ベルリク戦記 ー 戦争の生涯 ー   作:さっと/sat_Buttoimars

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13話「戦火は昨日」・イレキシ

 アレタレス要塞を越えてエスナル東部、アラック湾に面したドンバラン市まで落ち延びた。幸いにしてペセトトの水上都市にはまだ襲撃されていない。

 エデルトまでは早く安全に戻らなければならず、帰路を考えた。

 アラック湾沿いの陸路は比較的安全で時間が掛かり、海路は危険だが時間は掛からない。二つ道の行きつく先はアランバラ市で、アラック王領入りまで然程険しくない峠を一つ越える程度。そこからは鉄道が一気に北海まで伸びていて、鉄道を幾つか乗り換えるだけであっという間にエデルトへ帰れる。

 アレオン水道の制海権は魔王軍にあると思っている。このアラック湾にはロシエの中大洋艦隊がいるので、まだこちら側の海であると信じたいが、サダン・レア号拿捕までの記憶を辿れば信じ難い。

 自分自身は安全な陸路を行き、ヴィルキレク帝への手紙は早い海路に託すのが正解だと思った。もうケチな情報しか送れない暗号文を書く必要が無いのだ。

 目下の義務から解放されたと思った時、自分はその時点で良くも悪くもシリバル王太子と顔見知りになってしまっていたのである。殿下曰く、ヴィルキレク皇帝宛ての親書を書いたので”早急に送ってくれないか”である。断れるわけがないので”はい喜んで”と返答した。

 何て俺は馬鹿……いや、状況を利用しろ。仮にも海軍軍人なら風と潮を使え。

 道連れの相手ができた。ロシエ皇帝の下へ王太子が特命大使を出すということで旧都シトレまで同道。本来なら外務卿や次官級が出向くところだが、混乱で死亡、行方不明、連絡つかずということで平の外務官僚の一人であった。その見た目で分かったが、彼はエスナル鉄兜党であった。官僚のくせになぜかゴツい革帽子を被っているのだ。

「それ頭突き用ですか?」

「はい頭突き用です」

「普段から被ってらっしゃる?」

「勿論です」

 特命大使殿は、革帽子の額部分に着脱式の鉄板を入れて見せて笑った。愛想笑いで返した。

 エスナル政府には三派あると言われている。鉄兜党、金冠党、海洋党。

 鉄兜党はロシエ宰相ポーリ・ネーネト自身ではなく、その実力主義宣言と個人に対する信奉者達。ロシエ国内では挙国一致の旗印になるが、国外ではロシエに恭順する売国派閥になりうる。エスナルが陥った危機的状況下ではロシエに併合されるのが現実的だろう。他国への軍事協力と帝国防衛では本腰の入れ様が違うに決まっている。シリバル王太子はこの被り物官僚を遣わすことでその姿勢を示すと見られる。

 金冠という嫌らしい”きんぴか”呼称は鉄兜に対する対義語。従来保守層、国体護持に拘る王侯貴族への”革命的”悪口。反ロシエではないが、ロシエの属国になるのは反対と言われてきた。この度、王太子が鉄兜路線を取ったのならば合わせて”鉄冠派”にでもなるか? ネーネト宰相の”術製王冠”を被るために今日まで王ではなく王太子のままであったとも見られている。

 海洋党は国費を海軍と植民地の維持拡大に回すべきだという者達だが、現在そんなことを言っていられる状況ではないので自然消滅するだろう。

 本国に持って帰る情報が一つ増えた。今日の事態に陥る前ならロシエの巨大化など危惧しか無かったが、今となっては朗報に類する。

 自分は特命大使と護衛付きでドンバラン発、アランバラ着の連絡船に乗り込んだ。他の乗船客はロシエ軍部と調整するための将校、経済支援を取り付けるための財界人、宗教方面からの支援を集めるカロリナ修道僧など。

