嘘つきの詐欺少年。   作:お疲れのスーパーマン

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小説って難しいっすね……
つたない文章ですけど読んでくれてありがとうございますm(_ _)m


第一章1話~その3~

図書館の一件から数日。

図書館は紫藤の魔法で本を焼却処分したことにより、出入り可能ということになった。

燃やすまでの説得に相当な時間を費やしたが、紫藤が根負けしてやってくれることになった。根はいい奴なのだろう。ところどころに優しさがにじみ出ている。

あの一件から桜羽、橘との親交が深まり、今ではすっかり桜羽、橘、氷上、遠野、俺といった五人組で動くことが増えた。氷上はルームメイトということもあり元から話しやすい部類だったが、遠野とはもともと親交が全くなかったため、新しい友達ができた感覚で嬉しかった。

 

 

「そういえばシュウさん知ってます?ノアさん、あの有名な画家の『バルーン』らしいですわよ。」

 

「えぇまじ!?あの!?ストリートアーティストの!?」

 

「えぇ、ココさんがノアさんに直接聞いたらしいですわよ。あのバルーンが私たちと同じ年、しかも同じ被害にあっているなんて……すごい偶然ですわよね。」

 

 

いつも通りの夕食を終え、そんななんてことない話をしながら廊下を歩いていた時。後ろから声をかけられた。

 

 

「ちょっといい?」

 

 

声の主はどうやら黒部だったらしい。黒部は基本的に単独行動をするタイプなので、誰も彼女のことについて知らない。それこそ、名前と顔以外はなにも。

 

 

「なんだ?俺たちになんか用?」

 

「ラウンジに飾ってあったボウガンが消えていたの。誰かが持ち出したんだと思う。」

 

「なんですって……!?それって一大事じゃ!?」

 

 

ボウガンが消えたという事実に動揺を隠せないハンナ。

当然だ。ボウガンなんてものはわかりやすい凶器。つまりそれは、この後殺人事件が起きるという可能性を示唆している。

一度、みんなでボウガンの確認のためにラウンジへ向かうことになった。

 

 

 

♢♦♢♦♢

 

 

 

ラウンジに来た六人は、改めてボウガンがなくなっているという事実を目の当たりにした。

 

 

「ほんとだ……一体いつから?」

 

「昨日の日中に見たときはあって、今日見に行ったらなかった。だから昨日の夜だと思う。」

 

 

昨日からの話もしているあたり、黒部は相当ボウガンのことを気にしていたらしい。もっとも、それは自分がボウガンを盗むためなのか、殺人事件が起きるのを防ぐためだったのかはわからないが。

 

「それに……昨日無くなったものがもう一つあるの。私の髪リボン。どこかに落としたのかもしれないと思って、思い当たるところは探し回ったんだけど、見つからない。」

 

 

そこで、今日の日中にうろちょろといろんなところを動き回っていた黒部のことを思い出した。

きっと髪リボンを探し続けていたのだろう。平静を装ってはいるが、かすかにふるえている左のこぶしが重大さを語っている。大方、ずっと大切にしてきたリボンだと推察できる。

 

 

「囚人の中に、泥棒がいる。私は、許さない。」

 

「……まぁまぁ、落ち着けよ。俺らも明日から探してみるからさ、な?そんな怒るなって。」

 

「……そうね。ごめんなさい。手間はかけてしまうかもしれないけど探してくれると嬉しいわ。」

 

 

そういうと黒部は踵を返し、さっさとラウンジを出て行った。

このままだと、何かトラブルを起こしてしまいそうだ。そんな予感をほかの四人も感じ取っていたのだろう。黒部のほうを追いかけようという意見が桜羽からでると、特に反論もなく追いかけることになった。

 

 

(ボウガンがなくなったのもそうだが、リボンまでなくなるのか……。落としただけの可能性もあるが、妙に胸騒ぎがすんな……。)

 

 

そんなことを考えながら、自分たちもラウンジを後にした。

 

 

 

♢♦♢♦♢

 

 

 

五人で追いかけていると、行きついた先は二階の娯楽室であった。そこに黒部が入っていく姿が見え、自分たちも後を追うように入る。

すると案の定というべきか、彼女はやはりトラブルを起こしていた。

 

 

「人の顔見ていきなり泥棒ってなんだよ!?ふざけてんのかてめえ!!

