名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
なぁ、あんたは満足してるのか?
己を見返す。過去を見る。
酷く懐かしく、恥ずかしい。
憧れを持った始まりの夢。
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今日もガラクタを漁る。必死に、生きるために。
金になりそうなものを、小さな両手で沢山抱え
売り渡して、日銭を稼ぐ。
小さな身ではできることは少なくて、
でも生きるためには動かなければ
だから今日も、食料を求めてガラクタを漁る。
そんな中の、ある日の出来事。
収穫もなく、ボーッと空を眺めたある日。
何かがここに落ちてくる。
人型の、大きな何か。あれは恐らく、ACだろう。
数瞬の後、地面が大きく揺れ動く。
周りの奴らは逃げ惑い、散り散りとなって見えなくなる。
そんな中、自分は。
落ちた先へと走り出した。
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たどり着いた先は廃工場。
暗い、暗い箱の中。
そこに射す、一筋の光。
白い機体が、倒れていた。
自分はそこに近づいて、コア部分を拳で叩く。
コン、コン、と何度か叩くと。
コックピットが開いて怒鳴られた。
怒鳴った人は、ボロボロで。
…何を考えたか、彼女に応急手当を行った。
応急手当、なんて言っても、自分の服で傷口をくるくると巻く程度。
必死になってやってたら、気づいたら怒鳴る声はなく。
ただ静かに、自分の様子を見ていたのだ。
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今日も何とか、金を稼ぐ。
少しの指示を受けながら。
カゴの中へと入れていく。
助けた彼女は、今は隣に。
彼女はどうやら独立傭兵で、小さな仕事を細々と、それでもこつこつやってたらしい。
廃工場の機体は何とか隠した。
自分が何とか操作して。指示を受けながら、奥へと何とか動かして。
大きな布を探して被せて。あれだけ暗ければ見つからないだろう。
2人分を稼ぐのは、すごく大変だから嫌だ。
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彼女の機体は、少しボロいが生きている。
でも通信機は死んでいて、だから誰にも助けを呼べない。
最近の自分は、彼女の話をいつも聞かされる。
彼女が喋るのは夢ばかり。子供に愚痴を喋らなかったのは、夢を見させたかったからか。
なんでも、トップランカーになるだとか
こんな依頼を受けてみたい、とか
自分が戦場をコントロールするなんて
こんな所じゃ叶わない、夢ばかりを語っていた。
金を稼いで、何とか食べて、夜は彼女の話を聞く。
そんな日々が続いていた。
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いつも通り、彼女の元尋ねる。
今では体は大きくなり、重たいパーツもそれなりに持てる。
廃工場に入ったら、彼女の姿どこにもなく。
光の中の、ACのみ。
死んだのか、などと思いつつ。
コックピットの中をみる。
いつ用意をしたのだろうか。彼女の声が響き出す。
“俺はもう死ぬ。間違いない。
だからお前に、こいつと、俺の名前を託す。
こいつの名前は、ペイルグレア。
お前の名前は、アストラだ。
気づいてないと思ったか?お前、ACの話聞いてる時はいつも目を輝かせてたんだぜ。
わかってると思うが、命を1番大事にしろよ。死んだら元も子もねぇからな。
空でお前の活躍を期待してるぜ”
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目を、覚ます。
のんびりとした1日に似合わぬ、懐かしい夢だった。
体を伸ばし、寝ぼけた頭で依頼を見る。
…彼女は空で、楽しんでいるのだろうか。
ここは、名も無き傭兵達の戦場
消えかけの火は、大きな火へと、継いでいく。
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