 仕事にかこつけて己の家族を国外に避難させているわけではないのだが、難民と化した人々の岸壁からの視線が恨みがましい。例外を許さず”重荷”の余計な積み込みは勅命により厳禁。「せめてこの子だけでも!」という女の悲鳴は無視される。

 

■■■

 

 アラック湾洋上に出る。夏の海面からの照り返しが眩しい。乱反射の向こうに水上都市が見えやしないかと、目に悪くても気になって見てしまう。まだ実際にその脅威を目撃していない船の見張りが「街が海に浮くわけねぇだろ」とぼやいていた。

 我々が乗る連絡船を守るためにわざわざ特別な艦隊行動が取られている。エスナルとロシエの中大洋艦隊が連合し、信号を出し合いながら隊列を組んで、解散して、また組んでとロシエ主導の指揮系統下で動けるように演習中。アラック湾上における現時点での最大戦力の発揮を努力する姿だ。

 指揮系統の違う艦隊が連合して上手く戦えた海戦は多くなかったと思う。それを、エスナルの誇りを犠牲にしてまで改善しようとする姿には同じ海軍として思うところが幾つもある。しかしあれでどうにかなるか? 涙の数だけで勝てる相手ではない。

「どのくらいの艦隊なら対抗できそうですか」

 特命大使も努力する連合艦隊の姿に最大の信頼を寄せなかった。

「海戦の常識から逸脱しているのが水上都市です。陸地に高速で体当たりしても崩れないのであれば撃沈はほぼ不可能です。火力においてもランマルカ式の大砲が大量に装備され、ペラセンタの沿岸要塞と正面から撃ち合って勝利しています。

 変わり種の兵器として山猫型の石人形を投石機で、あのシルヴ大頭領の術砲撃のような精度で投擲して来ます。あれは人だけを殺す怖ろしい兵器でして。白兵戦で敵う人間は竜騎士級以上、でしょうか。これで無人船にしてしまいます。それで大量の拿捕船が出現していまして、私も直接の被害者です。海に飛び込んで助かりましたよ。

 魔王の海軍だけなら大その量の拿捕船を主体にしていて水兵の練度も低いですが」

「ロシエの装甲艦でも?」

「艦隊を犠牲にして一つの都市に集中攻撃を仕掛けられればとは思うのですが、都市は一つではないようです」

 連合艦隊の姿が遠くなっていく姿を眺めていれば、新たな艦隊が合流を始め……ない。横切るだけ? ロシエの蒸気装甲艦が汽笛をやたら鳴らすので、もしかして魔王の拿捕艦隊による捨て身の攻撃かと一瞬思ったが、歓迎?

 連絡船の見張りが叫ぶ。

「ホドリゴ提督の世界周航艦隊だっ! 竜大陸冒険から戻って来た!」

 皆が一目見ようと船縁から乗り出し、望遠鏡が回される。自分の番になって確認して見れば遠洋帆船ばかりで、長旅で”色落ち”していた。

「あれが……」

 直接話を聞いてみたかったな。

 

■■■

 

 連絡船はアラック湾を横断し、アランバラへの入港を果たす。ここもまた水上都市の攻撃対象。

 ロシエとエスナルの連携を崩すためにここを破壊するのは良い手である。海上交通の要衝であり、両国間で結ぶ整備された陸路はここだけ。エルドナ山脈が両国を南北に分け、他の道はあっても細いか難所か遠回り。

 勅命で馬車隊列が組まれている間に我々は食事休憩を取った。その間にエデルトにおける新情報が入る。

 既にセレードが独立戦争を始めていた。ヴィルキレク帝に対立する国王はヤヌシュフ・ベラスコイ! エレヴィカ夫人とベルリク=カラバザルの笑い声が聞こえてきそうだ。

 アソリウス島を出てから連絡が遅れなければ、勃発前に危機迫ると伝えられたはずだった。対応次第では彼等に”機を逸した”と思わせて、危機的事件があったとしても戦争に至らなかった可能性もある。