 

「ふざけてない。あなたはいかにも何かしそう。」

 

「そっちこそ、その銃はなんだよ!?どこで手に入れた!?てめえのほうが怪しいだろうが!!」

 

 

言い争っているのはどうやら黒部と紫藤らしい。

紫藤の言う通り、黒部はわからないことが多すぎるのも事実だ。銃を持っている理由もわからないし、魔法すらわからない。怪しいというのは事実だ。だが、今はそんなことを言っている場合ではない。

仲裁に入ろうとすると、先に桜羽が仲裁に入ってくれた。

 

 

「二人とも待って!落ち着いて!!」

 

「うるせえ!引っ込んでろ!!」

 

 

紫藤はそういうと近くにあったチェス卓を蹴った。チェスの駒が散らばる。

そのあと桜羽を押しのけ、黒部の胸ぐらをつかんだ。いまにも衝突しそうだ。

 

 

「あなたはいつも虚勢ばかり。本気で誰かと向き合う気なんてない。」

 

「てめえ……っ」

 

 

紫藤がこぶしを握り始めた。このままだと暴力沙汰になってしまう。

そこで、橘に耳打ちをした。

 

 

「橘、俺が……するから……のあと、……してくれ」

 

「了解です!」

 

 

紫藤が黒部のことを殴ろうとしたとき。俺は魔法を使って紫藤のこぶしを受け流した。

あの魔法が口から出まかせだったとはいえ、俺の魔法でできないことではない。意識の外側から邪魔をされたら、防げるものも防げないだろう。急に出てきた俺に紫藤はびっくりしたのか、一瞬体が硬直する。そこで手筈通り橘が紫藤を羽交い絞めにした。最初こそ抵抗していたが、さすがに彼女の力で抑えられたら動けないだろう、そう思ったのか紫藤は抵抗せずおとなしく拘束されていた。

 

 

(いい嘘っていうのは、真実(ホントの事)をまぎれさせることなんだよ)

 

 

そう自分の中で格好をつけておく。

少しの間静まり返っていた娯楽室をぶち壊すように、桜羽が口を開く。

 

 

「―――――二人ともやめてほしい。いい加減にして。」

 

 

二人は何を畏れたのか、バチバチと一触即発の空気がなくなった。

争う気もなさそうだったので橘からの拘束も解き、一旦は解決という雰囲気になった。

 

 

「あら、案外すごいのね、エマちゃん。……シュウ君もカッコよかったわよ。まるで王子様みたいね。」

 

 

娯楽室に最初からいたのだろうか。宝生はソファーに座って傍観者を決め込んでいる様子だった。

取引の話を持ち掛けられてから彼女とはしばしば話すようになったが、いまだに何を考えているのかがわからない。

 

 

「泥棒って、何のことかは知らないけれど、この牢屋敷で自分の持ち物なんて一つもないでしょう?私は、誰が何を持ち出しても構わないと思うけれど?」

 

 

確かに宝生の言う通りだ。ここに来る前、自分の荷物はすべてなくなっていた。しかし、黒部の必死さはこの牢屋敷で手に入れたものに注がれるそれではなかった。

黒部のじとりとした視線が、紫藤から宝生へと移っていく。

 

 

「あなたも自分の部屋に、色々持ち込んでる。リボンを盗んでてもおかしくない。」

 

「リボン?知らないわ。でも素敵なものだったら、私のものにしてしまうかもね。多分、私じゃないけれど。」

 

「返して、今すぐ。」

 

今度は彼女らが一触即発といった空気になってしまっている。なぜこんなにもこいつらはコミュニケーションが取れないのか。そこで俺は、【魔法】をつかって脅かすことにした。

 

 

「お前らいい加減にしろ。」

 

 

その一言で、娯楽室中が一瞬で静まり返る。

当然だ。【魔法】を使ったがために、俺が恐ろしいような存在に見えているのだろう。そういう風な使い方をした。

しばらくの静寂の後、魔法を解き、張り詰めた空気を緩ませる。

 

 

「……悪いな。変な空気にしちまった。とにかく、黒部のリボンはここにいる奴らは誰も持ってない。それでいいだろ。……見つからないなら、見つかるまで探すだけだ。」

 

 

そういうと、黒部は腑に落ちていないような顔をしながら娯楽室を出て行った。

 

 

(ちょっと悪いことしちゃったな……今度会った時謝っとこ。)

 

 

しばらくすると、橘が声をかけてきた。

 

 

「すごいですね!今の!どうやったんですか!?」

 

「あー、いや、特に変なことはしてない。ただ凄んだだけ。」

 

 

実際そうだ。魔法は使ったが、それ以外に特に何もしていない。

橘は俺が魔法を使ったことには気づいてそうだが、どうしてあそこまで気迫があったのかわかっていないのだろう。ずっとうーんうーんとうなりながら悩んでいた。

 

 

「とりあえず終わり!!険悪な空気にして悪かった!そろそろ風呂だろお前ら?行って来いよ。」

 

