The Blank Card   作:カナヤン

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憎きもの

 

DIOの館を探す聞き込みは続く。地元の人によると建物の雰囲気から建てられたのは百年以上前だろうという事だった。この辺りから南を探せばいずれ見つかる、カイロは南の方ほど古い建物だからと。

 

「何か感じるんじゃ。この近くだ…近いぞ…。この近くにやつが潜んでいる感覚がする。絶対いる、この近くに」

 

ジョースターさんと空条先輩は厳しい顔をしている。2人にはDIOの気配のようなものが感じられるんだそうだ。それは裏を返せばDIOも彼らの気配を察知するという事だ。

近づいている。この旅の目的地が。

 

 

「……尾行してるやつがいるな」

「なにッ」

「そこの路地から回って探してくるぜ。おめーらはそのまま歩いててくれ」

「気を付けて、ポルナレフ」

「深追いはするなよ」

 

今の私たちを尾行するのはDIOの部下だろうし、おそらくはスタンド使いだ。

DIOの館から出発したという9人のうち、すでに倒したのは7人(自滅含む)。まだ2人残っている。その他にもいたっておかしくない。

 

ポルナレフの単独行動か……。大丈夫かな。

 

「ポルナレフは尾行してるやつを見つけたかな?」

「後ろに回りこんだなら挟み撃ちできるかもしれんぞ」

「行ってみるか……おい、ポルナレフ、尾行してたヤツは見つかったか⁉︎ どうした? ポルナレフ。返事がないな」

「…急いだ方がよかったりして」

 

急ぎ足で来た道を戻る。

 

「おい! 聞こえているのか⁉︎ ポルナレフ⁉︎」

 

――いた。壁に寄りかかるように立っている。

 

「なあんだ…そこにいるんじゃあないか。どうした?

尾行者はやはりいたのか?」

「び…尾行者はいなかったぜ……。俺の気のせいだった」

 

なんか引きつった顔してない? え?もよおしたからって、立ちションするって…普段あんなにトイレにこだわってるのに。

引きつるを超えて顔芸が始まってる……。これ、何かを伝えようとしてる? ……後ろに何かあるなら回り込めばいいかな。私なら建物の上から行ける。

 

「どうかしたか? 顔をひきつらせて。ベロが痛いのか?」

「いや、後ろの物影に何かあるという…………」

ジョースターさん、アヴドゥルさん、それ声に出しちゃダメなやつー!

 

その時、くしゃみでバランスを崩したポルナレフの背後から何者かが現れた。

頭にはテンガロンハット、西部劇のような目立つその姿。――ホル・ホース(憎)だった。

インドでアヴドゥルさんを殺しかけ、パキスタンでは私たちの車を乗り逃げしたあいつだ!

性懲りも無くまた襲ってきたのか。ここで会ったが百年目ってやつだ、ホル・ホース(憎)! 墓場を歩かされた恨みは忘れてな……

何かに弾き飛ばされた。

え、な――

叩きつけられ、そのまま世界が真っ黒になった。

 

 

「……ら、晶ッ! 大丈夫か⁉︎ 」

「………アヴドゥルさん? 何がどうなって……イタタタタ」

「立てそうか?」

「あ〜、大丈夫です、なんとか」

 

さっきの衝撃はトラックに跳ねられたものだった。あちこち痛いけど、これで済んだのはまだ幸運だったと言えるだろう。手足を動かしてみる。骨折とかは無さそうだ。

……アザだらけだろうけど。

 

トラックの事故のせいで人が集まってきている。警察が来ると面倒な事になると急いでその場を離れた。

この騒ぎでまたもホル・ホース(憎)には逃げられるし、散々だ。

何だか中途半端な襲撃だった。おかしな感じだ。何がしたかったんだ、ホル・ホース(憎)は。いや、私たちを殺しに来たんだろうけど。

 

救急車のサイレンが聞こえる。普通なら私たちも病院行った方がいいような気もするんだけどな。

またしてもジョースターさんの波紋治療のお世話になりそうだ。

背中とかめちゃくちゃ痛い。

 

「おい、ところであのクソ犬はどこへ行った?」

「イギーか。どこかで拾い食いでもしてんだろう……」

「だからあいつは役に立たないと言ってるんですよ」

「何言ってるんです、アヴドゥルさん。日々あの可愛さで癒してくれてるじゃあないですか」

「…………」

 

誰も何も答えない。なんでさ! 

いいですか、犬の素晴らしさ、可愛さというものはですね、ちょっと、聞いてる⁉︎

 

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