テスト勉強等々で遅れてしまいましたァ!!
前話で「火事場のクソ力をベルくんが出せるのはおかしいだろうがよい」という指摘を頂きましたが、安心してください。ちゃーーんと納得できる説明を致しますのでね!
ロビンやアタル兄さんの謎理論ではありませんのでね!
───ベルとミノタウロスの闘いが始まるよりもほんの少し前
崩落した壁の向こうでは、二人の男が火花を散らしていた。
1人の男は、猛々しく吠えながら2振りの大剣をまるで双剣のように振り回し
もう1人の男は、振り下ろされるその剣戟を冷静に捌く
まるで"静と動"
だが二人の闘いから生じる金属が擦れ合うような音、衝撃は薄暗いダンジョンの狭い空間を揺らした。
終わりがないように思えるほど、幾度となく剣戟が繰り返される。
だが、ここで───
「ターーッ!!」
ドガッ!!
「ッ!?ガハッ!!」
──戦況が明らかに動いた。
クロエは急接近しオッタルの懐に入ると、強烈なエルボーを顎へと叩き込んだ。
攻撃を捌くだけの状況から、いきなり攻めへと転身した相手に対応が遅れ
オッタルはその攻撃をモロに食らってしまった。
その威力に思わずグラつくオッタルだが、クロエはその瞬間を逃すような男ではない。
体勢が崩れたその隙を狙い、左腕をいわゆる腕挫腋固の如く捉える。
そして
「ふんっ!」
ガガァン!!
固めたまま左腕を捻るように、オッタルの胴体をまるで地面に倒れ込むかの如く叩きつけた。
その瞬間、関節の破壊される生々しい音が静かに響いた。
「グボ……ッ」
オッタルは左腕が肩ごと破壊され使い物にならなくなったことに加え、叩きつけられた際の威力が肺を直撃した為か、思わず呻き声をあげてしまう。
さらに、左腕が破壊されたことにより、自然に大剣が手から抜け完全に左の大剣を手放してしまった。
だが猛攻はまだ終わらない。
クロエは気を取られているその隙に素早く足へと移り、体を後転させながらオッタルの右足を取った。
そして、倒したオッタルの右膝を両足でロックしつつ、直ぐさま両腕を使って右足首をも極めてしまう。
「クロエローリング・ピアートクラビィーチ!」
これこそ足首と膝の両方に大ダメージを与える、人間界の格闘技では禁じ手にされてしまうほど大変危険なオリジナルヒールフック【クロエローリング・ピアートクラビィーチ】である。
「ヌガァ〜〜~ッ!」
メキメキと音を立て、足首と膝から脳に直接流される強烈な痛みと危機信号にオッタルは苦悶の声をあげる。
しかしクロエは技の威力を落とすような事はしない。
容赦なくオッタルの右足を折りにかかる!
メリメリメリ……!!
「ぐぉぉおッ!?!?」
苦悶の声をあげ続けるオッタルの脳内には、完全に右足が折られ自身が地に倒れ伏すビジョンが浮かんでいた。
何よりも速くこの技から脱出しなければ、もう闘いも女神の意思も遂行することは出来ない。
痛みと危機感によってぐちゃぐちゃになった思考の中、自分の右手に握られている大剣が目に止まった。
オッタルは、半ば死にものぐるいでそれをまるでナイフのように持ち替えた。
「ぬぅんっ!!」
そうして突き刺すように振るわれた大剣は、それの構えの時点で直ぐさま技を解き後ろへとクロエが距離を取ったことによって無残にも空を切ったものの、何とか強引にオッタルを技から脱出させた。
しかし──
(立てない…!?)
オッタルは立ち上がることが出来なかった。
たとえ剣を地面へと突き立て、杖のようにしようとしたとしても破壊された左腕と、破壊されかかった右足がまるで連動したかのように「立ち上がるな」と警告する。
嫌な汗が流れ、ぜぃぜぃと肺は盛んに空気を求める。
オッタルにとって初めての経験だった。
今までモンスター、冒険者、闇派閥の構成員などの様々な相手と闘ってきたが、目の前の相手はそれらとは一切違った。
モンスターのように本能的ではない。
冒険者のように感情的ではない。
闇派閥のように悪辣ではない。
まるで、解体されているかのようだった。
初めての邂逅した時、目の前の男はまるで過去に超えた
だが今は違う。肉屋が肉塊を難なく解体していくように、目の前の男はどうすれば自分が解体されるのかが分かるのだ。
たとえそうなら、自分はまるで───
───解体される家畜ではないか?