 アリル卿の下で暗号文は出したが、エスナルを経由せず遠回りに、経由地が多ければ遅延どころか遺失の可能性が高い。私信として出したので政府の印章が入った重要書類という扱いでないので尚更到着が怪しい。届いても母が解読してどこまで上層部を説得できたかも怪しい。

 そもそも検閲段階で自分が知らない手が加えられていた可能性もある。アリル卿は誠実で信頼できる人物であるが、忠誠の向く先は魔王であり、その辺の”山”から出てきた親分ではない。あの人の性格を考えると、暗号を無効化するために丁寧に代筆してから出した可能性がある。文末に”母君には申し訳ないがフラルに利する暗号文の可能性を考慮して……”などと書き添えたり。

 ベルリク=カラバザルの怪しさから帝国連邦介入か参戦は確実に思える。特にこのエーランの再征服、ペセトトの終末戦争が行われている最中ならば尚更の好機。

 ヴィルキレク帝に努力不足を叱責されそうだ。いや、こんな事態になって叱責で済むのか? ペラセンタに帰りたくなってきた。

 

■■■

 

 アランバラ市から急ぎでロシエ帝国アラック王領へと進む。北を目指す山道は登りで馬車は鈍行になってしまう。

 エスナルには鉄道が通っていない。鉱業用の鉄道はあるようだが全て単距離で業務用。

 これはもう戦前の話ということになるだろうが、エスナルではなまじ海運が発達していて主要都市間に鉄道を通さなくても物流に滞りが無かった。海洋党が鉄道よりも海軍と植民地に投資せよと説得力を持っていたかららしい。

 特命大使に「鉄道整備をしていれば……」と、山道に批判をちょっとしてしまったら鉄兜に火が点いて「ホドリゴ提督は我々の英雄ですがねっ! 鉄道を蔑ろにするのは……」という言葉から始まる、とりあえず道中は暇だけをしない演説を貰った。情熱と気合ではどうにもならないことは教えて貰った。

 演説が日を跨いで第三の山場を迎えたあたりで山の峠、アラック王領との国境線に到着する。検問所の向こう側には鉄道駅、発車用意を済ませて蒸気を上げる機関車、帽子どころではない本物の鉄兜を被っている割には政治家に見える者が国境警備隊とともに出迎え。その更に背後には、列車で集結中のロシエ陸軍。

 初対面だろうに、旧友と出会ったかのように特命大使と政治家が頭突きで挨拶してから人払いもせずに会話を始めた。内容は、ロシエ陸軍は救援要請があれば直ぐに越境可能であること、西大洋と中大洋領艦隊には集結命令が出ていること。陸海軍、議会審議へ掛ける前に派遣可能ということ。

「シリバル王太子より与えられた権限により、貴国に全面的無制限の救援を要請します。エスナル存亡の危機、おすがりします」

「引き受けました」

 公式発言に”おすがり”とは全く尋常ではない。ロシエ皇帝宛ての親書の内容もそういうものに違いない。

 エスナルへの侵略はロシエへの侵略に繋がるので対応が早い、という速度ではない。特命大使の帝都オーサンマリン到着よりも早く軍事支援の姿が見えているのは別の企みが見える。ベルシアにしたような武力併合を日頃から窺っていたとしか思えない。エスナル鉄兜党の内応確実なら”強いロシエ”を掲げるネーネト政府は、時機さえ見つければやる。

 時機さえ見つければ他国に侵攻するとはベルリク=カラバザルのやりようだ。

 ベルリク主義者と呼ばれたポーリ・ネーネト宰相、もう悪口ではなくただの指摘になっているぞ。

 

■■■

 

 ロシエの旧都シトレまでの鉄道旅は天候にも左右されず快適で、特命大使を乗せているということで停車駅も限定されての特急。

 何より安全だった。道中いきなり襲撃者が現れるという心配も無い。秘密警察に逮捕されるという危険は少しだけ考えた。

 結果的にだが手間を惜しまなかった甲斐がある。難民の群れの一人ではなく、魔王の使者としてアレタレスに出向いたのが功を奏した。使者殺しの危険分は座席の座り心地と流れる車窓の向こう側。

