家庭教師と友人A   作:灯火円

70 / 135
14-2

「それじゃ、セージ君」

「おう」

 

 下校時間になり、一花が後ろから俺の背中を軽く叩き足早に教室を出て行った。

 

「さて」

 

 俺は視線を毛利さんへと移す。

 

「とりあえず、ここじゃあれだし場所を移そう」

「わかった。よろしくね。長尾君」

 

 教室はまだ帰る気配のない連中ばかりで俺達は教室を出る。

 

「あんまり長い事時間は取れないんだけど」

「私も部活だからちょっとアドバイスくれるくらいでいいよ」

「んじゃ、まずは今の毛利さんが撮る写真見たいから適当に撮ってみて」

 

 教室を出てグラウンドの方へ来た俺達。

 ここなら被写体は溢れているからな。

 

「うーん」

 

 毛利さんはしばらく何を撮ろうかと悩んだ後、丁度運動部の連中がウォーミングアップで走り始めたのを見てそれを撮ろうとした。

 いきなり動く被写体か。

 止まっているのより動いているのを撮る方が圧倒的に難しい。それも走っているとなると尚更だ。

 それでも本人が撮りたいと思っているものを否定してやる気を削ぎたくない俺は黙って毛利さんが撮り終えるのを待つ。

 

「うーん、やっぱりぶれちゃう」

 

 本人もやっぱりそこが不満のようで何枚か撮っても表情は険しい。

 

「毛利さんって動いているの撮るのが好きなの?」

「え? あー、好きっていうか。えっと」

 

 言い淀む毛利さん。彼女と知り合ってからは初めて見る表情だ。

 

「撮りたい人がいるんだ」

「人」

「うん。動いている所とか撮りたいから」

「えー、ちなみに盗撮とかじゃ」

「じゃない! 一応本人からは許可もらってる」

「ならいいけど」

 

 こっそりと特定の誰かを撮るってあれだからな。

 けど、明確な被写体があるなら逆に教えやすいかもな。

 

「じゃ、まずは設定を変えよう」

「設定?」

「ほら、色々なモードあるだろ? その辺いじるんだよ」

「あー、よくわかんなかったんだよね」

 

 俺は毛利さんからデジカメを受け取る。

 

「多分、これだと……このスポーツモードってやつかな。デジカメならこれ使えばある程度は動いているものは大丈夫なはず」

 

 動く被写体にはシャッタースピードをいじる。

 大抵そういうモードが入っていて設定すれば勝手にやってくれる。

 俺は構えて部活動の連中を撮る。

 

「ほら、さっきよりもぶれないだろ」

「本当だ」

「あと細かい設定とかあるけど、とりあえず今日は時間もないし、これで動いている物を撮るのに慣れたらいい」

「わかりました! 先生!」

「先生って」

 

 ある意味聞き慣れた単語ではあるけど。いつもとは違う人に言われるとむず痒い。

 それから毛利さんが撮るのを眺めつつ、撮り終える度に気になる部分を聞いてみる。

 そうして彼女が求める理想の形を俺も把握していく。

 

「て、そろそろ部活いかないと」

「なら、ここまでだな」

「ありがとう。長尾君」

「俺も素人に毛が生えた程度の知識だからさ」

 

 今度北条さんにデジカメでの撮り方聞いてみるか。

 

「それでも素人の私には助かったよ。あ、またお願いしていいかな?」

「あぁ。時間合いそうならまた放課後辺りに教えるよ」

「わかった。また連絡するね。ばいばい」

「部活、頑張れよ」

 

 手を振る毛利さんに釣られて俺も返し、俺も家庭教師に向かおうと置きっ放しのカバンを取りに教室へと戻る。

 廊下を歩いていると風太郎が教室を出て行くのが見えた。

 そして続いて四葉も。

 また学級長の仕事で残ってた感じかと二人に声を掛け仕事が終わっているようなら三人で向かうかと四葉に声を掛けようとした時だった。

 