「立ち上がらない方が良い。お前の左腕はこのファイトでは使い物にならない、それにその右足はもう折れる寸前だろう」
「ッ!?」
「早くギブアップすることだ。しないのならオレはお前を体を破壊し続ける!」
その言葉が、オッタルを再び奮起させた。
「負ける訳にはいかん…!!あのお方の顔に泥を塗るような真似は…絶対に…!!」
右足はもう殆ど使い物にはならない。だがまだ右腕が剣を振れる、左足が地を蹴れる、まだこの剣が、体が、意地が残っている!
「オォォォォォオ!!!!」
オッタルは駆け出した。
まるでそれは相手へと突進する猪のようだった。
たとえ今の己が【猛者】とは、団長とは思わぬほど無様なものだとしても。
たとえこれが意味のない足掻きだとしても。
オッタルは、冒険者であった。
目の前の未知に、冒険せずにはいられなかった。
だが、冒険とはいつでも上手くいくというものではない。
「なんのーーっ!!」
ガシィッ
クロエはその突撃を懐に入りガッチリと受け止めた。
そしてそのまま肩に担ぎ──
「ジェットライナーー!!!!」
───己と仲間を分断していた壁へと投げ飛ばした。
その衝撃で舞った土煙が収まり、オッタルの視界が晴れる。
朦朧とする視界の中で見つけたのは【ロキ・ファミリア】の面々と、主神の望みの為に、自分があの男と分断させミノタウロスを相手にさせた傷だらけのあの冒険者だった。
驚いたようにこちらを見ていることから、あのミノタウロスを倒し自身の主神の望み通り『偉業』を成し遂げたのだろう。
(フレイヤ様の……第一の望みは…果たされたか…)
残るは、己の渇望のみ。
オッタルは向こうから歩いてくるあの男を真っ直ぐ見つめ、半ば無理やり立ち上がる。
そして───
「【銀月の慈悲、黄金の原野、この身は戦の猛猪を拝命せし──!」
目の前の男に、共に本気と全力をぶつけ合おうと呼びかけるかの如く、高らかに詠唱を始めた。
「待つんだ!君がここでそれを放ったら──!」
「てめぇら全員逃げろ!!アイズもそいつ連れてこっち来い!!」
遠くからの声は何も聞こえてこない。……いや、意識する必要がない。
全てはこの一撃の為に……!!
「────駆け抜けよ、女神の真意を乗せて】!!」
すると目の前の男の様子が変わった。
両手の拳からは四本の鋼鉄の爪が飛び出し、無表情だったあの顔は笑うように口を開いている。
「身は弩弓のように、拳は矢の様に回打し──敵を穿つ!!」
そして、飛び上がり
こちらへと回転しながら突っ込んでくる!
(それでいい…!!)
「これこそ我が至高の一撃!!【ヒルディス・ヴィーニ】!!!」
「くらえ!!マッハ・パルバライザーーーーーッ!!!」
凄まじい威力が響き渡る。
ダンジョンは揺れ、天井から細かな瓦礫が降り注ぐ。
振るった剣が粉々に砕けた。
己の肉体へと技が降りかかる。
そして、とうとう全身が破壊された。
遠のく意識の中、オッタルが最後に見たのは
顔の右半分が砕け、
満足したかのように、オッタルは固い表情をほんの少しだけ、崩した。
(いつか……再戦を……)
敗北への悔しさと、闘いへの満足を抱きながら
オッタルは、地に沈んだ。
その後、ロキ・ファミリアが目にしたのは
顔半分が別のものとなった、あの謎の男と、粉々になった大剣の傍で満足気に地面に倒れ伏す【猛者】の姿だった。
何度も何度もデータが飛んだぜ!(4敗)
ここだけの話マッハ・パルバライザー言うておりますが、まぁ殆どスクリュードライバーやね……
感想、評価よろしくお願いします!
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