我が家の日常   作:マネモプ

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母は母方の祖母をボケカス
母方の祖父をボケジジイと呼び
2人合わせてボケと呼びます
祖父母は母のことをお姉ちゃんと呼びます


母は母方の祖父母の家によく行くが介護ではない

「3人目とか下世話なこと言うなやボケカス」

 母が祖母とそのような会話をしているのを聞いて父は微笑ましいものを見るように母を見ている。

 父は実在の人物を笑うことはあまりない、私と兄は例外だが。そのため母が母方の祖父母を罵倒していてもほほえむだけで声を出して笑わない。

 アメリカン・スナイパーという映画を見ていた時も必死に笑うのを堪えて「クキキキキ」みたいな兵藤会長のような笑い声を出していた。そのアメリカン・スナイパーで子供を銃殺しないといけなくなりそうなシーンがあってその時はもう限界という感じだったが結果として子供を撃たなくて済んだという展開だったので笑わずに済んだが少しガッカリしているように見えた。

 様子が変だったので映画が終わった後に父に「笑いたければ大声で笑えばよかったのに」と私は言った、父は「人の死を笑うなんて最低だぞ、遠い国の故人であろうと最低限の礼節を払えないようならば小学校からやり直すべきだ。道徳の授業は寝てたか?人としての優しさや思いやりの心をなくしたら畜生の類となんら変わらない、いや犬や猿でさえ死を悼む心はあるそうだからそれ未満か。いいかい?確かにこの世界には喜劇にならない悲劇なんて一つとしてない、でも悲劇を悲劇として悲しめない人間はクズだ、お前は人間のクズだ。フヘヘ、感受性が足りてないんじゃないのか?せめて前後の文法からどう感じるのかが正解なのかを考えられるようになるべきだよ、お前のような社会不適合者はバレないようにしないと。社会に出たらやっていけないよ」と言い返してきた。

 思い返せば父は映画館で映画を見る時は一切の音を立てないので本気で我慢すれば完全に笑いを抑えることができたのだろうが家で見ているという環境だったからわざと中途半端な我慢をしていたのだろう。

 父はクレヨンしんちゃんが好きなので家族の団欒を見るのが好きだ、家族の絆は決して壊れないと心の底から信じている。母方の祖父母の家だと父はとても静かに家族全体を見守っているような雰囲気で角の椅子に座ってテレビの方を向いている。交流は母方の祖父と将棋をするぐらいで私が父の立場だとしたらとても気まずいと思う、父は無駄に心が強いのだ。

 母方の祖父母の家が我が家に近いため母はよく父を連れて母方の祖父母の家に行く、きっと自身が幸せであることを自慢したいのだと思う、昔は私と兄も連れて行っていたが最近は父だけを連れて行っている。

 私と兄を連れて行かなくなったのは端的に言えば私達に祖父母の介護をさせたくなかったからだろう、祖父母はもう免許を返納してしまって生活が不便だが母は車を運転できないので父が運転する車で祖父母は買い物に行く。

 その時、私は祖父母の家で留守番をしていて車の音で4人が帰宅したのを理解して玄関の方に走っていた。そんな私を祖母は見て言った。

「あら〜荷物持ってくれるの〜偉いねぇ〜」

 そう言って手にいっぱいの荷物を私に押し付ける祖母に母は……

「ウチの子になにやらせとんじゃボケ、自分で持てやウチの子の手がもったいないわ」

 次に母と父が車で送ってくれる時までの買いだめという意味もあるのあろう、いつも大量に食材を買ってくる。別に祖父母は歩けないというわけではないし祖父は少し遠い図書館に週3ぐらいのペースで通うぐらい活発だが甘えているのだ。

 祖母は料理が好きだが食べる量は年相応に少食なので人に食わせたがる、そして食器や料理道具や机の片付けを面倒臭がるので母がやっている。

 祖父母の家には折り畳みの机が4つあり正月やお盆には親戚一同が会すので全ての机を使用するがいつもは部屋の角の椅子の横に置いてある。

 祖母は料理を作って盛り付けて写真を撮って満足するので、料理を配膳する机にもこだわっています。明るい木目の机、暗い木目の机、白地の机、透明な机があり机によって料理の映え方が変わるらしい。

 祖母は男子ならいくらでも食べれると勘違いしているのか私や兄がいると大量に料理を作る、当然すべてを食べきれるわけもなく……

「あら〜もう満腹?じゃあ持って帰って、お姉ちゃん後はお願いね」

 そう言って祖母は母に料理の後片付けを任せて祖父と一緒にテレビを見る。祖母は完食されなかったことにちょっと不満げでテレビではたまたま少子高齢化の話をしていたのもあって口走った。

「お姉ちゃんは3人目作らんの?」

 実は私もちょっと気になっていたのだ、父と母はラブラブでいつ3人目ができても不思議には思わないし私と兄はそう歳が離れておらず勢いで作った感があり3人目以降も勢いで作ってそうなぐらい仲がいいからおかしいと思っていたのだ。正直なところ父がクレヨンしんちゃんが好きなのでクレヨンしんちゃんに合わせて2人にしたのじゃないかと疑っている。

「3人目とか下世話なこと言うなやボケカス」

「なんでぇお姉ちゃん2人から産まれるのが2人じゃ増えとらんが、御国に貢献せんと」

「低学歴のボケジジイが黙っとれや、育てられもせん数のガキをポンポンこさえてウチに世話まかせておめこしてりゃええんだから楽でええわウチはもうガキを育てるのは手一杯やボケども」

「お姉ちゃんひどいね〜手一杯だって」

「ウチの子に話を振ってんとちゃうぞボケカス、おどれらのことじゃボケ。ウチの子らみたいな高学歴東大遺伝子ならいくらでも愛したるわ、産んだら去ねや?約束しろや、3人目を産んだらカスは愛せんから去ねやボケ」

 父が東大ということもあって母にとって我が家の人間はみんな東大卒らしい、実際は子供2人は高卒で母は中卒だが。

「なんやっけ?ジジババが年取ると赤ん坊に戻るみたいなほら、あれや、あれの世話をやらされとんやぞ、ボケカスがガキ産んで育てることもせんかったボケにはわからん」

 どもって捲し立てる口が止まりかける母に父がすかさず助け舟を出す。

「還暦を越えると十干十二支が一巡して生まれ変わる赤ちゃんに返るって言うよね、だから赤いちゃんちゃんこを着て60歳を祝うんだよね?」

 父は祖父母との間には少し距離があるからこうして母に話しかけるようにして会話に入ってくる、母は父が会話に入ってきたことに嬉しそうだった。

「かしこ!ウチの旦那かしこ!ボケとは違うわ!なーにが一姫二太郎は縁起が良いから産んだらまた一姫二太郎が続いたのでまた産んだや、次女産んだら止まれボケ。イキすぎて次男産んでる時点で筋が通っとらんわ!」

 そんなことを言いながら母は机の上の料理をタッパーに入れて冷蔵庫に入れて食器を洗い始めた、父は机を折り畳んででいる、机は確かに折り畳み式ではあるが割と重くて祖父か父がいつも片付けをしている。

「あーお義父さんお義母さん、もうそろそろ帰らせていただきますね」

 いつも父が最後に切り上げの言葉を言って帰る。

 母にとって祖父母の世話は介護ではなく子育てなのだ、親として親族としての義務で投げ出すことなどできないのだろう。

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