ORTなオリ主と呪術師   作:雨曝し

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星槳体の少女

 

 

 

 任務説明後俺と五条と夏油は護衛対象である星槳体、天内理子の宿泊するホテルへと向かっていた。

 五条が小銭をじゃらじゃらと弄びながら、夏油は前屈み気味に歩く。

 俺はその後ろをちょこちょこ付いて歩いている。

 

 ホテルに向かう道中、夏油がふと疑問を投げ掛ける。

 

「星槳体の子が同化を拒んだらどうする?」

「そん時は同化はなし!」

 

 五条はそれに対してあっさりと返した。

 夏油がくつくつと笑う。

 

「良いのかい?天元様と戦うことになるかもよ?」

「ビビってんの?目下の問題はオルトだろ」

「それは確かに」

 

 二人は天元様と敵対することよりも、星槳体が同化をしなかった場合に俺がどちら側に付くかで悩んでいるようだ。

 

「俺は基本的に美味しい物くれる五条に付くよ」

「やっぱ飯か。オルトは食べ物で釣れるから楽だな」

 

 五条はそう言ってコーラを二本買って一つを俺に渡してくれる。

 蓋を開けてコーラを飲む。

 甘味が舌に広がり、炭酸が喉を刺激する。

 

「おお。美味いなこれ」

「初めて飲んだのか?どんな生活してたんだか…」

「日雇いで働き詰めだったよ。家賃やら光熱費やら払う為に金貯めてたからね」

「そういや、今は借りてる部屋はどうしたんだい?」

 

 夏油の疑問に俺はあっ、と声を漏らす。

 そういえば大家さんに何も言わずに出て来てしまった。

 家賃諸々の話とか今後の住居とか考えないとな。

 

「そのままになってるから後日取りに行こう。俺は五条から離れられないから頼んだ」

「えぇー…まあ仕方ねえか。連行したのは俺達だしな」

 

 そんなことを話しながら歩いているとホテルが見えてくる。

 あそこが目的地の筈だ。

 

「そういやさ、なんで盤星教は星槳体を狙ってんの?」

「盤星教が崇拝しているのは純粋な天元様だ。星槳体…つまりは不純物が混ざるのが許せないのさ」

 

 俺の溢した疑問に夏油が丁寧に説明してくれる。

 

「でも既に同化済みなんだから純粋じゃなくない?」

「さて…狂信者の考えることは私にもよく分からないな」

 

 夏油は肩を竦めてそう答えた。

 知識は持っていたが改めて人間とは宗教が絡むと途端に面倒になるな、と思う。

 寄り掛かるものがなければ生きることさえ難しいのだろう。

 単独では存在することさえ難しいとは、人間は何とも儚い生物である。

 それとも単独で完結している俺が異常なだけか。

 

 どちらにせよ人間は俺と比べるまでもない程に脆い存在である。

 些細なことで死んでしまうし、精神的にも脆弱だ。

 星槳体の子も慎重に扱わなければすぐに死んでしまうだろう。

 

 そんなことを考えているといつの間にかホテルの前に到着していた。

 五条と夏油が何やら話していると突然ホテルの上階が爆発する。

 先ず間違いなく星槳体の宿泊している部屋である。

 

「これでガキんちょ死んでたら俺らの所為?」

「まだ死んじゃいないみたいだよ。助けに行こうか?」

「お?宇宙人にも人を想う気持ちがあったか」

「一応善良な人間の知識と倫理観をインストールしているからね」

「ほーん。じゃ頼んだ」

 

 俺は「了解」と返して軽く地を蹴る。

 人間には視認すらできない速度で落下する星槳体の少女のもとへ跳躍して、少女を優しく抱き留めて飛行する。

 ゆっくりと降下して五条達と合流する。

 

「怪我してるね」

「硝子がいりゃ治せたんだが……オルトは反転使える?」

「何それ?」

「呪力同士を掛け合わせて正の力を生み出すんだよ。そうすりゃ肉体を治癒できる」

「ふーん。それを他人にも使うってことね……できたわ」

 

 俺は少女へと生み出した正の力を流し込む。

 莫大な正の力が少女へと流れ込み、一気に傷が癒えた。

 

「はーバケモン。これだから宇宙人はさぁ……」

 

 五条が項垂れてる間に夏油が呪霊を出して爆発した部屋へと向かい、何やら戦闘を始めているのが見える。

 此方には不明な呪力が接近していた。

 

 数多のナイフが俺へ向かって投擲される。

 それを全部噛み砕いてボリボリと咀嚼する。

 

「隣は五条悟だろうが、星槳体を持ってる君は誰だ?てか今ナイフ食わなかった?」

「美味しかったよ。君の術式かい?」

 

 俺がそう問い掛ければ姿を現したロン毛に白い軍服という珍妙な格好の男が息を呑む。

 

「そうだ。俺はバイエル。質問には答えてくれないのかな?」

「餌に態々名乗る奴がいるか?」

「食うなよ。情報を引き出す必要がある」

「それなら問題ない。水晶化させて捕食すれば対象の持つ情報を全て取得できる」

「なら食って良し」

 

