ORTなオリ主と呪術師   作:雨曝し

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生物として

 

 

 

 天内が俺をモフり始めてから暫くして黒井は目を覚ました。

 そして俺達を見ると五条達の制服に目を留めて状況を理解したらしかった。

 

「理子様共々助けていただいてありがとうございます」

「それが私達の仕事ですから、それよりオルトに手当てさせましたが痛むところはありませんか?」

「すっかり元気です。それで理子様は何を?」

「モフモフを撫でておる!」

 

 黒井は俺と理子の姿を見て疑問を口にした。

 それに元気良く天内が答えた。

 その様子を見て五条が口を開く。

 

「思ってたより元気なガキんちょだな。同化でおセンチになってんだろうから、どう気を遣うか考えてたのに」

「フンッ!如何にも下賤な者の考えじゃ」

「あ゛?」

「いいか!天元様は妾で、妾は天元様なのだ!!」

 

 そこから滔々と同化への価値観について語られるがいかんせん俺をモフりながらなので格好が付かない。

 五条達も途中から待ち受けの話をし出す始末である。

 俺は一通り天内の価値観を聞いて素直に感心する。

 

「凄いね、天内は。俺なら怖くて逃げ出しちゃうよ」

「え?」

 

 天内は意外な言葉を聞いた、というように声を漏らす。

 五条達も驚愕して俺を見つめた。

 

「オルトに怖いなんて感情があったのか」

「寧ろ進んで同化する側じゃないのかい?」

「全然違うよ。自我が変わればそれは俺じゃない。死と何も違いはない。俺は死ぬのが怖い生物だから、天内の立場なら同化なんてしたくないなぁ」

 

 俺の根本にあるのは食欲と生存欲だ。

 殺されそうになったら何が何でも生き延びようとする。

 だからこそ幼いながらも気丈に振る舞い、恐怖を押し殺す天内が凄いと思える。

 

「責任を背負って命を捧げるなんて俺には真似できないことだ。偉いね」

「……妾は、星槳体じゃからな!当然じゃ!」

 

 天内は俺の尻尾に顔を埋めてそう言い切った。

 そしてハッとして様子で勢い良く顔を上げた。

 

「そうだ!学校!!今何時じゃ!?」

「まだ昼前だよ」

「お嬢様、やはり学校は─」

「五月蝿い!!行くったら行くのじゃ!!」

 

 天内はこの状況でもまだ学校に行きたいらしい。

 襲撃される危険があると思うのだが、それは度外視だろうか。

 

 

 五条達の高専に留まるべきという尤もな意見にも聞く耳を持たず、天内の強情さに折れる形で俺達は彼女の通う廉直女学院へ向かうことになったのだった。

 

 

 

 

 そうして現在、俺達は廉直女学院中等部のプールサイドで屯していた。

 俺は耳と尻尾を消して完全に人の姿を取っている。

 

「チッ。ゆとり極まれりだな」

 

 五条が夜蛾に電話を掛けた後にそう悪態を吐く。

 天内理子の要望には全て応えよ、との天元様の命令に不服があるのだろう。

 

「同化したら大切な人達とは会えなくなるんだから、好きにさせてあげても良いんじゃない?」

「まあオルトもいるしなぁ」

 

 五条はそう言って溜め息を吐いた。

 何となく五条は俺が天内に肩入れしているのを見抜いている節があるな。

 

 そう考えていると黒井がポツリポツリと言葉を溢す。

 

「理子様にはご家族がおりません。幼い頃に事故で…それ以来私がお世話して参りました」

「じゃあ黒井が天内の家族だ」

「……はい」

 

 こういうやり取りをすると本当に天内は同化する方向性で話を進めて良いのか疑問に思う。

 俺がもやもやしていると五条が夏油に何やら確認を取る。

 

「悟、オルト。すぐに理子ちゃんの所へ」

「あ?」

「二体祓われた」

「やっぱそうなるよねー」

 

 読めていた展開に呆れながら俺は五条の後に続いて駆け出した。

 

 

 

 

 黒井達と別れて礼拝堂へと向かう。

 どうやらここはミッションスクールで音楽教師の都合で使う教室が変わるんだとか。

 

 俺と五条は礼拝堂、黒井が音楽室、夏油が襲撃犯二名を対処することとなった。

 

 そうして礼拝堂に辿り着いた五条は勢いそのまま扉を開け放った。

 

「天内!!」

「なっ…なな…」

「「「え〜〜〜〜!?」」」

 

 動揺する天内と生徒達。

 俺達二人を認めた生徒達は天内に詰め寄った。

 

「何理子彼氏!?どっちがそう!?」

「違っ…いとこ!!いとこだよ!!」

「高校生!?背ぇ高!!それに後ろの人超イケメン!!」

「おにーさんグラサン取ってよ!!」

 

