首輪付きが今度はキヴォトスを荒らすようです   作:AC組んでSS書いてる人

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言葉のうちに命があった。
命は人間を照らす光であった。
光は暗闇の中で輝いている。
暗闇は光を理解しなかった。

『新約聖書』──ヨハネによる福音書
ヨハネの言葉



闇討

 

 

「いやぁ~、ゴチでした先生!」

「御馳走様でした、先生☆」

「ん、お陰様でお腹いっぱい」

 食事を終え、店の外へと出た頃にはすっかりと陽も沈み始め、周辺は街灯で照らされ始めていた。人は相変わらずいない。

満腹になったお腹を擦りながらふらふらと眠そうに歩くホシノに、同じような張り具合で満足そうに笑うシロコ。ノノミとアヤネも少し眠そうにしている。満腹中枢も刺激されて眠気が誘われているのだろう。

代わりに先生の財布はすっからかんになった。実質痛み分けか・・・(?)

 

 皆を外まで見送ったセリカは、一度店の戸を閉めると忌々しそうな顔で皆を睨みつけ、地団駄を踏みながら云った。

 

 

「早く帰れー!!あと二度と来ないでよ?!仕事の邪魔だからッッッッ!分かった!?」

「あはは……えっと、セリカちゃん、また明日ね」

「ホントにわかってんの?! 皆嫌い!死んじゃえ!」

「ふはは、元気そうで何よりだ~、それじゃあまた明日ねぇ」

「”またくるね・・・”」

「あんたはいっそう絶対来るなハゲ!」

「”ハゲてないよー!!”」

そう言い合いながらセリカと皆は離れていく。ふんっと腕を組みながらそれを見送っていると、店の中から大将が出てきた。

 

「やぁセリカちゃん」

「大将!」

「皆も満足してたかい?」

「まぁ、はい」

「しかし・・・あの先生っていう大人は大分皆から信用されていたな。いい人なのか?」

「・・・まぁ、いい人です。指揮も、うまいですし」

「そうかぁ。アビドスの子たちはどうにも少し陰りがあったからな。あの人が来てくれたことが好転につながるといいんだが…」

「・・・そう、ですね」

「・・・セリカちゃん、何を腹に抱えてるかは知らねぇ。それを捨てろとまではいわねぇが・・・無理はするなよ?何かあってからじゃ遅いからな」

「・・・はい」

「ま、オッサンの辛気臭い話は終わりだ。もう少し働いてくれ」

「…はい!」

二人は店に入っていく。それをじっと見ている複数の陰には気づかずに。

 

 


 

 

一方、セリカと別れた5人はのんびりと歩いていた。

 

「”じゃあ私はホテルに戻るよ”」

「はい☆今日は本当にありがとうございました!」

「ん、太っ腹」

そうしてみなと別れようとしたが、そこにホシノが一歩前に躍り出た。

 

「先生、送るよ」

「”え、なんで?”」

「だって先生クソザコナメクジじゃん」

「”人の心とかないの?”」

「うん、2年前に置いていったからね。ここはキヴォトス、弱者に口無しだよ」

「…そうですよ~☆アビドスは治安良くないですし、もしものことがあってはいけませんからね~☆」

「ん、大丈夫。送り狼に出会ったと思ってまかせて」

「”転ばないようにするね”」

そうして先生はホテルまで護衛付きで歩いて行った。

 

 

 

その後、生徒たちも自宅に帰り、夜も更けていった頃、ホテルでゆっくりしていた先生に電話がかかる。

 

 

「”え?セリカとの連絡がつかない?”」

 

『そうなんです…!寝る前にでも少し話そうと思ってたら全然出てくれなくて・・・もしかしたらさらわれちゃったかも…!!』

「”アヤネ、待って。落ち着いて。こっちでも調べてみる。少しだけ時間が欲しい”」

『わ、・・かりました・・・』

「”私も合流するからその間に皆とアビドスで落ち合おう”」

そう言って電話を切る先生。すぐに自身が持つシッテムの箱に呼び掛ける。

 

「”セリカの場所を特定できる?”」

『はい!えぇっと・・・ケータイの場所を把握します!』

そう言ってアロナは素早く探索を始めた。そしてすぐに情報を持ってくる。

 

先生、見つけました!郊外の廃工場です!

「”廃工場か・・・あまり縁起がいいものじゃないね”」

そう言いながら先生はすぐにホテルを飛び出した。途中でシロコも合流し、乗せてもらうと校舎にたどり着く。

 

「”みんな!”」

「「「先生!」」」

「”こっちでいろいろしてセリカのケータイの場所を掴んだ。場所は…ここだよ”」

そう言ってシッテムの箱からマップを飛ばす。全員のケータイに情報が共有され、把握した。

 

「・・・これグレーなことやってない?」

「”今それ関係あるかな”」

「・・・まぁ、背に腹は代えられないからいいか。行こう、皆!」

「「「「はい!/ん!」」」」

そう言って皆は一斉に駆け出した。

 

「あ、待って。皆先に言ってて」

「ホシノ先輩、どうしたんですか?」

「ちょっと山猫ちゃんにお願いしに行くから」

「あ、そういうことですか~☆ 先行ってますね」

「うん、すぐ合流する」

そして皆はホシノを置いていった。当のホシノは校舎の中に入っていく。

 