「よ、四葉ちゃん!」

「また上杉君といたでしょ!」

「見ちゃったよー!」

 

 体力測定の時、四葉と風太郎を見て何か話していた女子二人が四葉に駈け寄っていく。

 それもかなりテンション高め。

 俺は四葉に声を掛けるのをやめて風太郎が戻ってきたら風太郎に声を掛けるかと足を止め柱の影で風太郎を待つ。

 

「放課後の教室で二人っきりなんて!」

「キャー! ロマンチック!」

 

 丸聞こえの二人の会話からどうやら二人は風太郎と四葉が良い雰囲気だから盛り上がっているみたいだ。

 風太郎と四葉が仲良いなんて俺からしたら今更。

 最初から風太郎の家庭教師に肯定的だし、何かと風太郎の為に動いてくれている四葉。

 けど、家庭教師の事情とか知らない連中からしたら恋愛絡みに見えるのかもな。

 てか、聞いて良いんだろうか。

 そう思いながら俺はぼんやりと天井を見上げる。

 

「やっぱり上杉君と四葉ちゃんって」

「ないよ」

「!」

 

 彼女達の盛り上がりに反して冷静な声に彼女達も声を発するのをやめた。

 俺はちらりと四葉の方を見る。

 

「ありえません」

「そ……そっか」

 

 そうして彼女達はどこか残念そうにその場をあとにした。

 

「あの表情はなんだよ」

 

 否定した四葉の表情が俺は気になった。

 あの表情を俺は見た事がある。正確には四葉ではない別の人物だが。

 

「諦めたくないけど諦めなきゃいけない。そういう表情」

 

 それが四葉にも適応するかと言われたら自信はない。けれど、明らかにいつもの四葉の反応とは違う。

 何でも無いことなら笑って「ありえませんよ」と返すと思う。

 でも、あの反応だと何でも無いようには見えない。

 

「まさか……四葉もなのか?」

 

 いや、むしろ四葉は最初から風太郎への好感度は高かった気がするから当然なのか?

 

「君も彼を腑抜けにさせた一人か」

「は?」

 

 考え事をしているとそんな言葉を掛けられ、振り返ると武田がいた。

 その視線に敵意みたいなものを感じた。

 去年からの付き合いでこんな視線を向けられたのは初めてだ。

 

「失礼」

「……なんだ?」

 

 武田に何かした覚えは無いんだけどな。

 てか、風太郎に何かと突っかかってると思えば次は俺かよ。

 

「誠司、まだいたのか」

「ん? 風太郎。って、なんかお前元気ない?」

「は?」

 

 少し浮かない顔というかどこか落ち込んでいるようにも見えたが武田が原因?

 いや、そもそも武田に興味なんてなさそうだしな。学級長で疲れてるだけか?

 

「学級長の仕事終わったなら家庭教師向かうぞ」

「あ、そうだな」

 

 それから四葉にも声を掛けて俺達は中野家へと向かう。

 

 

「ここで集まって勉強するのも久しぶり」

「最近は皆、バイトだものね」

 

 模擬試験の問題を今日は解かせているのだが、解きながら三玖は久しぶりのこの状況に少し嬉しそうである。

 

「そういや、二乃。バイト初日どうだった?」

 

 二乃から出たバイトという言葉に初日どうだったか聞いてみると俺にこれまで見せたことのない笑顔を俺に向けた。

 

「ふふ、ま、これから色々教わって頑張るわ。フー君に」

 

 なんか呼び方が変わってるって事は風太郎がらみで何か良い事あったって事か。

 よし、これ以上触れるのはやめておこう。

 

「試写会、私も行きたかったなー」

「試写会? なんだよ。四葉、見たい映画あったのか?」

 

 すると四葉からため息が漏れ、試写会という言葉に俺はそう四葉に聞いた。

 

「長尾さん、もう少し一花の仕事を把握してもいいのでは?」

「あの子も大変ね」

「二乃と同意見」

 

 なんだその反応。

 てか、なんで一花の名前が出るんだ?

