銀パイ伝 〜銀河パイロット伝説〜   作:koshikoshikoshi

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39 双璧

 

 自由惑星同盟エリューセラ星域。

 

 同盟軍の補給・通信基地の制圧任務を完了。まさに反転を開始しようとしていたミッターマイヤーのもとを、意外な人物が来訪した。

 

「フロイライン・マリーンドルフ。いったいどうしてここに……?」

 

 

 

 

「ふむ。すると、いまからバーミリオン星域に向かっても間に合わない、と、フロイラインはそうおっしゃるのですな?」

 

「ええ。『疾風ウォルフ』の快速をもってしても、ローエングラム公を救うのには間に合わないでしょう』

 

 それは、ラインハルトの首席秘書官、ヒルデガルト・マリーンドルフ。ほんの数隻の巡航艦の小艦隊で敵国である同盟領を縦断、一路ミッターマイヤーのもとに駆けつけた彼女の提言は、歴戦の勇士を驚かせるに十分なものだった。ミッターマイヤーは腕を組んで考え込む。

 

「では、どうしろと? フロイラインには代案がおありと推測しますが」

 

 ここからならば、ローエングラム公が戦っているバーミリオン星域よりも同盟首都ハイネセンの方がはるかに近い。ヒルダのもってきた代案とは、ミッターマイヤー提督の艦隊戦力で一気に同盟政府を降伏させ、彼らをしてヤン・ウェンリーに停戦を命じさせる、というものだった。

 

「実は私はローエングラム公に同じ内容をご提案し、拒否されたことがあります。戦って勝つことにこそ意味がある、と。それは正しい価値観ではありますが、負ければすべてが無に帰してしまいます」

 

「……負けるとお考えですか、ローエングラム公が」

 

「はい。今回このまま事態が推移すれば、ローエングラム公は生涯で最初で最後のご経験をなさることになると、私は考えます」

 

 ミッターマイヤーは感心している。ローエングラム公の臣下すべてを見渡しても、自分の主君が負けるとここまではっきり言える人間は、ほんの数人しかいないだろう。彼は、同じ臣下として、ヒルダを得がたい人材であると再認識した。

 

 

 

 

 

「フロイライン。貴方の言うことは理解できました」

 

 ミッターマイヤー提督が頷く。ヒルダはほっと一息つく。ここまで来た甲斐があった。だが、正直すこしだけ意外さを感じている。

 

 あのミッターマイヤー提督が、軍事の素人である自分の言葉をこれほど簡単に信じてくれるとは……。

 

「恥ずかしながら……、私には、あのローエングラム公が負けることを想像すらできませんでした」

 

 ヒルダの表情を読み取ったかのように、ミッターマイヤー提督が口を開いた。

 

「しかし今となっては、たしかにフロイラインの危惧は正しいと、私も思います」

 

「も、もしよろしければ、そう思った理由をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか」

 

「実は、……あなたより先に、あなたと同じようにローエングラム公の敗北を予測し、私に訴えた者がいたのです。私はそれを受け入れることができず、ケンカになってしまいましたが」

 

 あのミッターマイヤー提督が、言いずらそうに頭をかいている。

 

 ……いったい誰が。

 

「しかし彼は、ローエングラム公を救うため、貴方の案とは異なる方策をとりました。すなわち、同盟首都への攻勢ではなく、残った任務を私に落しつけてさっさと主君の元に艦隊を率いて反転していったのです」

 

 残った任務をミッターマイヤー提督におしつけられる人物? この銀河系にそんな人物が存在するとは……。

 

 しばしのあいだ考え込み、そしてヒルダは思いついた。

 

 い、いる。ひとりだけ思い当たる人物が。でも、まさか……。

 

 ヒルダは唖然。そして絶句。それをみて、ミッターマイヤーは苦笑する。

 

