうするのは難しいはずだ。

 

近くの路地を探していると、こちらを見ている男の子がいる。

 

「おい、坊や…今……この辺でフランス人の男を見なかったか? 身長はこのぐらいで、君にちょっと似た髪型をしているんだが………」

 

あれ? この子……。

 

「そっそれは僕だッ! 僕っ僕っ」

「やれやれ、子供に聞いたのが間違いだったぜ」

 

いや、ちょっと待って。この子の格好!

何故かぶかぶかの服を着ている。靴も大人のサイズだ。

……ものすごく見覚えのある服と靴なんですが。よく見たらピアスも同じだ。

 

「なにしてんだ、柏木。ポルナレフを探すぞ」

「先輩、この子見てくださいよ。服も靴も、ピアスまでポルナレフと同じ!――君、お名前は? 私たちのこと、知ってる?」

 

服装だけじゃない、髪や瞳の色もポルナレフと同じだ。

 

「僕、ジャン・ピエール・ポルナレフ……知らないお兄ちゃんたちだけど、きっと助けてくれるって思ったんだ」

 

やっぱりポルナレフだ!可愛くなっちゃって……じゃない! なにこれ、どうなってるの⁉︎

 

「お前がポルナレフなら、スタンドを出せるはずだ」

「……これでいい?」

 

先輩の言葉に、ポルナレフ(ミニ)がスタンドを出した。シルバーチャリオッツも小さい。

記憶も後退して私たちの名前も忘れてる。でも、間違いなくポルナレフだ。

っていうことは、これは……

 

「子供にするスタンド使いか」

 

そんなスタンドもあるんだ……本当になんでもありだな。

 

「誰にやられたかわかるかな?」

「頭に鈴をつけたヘンな髪型の男……影みたいなスタンドに自分の影を触られるとこうなるんだ」

 

それだけわかれば上等! 返り討ちだね――多分先輩が!

ポルナレフ(ミニ)を挟んで、先輩と背中合わせになる。

強い日差しに砂埃が舞った。午前の陽に、影は長く伸びている。

――いた。髪の先に鈴を付けた男が物陰からこちらをうかがっている。

 

「先輩から見て5時の方向、20メートル先」

 

小声で言った瞬間、スタープラチナがノーモーションで何かを投げた。

 

「ぐあッ!」

 

チリン! 鈴の音を立てて、男は沈黙した。

小石ひとつあるだけで強いんだよ、先輩のスタンドは。ちょっと羨ましい。

 

「……助かったぜ。ありがとよ、二人とも」

 

ポルナレフがミニじゃなくなった。元に戻って何よりだけど、可愛かったのにな。

 

一応、相手の様子を確認した方がいいかな。近づいてみ……ふいに、影が蠢いた。違う、スタンドだ!

 

「柏木!」

「晶!」

 

咄嗟に飛び退くが、遅かった。

世界が急に高くなる。手が、足が、小さい!

 

「トドメをさせたか確認に来たのか?偉いね〜」

 

見上げた男は、ニタニタと嫌な笑いを浮かべている。こちらに手を伸ばして、私を捕まえる気だ。

失敗した――敵の前で油断するなんて……敵? 敵ってなんで? でも、こいつに捕まったらダメだ! 

逃げなきゃ……ぶかぶかの服で走りづらい――もう追いつかれる!

 

私には守護霊くんがいる。

でも――今まで、誰かを傷つけたことはない。どうする? 

……迷ってる暇なんてない!

 

空気がふるえる。周囲の景色が、まるで水の底みたいに波打った。

次の瞬間、手を伸ばしてくる男の人は、空に向かって落ちた。

 

「な、なんだこれはァ――ッ!」

 

守護霊くんの力の伸びる2メートルに届くと、地面に落ちてくる。そしてまた、宙を舞う。

 

「油断しすぎだぜ、柏木」

 

陽の光を背に、学生服の影が伸びた。初めて見る人のはずなのに、知ってる。どうしてだろう、もうなにも怖いことなんかないって思った。

名前を呼ぼうとしたけど――出てこない。

 

「オラオラオラオラオラオラッ‼︎」

 

青い巨人が目にも止まらぬ速さで拳をくり出し――うわ、戻った! 

 

「大丈夫か、晶」

「ポルナレフ……ごめん、油断した。これ、怖い能力だね」

「全くだ」

 

「ガキに手を出すんじゃねえ、クズが」

先輩の声とともに、スタープラチナが最後の拳を叩き込んだ。砂煙の舞う中、今度こそ男は沈黙した。

 

朝からなんて始まりの日だろう。ジョースターさんたちに報告しなきゃね。

あちらは何事もないといいけど、多分そうじゃないんだろうなあ。

 

……先輩だけ子供にならなかった。不謹慎だけど、ちょっとだけ見てみたかったかも。

可愛かったと思うんだよね。

言ったら無茶苦茶怒られそうだから言わないけどさ。それでなくてもカラクリのわかってる罠に引っかかったばかりだし。私は空気を読める女だ。

 

「子供の晶は可愛かったな〜!承太郎、オメーにもあんな可愛い頃があったのかァ?想像つかねーな!」

 

ポルナレフ――! 伝説の読める空気を探しに行け!

 

 

ほとんど同じ頃、やっぱりジョースターさんたちも敵スタンド使いの襲撃を受けていたそうだ。本っ当に油断も隙もないなあ!

 

 

 

 

 

 




もう少し若返っていたらスタンド発現前なので、普通に人質コースでした。
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