そして沖縄から帰ってきて数日後、俺が上京する日が来た。
「見送り、ありがとうな」
「そりゃ、来るよ。恋人が上京しちゃう日なんだから。どんなお仕事よりも優先です」
駅で一花が俺の見送りに来てくれていた。
「仕事は大事にしてくれよ」
「大丈夫。サボったりしてないし、無理に休んだわけでもないから」
それならいいけど。
沖縄の件があったばかりだから一花もさすがに反省したか。
「でも、本当に東京行っちゃうんだ。今になって実感が湧いてきた」
「俺はまだ実感ないけどな。あっち着いたら実感するかもな」
正直、今だって離れるという気持ちがあまりない。
「あ、住む部屋に着いたら写真送って。どんなところか気になるし」
「あぁ」
「しばらく会えなくなっちゃうけど、お姉さんがいなくても泣くんじゃないぞ?」
「その台詞、まんま一花に返す。寂しくなったら電話でもしてこい」
「むー、やっぱセージ君にはお姉さんキャラは通らないなー」
「今更かよ。ま、寂しくなったらこれ見て一花達の事を思い出すさ」
そう言って俺はポケットにしまっておいたコースターを取り出す。
「ミンサー織りのコースター。持ち歩いてるの?」
「今日だけだ。大事な物だし、自分の手で持っていこうと思ってさ」
沖縄の記念品。それはミンサー織りで作られたコースター。
俺があの時、思わず店に入ったのはこいつが目に入ったから。
一花達もそれを気に入ってくれたようでこれが俺達の沖縄での記念品となった。
柄はみんなが好きな物を自由に選んだが、沖縄の染め織物で作ったコースターは共通の思い出の品。
「結局、私とセージ君は柄もお揃いにしちゃったけどね」
「ま、あんな説明されたらどうしてもな」
柄に
「私たちはいつだってずっと繋がってる。いつの世までも」
「あぁ、離れていてもな」
「けどさ。これを並べて使う日も、そう、遠くはないからね」
それがどういう意味かなんて説明されなくてもわかる。
「……東京で待ってる」
「うん」
名残惜しいがそろそろ時間だ。
俺はふと周囲を見渡す。一応、一花も眼鏡と帽子で変装はしてる。
「大丈夫そうだな」
「ん?」
「よっ」
「うわ、セ、セージ君?!」
俺は一花を抱きしめると一花はそんな俺の行動に驚いた様子。
こんな人前でなんてこれまでしてこなかったからな。
けど、今日だけ。
しばらくこうして抱きしめられる事も少なくなるからな。
「充電中」
「あ……うん。私も充電」
きっと、俺達は他よりも難しい恋愛をする事になる。
一花がまた不安がる時もあるかもしれない。
けど、決めたんだ。
「好きだ。一花」
「私も、セージ君が好き」
その度に伝えようって。
俺の大好きで大事な人に。
卒業旅行編はゲームの一花ルートと四葉ルートをうまく組み合わせて書いた内容にしてみました。