The Blank Card   作:カナヤン

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本編中の小話を時系列順にまとめました。


小話

 

【シンガポール出発後のあたり】

 

「お前ら、日本に恋人とかいないのか?」

 

列車での移動中、ポルナレフがぶっ込んできた。

 

「いませんね」

「くだらねえ」

「いないけどさ、急になに?」

「いや〜、若人は恋するべきだぜ! そうだな〜、晶、この中じゃ誰がタイプだ?」

「うわ、ピンポイントできた」

 

見なよ、花京院くんがゲジゲジでも見るような目でポルナレフを見てるよ。

 

「この狭〜いメンバーの中で聞かれても」

「まあまあまあ、ifだよ、if!軽く考えろって!」

「そう言われても実質二択じゃん」

「俺は⁉︎」

「ポルナレフはお兄ちゃん枠なんで却下」

「…そ、そうかぁ、へへっ」

「当分そういうのはいいかなぁ。まあ、そんなこと言うなら自分以外のみんなが女性だったら誰がいいか想像してみなよ」

「「「「「え」」」」」

「なんだったら外見は自分の理想よりに美化して想像してさ、ifだよ、 if!軽く考えて」

 

みんな結構な美人になると思うんだけど、どうかな?

 

列車の音だけが響いた。

誰も口を開かない。

 

「……ええー」

 

 

 

 

 

【インド到着よりは前、どこかの街中】

 

「あ、猫がいる!」

 

タイヤの陰に座る猫に、手を差し伸べる。そんなとこに居るとあぶないよ〜。

チチチ、と呼びかけ………ん?ビニール袋だ、これ!

ハッと後ろを振り向く。誰も見てないよね⁉︎…ハイ、ばっちり先輩と花京院くんが見てましたね!

 

「か、可愛い猫だね、柏木さん」

「気づいてんなら教えてよ!花京院くん!」

 

先輩は明後日の方を向いてるが、ちょっと口角が上がっている。

 

「笑いたければ笑うといいですよ、先輩」

 

次の瞬間、先輩と花京院くんが堪えきれずに吹き出した。

うわー、空条承太郎のレアな笑顔だよ!…いや、全然嬉しくないから!

 

 

 

 

 

【死神戦の後、砂漠で野営中】

 

砂漠の夜は、昼間の熱気が嘘のように消え失せていた。

空気は冷たく乾いていて、焚火の暖かさが心地良い。

あたりに人家の灯りはなく、月と焚火の明かりだけが地上を照らしていた。

見上げれば、満天の星が息を呑むほど近い。こんな夜空は日本では中々お目にかかれないだろう。本当に遠くに来たものだ。

 

「なあなあ、晶。あれ、俺もやってみたい」

「あれって?」

「花京院とブワッと空を飛んだだろ。あれだよ、あれ」

「おお、いいのぉ!わしも飛んでみたい」

「僕も周りを眺める余裕なかったからね、空から砂漠を見たいな」

「…そうだな」

「良いですね、じゃあみんなで飛びましょう。不安なら手を繋ぎましょうか?」

「落とさないって信じてるぜ、晶!」

 

ま、落とすようなヘマはしないけどね!

 

「行きますよ」

 

念のため、声をかけてから上空へ飛んだ。百メートルほどの高さで静止する。焚火は遥か遠く、点のようだ。

 

「おお〜、こりゃ凄え!」

 

ポルナレフが歓声を上げる。どこまでも続く砂の海は、月に照らされ銀色に輝いていた。遠く地平線で星空と大地が混じり合う。空が近く、星が手に取れるようだ。

言葉もなく見惚れていたが、上空は思ったよりも風が強い。寒いな…。

 

「おい、人を風除けにするんじゃあねぇ」

「いや、先輩ちょうどいいとこにいたんで。寒いんですよ!」

「風邪を引かんうちに戻ろうかの」

 

ジョースターさんの言葉に、そろそろかと地上へ戻る。みんなはまだまだ平気そうだけどね。やっぱり筋肉か。筋肉は正義だ、裏切らない。

 

「すごい光景でしたね」

「……悪くねぇな」

「ありがとよ、晶!」

「こんな大っぴらに空を飛んだのは私も初めてだよ」

 

日本でやったら大騒ぎになっちゃうだろうしね。

でも、また飛んでみたいな。今度はもうちょっと厚着してさ。

 

 

 

 

 

 

 

【砂漠で野営中】

 

夜も深まり、砂漠の冷気が体を刺す中、焚き火の周りでそれぞれが静かに思いを巡らせていた。

 

しばらくの沈黙の後、少し前から心を占めていることをポツリとつぶやく。

「うどん」

 

一瞬、火の爆ぜる音だけが響く。皆が顔を見合わせた。

「えっ」

 

「蕎麦」

「柏木、テメェやめろ」

空条先輩、気付きましたね?私の言いたいことを。

 

「塩むすびと豚汁」

「あああああ」

うん、花京院くんももうわかったよね。

 

「クソっ、生姜焼き」

「承太郎まで…! ああもう、鯖の味噌煮! コロッケ!」

ハハハッ、二人とも道連れだから!

 

「どうしたんじゃ、3人とも」

ジョースターさんは首を傾げている。ポルナレフは、あ〜、みたいな顔をした。思い当たることがあるんだろう。

 

3人揃って叫ぶ。

「「「普通の日本のご飯が食べたい!」」」

 

ピラフじゃない白いご飯が!

味噌が、醤油が、出汁の味が恋しい!!

焚き火の炎が揺れる中、砂漠の静寂を突き破る日本人魂の叫びだった。

 

 

 

 

 

 

【時系列不明、旅のどこかで】

 

柏木晶の質問

「もしもだけど、私が悪のスタンド使い(笑)になったらどうする?」

 

花京院典明の場合

「その場合でも、柏木さんの家族を人質に取るのは効果ありますか?」

「……いきなり鬼畜な対処法やめてあげて!」

「趣味の悪い質問するからですよ」

うん、ごもっとも。

 

 

ジョセフ・ジョースターの場合

「悪wのwスタンドw使いw 007の悪役みたいじゃの!www」

ジョースターさんのツボにハマってしまったらしい。あれか、幼稚園児がショッカーのマネしてるのを見ちゃった感じか。言葉選びを失敗したようだ。

 

 

モハメド・アヴドゥルの場合

「道を踏み外した仲間を正気に戻すのも年長者の務めかな」

アヴドゥルさんの指先に炎が揺れた。

教育的指導が脳筋すぎる。

 

 

ジャン・ピエール・ポルナレフの場合

「………………」

無言で固まってしまった。

ご、ごめん!嘘だよ!そんな悲しそうな顔すると思わなかったんだ!

 

 

空条承太郎の場合

「俺の母親一人見殺しにできねえやつには無理ってもんだ。ま、百万が一そうなったら止めてやる」

「えーと、それはオラオラで?」

先輩の口角があがっている。この人も脳筋だった。

「晶ちゃんか弱いから死んじゃう」

「自分の名前をちゃん付けするな、うっとおしいぜ」

 

 

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