「隣の星系に派遣されていたロイエンタールがそう言い出した時は、私もおどろきました。それはローエングラム公の敗北を予言しただけではなく、公の命令を無視するということでもありますからね。もちろん私は反対しましたが、彼は敵大型戦闘艇の脅威を理由に、決してひきさがることはありませんでした」

 

 ミッターマイヤー提督とロイエンタール提督は無二の親友だったはずだ。まさか、この件で仲違いしてしまったということなのだろうか? 帝国軍の双璧の仲が険悪になるのは、今後の帝国にとって決して良いことではないが……。

 

「ははは、ご心配なく。確かに多少激しい議論にはなりましたが、ケンカはしていません。結局はロイエンタール艦隊の任務を私の艦隊が引き受けるということで、おたがい納得の上で折衷案になったのです」

 

 ミッターマイヤー提督の笑顔に嘘はみえない。第三者であるヒルダは何も言えない。

 

「というわけで、ロイエンタールの艦隊はそろそろ戦場に到達する頃合いでしょう。ヤン・ウェンリーが恐るべき敵なのは確かですが、さすがにローエングラム公とロイエンタールの二艦隊が相手ならば、心配はいらないのではないですか?」

 

 ちなみに二人は、ミュラー艦隊が先に反転し、すでに戦場に到達していることをまだ知らない。そして、ミュラーが加わってもなお、ラインハルトがぎりぎりまで追い詰められていることも。

 

「今となって正直な気持ちをいいますと、ロイエンタールだけに反転させてしまい、私自身がヤン・ウェンリーとの決戦に参加できないこととなってしまったのは、しょうしょう残念という思いもありますが。……なんにしろ、いまさらわれわれが同盟軍首都を突く必要はないと思いますよ」

 

 冗談めかしながらまたしても頭をかいているミッターマイヤー提督を横目に、ヒルダは思考を重ねる。

 

 ミッターマイヤー提督のいうことはわかる。だが、それでもヒルダは素直にはうなずけない。

 

 どうしても気に掛かるのは、あの戦闘艇の存在だ。

 

 バーミリオン星系外縁。自らの艦隊が一艦、また一艦と、順番に撃沈されていった時の恐怖。まったくなすすべもなく、次は自分の艦かと震えて待つしかなかったあの時。心が凍るようなあのおもいは、一生忘れられないだろう。

 

 ヤン艦隊の切り札であるアレを、帝国軍は止められるのか。たった数個艦隊が加勢した程度で。それに……。

 

 大きな、とてつもなく大きな不安がヒルダの心の中にのしかかる。彼の親友であるミッターマイヤー提督の前では決して口に出来ない不安。そして疑惑。

 

 ロイエンタール提督。彼は、敗北直前の主君を前にして、素直に加勢できるのか?

 

 

 

 

 

 しばし逡巡の末、ヒルダは口に出した。

 

「……ミッターマイヤー提督。わたくしは、やはりこのままではローエングラム公は最初で最後の敗北を味わうことになると考えます」

 

 ミッターマイヤーはおどろく。ロイエンタール艦隊が加勢してもなおローエングラム公が負ける。そうヒルダは言っているのだ。

 

「今から同盟首都に侵攻することは、無駄かもしれません。むしろ無駄足になって欲しいと私も思います。そして、結果として命令違反としてローエングラム公から処罰される可能性も高いでしょう。それでもなお、万全を期すことこそ、私は臣下の役割だと考えます」

 

 こんどはミッターマイヤー提督が考え込む。そして、ゆっくりと顔をあげた。

 

「ふむ。……貴方の覚悟はわかりました。そもそもロイエンタールの反転を黙認している時点で、我々は命令違反を免れない。毒を食らわば皿までともいいますし、ここは帝国の勝利のために万全を期するとしましょう。あなたの案にのらせていただきます、フロイライン・マリーンドルフ」

 

 ヒルダには、ミッターマイヤー提督の内心が想像できる。

 