様々な場所を見るが、山猫の姿はない。どこに行ったのか見当もつかない。

焦りといら立ちがどんどん濃くなっていく。変な汗も噴き出してきた。

 

屋上のドアに手をかける。

そして開け放たれた先には、探していた影があった。

 

「ホシノか?」

あっちから声をかけてきた。彼女は面食らうもすぐに要求する。

 

「山猫ちゃん、助けて欲しい」

「いやだ。金を払え」

「今は金とかどうとか言ってる場合じゃないんだ。セリカちゃんがさらわれたの。だから、手を貸してほしい」

「さらわれた馬鹿が悪いだろ。お前らがやりゃいいじゃねぇか。なんで私も借り出してくるんだよ」

山猫の後方でガチャコンと音がする。銃を手にかけた音だろうか。

 

「お願いだよ、山猫ちゃん。お願いだから…!」

「だったら今構えてる銃降ろせよ。人に頼む態度じゃねぇ」

「こっちは急いでるんだよ…!」

「命取られるようなことにはなってねぇだろ。焦るなよ」

「どうしてそれが言える…!」

「キヴォトス人は殺す気力なんてないからだ」

「…ッ!!」

「お前、人に頼む時のやり方も知らないか?後輩は先輩の背中を見るっていうが、やはり似てるな。馬鹿さ加減が」

「どういうことかな?」

「身の程知らずな所が特に似てる。今のお前、銃で脅せる立場じゃねぇだろ」

「・・・!!!」

するとガシャンと音が響く。見なくてもわかる。銃をその場に捨てた音だ。

 

「…お願いします…大事な後輩なんです…どうか、どうか…」

土下座だ。頭をこすりつけて乞う行為だ。惨めでどうしようもない奴がする行為だ。

するとそれを感じ取った山猫が口を開く。

 

「先いってろ。後で合流する」

「本当?!」

「良いもの見れたからな。シッシッ」

そう言うとさっさと行けとでもいうように手をフリフリさせる山猫。それを見やるとホシノはすぐさま銃を拾って階段を駆け下りた。

 

「金も払う気概がない馬鹿が・・・」

校庭を疾走して出ていく彼女を見ながら山猫は独り嘲笑する。しかし、すぐにぐっと踏ん張って空へ跳んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、合流したホシノと共にセリカ救出に成功したアビドスと先生。

セリカに本当の意味で認められた先生は少し、胸が温かくなった。

 

そこにぶろろろろとエンジンの音が聞こえる。全員が見るとそこにはハイエースが一台、走ってきていた。

 

それはよろよろと立ち上がったヘルメット団を再び撥ね飛ばしてブレーキをかけた。がちゃっとドアを開けてこちらに声をかけてきた。

 

「よぉ、身の程知らずの馬鹿ども」

それは山猫であった。いつも通り小馬鹿にするような笑みを携えてこっちを見ている。

 

「”なんで山猫が・・・”」

「そこのピンク(ホシノ)が来てくれって頭下げて来たんだよ。地面に頭こすりつけて、マジで惨めだったぜ? 動画とっとくんだったな」

「うへぇ、その言い草はないでしょ~?」

「そこの脳たりんがさらわれたのが悪いに決まってんだろ。折角気持ちよく寝てたのに邪魔しやがって。殺すぞ」

「ん、そこは本当に許して欲しい」

そんな会話をしながら山猫はセリカを見るとニタニタと笑いながら話しかけてくる。

 

「よぉ、ずいぶんとひどい顔だな。息災か?」

「さっきまでさらわれてたのよ・・・」

「そりゃあ僥倖だったな。次はないぞ」

からからと彼女は嗤った。それにつられて皆もフフッと笑ってしまう。緊張からの脱力、それによる感情の噴出だろうか。

 

「ところでこの車どっから持ってきたの?」

「そこら辺のヘルメット団ボコって奪ってきた」

「ボコったって・・・ひどいことしてないよね?」

「ボコった時点で酷いことしてないか?」

「それは・・・そうかもだけど・・・」

「ヘルメット団がどうなろうが世間はどうでもいいさ。所詮無籍の人間ってだけだ」

「”そんなことないと思うけど”」

「ま、死んだら死んだで路地裏のゴミが増えるだけさ。カタカタの件は気にするな」

「・・・山猫ちゃんってさ、優しいよね」

「優しい?私が?」

「うん。なんだかんだ言って気にかけてくれてるでしょ?」

「・・・あー、ハハハハハ

 お前らに今倒れてもらったら面白くないからな」

「それって…どういう意味?」

「さぁな。自分で考えろ」

そんなことを言いながら夜の砂漠を車は走る。山猫以外、砂から少し出てる腕や足には全く気付かぬまま。

 

「アビドスは曰く付きな場所が多いんだってな、おい」

「らしいねぇ」

「死人も出ると思うか?」

「…死人は、帰ってこないでしょ」

「あぁ、そうだ。死人は死人らしく死んどけって話だよな」

 

悪意は順調に巣食っていた。温情や義理などそこになく、ただ冷酷に。

 

 

つづく




AIでこねくり回して作った首輪付き(アビドス偽装)です
 ↓

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