我が家の日常 作:マネモプ
実際の母はこんなにうるさくなく舌打ちをしながら右手中指を立てて左手親指で首を切るジェスチャーをしながら父に耳打ちをするように私に聞こえるか聞こえないかぐらいの小声でボソボソ言ってるだけでした。
地の文は書いてて飽きてきたのでかなり少ないです。
母がここ数年で一番テンションが高かったのは聲の形のヒロインである西宮が自殺未遂をするシーンを見ている時だ。
「アホ!カス!死ねやアホ!」
母が中指を立てながら怒鳴る。
「作画がいいし音楽も盛り上がってきてテンション上がるなぁ」
父がしみじみと音楽を聴きながらそう言うと先ほどまで「花火が綺麗だ」と話していたのもあって母は便乗する。
「花火の手前のカスはカス!アホが死ねカス!花火でええわアホは去ね!」
母は背景の花火の方が西宮よりも映す価値があると主張しているようだ。
「アハハこいつ転んでるよ笑える」
父は転んだ石田を見て笑いが堪えきれなくなってきていた。
「あー!アホのせいでカスみたいなアホ!カスが!去ね去ね去ねカス!」
石田が転んだのは西宮のせいでカスみたいなもんでも痛い思いをしたから西宮はカスだと言っていたのかもしれない。
「がんばれぇ、アハーッ!落ちたぁ!花火綺麗だなぁ」
音楽が消えて西宮が消えるシーンでテンションが上がって大爆笑する父。
「アホアホアホ!カスが!花火ええよな!カスが!アホのせいでカス!」
「おーなんだ、間に合っちゃったのかぁ」
「アホ死ねやカス!石田!アホに石田!もうカス!なんで石田!?石田去ね、去ってええから」
「おおっ落ちるぞ落ちるぞ死ぬぞ死ぬぞ」
「死んなや石田やめいやめい石田、カスはよ柵を!カス!はよせんかいアホ!」
「こーれは流石に死ぬ流れでしょー」
「嘘嘘嘘うそうそうそうそ!アカンアカンアカン!」
「アハッおーい(笑)泣いてる泣いてるぅ!」
「アアアアッッッツホ!カスがホンマになんやカス!アホがカスしてホンマカス!もう!アアアア!アホの妹!なあアホの妹のカスの姉がカス!」
「卵……?おい見ろ!血だ!フヘヘ、おい死んだろこれ、へへへ。なんだよ生き残ったのかよ」
「ああ、もうアホ……アホ……カスの母親が……アホのせいで……」
「土下座しててウケる」
「はーっもうあーっ」
「ヒャハッおいおい泣いてるぜ!マジウケる!ウへへへ」
「やれーっナオちゃんアホをぶっっカス!やれ!もっとアホを蹴れ!」
「ウヒャッ!ヤベッウヒヒッ!イヒーっヒーっ!」
「せやカス!ナオちゃんの言う通りアホはカスや!悲劇のヒロインぶったカス!」
「こいつらの気持ち想像するだけで笑い止まんねぇ」
「人の気持ちも考えられんカス!ほんま反省しろやカス!」
聲の形を家族4人で見ている時の一幕。
父は無様を晒すキャラを見て笑える素直な感性を持ち、母は悪いことをする子を叱れる強い母だ。
実際の母はこんなに西宮のことをアホと言っていなかった気がする、主にカスと言ってた気がする。ただ母はアニメを最後まで見てから西宮のことをアホパカと呼ぶようになったので西宮をアホと呼んでいる印象が強くこのような文になりました。
最近も不滅のあなたへを見た時のこと。
「フシってなんや、あれ、ほら……アホに似てきた?」
「どの……?」
「アホパカ」
「あーね確かに無神経に人の神経を逆撫でするとこと似てるかもね、でも耳が聞こえにくい硝子ちゃんと違ってフシは人間よりも感じれる感覚が多いはずなんだけどね」
「せやな、じゃあフシの方がマシやな」
「いや俺はフシの方が嫌い」
というような会話を父としていました。つまりそのぐらい我が家では西宮のことはもうアホパカで通じるようになっています、母はアホパカを略してアホと呼んでいるのでたまに他のキャラをアホと呼ぶ時に混同します。ちなみに母がアホと呼ぶキャラはfateならばセイバーをアホ剣、不滅のあなたへならボンならアホ王のようにアホなりに愛嬌のあるキャラに対して愛称の意味合いを込めて呼んでいます、ですので完全に蔑称として使っているアホパカはかなり珍しい例です。
