家庭教師と友人A   作:灯火円

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「中野家に着く頃には昼か」

 

 どうにか家庭教師続行する事になって今日も中野家の家庭教師の日。

 けど、朝から北条さんの手伝いで少々出遅れている。

 

「一花は仕事か。忙しそうだもんな」

 

 メッセージを確認すると一花から今日の勉強会は参加出来ないという連絡が来ていた。

 以前話しを聞いたとおり映画の撮影で一花は勉強会で参加できない時が増えた。

それでも授業の時にわからない所を俺に聞いてきたりしてその分カバーするようになったのは彼女の変化だ。

 

「とりあえず、四葉と三玖に五月だな。二乃はどうするかな」

 

 結局二乃は未だに勉強会に参加する意志はない様子。

 次は実現させなさいという言葉はなんだったのだろう。

 俺の空耳か?

 

「あ、長尾君」

「ん? 五月……二乃」

 

 中野家のマンションまでもうすぐという所で二乃と五月と出くわす。

すると五月は二乃の後ろに隠れてしまった。

 

「あ、あの、ごめんなさい! ランチ食べ終わって戻ってきたら勉強見てもらいますから」

「前から五月が行きたいって言ってたお店なのよ。目を瞑りなさい」

 

 五月としては勉強もしないといけないけど、楽しみにしていたランチも見逃せないという様子。

 どっちにしろ昼時だからすぐに勉強は出来ないと俺も思ってたからいいけど。

 

「それで集中できないのも困るからな。行ってこい」

「すみません! あと、鍵渡しておきますね」

 

 五月から鍵を渡されて俺はそのまま中野家へと向かう。

 てか、鍵を簡単に渡すのはどうなんだ?

 とりあえずその鍵でマンションに入り最上階の中野家へ。

 

「お邪魔しまーす。悪いな。おく」

「好きだから」

 

 リビングの扉を開けたらそこは告白シーンでした。

 とある教科書でも取り上げる有名作家の一文をオマージュした言葉が浮かんだ。

 それはそれとして目の前では仰向けで何故か寝ている風太郎の顔に自分の顔を近づけ、告白している四葉。

 これは出直した方がいいな。うん、きっとそれがいい。

 俺は静かに扉を閉めて玄関へと戻ろうとしたが。

 

「あれ? セージ来てたの?」

「うわっ! 三玖!?」

 

 俺は思わず声を出してしまいしまったと思って口を塞ぐがもう遅かった。

 

「あ、長尾さん来てたんですか? 聞いて下さい。四葉もウソつけるんですよ。今丁度上杉さんを騙したところです」

「ウソ? 騙す?」

 

 自信満々にそう言う四葉。俺はちらりと風太郎を見ると「誠司、俺はもう誰も信用しない」と最近他人にも心を開くようになった風太郎の心の扉が閉まりかけていた。

 つまりは俺が聞いた告白は四葉のウソ?

 

「女優の資質は四葉にもあったのか。つまり三玖にも?」

「あ、三玖! 薬買ってきてくれましたか」

「とりあえず胃に良さそうなの全部」

「よくわからんが、風太郎は今日休め。なんか体調悪いみたいだし」

「いや、問題ない。食べ過ぎなだけだ」

 

 結局、その後も四葉はいつも通り。

やっぱりあの告白は風太郎にひと泡吹かせるためのものだったのだろうか。

 

「中野姉妹、よくわからん」

 

 とりあえず、風太郎の胃が復活するまで俺が二人を見ていよう。

 

 

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