 この人は基本的に善人だ。親友であるロイエンタール提督の訴えを信じることが出来なかったこと。そして、彼ひとりに命令違反をさせる状況にしてしまった自分自身について、ミッターマイヤー提督は忸怩たる思いを抱いていたのだろう。だから、自分自身も命令違反をおこない、罪を共有しようとしているのだ。

 

「ありがとうございます。こころよりお礼申し上げます」

 

 

 

 

 

 

 

「これは……。ひどいものだな」

 

 バーミリオン星域。主君の命に背いて反転、自らの艦隊を率いて長躯駆けつけたロイエンタールは、戦況をひと目みてためいき。そして、意識せぬままつぶやきが口から漏れた。

 

 ミュラーが先に反転・帰還していることは予測していた。彼自身がそう言っていたからだ。それでもローエングラム公があっさりと勝てるとは、ロイエンタールは楽観していなかった。

 

 主君の能力を疑っていたわけではない。彼は主君以上にヤンの能力をかっているのだ。例の戦闘艇の使われ方しだいでは、本当にラインハルトはヤンに負けるとさえ思っていた。いやもしかしたら、そう期待していたと言った方が正確かもしれない。

 

 ロイエンタールが主君の命に背いて、そして親友と決して穏やかではない言い争いをしてまで反転してきたのは、ミュラーとそのように約束したのが大きな理由だが、それだけではない。自らの予感、……ラインハルトが負けるかもしれないとの直感の当否を確かめたかったからだ。

 

 だが今、ロイエンタールが実際に目にした状況は、……彼の想像を超えていた。

 

 主君の総旗艦ブリュンヒルトはすでにほぼ孤立状態。周囲を守るのは、今やほんの僅かな直衛艦のみ。

 

 その目と鼻の先の空域で、総旗艦めがけて突入を試みる敵分艦隊とそれを阻止するミュラー艦隊の生き残りが入り乱れての乱戦。おたがいに既に艦列などない。文字通りの殴り合いを演じている。

 

 だが、ミュラーの艦隊はもう残り僅かだ。敵の分艦隊がブリュンヒルトに殺到するのも時間の問題だろう。

 

 さらに、仮にミュラーが持ちこたえたとしても、その外側ではヤン・ウェンリーの本隊が包囲網を構築している。あの包囲網が閉じられてしまえば、いかにミュラーが奮闘しようとも、ブリュンヒルトは絶対に逃げられない。

 

 あの戦争の天才ローエングラム公が、さらに手堅い守備には定評のあるミュラーが加わってさえ、艦隊戦においてここまで完敗するとは。

 

「ヤン・ウェンリーとは、これほどまでに……」

 

 ロイエンタールの口から、感嘆の言葉がもれた。彼の人生において、これほどまでに他人を誉めたことはない。

 

 

 

 

 

 いま、帝国軍は敗北ぎりぎりの状況だ。戦場にたどりついたロイエンタールには、選択肢が二つしかない。

 

 ひとつ。

 

 彼の艦隊をもってラインハルトとアッテンボロー、ミュラーの乱戦の中に割り込み、とにかく主君の身をまもること。

 

 そしてもうひとつ。

 

 ブリュンヒルトを無視。後方で包囲網を完成させつつあるヤン・ウェンリーの本隊を撃つ。

 

 ロイエンタールにとって、後者はひどく魅力的にみえた。主君を打ち負かしつつある強大な敵を、自分自身の手で打ち倒す。ひとりの軍人として、これほど心躍る状況はあるまい。

 

 だが、その背後、乱戦の中でブリュンヒルトが沈む可能性は、決して低くない。

 

 ロイエンタールは必死に自我を抑える。彼は自分の役割を正確に理解している。彼が総旗艦をまもりきれば、それはすなわち帝国軍の勝利だ。なにより、彼は主君に忠誠を誓った。臣下としてやることは決まっている。

 

(我が艦隊はローエングラム公の援護にむかう。総旗艦をまもるのだ!)