 いや、試写会。映画。

 

「あ、一花か」

「気付くの遅いわよ。てか、一花から聞いてんじゃないの?」

「仕事があるって事しか聞いてない。てか、仕事の内容まで聞くのはあれだろうが」

 

 まだ世に公表できないものとかもあるから基本的に仕事内容までは聞かない。

 けど、試写会で登壇するってすごいんじゃ。

 

「ところで五月はバイト……」

「ぎくり」

 

 二乃の言葉にわかりやすく反応する五月。

 一花の話じゃまだ考えてるって話しだけど本人なりに焦ってるみたいだ。

 

「お前ら口より手を動かせ! 誠司も付き合うなよ」

「あ、悪い悪い」

「月末の全国模試はもうすぐだぞ」

 

 風太郎にとっちゃ修学旅行よりも全国模試の方が大事だからな。

 今日もその模擬試験を解かせているし、普段の試験とはまた違う気合いの入れよう。

 

「一通り埋めたわ。はい、答え合わせよろしく。フー君」

「フ、フータロー! 私も!」

 

 風太郎の隣に行き、解答用紙を渡す二乃だが三玖も負けじと解答用紙を風太郎に。

 それをきっかけにわちゃわちゃと始める二人。

 

「模擬試験、結構難しかったね!」

「そうですね」

 

 そんな二人などいつもの光景のように四葉と五月も回答が終わったようで俺に渡してきた。

 

「しかし、それほど不安でもないというか」

「だよね」

 

 五月と四葉は手応えがあるような口ぶり。三玖や二乃も同様自信がある様子。

 

「こうなるといよいよ卒業も見えてきましたね! 上杉さん! 長尾さん!」

 

 一時は俺達では無理なのでは?と思ったが、着実にそのゴールテープは見え始めてきたようだ。

 

「よっしゃー。答え合わせするぞ!」

 

 そうして俺達は答え合わせをするのだが。

 

 

「嘘だろ」

「風太郎、現実だ」

「ほとんど赤点じゃねーか」

 

 得意科目はそれぞれ回避しているが、赤点の数に俺と風太郎は頭を悩ませる。

 

「ふざけんな。お前ら……あれか? 学年上がると脳がリセットされる仕組みなのか?」

「なるほど! それで」

「んなアホな話があるか」

 

 四葉、納得しようとすんなよ。

 しかし、風太郎の言葉にも一理ありそうだが出来ればそうじゃないと俺は信じたい。

 

「言い訳になるかもだけど、ここ最近仕事探しとかであんま自習できていないのよね」

 

 二乃の言い分もわかる。確かにこれまで使えていた時間がなくなった訳だしな。

 

「言われてみれば五月の点はそれほど下がってない」

「すみません! すみません!」

 

 一方まだバイト先を見つけていない五月は三玖の言葉に謝罪を繰り返す。

 

「とは言っても。俺達も最近は家庭教師の時間あまり取ってなかったからな」

「はぁ、無事卒業とか言ってるそばからこれだ。俺の模擬試験勉強もあるってのに」

 

 風太郎、お前本当こういう時も遠慮ないよな。

 

「じゃあ、間違えた箇所を順番に確認していくぞ」

 

 けど、放り投げる事はしないのが風太郎だ。

 そして間違った点を見直していく作業へと入るのだが、中野家のチャイムが鳴る。

 五月が対応しに行ってすぐだった。

 

「失礼するよ」

「!?」

「お父さん!?」

「先生」

 

 中野先生の訪問は姉妹達も知らなかったらしく全員驚いている。

 

「どうしたのよ。急に……というかこの家」

「もうすぐ全国模試と聞いてね。彼を紹介しに来たんだ。入りたまえ」

「お邪魔します」

 

 礼儀正しく頭を下げて入って来たのは武田だった。

 武田の来訪にさらに俺達は混乱する。

 

「今日からこの武田君が君達の新しい家庭教師だ」

「どういうことでしょう? 説明して下さい」

 