 俺はニコニコで食いでがありそうなバイエルを見る。

 見られたバイエルは怯んで一歩後退する。

 

「人を食う気か!?」

「呪詛師だっけ?なら知らなくても当然だと思うけど、そういう性質でね」

 

 俺は少女を抱えたまま捕食する為に口を開ける。

 そして口から銀糸を出してバイエルに突き刺し、瞬時に水晶へと変える。

 水晶は砕け散って俺の口元へと吸い込まれた。

 

「うん。やっぱ美味かったな」

「うわぁ…人に擬態するエイリアンって題材で映画作れそう」

「食べて良いって言うから食べたのにその言い草は酷くない?」

 

 俺の抗議を五条は取り合わず、星槳体の少女を見つめ出した。

 

「こういう子がタイプなの?」

「断じて違う。俺はもっとボンキュッボンのお姉さんが…じゃなくてほんとに怪我治ってんのかと思ってな」

「結構な量突っ込んだから大丈夫じゃない?」

 

 そんな会話をしていると星槳体、天内が目を覚ます。

 そして思いっ切り俺を引っ叩いた。

 

「下衆め!!妾を殺したくば、先ずは貴様から死んでみせよ!!」

「何言ってんのか分かんないけど…取り敢えず味方だよ。俺はオルトでこっちの白髪が五条ね」

 

 そうニッコリと笑って自己紹介すれども天内は警戒を解かない。

 こういう時は一発芸を披露して場を和ませるのが大事だと電波を受け取った俺は咳払いを一つして姿を変える。

 

「七変化の術!」

「おお!?」

 

 俺がしゅるりと銀毛の狐へと体を変形させると天内は驚きながらも喜色を浮かべた。

 

「可愛いー!!」

 

 そして俺を抱き締めてあちこち撫で回す。

 俺は抵抗せずにそれを受け入れる。

 

「そうか。蜘蛛になれるなら他の生物にもなれるわな。改めて凄まじい能力だな」

「可愛いでしょ。五条も遠慮せず撫でて良いのよ」

「やぁーオルトだと思うと気軽に撫でれん」

「本当にお主らは味方なんじゃな」

 

 俺が首肯すると漸く天内は警戒を解いたようだった。

 そして重大な事実に気が付いて声を上げた。

 

「そうだ!黒井は!?」

「そっちは傑が助けに行ってる」

「黒井ってのは確か世話係のメイドさんだよね?」

「そうじゃ!妾の家族じゃ!早く合流しないと!」

 

 天内は顔に心配を浮かべてそう言った。

 俺も同意見なので素直にホテルへとてくてく歩いて行く。

 夏油の実力なら心配はいらないとは思うが返り討ちに遭う可能性はあるからな。

 

 俺の後ろに五条と天内が付いて来る。

 小さな体でせっせとホテルの中を闊歩してエレベーターに到着すると五条が最上階のボタンを押した。

 

 そうして三人で最上階に辿り着くと天内が目的の部屋まで駆けて行き、勢いよく扉を開く。

 

「黒井!!」

「首尾よく行ったみたいだね」

 

 部屋にはソファに寝かされた黒井と思われる女性と夏油と呪霊に拘束された呪詛師、コークンがいた。

 夏油は優雅に紅茶を飲んでおり、まるで襲撃などなかったかのようだ。

 

「おや、理子ちゃんも目を覚ましたか。そっちはどうだった?」

「オルトが呪詛師を捕食して終了。情報も取得できたらしい」

「Qの本部の場所から構成員まで詳細に話せるよ」

「それは良かった。こっちは見ての通りだ」

 

 コークンはバイエルが捕食されたことに深く絶望している。

 俺がじろりとコークンを睨むと怯えたようだった。

 夏油は訝しげに俺に視線を遣った。

 

「ところでオルトは?その狐も何だい?」

「この狐がオルトだ。つかそろそろ戻れよ」

「それもそうだね」

 

 俺はするりと人間体へと戻る。

 

「なんか変わってね?」

「髪を銀色に変えて瞳の色を翡翠色にしてみた。顔の作りは同じだから染めたようなものだよ」

 

 五条と夏油は納得するように頷いた。

 天内は若干寂しそうにしている。

 銀狐の姿が気に入ったのかもしれない。

 

 試しに耳と尻尾を生やしてみると天内はモフり始めた。

 

「モフモフじゃ!」

「嬉しそうで良かった」

 

 最初ビンタされた時は先行きを不安に思ったが、上手く関係を築けそうだと俺は安堵の息を吐く。

 

 そうして俺達は黒井が目を覚ますのを待つのであった。

 

 

 





・オリ主
七変化は角質を再形成しているだけなので制限なく姿が変わる。
ゴジラになって熱線を吐き出すこともできる。

・天内理子
モフモフな銀狐の姿がお気に入り。

天内理子について

  • 生存
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