母が西宮のことが嫌いなのは植野のことが聲の形で一番大好きなキャラでしょう、花火大会のシーンで植野に弟が3人いると判明してから植野への好感度が天元突破しました、グレンラガンはまだ兄しか見ていません、いつか家族で見たいです。それなりに努力をしていて結果や実績を出しているシーンがあるということで母から植野に対する好感度は元々低くなかったのですが、母は女性であるという時点でかなり色眼鏡でキャラを判断するので女性キャラの中で一番好感度が高かったですが他の男性キャラの好感度の方が高かったです。
父は植野のことを大して好きではありません、楽しそうにしているシーンが少ないからです。父は感受性が豊かなのでキャラに共感してキャラが楽しそうにしていると一緒に共感して楽しくなり、キャラが苦しんでいたり悲しんでいたりすると笑いが込み上げてきます。西宮と石田に主に視点が向いているのもあって石田と西宮は楽しそうにしているシーンが多いですが植野は石田と西宮がいると苦しそうだったり悲しそうだったりしていることが多いためでしょう。そのため聲の形で好きなキャラは石田、西宮、永束です。
兄は私に対しては無口であまり感想を話しません、父と母とは頻繁に感想を話しますが私とはあまり感想を共有しません。ですので聲の形のどのキャラが好きかは分かりませんが少なくとも聲の形は好きだと思います、見終わってから泣いていたので。
私が好きなキャラは真柴くんと川井さんです。最初は真柴くんのことだけが好きで、川井さんは釣り合わないと思ってましたが今は川井さんにしか真柴くんを任せられないと思ってます、嫌いなキャラは永束。
いつもならアニメの感想を1番饒舌に話すのは父で次点が私か兄です、しかし聲の形に関しては1番饒舌だったのは母でした。
「漫画読みたいわ続きあるんやろ?アホパカ腹立つもん」
そんなような言葉で、エンディングで静かになった後に母が感想を最初に切り出しました。
「西宮と石田がどうなったかの結末が知りたいってこと?」
兄は鼻をかみながら私を牽制するように母に問い返しました。
「ちゃうて、石田も石田でよーわからんし腹立つもん」
父の胸の中に入るようにテレビから目を背けて疲れた感じでそう言いました。
「原作読むなら最初から読んだ方がいいよ!アニメの続きから読むと原作だとやった映画制作をアニメだとやっていないからストーリーがわかりにくくなるだろうし、キャラの関係値がもっと深掘りされてて面白いし」
私はこれ幸いと母に原作布教をしました。
「読む読む、最初から読むて」
母は煩わしそうに父の腕に包まれながら私の話を遮りました。
「その年にもなって彼女もいたことない童貞のガキどもには女心ってやつはわかんねぇか、バカだなぁそんなんだと女子からプレゼントとかも貰ったことないんだろ?子孫を残せないなんて生物として欠陥品だぞ。漫画の聲の形を読みたいってよりは聲の形についてもうちょっと感情を整理したいから他の媒体でもいいからもっと聲の形に触れてたいってことなんだよなー?」
父は母の頭を撫でながらそう言いました、母は少し頭を動かしていることから頷いているというのが伝わってきました。
それから数ヶ月ぐらいはポツポツと母が聲の形の感想を唐突に言ってくる日々が続きました。
「ナオちゃんってすごない?」
食事中に唐突に母がそう言いました。
「誰よ?」
「植野直花ちゃん、ほら聲の形の」
「あの薄青色の子ね、印象が薄いわ何がすごいの?」
「最優秀賞を取ってるんやで、アホとは大違いや」
「おーそりゃすごいじゃん、アホが誰かわからないけどアホと大違いって部分でめっちゃ笑える」
「聲の形のアホはアホパカやろ、妹やナオちゃんと違くて何の賞も取っとらんカス、妹に劣る姉とか恥ずかしくないんかな?生きてる価値あらへん」
「フヘヘ、そうな」
母は母方の祖父母や叔父叔母の話になると罵詈雑言が止まらなくなります。父は人が人を罵倒する姿が好きでニヤニヤしながら母の話を聞いています、私は父が母を好きになった理由はそういうところなんじゃないかと思っています。