 

そういうと、ぞろぞろとみんな娯楽室を出て行った。自分も娯楽室を出て、風呂の時間まで地下牢で過ごすのだった。

 

 

 

♢♦♢♦♢

 

 

 

自分も風呂から上がり、娯楽室近くを歩いていたところに、誰かとぶつかって尻もちをつかせてしまった。

 

 

「あっ、わるい。大丈夫か?」

 

「あはは……こちらこそすまない。さすが男の子だね。体幹が強い。」

 

 

そういうぶつかった相手は蓮見だった。段ボールを二段重ねて抱えていたようで、前があまり見えていなかったのだろう。自分もよそ見をしていたものだから、ぶつかってしまった。

 

 

「どしたんそのでかい段ボール。何に使うん?」

 

「あぁ……これはココ君の配信で使う予定なんだ。今日、私も配信に出演させてもらう予定でね。何もしないというのも悪いから、こうして手伝っているというわけさ。」

 

「なるほどな……よいしょっ、これ運べばいいのか?」

 

「えぇ!?別に大丈夫だよ!私一人で運べるさこれくらい!」

 

 

ぶつかったのが悪かったと思い、手伝おうと思ったが思ったより遠慮されてしまった。

しばらく気にしなくていい、こういうのは男の仕事だというと蓮見は引き受けさせてくれた。きっとみんなの前では王子様キャラでいたいのだろう。そう考えると、邪魔をしてしまったのかもしれない。

そんなことを考えていると、蓮見のほうから話しかけてきた。

 

 

「わざわざすまないね、手伝ってもらって……。唐崎君、モテるだろう?」

 

「シュウでいい……だったらよかったんだけどなぁ、生まれてこの方彼女が一回もできたことがない。言ってて悲しいわほんとに。」

 

 

悲しいことに、自分は彼女……どころか好きな人すらできたことがない。

生活が困窮していたというのもある。が、人並みに恋愛はしてみたいお年頃だ。正直、そういう妄想だってする。

 

 

「うぅ……こっから出たら蓮見いい人紹介してくれよぉ……。かわいい知り合いいっぱいいるだろ……?」

 

「はは……確かに美人な子は知り合いにも何人かいる。ここから出られたら紹介できそうな子だったらしてあげてもいいよ?」

 

「マジお願いします神様仏様蓮見様。」

 

 

そんなくだらない話をしていたら、目的の場所であるラウンジについた。

そこには、沢渡のほかにも佐伯が準備の手伝いをしていた。

 

 

「お、レイアっちおかえりー……って、なんでこいつもいるんだよ。」

 

「いちゃ悪いかよ……配信の手伝いをしに来たんだよ。」

 

「お!そういうことなら大歓迎!!てか何なら出ちゃう!?配信!!」

 

「あ、それはいいや。俺そういうの苦手だし。」

 

「なんなんだよ!!」

 

 

沢渡のキレのあるツッコミに思わず感心してしまう。会話のしやすさが段違いだ、さすがに配信慣れしているだけある。

 

配信の準備が終わり、配信が始まった。

配信の内容は複数人でわちゃわちゃしているというだけあって面白かった。しばらく雑談したのちに、沢渡が蓮見に対してアドリブの提案をする。

 

 

「今からこのリンゴを投げて、レイアにレイピアで受け止めてもらいま~す!」

 

「え?ちょっと、そんなの聞いてないよ?」

 

「いいじゃんいいじゃん!絶対盛り上がるって!」

 

 

ここはどうやらコラボ配信ということでテンションが上がっているらしい。明らかにいつもとは違う盛り上がり方をし始めている。

 

 

「盛り上がるって……見てる人がこれだけじゃ……。」

 

「ザコはだまってろ!」

 

結局、蓮見は根負けして大道芸をやらされていた。

自信がないのかと思っていたが、舞台俳優をやっているというだけあってあっさりと刺してしまった。本番を決めきるあたり、さすがとしか言いようがない。

 

そんなこんなで、配信は無事成功を収めた。

 

 

 

♢♦♢♦♢

 

 

 

翌日の早朝。

朝起きたときにはもう何人か起きていたらしい。話し声が聞こえる。

すると、突如として夏目の悲鳴が聞こえてきた。

いやな予感がし、急いで服を整えて地下牢を出る。出てすぐ夏目がへたり込んでいるところを発見したため、そこに走っていった。その時牢のほうをちらりと見てみると―――――。

 

 

 

城ヶ崎ノアが、死体となってそこに横たわっていた。

 

 

 




いよいよ魔女裁判が近くなってまいりました!!がんばれみんな!!!(?)
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