 

 ……ロイエンタールがそう口に出し、自らの艦隊に命令しようとした瞬間、オペレーターが叫んだ。

 

「同盟軍の本隊、一部の艦がこちらにむけて突出してきます。……赤外線放出パターン確認、敵旗艦ヒューベリオンです」

 

 

 

 

 

 

 ヤン艦隊旗艦ヒューベリオン。

 

 それはロイエンタール艦隊が到達する直前のこと。乱戦の中、アッテンボローがあと一歩で敵総旗艦ブリュンヒルトを砲火に捕らえつつあるとの通信がはいる。

 

 しかしヤンは、その乱戦の場にあえて直下の本隊を参加させない。万が一にも敵旗艦を取り逃がすことのないよう、本隊で包囲網を構築する。これが完成すれば、詰みだ。

 

 勝てる。

 

 ブリッジの中、そう思ったのは司令官だけではない。すべての者にとって、状況はそう見えた。

 

 だが、……一瞬ゆるみかけたブリッジの雰囲気は、オペレータの悲鳴により引き裂かれる。

 

「ワープアウト検知! 極めて近傍、艦隊規模です!!」

 

 スクリーンを見つめていたヤンが、ゆっくりと振り向く。

 

 ミュラー艦隊に続いて、さらにもう一つの艦隊が戦場にワープアウトしたのだ。味方である同盟軍には、全軍を捜しても既に艦隊といえる規模の戦力は残っていない。すなわち、それは敵の増援ということだ。

 

「総数約一万隻。うち複数の艦の赤外線パターンを確認しました。ロイエンタール艦隊だとおもわれます」

 

 

 

 

 

 ヤンは、何かを言おうとして飲み込む。深い深いためいきをひとつ。そして天を仰いだ。

 

 ヤン艦隊は、すでに半個艦隊程度の戦力しか残っていない。あらたに一艦隊を相手にするのは無理だ。しかも、相手は帝国の双璧。このままブリュンヒルトの周囲を固められたら、たとえ包囲しても内側から食い破られるだけだ。

 

 ……さすがに、ここまでか。

 

 天を仰いだまま、ヤンはしばらく何も言わない。周囲の幕僚は息をのむ。ヤンが口を開くのを待つ。

 

 誰もが予想したのは、降服の二文字。

 

 だが、思いついたように開かれたヤンの口からこぼれ落ちた単語は、それではなかった。

 

「……スーパースパルタニアン小隊は、いまどこにいる?」

 

「さ、最大速度で進行中。あと数時間で敵本隊突入可能な位置です」

 

 ヤンはゆっくりと視線を水平に戻す。あらためてひとつ、深く息を吸う。

 

 我らが司令官はまだあきらめていない。フレデリカにはそう見えた。

 

「敵の新たな戦力は、ロイエンタール提督の艦隊だと言ったね」

 

 はい。

 

「ならば、誘ってみようか。……すこしでもポプランとエリザが楽できるように」

 

「……やってみる価値はありますな」

 

 よこで頷いたのはシェーンコップだ。

 

「彼がひっかかってくれると思うかい、シェーンコップ中将?」

 

「ええ。彼ならば、誘いにのってくれるでしょう。あなたの狙いを理解した上でね。……とはいえ、相手は帝国軍の双璧です。ヒューベリオン撃沈どころかヤン艦隊が全滅する可能性もあるでしょうがね」

 

 シェーンコップがにやりと笑う。ヤンの口元も、僅かにほころぶ。

 

「スーパースパルタニアンのふたりに課した任務を考えたら、我々もそれくらいのリスクを負うのは当然だろうね……。艦長、ヒューベリオンを前に出してくれ。なるべく目立つように、だ」

 

 

 

 

 

 

 

「同盟軍の本隊、一部の艦がこちらにむけて突出してきます。……赤外線放出パターン確認、敵旗艦ヒューベリオンです」

 

