赤血操術使い、キヴォトスへ   作:がす

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主人公「刀ぁぁぁぁ!!」

武器屋の店長「刀なんてここじゃあ使わんだろ」

主人公「なんっでだよぉぉ!!」


刀ぁあああああ!!!

入学式前日の夜。

 

アビドス自治区にある自分の部屋で、刹那はベッドに腰掛けながら天井を見ていた。

明日から、アビドス高等学校に入学する。

 

あれから自分の記憶を辿ってキヴォトス内の地区などいろいろおさらいした。ゲヘナには二度と近づかない方がいいことだけ注意することにした。

 

……正直、今でも実感はない。だが、資料も制服も揃っている以上、現実なのだろう。それに、どうせならもう一回青春を味わうのも悪くはない。

 

五条達にはすごい申し訳ないが。

 

ふと、セツナは首を傾げた。

 

「…………あれ?」

 

ゆっくりと視線を落とし、自分の足元を見る。

そう、今までのことが驚愕すぎて一切考えてなかった。

 

腰に何もない。

 

(あれ……刀は?)

 

セツナは固まった。

 

「………………」

 

沈黙。

 

「………………あ゛?」

 

次の瞬間、セツナは跳ね起きた。

 

「やっっっっば!?!?!?刀がねぇ!!?」

 

完全に失念していた。

呪力に術式が使えるとはいえ、刹那にとって刀は“手足”も同然だ。

 

赤血操術は素手で戦う。

 

だが、術式関係なく、セツナにとっては刀があるかないかで戦闘効率が段違いになる。セツナにとって簡易領域で『抜刀』が使えなくなるのはこの上なく痛い。

 

(バカか…なんで今まで気づかなかったんだ俺!?)

 

額を押さえる。

 

(明日入学式だぞ!?初日から丸腰とか…ただでさえ銃弾喰らったら死ねるのにキヴォトスの住民としてそれはどうなんだ!?)

 

とりあえず外へ出る。

 

夜のアビドス自治区は静かだが、完全に無人というわけではない。

非合法寄りの露店、武器商人、チンピラ、よく分からん業者。

 

セツナはその中の一つの武器屋で立ち止まり、棚を眺める。

 

銃。

 

銃。

 

銃。

 

ショットガン。

 

ライフル。

 

盾。

 

さまざまな銃弾。

 

 

「……銃はあるのに、刀はねぇのかよ」

 

店主が肩をすくめる。

 

「ここはキヴォトスだ。刀なんて趣味の領域だろ?

趣味は言い過ぎかもだが基本銃ないとやっていけないぜ?」

 

「……だよなぁ」

 

セツナはため息をつき……少し考えたあと、拳銃を一丁取った。

 

「これとこれに対応する銃弾をくれ!支払いはカードで」

 

「まいどありー」

 

グロック17。

 

癖がなく、多分信頼性の高い一丁…だと信じたい。

あのドブカスからしたら邪道なのかも知れないが…背に腹は代えられない。

 

(……そういえば京都校の真希の妹、銃使ってたじゃん。

なら俺もいいよな…)

 

どこも邪道ではなかった。

 

購入を済ませ、銃弾の詰め方、撃ち方を教わり、ホルスターに収める。

 

だが、やはり本命がない。

 

(刀……どこで作れる?)

 

そこで記憶を辿って脳裏に浮かんだのが……

 

「……ミレニアム…だったか?」

 

嫌な予感しかしない。

だが、他に心当たりもない。

 

ミレニアムのエンジニア部に行くことにした。

 

ミレニアムサイエンススクール。

夜でも明るい、狂気じみた研究施設……

と自分の存在しない記憶が言っている。

 

エンジニア部の作業場では、相変わらず火花と警告音が飛び交っていた。

思ったよりカオスだった。

 

「……うわ」

 

セツナは一歩入った瞬間、後悔する。

 

(ここ、絶対まともな刀できねぇ)

 

だが引き返すには時間がない。

 

「あー……すみません、誰かいますかー?」

 

「ん?誰?」

 

振り向いたのは、工具を抱えた少女。

 

どうやらエンジニア部の部員?らしい。名前は知らない。

 

「見ない顔だね。用件は?」

 

セツナは一瞬迷い……正直に言った。

 

「刀、一振り作ってほしい」

 

彼女の目が、きらりと光る。

 

「刀?いいよ!」

 

(即答!?…ほんっとに大丈夫か!?)

 

「材料ある?」

 

「……いや、ない」

 

「じゃあ適当にあるやつで作るね!」

 

(適当!?)

 

止める間もなく、彼女は作業台に向かい、

金属片、結晶、謎のエネルギーセルを放り込んでいく。

 

「え、待て待て待て」

 

「大丈夫大丈夫!刃物は得意分野だから!」

 

(不安しかねぇよ……!!)

 

数時間後。

 

完成したそれを見て、セツナは言葉を失った。

 

 

刀だった。

 

そう。確かに形状は刀。

反りもあるし、柄もある。

鞘もある。

刀としては何の問題もない。

 

だが。

 

刀身に、紫色の電気が常時走っている。

 

「…………」

 

「どう?かっこよくない?」

 

当の製作者本人はは満面の笑み。

 

セツナは恐る恐る手に取る。

 

ビリッ。

 

「痛っ」

 

「一応、常時帯電仕様だよ。斬ると感電する」

 

「なんでそんな機能つけた!?」

 

「え?ミレニアムクオリティだよ?」

 

それ以上の説明はなかった。

 

(いろいろおかしいだろ…!!どうしてこうなった…!?)

 

呪力を流すと、さらに紫電が強まる。

嫌なことに、相性は抜群だった。

 

(……クソが。認めたくないがこれは俺と相性いいな…!)

 

「名前、付ける?」

 

「自分で考えるわ!!」

 

セツナは頭を抱える。

 

(俺は……俺は普通の刀が欲しかっただけなんだよ……!!)

 

だが、時間もない。

性能は申し分ない。

むしろ過剰だ。

 

セツナは深く息を吐いた。

 

「……ありがとう。代金は?」

 

「いいよ!データ取れたし!」

 

(……もう一生ここにはお世話にならないようにしよう…)

 

 

ーーー

 

夜も更けて、アビドスへ戻る道すがら。

 

腰には鞘から抜いたら紫電を纏う…纏ってしまう刀。

太腿にはグロック17。銃弾はしっかり装填してある。

 

「……入学初日から装備おかしいだろ俺」

 

そう呟きながらも、セツナは少しだけ笑った。

 

(まぁ……悪くねぇな)

 

こうして加茂セツナは”紫電を纏うミレニアム製刀“(名前はまだない)

 

という、明らかにキヴォトス人らしくない装備を揃えたまま、家に帰ることとなった。

 

なお刀ができたのは朝7時なので、当然遅刻するわけである。

 




まあエンジニア部に任せたらこうなるわな。って感じかな?

ユメ先輩助ける?

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