 硝子窓を挟んだところを対向する列車に運ばれていくロシエ兵と大砲、装甲戦列機兵を見れば取り返したと確信。戦火は昨日の方へ。

「お食事の用意ができました」

 気が抜けて盛大に溜息が出たところで食堂車までの案内がやってきた。髪を束ねて男と同じ制服を着て仕事をしている女性鉄道員で、何かまずいことをしたかという顔になっている。

「失礼。この溜息は安心の溜息なんですよ、戦地が長かったもので。貴女の可愛らしいお顔のお陰です。やっと平和だなと」

「そうでしたか。私てっきり」

 ロシエで噂の、寡婦でもないのに男の仕事をする職業婦人というやつだ。民族衣装を着て銃を握って男に混じり、旦那と息子の仇を殺すために戦う女兵士などとは全く雰囲気が違う。『ふふふ』と笑い合える余裕がある。

 

■■■

 

 北国へ入って外気が比較的涼しい。

 現代的な建築物、工場、鉄道網、運河網が走る大都市シトレに到着。かつて帝国連邦軍に破壊されて何十万もの死体と瓦礫の山が積み上がったとされる姿はここにない。

「私は外務省庁舎に向かいます。そこからオーサンマリン宮殿に行き、マリュエンス陛下へお会いすることになるでしょうか。ここでお別れです」

「ご健闘を」

 特命大使が首を後ろに仰け反らせるので、手を差し出す。

「頭突きは流石にしませんよ、します?」

「そうでした。つい」

 握手して、頭突きを挑んで負けて別れた。これでエスナルのご加護が無くなり、帰路を自分で考えることになる。ロシエ外交部が手続きしてくれるんじゃないかと思っていたが、全く無かった。

 さて、別口で拾ってくれるのか、完全に無視しているのか。ロシエとベーアの仲は良好とは言えない。”時機さえ見つければ”という仲である。

 久し振りに北部文明圏に戻ってきたということで少し散策。こう、異国の空気も洗い出したい。

 街を歩けば労働者が歩き回っている。中でもやはり目立つのは、ベーアでもそうはいないであろう職業婦人達。

 短髪、縮毛、束ね髪、小さい帽子。変な形の細い眉毛と人間はこんな顔だったのかと思うような化粧。股割れの男ズボン、脛が見える短いスカート、狭い袖口、男物かそのように見える靴。補正下着で腰を締め上げたような体形が見られない。

 飾り気が少ないのは工場労働者で、多少飾って鞄を持つのは事務職員か。平民か貴族か分からないが、金がそこそこ掛かっている服装が良く見られる。貴族の過剰装飾は仕事に邪魔だが、かつての平民のような貧乏くさい姿もお断り。そんな雰囲気だ。

 女が腕時計までつけている。給料がそんなにいいのか? 貴婦人もそういう格好をせずに出歩いて、仕事をしているのか? 女が金を持っていそうな姿で男を連れていなくても安全という証か。

 街頭には時計台が設置されている。人々の視線は良くあの文字盤に吸い込まれる。生活と労働が時計刻みに管理されている証拠。まるで軍艦じゃないか。

 売店で新聞を買ってから街角の茶店に落ち着いて、お茶を注文。店員は女性で、追加で金を渡すとようやく愛想が良くなる。

 新聞で気になる記事は、エスナル船籍の避難船の到着と、エスナル植民地がランマルカの脅迫を受けて細かい離反が発生している、などというエスナル本土では聞けなかった話題が多い。

 水上都市による海上交通の破壊は情報格差を生んでいる。それから帝国連邦による宣戦布告の記事は無いかと探し、無かった。危ぶんでいる論文はあった。もう一つ、風刺漫画ではランマルカ妖精が魔王に帝国連邦、セレードを操って戦わせているというものも。

 店内の客を見る。

 制服姿だが軍人には見えない女学生が二人いて、歯を見せて談笑中。南大陸ならば”はしたない”と注意どころか殴られる姿。

 爪にまで化粧をする女が「わたしが何を言っているかわかる?」と向かい合う男に向かって指で卓を叩いて信号を送っている。そんな真似をする女が街頭にいるのか!?

