家庭教師と友人A   作:灯火円

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ここまで原作の流れのまま来ましたが、少しオリジナルストーリー挟みます。


17-6

「お誕生日おめでとう!」

 

 今日は姉妹に出していた宿題のチェックの為、久しぶりに中野家マンションへと訪れた訳だが。

 数か月ぶりに最上階の部屋へと入り、リビングに行くとクラッカーと共にお祝いの言葉が俺に向けられた。

 

「おー、ありがとうな」

「セージ、反応うすい」

 

 三玖はご不満の様子でジトーっと俺を見る。

 

「いや、悪いけどわざわざお前らの方からこの日に家庭教師しに来いって言われたらな」

 

 風太郎の時も誕生日プレゼントを渡していたのを知っているし、他の日はダメだからこの日と指定されたら俺の誕生日を祝ってくれると思うだろう。

 

「あんたも誕生日忘れてなさいよ」

「無茶言うなって。今年は忘れなくて良かったと思うくらいなんだから」

「は? なにそれ?」

 

 そりゃ、バタバタしていたけどこの誕生日のおかげで繋ぎ止められたものがあるからなと俺は一花を見ると「あはは」と笑っていた。

 

「ま、けど、ありがとうな」

 

 姉妹と風太郎に俺は礼を言う。

 

「それじゃ、早速お誕生日パーティーと」

「いや、それは宿題のチェックが終わってからだ」

 

 四葉のリボンを掴まえて風太郎は四葉を座らせる。

 

「上杉君、あなた本当に空気が読めないですね」

「俺の誕生日はそんなに気に」

「そういう訳にはいきません!」

 

 五月の勢いに当事者の俺は思わずたじろぐ。

 

「でも、あとで宿題の事やるより先の方がいいだろう? どうせ、みんなしっかり終わらせてるだろうしさ」

 

 その俺の言葉に五人は自信満々に宿題をテーブルへと出した。

 前は課題ひとつやらせるのも大変だったのにな。

 それからそんな時間を掛けずに宿題のチェックが終わると改めて俺の誕生日パーティーが始まった。

 

「てか、風太郎の時も姉妹達の時もこんな盛大にやってないのに」

 

 風太郎の時も五つ子の時もプレゼント渡すだけで終わった訳で俺だけこんな盛大にやられるのは少々申し訳なく感じる。

 

「あー、口実だから」

「あ?」

 

 気付けば二乃はカバンを肩にかけ、サングラスをつけている。

 今から出掛けると言わんばかりの格好だ。

 

「二乃が海行きたいってうるさいから」

 

 三玖も同じように出掛ける格好。

 いや、三玖だけじゃない。周りを見ると俺以外は準備万端といった感じだ。

 

「風太郎、説明」

 

 五つ子同様に出掛ける準備が済んでいる風太郎に俺は説明を求める。

 

「あー、誠司はプール行けなかったろ? だから、代わりに海にでもって話になってな」

「私たち、海は今年まだ行けてないんですよ!」

 

 この夏休みの間にすっかり日焼けしている四葉。夏休みを楽しんだように思えるが、まだ物足りないと。

 

「長尾君があまり遊んでいないと聞いたので。それで海へと。二乃はああ言っていますが、あなたにももっと思い出を」

「五月! 黙ってなさい!」

 

 相変わらず素直じゃない次女だな。

 

「はぁ、それは構わない。けど、海に行くなら一言だな。俺、水着とか持ってきて」

「まずは私からのプレゼントです」

 

 そう言って四葉はスポーツショップの袋を俺に渡した。

 この流れだと中身は。

 

「水着か」

 

 黒の無難な水着が入っていた。

 

「用意周到だな」

 

 ここまでしてくれたらやる事はひとつだな。

 

「うし、行くか!」

 

 そうして俺は今年、二度目の海へと向かう。

 

 

「けど、一花。お前、大丈夫なのか? いくら変装しても海なんて人が」

 

 マンションを出ると江端さんが待っていて俺達は車で海まで移動する。

 その車内で俺は一つ危惧している事があった。

 それはすっかり話題の女優としてSNSを騒がしている一花についてだ。

 

「あ、その辺は大丈夫。お父さんがね。知り合いに頼んでプライベートビーチ貸してもらったって。今はそこに向かってる」

「先生が?」

「うん。あ、それでセージ君に伝言。お誕生日おめでとうだって」

 

 まさか中野先生から祝われるとは思ってなかったから今日一番の驚きだった。

 今度お礼言わないとな。

 一花の件でも俺にアドバイスくれたようなもんだし。

 

「本当はセージ君のお母さんも誘ったんだけど、平日だしお仕事だって」

「呼ばなくていいって」

 

 誰がこの年になって母親と海なんて。

 

「でも、夜には合流できるって」

「来るのかよ」

 

 今朝、祝いの言葉はもらったけどそんな素振りなかったぞ。

 てか、そうなると夜までガッツリコースか。

 俺は外へと視線を移すと丁度、海が見えてきた。

 

 

 

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