 五月の言うとおり、説明してもらわないとこちらも何が何なのかわからない。

 すると先生は俺と風太郎の方を見る。

 

「先の試験での君達の功績は大きい。成績不良で手を焼いていた娘たちだが、優秀な同級生に教わるという事で一定の効果が生むと教えてくれた」

「それならフータローとセージを変える必要なんて」

「私が変えると言っているのは上杉君だけだ」

 

 視線は風太郎の方へと向けられる。

 

「彼が未だ優秀ならこんな話は出さなかったよ」

「え」

 

 未だ優秀なら。それじゃまるで今は違うって事に。

 俺は風太郎にある確認をする。

 

「風太郎、この間の期末の結果」

「……満点を逃した」

 

 少なくとも高校入ってから風太郎が満点を逃した記憶は俺にはない。

 

「そう。そして新たに学年一位の座に就いたのは彼だ。ならば家庭教師に相応しいのは彼だろう?」

「先生!」

「ふっふっふ」

 

 俺が先生に反論しようと声を荒げるが笑い声が被さる。

 それは武田の方から。

 

「ヤッタ! 勝った! 勝ったぞ! イエス! オーイエス! イエス!イエス!」

 

 歓喜している武田に俺を含め中野姉妹は唖然として見るしかなかった。

 胡散臭い爽やかさはすっかり消えてるぞ。

 

「上杉君! 長きにわたる僕らのライバル関係も今日で終止符が打たれた! ついに僕は君を越えた! この家庭教師も僕がやってあげよう」

 

 あー、なんか敵視していると思ったらこういう事か。

 武田はずっと風太郎が一位だったから一位を取れずに来たって訳か。

 

「いや、お前誰だよ」

「え、ほら、ずっと二位で君に迫っていた。武田祐輔……」

 

 風太郎、本人前にしてそれは言っちゃダメだろ。

 さすがの武田もこの返しは予想外だったのか先ほどまでの興奮は一気に冷めている。

 

「今まで満点しか取ってこなかったから二位以下は気にしたことなかったわ」

「二位以下……!!」

 

 なんか逆に武田が可哀想になってきたな。

 

「風太郎、お前さ」

「いや、俺が唯一気にしてた奴が一人いた……誠司だ」

 

 風太郎の視線が俺に向けられると武田の視線も俺に向けられた。

 それは学校で感じたあの視線。

 

「やはり君か。彼を凡人にしたのは」

「なぜそうなる」

 

 誤解があるみたいだからとにかく武田には冷静になってもらうか。

 

「あのさ」

「いや、君だけじゃないな。彼女達もだ」

「……あ?」

 

 彼女達、それはどう考えても中野姉妹の事。

 

「君達の家庭教師をしていたから彼は凡人になった。家庭教師を辞めるという事は他ならぬ上杉君の為だ」

 

 いつぞや五月が俺の勉強時間が減るのを気にした時の事を思い出す。

 その時は結果で問題ないと示したけど。まさか風太郎にも似た状況になるとは。

 

「あのな」

「彼には彼の人生がある。解放してあげたらどうだい?」

 

 俺の言葉の前に中野先生が姉妹達にそう告げる。

 風太郎の成績が実際落ちている状況に姉妹達も口を閉じるしかない。

 

「その通りだな」

「上杉さん」

 

 そしてそれに同意する風太郎。

 おいおい、ここは同意する場面じゃないぞ。

 

「お前が俺を過大評価してんのはわかった。うん、誠司はこういう気持ちだったんだな。だが、間違いがある。俺は去年の夏まであるいはこの仕事を受けていなかったら」

 

 風太郎の視線は姉妹へと向く。

 なんだ。心配無用か。

 

「俺は凡人にもなれていなかっただろうよ」

 

 成績だけ見たら風太郎は凡人以上。だけど、人間的な面を見たら凡人にすら風太郎はなれていなかった。

 