 忙しいのか暇なのか分からない紳士達が新聞を囲んで読みながら談議。給料の話、転職するかどうか、組合の斡旋を使うと貸しがあり過ぎはしないか、遂にはあの女上司に馘首されたあいつはどうなった、などなどのにわかに信じ難い話までする。

 男が死にまくった国はいずれこうなるのだろうか。

 シトレは新しさに溢れていて気色悪さがある。総力戦となれば女も働かなければ勝てないだろう。だが着飾りは必要なのか? あの帽子の意味の無い飾り布だとか、鞄の装飾金具だとか、娼婦みたいな化粧に、短髪はともかく南大陸黒人を真似たような縮毛は意味があるのか?

 魂が吸われる気がしてきた。疲れが一気に出てきたかもしれない。

 休暇届か辞職届の書き方を考えようか? 義務は果たすが生涯の奴隷になるつもりはない。一度なってみて、待遇は良かったがしかし確信している。

「相席してよろしいかしら?」

「どうぞ」

 向かいに座った職業婦人が、断りも無く煙管に紙巻煙草を差して吸い出す。商売女でもない女が外で昼間から公衆の面前で、である。妖精が人を食っている方が衝撃は少ない。

「大分お疲れに見えますよ将校さん」

「初めまして。ですが、間接的に知り合いでは?」

「どうしてそう思いますか?」

「勘です。難局を乗り越えたせいか以前よりそれが信じられるようになりました。不躾ですが、拝見したところノナン夫人では」

 薄く笑われる。ロシエの動乱後、ネーネト政権発足以降はこの人物が暗部で動いている。執務室に座って裏で動くより、現場志向というのは噂程度だった。目立つ人物なので囮役ではないかと言われたり、小物扱いされては困る事案に出張ってくるなど、情報部では様々言われた。

「直面する危機のお話は特命大使が直接されるでしょう。現地で知ったことは全て伝えてあります。ベーアの諸々の危機への反応はそちらが直接調べた情報のほうが新鮮で確実でしょう」

「まあ、聞き出すための言葉を用意してきましたのに」

「私は早くエデルトに帰らなければなりません」

 ノナン夫人、肩掛け鞄を膝に乗せてから紙を三枚出してこちらに向けて並べる。

 シトレ発、ランブルール着の鉄道乗車券。

 ランブルール港発、エデルト港着の乗船券。

 外務卿の直筆署名入りの査証。

 遠慮なく受け取る。陸路より海路を行け、か。

「水上都市被害はロシエではまだ?」

「そうですね」

「鉄道が早いはずですが」

「イューフェ男爵の黒軍が鉄道運行計画を乱しながらエデルトの奥まで入り込んでいます。かといって馬で行けば騎兵狩りに遭うかもしれません」

「救済同盟のサリシュフ卿がそんなことを?」

「いいえ、ベルリク=カラバザルです。あの国外軍を黒軍と称し、セレード軍として活動しています」

 そんな手が!? ……あるか、彼ならやるか! 傭兵として動くことなど前例に欠かない。

「もっと詳しいお話が聞きたいものです。どうしてエスナルから貴方がやってきたのか、その前のことに興味があります。アソリウス島にいらしたのではなくて?」

 ここはロシエのど真ん中。魔王、ペセトト以外の話もしなければ帰さないということだ。

 自分とエデルトにとって価値が低い情報でも、あちらでは貴重な情報で、無数に集めた情報を繋いで形にする大事な一片かもしれない。また聞いても意味が無いかもしれない。無駄か有効かを判断するのはあちら。口を堅く閉じれば閉じる程にこじ開けたくなるもの。

 ……秘密警察に逮捕されるのは嫌だな。

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