 五条はリクエストに応えて真っ暗なグラサンを取る。

 そして露わになった顔に生徒達は黄色い声を上げた。

 

「こっちもイケメン!!」

「おい!!調子乗んなよ!!」

 

 二人並んでポーズを決めていると天内から怒りの声が飛ぶ。

 そして生徒達は音楽教師によって叱責されて静かになる。

 教師は五条に対して無断で入って来たことを注意したかと思えば次の瞬間には自分のTEL番を渡していた。

 

 そうして抜け駆けした教師に対する野次が飛び交う中で、俺はサラッと天内を抱えて五条が開けた窓から抜け出した。

 お姫様抱っこされた天内は顔を赤くしながら抗議した。

 

「馬鹿者!!あれ程皆の前に姿を現すなと─」

「呪詛師襲来。後は察しろ。このまま高専行くぞ。友達が巻き込まれんのは嫌だろ」

「……」

 

 五条の言葉に天内は押し黙る。

 そもそも最初から分かっていたことだ。

 呪詛師集団のQを倒したからって終わりじゃない。

 まだ盤星教という脅威は残っているのだから。

 

 

 そうして高専に向かう為に屋根を伝って走っていると目の前に紙袋を被った体格の良い男が姿を現す。

 そのタイミングで五条のもとに夏油から連絡が入った。

 

「天内の首に三千万の懸賞金?」

 

 どうやら呪詛師御用達の闇サイトで期限付きで懸賞金を懸けられているらしい。

 そうなると厄介だ。

 盤星教の仕業だとして高専に着くまでに何度襲撃に遭うか分かったもんじゃない。

 

「天内はオルトに任せる。俺がこいつをやる」

「了解。天内はしっかり掴まっててね」

「重くない?」

「軽い軽い。羽のようだよ」

 

 天内の女子らしい心配に俺が笑って答える。

 そんなやり取りを尻目に戦闘は既に始まっていた。

 五条が相手の術式を解説しながら次々と分身を薙ぎ倒していく。

 相手の術式は自分を五体の分身に増やす効果らしい。

 

 その効果の凄まじさに思わず欲しくなる。

 しかし今回は五条がやるとのことなので抑えておく。

 

 そうこうしていると五条が自分の術式について解説し出した。

 無限を現実のものにする術式で、無限の障壁やら吸い込む反応やらと話していく。

 

 ふむ。話を聞くに理論だけなら俺の炎さえも耐えられることになる。

 実際は過剰な力に術式が耐え切れずに障壁が消滅するだろうが、例えば俺の呪力出力で無下限呪術を扱えば防ぐこともできると思われる。

 

 凄まじい性能を誇る術式だ。

 その分ピーキーだろうにそれを感じさせない技能。

 そして特別な瞳。

 才能ならば人間の中でも随一だろう。

 

 五条は難なく呪詛師を撃退して見せた。

 反転はまだ扱えないようだがその内習得するだろうな。

 

 その時、天内の制服のポケットのガラケーが鳴る。

 俺が天内を降ろすと「黒井からじゃ」と言ってガラケーを開いて確認した。

 

 そして大慌てで俺と五条に画面見せて来た。

 

「どうしよう!!黒井が…!!黒井が!!」

 

 そこに映っていたのは手足を拘束された黒井の姿であった。

 

 

 

 

「すまない。私のミスだ。敵側にとっての黒井さんの価値を見誤っていた」

「そうか?ミスって程のミスでもねーだろ」

 

 夏油と合流した俺達は早速情報の擦り合わせと今後について話し合っていた

 

 五条は相手の出方を推測して取引の場を設けさせ、家入に影武者をやらせる算段を立てる。

 その計画に異議がありそうな天内だったが言葉にできない様子であった。

 代わりに俺が口を出す。

 

「天内はこのまま連れて行った方が良いでしょ。俺達の近くにいるのが一番安全なんだから……それに天内はまだ黒井とお別れできてないもんな?」

「うん…!!私も連れて行って!!」

 

 五条は悩んだ末に結論を出す。

 

「確かにオルトの言う通りだ。天内の安全の為にも側に置いておく」

 

 天内は五条の言葉に顔を明るくさせた。

 そして俺の手を取って感謝を口にした。

 

「ありがとう!!オルト!!」

「おお」

 

 俺は何となく照れ臭くて頰を掻いた。

 その様子に五条と夏油は奇妙なものを見るような視線を向けたのだった。

 

 

 





・オリ主
天内に肩入れしている。
理由は本人も理解していない。

・理子
色々と配慮してくれるオリ主に対して好感度が高い。

・五条と夏油
オルトが恋愛してる…?

天内理子について

  • 生存
  • 死亡
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