 オペレータの声。ロイエンタールは訝しげにスクリーンを見る。たしかに、ブリュンヒルトを遠巻きに包囲しつつあった敵艦隊から、一部の艦が突出しつつあるように見える。

 

「ヤン・ウェンリー、何を考えている。……まさか、さそわれている?」

 

 ロイエンタールは腕を組む。鼓動が加速している。自分の血液の温度がすこしづつ上がり始めたのを感じる。

 

 イゼルローンでも似たような事があった。あれは俺をおびき出すための陽動だったが、いまは状況が違う。あの艦には、間違いなくヤン・ウェンリーが乗っている。

 

 ……そう、やつは、誘っているのだ。この俺を。

 

 イゼルローンでは、やつの仕掛けた罠に不様にも引っかかった。ヤン・ウェンリーは、俺が主君に対して複雑な思いを抱いていることを知っていて、それを利用したのだ。

 

 そして、今。ヤン・ウェンリーは、ふたたび俺に罠を仕掛けてきた。いや、これは『罠』になっていない。奴の意図はまるわかりだ。俺に意図を見ぬかれていることを承知の上でやっているのだ。……だが、餌は本物だ。帝国軍最大の敵、銀河系一の知謀を誇る不敗の魔術師、という極上の餌。

 

 

 

 

 

 

 馬鹿にするな、という憤り。一方で、ありがたいという思いがあることを、ロイエンタールは否定できない。

 

 正真正銘、これはヤン・ウェンリーと俺が一対一で決着をつけることができる機会だ。これで俺が勝てば、すなわちおれは金髪の坊やよりも優れていると証明できるのだ。

 

「閣下!」

 

 参謀であるベルゲングリューンが、決死の表情で叫ぶ。

 

「ただちに総旗艦の守備につくべきです。ご命令を!」

 

 ベルゲングリューンはまったく遠慮することなく上官に詰め寄る。彼には、ロイエンタールの心にうずまく葛藤がわかった。正確に理解できた。だから、絶対に阻止せねばならない。ロイエンタールの正面、ツバのかかる距離に詰めて訴える。

 

「これはイゼルローンのあの時と同じです。閣下が敵旗艦に誘い出された隙に、あの戦闘艇が突入してくるのは間違いありません。あの失敗を繰り返すのは愚策としかいいようがありません。ここは守りを固めるべきです」

 

 上官の過去の失敗を、そこまであからさまに遠慮無く指摘しなくともいいのではないか?

 

 ロイエンタールはおもわず苦笑する。

 

 ……しかしな、ベルゲングリューン、今回あの戦闘艇が突入してくる先は、我が艦隊ではない。不細工な戦闘艇が目指す目標は、私ではないのだ。

 

「閣下! 繰り返し申し上げます。われわれが今すべきことは、総旗艦を守り切ることです。それこそが銀河帝国軍人の務めであると私は考えます。……おねがいです、閣下。ご理解ください!」

 

 ベルゲングリューンの訴えは、決して大声ではない。だが、喉の奥から声を絞り出されたその声は、ロイエンタールの心に響いた。

 

 我の参謀殿は極めて正しい見識の持ち主だ。俺のような男にはまことに得がたい立派な部下だ。しかし、……すまない。

 

 ロイエンタールは口を開く。

 

「全艦、前進。目標はヤン・ウェンリー本隊だ。銀河帝国の最大の敵を、この手で葬り去るのだ」

 

 一瞬絶句したベルゲングリューン。しかし、上官に抗命はしない。だまって指令を伝達する。

 

 ……本当に、すまない。

 

 ロイエンタールは黙って頭を下げる。そして、スクリーンに視線を向ける。そこには、いまだ乱戦の渦中にあるブリュンヒルト。

 

 我が主君よ、この程度の危機は自分の手で切り抜けてみせてくれ。

 

 

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