家庭教師と友人A   作:灯火円

135 / 135
25-4

 そして沖縄から帰ってきて数日後、俺が上京する日が来た。

 

「見送り、ありがとうな」

「そりゃ、来るよ。恋人が上京しちゃう日なんだから。どんなお仕事よりも優先です」

 

 駅で一花が俺の見送りに来てくれていた。

 

「仕事は大事にしてくれよ」

「大丈夫。サボったりしてないし、無理に休んだわけでもないから」

 

 それならいいけど。

 沖縄の件があったばかりだから一花もさすがに反省したか。

 

「でも、本当に東京行っちゃうんだ。今になって実感が湧いてきた」

「俺はまだ実感ないけどな。あっち着いたら実感するかもな」

 

 正直、今だって離れるという気持ちがあまりない。

 

「あ、住む部屋に着いたら写真送って。どんなところか気になるし」

「あぁ」

「しばらく会えなくなっちゃうけど、お姉さんがいなくても泣くんじゃないぞ?」

「その台詞、まんま一花に返す。寂しくなったら電話でもしてこい」

「むー、やっぱセージ君にはお姉さんキャラは通らないなー」

「今更かよ。ま、寂しくなったらこれ見て一花達の事を思い出すさ」

 

 そう言って俺はポケットにしまっておいたコースターを取り出す。

 

「ミンサー織りのコースター。持ち歩いてるの?」

「今日だけだ。大事な物だし、自分の手で持っていこうと思ってさ」

 

 沖縄の記念品。それはミンサー織りで作られたコースター。

 俺があの時、思わず店に入ったのはこいつが目に入ったから。

 一花達もそれを気に入ってくれたようでこれが俺達の沖縄での記念品となった。

 柄はみんなが好きな物を自由に選んだが、沖縄の染め織物で作ったコースターは共通の思い出の品。

 

「結局、私とセージ君は柄もお揃いにしちゃったけどね」

「ま、あんな説明されたらどうしてもな」

 

 柄に絣(かすり)の模様、それが五つと四つで【いつの世までも末永く】という意味があると聞いて俺達は自然とそれを選んでいた。

 

「私たちはいつだってずっと繋がってる。いつの世までも」

「あぁ、離れていてもな」

「けどさ。これを並べて使う日も、そう、遠くはないからね」

 

 それがどういう意味かなんて説明されなくてもわかる。

 

「……東京で待ってる」

「うん」

 

 名残惜しいがそろそろ時間だ。

 俺はふと周囲を見渡す。一応、一花も眼鏡と帽子で変装はしてる。

 

「大丈夫そうだな」

「ん?」

「よっ」

「うわ、セ、セージ君?!」

 

 俺は一花を抱きしめると一花はそんな俺の行動に驚いた様子。

 こんな人前でなんてこれまでしてこなかったからな。

 けど、今日だけ。

 しばらくこうして抱きしめられる事も少なくなるからな。

 

「充電中」

「あ……うん。私も充電」

 

 きっと、俺達は他よりも難しい恋愛をする事になる。

 一花がまた不安がる時もあるかもしれない。

 けど、決めたんだ。

 

「好きだ。一花」

「私も、セージ君が好き」

 

 その度に伝えようって。

 俺の大好きで大事な人に。

 




卒業旅行編はゲームの一花ルートと四葉ルートをうまく組み合わせて書いた内容にしてみました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

一番星は消えない(作者:ディバル)(原作:推しの子)

▼表示絵▼【挿絵表示】▼児童養護施設で暮らす少年・天城彼方は、推しの星野アイと出会い、この世界が【推しの子】の物語だと知る。彼女に待つ残酷な未来を変えるため、彼は“運命”に抗う………一番星は、消えない。▼アニメ勢の方はネタバレ有りなので注意。▼新作▼「あかねちゃん………煙草買ってきてくれない?」▼:https://syosetu.org/novel/4132…


総合評価:4232/評価:8.38/連載:117話/更新日時:2026年10月27日(火) 19:23 小説情報

Blue Legend〜一般男子の物語〜(作者:宗也)(原作:ブルーアーカイブ)

簡単なあらすじ▼これは何故か中途半端な特典を持ってブルーアーカイブの世界であるキヴォトスに来てしまった一般男子の青春の物語である。▼なお、一部生徒は結託して一般男子を囲い込もうとしている模様。▼詳細なあらすじ▼目が覚めると何故かブルーアーカイブの世界にやって来ていた一般男子高校生。特典みたいな物はあるが、何故か中途半端。しかも原作の9ヶ月前の世界だった。▼原…


総合評価:1421/評価:6.52/連載:107話/更新日時:2026年10月31日(土) 23:25 小説情報

才能に愛された傲慢者(作者:Mr.♟️)(原作:ワールドトリガー)

▼地雷だと思った人はブラウザバックしてください。▼オリ主ハーレム物です。▼オリ主:神園 冬▼【挿絵表示】▼大体原作2年前から始まります。▼挿絵は全てAI絵になります。▼※以下、読まなくても問題ないです。▼ワートリ〜顔が良い内弁慶〜のリメイク版になります。▼内弁慶、コミュ障、傲慢を1人に詰め込むのは難しかった。▼申し訳ありませんが、1度書き直してみます。反応見…


総合評価:476/評価:7.46/連載:5話/更新日時:2026年10月04日(日) 00:00 小説情報

聖火の精霊が英雄達を手助けするのは間違いだろうか(作者:フェイト・)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

神々の怠慢で死んだ青年が邪神様の手助けによってダンまちの世界に転生し、2度目の人生を歩む物語▼ーーー彼は全知全能の『神』ではない。▼ーーー彼は『英雄』ではない。▼ーーー彼は『勇者』でもない。▼ーーー彼は古代より英雄達の手助けをしてきた『精霊』なのだ。▼ハーメルンで多くの作品を読んでいるうちに書きたくなって書いてみました。▼


総合評価:5209/評価:8.28/連載:55話/更新日時:2026年10月28日(水) 22:49 小説情報

転生したらフィジギフ持ちだったので、気ままに第七王子を護ります(作者:とつげきぃぃぃ)(原作:転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます )

異世界転生した先はたぶんナーロッパ。▼だけど呪術廻戦でいう天与呪縛のフィジカルギフテッドみたいなものなのか、魔力とかファンタジー能力の才能ゼロな身体能力オバケとなったオリ主。▼そんな彼がサルーム王国の第七王子であるロイドの護衛となって、ワチャワチャする話…たぶん。▼


総合評価:402/評価:8.33/連載:3話/更新日時:2026年08月13日(木) 12:35 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>