「こいつらが望む限り俺は付き合いますよ。解放なんてしてもらわなくて結構」

「そこまでする義理はないだろう」

「義理はありません……ですが、この仕事は俺と誠司にしか出来ない自負がある」

 

 先生にハッキリとそう告げると風太郎は俺に視線を向けた。

 

「ま、俺も風太郎とならやれると思ってます」

「こいつらの成績は二度と落とすことはしません。俺の成績が落ちてしまった事に関してはご心配おかけしました。俺はなってみせます。そいつに勝ち、学年一位に」

 

 風太郎は人差し指を掲げる。だが、それで終わらない様子。

 

「全国模試一位に!」

「……」

「そして」

 

 すると風太郎の口と体を姉妹が拘束し下がらせた。

 

「う、上杉さん!?」

「全国は無茶ですって!」

「フータロー、もう少し現実的に」

 

 現実的に。つまりこいつらは風太郎が模試で全国模試一位は現実的ではないと。

 やれない事はないと思うんだがな。

 

「全国で十位以内!」

「これでどうですか!」

 

 何故か中野姉妹から妥協案が出された。家庭教師辞めさせたくないなら予防線は必要か。

 

「無理に決まってる。それも五人教えながらなんて」

「無理じゃねえよ」

 

 俺は武田にハッキリとそう告げる。

 

「……ずっと気になっていたんだが、君は随分と上杉君を理解しているようだね」

「そりゃ」

「当然だ。誠司は俺の先生だ。そもそも誠司が俺を凡人にしたってのは大間違い。むしろ勉強出来るようにしてくれたのは誠司だ」

 

 そこは長い付き合いって事だけで良くないか? 風太郎。

 それに余計な情報を与えてくれるなよ。

 

「上杉君の先生?」

「元々、彼は成績優秀だったからね。それに最近はその頃に戻りつつあるようだ」

 

 先生までちょっとあまり余計な事を言わないで欲しいのだけど。てか、実は風太郎と先生仲良いのでは?

 

「確かに。前回は上杉君よりも成績は上だった」

 

 すると武田は俺にまた敵意ある視線を向けると俺を指さしてきた。

 

「なら、君と勝負だ」

「あ?」

「もし、僕の方が上なら君から家庭教師の席を奪う」

 

 風太郎の次は俺かよ。

 もう話がコロコロ変わりすぎだろ。

 頭が痛く、ため息が出る。

 

「なんでそんなことしなきゃ」

「自信がないのかな? ま、彼女達の成績が下がってるようなら教え方に問題あるって事だしね」

 

 そんな安っぽい挑発にのるか。

 俺の教え方に問題あるのは以前から抱いている事ではあるしな。

 

「はいはい。勝手に言ってろ」

「っ……そもそも君は! 金銭のやり取りなしで家庭教師受けているらしいじゃないか」

 

 なんでそんな事までって先生だろうな。

 

「報酬がある訳じゃないなら、また成績を落とすようなおバカさん達に付き合うなんて」

「あ?」

 

 武田の話しなんてもう聞き流そうと思っていたが、俺はある言葉だけは聞き流せなかった。

 

「……武田。お前、家庭教師のセンスないわ」

「な」

 

 こんなやつに五人が教わる?

 ふざけんなよ。教える生徒に向かってバカっていうやつなんかに任せられるか。

 今度は俺が武田に向けてハッキリと敵意ある視線を送る。

 

「わかった。受けてやるよ。てか、お前みたいなやつにこいつら教えさせるなんて許せないわ」

「ちょ、あんたまで」

「長尾さん?!」

「セージ」

「落ち着いて下さい」

 

 さっきの風太郎のように俺を止めようとする姉妹だが俺はそれを無視し先生を見る。

 

「中野先生、俺も彼女達に相応しい家庭教師であるか。受けさせてもらいます」

「……なら、上杉君は全国模試で十位以内。長尾君は武田君より上だったなら。改めて君達が娘達に相応しいと認めよう」

 

 そうして俺にとって全国模試は修学旅行より大事な行事へとなってしまった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。