やっぱり痛いのは嫌なので今度は遠距離からチクチク?しようと思います 作:静寂のメイムル
「この先だ」
そのままクロに案内されたところは禍々しい沼地のようなところ。
「此処で何をすれば?」
「貴殿にはこの先にいる魔物を倒してもらいたい。」
どうやらこれがクエストのようだ。
「いいですけど…里の人では倒せないんですか?」
「情けない限りなんだが…魔物の攻撃がとても素早くてな、避けることで精一杯なのだ。里長や一部の忍びなら倒せるであろうが…そこまで重要じゃないからな、お手を煩わせるわけにも行いかんのだ…。そこで貴殿に頼もうという話になった訳だ。」
クロが言うには大きなカエルのようなモンスターで舌を高速で伸ばして攻撃してくる…とのことだ。しかし、舌以外では攻撃せず、その場からもほとんど動かないため、避けることができる者なら攻略は容易いということらしい。
「ここだ、この奥にいる。任せたぞ、くれぐれも気をつけてな。」
クロに見送られて先に進む。
進み始めてすぐに大きなカエルが見えて来た。
「あれか…」
サリーの目の前に大きなカエル。見た目は普通の緑色だが、大きさが桁違いだ。しかし、動かないのだから当たり判定が大きいだけである。
大ガエルもこちらに気づいた…その瞬間大きな舌がサリーに迫る。
「よっと…!思ったより早いね、」
初見殺しのつもりだったのだろうか?超高速で飛来して来た舌がサリーを貫いたのように見えたが、サリーは体を少し捻らせ『見切り』を発動させながらスレスレで避ける。
初見でサリーを殺すことができなかった…。それは、普通のプレイヤーにとっては大きなミスではない。しかし、大ガエルの前に立ちはだかるのは普通のプレイヤーというには無理があるだろう。
「フレデリカとかベルベットに比べたら余裕だね!」
大ガエルも負けじと舌を巧みに使い、乱撃を決め込むがサリーには届かない、ただ『見切り』を発動させてサリーを強化しているだけである。
飛んでくる舌はスレスレを通り、一見すると惜しいように見えるが、それは間違いだ。サリーには攻撃が当たらない、これは常識である。カエルの猛攻を避けながらどんどん近づいていく。
「これで…、終わり…『一閃突き』!」
「グギャァァ…!」
サリーの見切りが乗った『一閃突き』が大ガエルを吹き飛ばす。しかし、体の大きさは当たり判定が大きいだけではなかったようだ。体の大きさに比例してHPもかなり高かったようである。そもそも『見切り』はモーションが速くなることが本質であり、破壊力が上がるのは
「倒しきれないか…」
また、体勢を立て直し攻撃に転じようとするサリーだがサリーの直感が危険信号を出す。
大ガエルの攻撃が止んだのである。普通は良いことだが…
ゲームにおいて攻撃が止んだということは製作者が意図して止めさせたということである。つまり嵐の前の静けさ…
「グギャ…グギャァァァァ!」
その瞬間カエルの口が大きく開き、中から毒液が飛び出してくる。サリーは咄嗟に避けようと距離を取ったが避けるスペースはない。
「あ、これは…、まずいかもね…」
流石のサリーでもスペースがなければ避けられない。一層のクエストにあるまじき凶悪な攻撃がサリーに襲いかかる。
サリーはなすすべもなく攻撃に当たってしまった…。
「【空蝉】…!なかったらやばかったな…」
此処で避ける場所のない攻撃。つまり此処まで
「速く倒さないと、2回目が来たら…」
サリーは少し焦り始めるが、平常心は崩さない。幸いすぐには毒液攻撃は飛んでこなさそうなので、落ち着いて攻撃を避け、合間に攻撃を差し込む。
サリーはタンクである。そのため、あまり攻撃力には振っていない。それが仇となり『見切り』を何度か掛けないと有効なダメージが入らず、攻撃をしたら一度引いてまた『見切り』を掛け直す必要があるのだ。つまり時間がかかる。
「あとちょっと…!、っ?!」
タイムリミットである。
攻撃を繰り返しを繰り返し、あと一撃加えれば倒せるといったところまで削った。しかし無情にも大ガエルは毒液を吐くモーションに移行してしまった。此処から本気で走っても間に合うことはないだろう。
「グギャ…グギャァァァァ!」
吐き出された毒液がサリーに襲いかかる。これにはサリーもなすすべもなく。
「…『神速の影狼』」
『神速の影狼』それははミニゲームで手に入れたスキル。能力は影でできた狼になる、ただそれだけ。体が軽くなるため攻撃の重みは減るが、スピードや空中機動が段違いに上がるスキル。これで飛び越えるつもりだろうか…?いや足りない。毒液の波はカエルの背丈を優に越し、『神速の影狼』だけでは届かない。はずだった。
「よっ…と。」
サリーの跳躍は毒沼を優に越し、そのまま大ガエルまで迫る。
「今度こそ終わりだね!」
狼の鋭い爪が大ガエルの残り少ないHPを刈り取る。
「よし!危なかった…」
おかしい、『神速の影狼』
そう、『神速の影狼』だけなら…。
サリーは跳躍をする時地面を
「見事である。」
いつのまにか後ろにクロが現れてサリーを賞賛する。
「魔物を討伐した褒美を里長から頂けるはずだ。」
そのままクロに連れられ御屋敷まで戻って来た。
「おぉ!戻ったんだね!おかえりおかえり。クロ!首尾はどうだい?」
「魔物の討伐完了しました。」
「おぉ!よくやったね!サリー?といったかな?褒美を渡すよ!」
【特殊転職の書〈忍術の極意〉】
忍者に特殊転職することができる。
※特殊転職とは「職業」「サブジョブ」は変わらず、システム上でその職業でもある。という判定になる。
「なるほど、確か忍者ってサブジョブ一覧にあったような…。つまり実質、職業が3つになったということか…。」
続けて里長は他のアイテムも取り出した。
「あと、そんな装備じゃあ心許ないよね!」
夜の帷[頭装備]
スキル『夜半の闇』〈パッシブ〉
夜や影などの暗いところにいる時、自分の攻撃に闇が纒う。
その状態で攻撃すると持続ダメージが入る。
黄昏の羽衣[体装備]
スキル『天が紅』
自分のスキルのクールタイムを全て回復する。
白昼の夢[足装備]
スキル『玉響』
1秒間無敵になり、そのタイミングで攻撃を受けると次に攻撃するまで透明になる。
暁のブーツ[靴]
スキル『東雲』
パーティの誰かのところに一瞬でワープする。
「えーと…サリーちゃんは『拳闘士』だったよね!…はいこれ!」
と言って腕輪のようなアイテム2つを渡してくれた。
明けの明星[右手]
スキル『綺羅星』
周りの敵が光って見える。
宵の明星 [左手]
スキル『箒星』
自分が向いた方向に高速移動する。味方が近くにいる場合は味方も連れて行く。
「これでよし!」
里長は満足げに頷きこちらを見据える。
「わかるよね!キミはもう忍者陣営だ、たまに呼ぶことがあるかもしれないけど…その時はよろしくね!」
別に忍者陣営が嫌な訳ではないので、此処は素直に頷き元の次元に変えるサリーなのであった。
長くてすみません…
『見切り』ヤバすぎる…!早く修正しろ!運営!
ではここで補足説明を…
『忍者』自体はサリーも言っていた通り特別な職業ではなく、普通に最初のキャラメイクの段階で選べるサブジョブです。しかしサリーは特殊転職で『忍者』になったため。サリーは実質『拳闘士』『ワーウルフ』『忍者』の三つの職業になっているということになる。