名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
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【MISSION BRIEF】
ミッション名:新型ACパーツテスト
依頼主 :クライス 第一研究部
前払報酬 : 0 C
成功報酬 :52,000 C
こちらで開発した、新型パーツのテストを行いたい。
自社内でテストパイロットを応募したところ応募数は0。我らがテストしてもいいのだが、それでは十分なデータを取ることは出来ないだろう。
そこで傭兵の諸君に依頼を送った。できることなら腕の立つ4脚使いが好ましいが一般にばら撒かれた依頼だ。そこまでの高望みはしない。
また、成功報酬を高く設定している理由として情報をばらまかれたくないという思いがある。決してこの依頼を利用して消すなどという行為は行わない。パーツが勿体ないだろう。
【END OF BRIEF】
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長年愛機に乗って戦場を巡ってきたが、こんな依頼は珍しい。
はっきり言えば、珍しいどころか怪しいまで来るレベルだ。
だが、これがもし真実なのだと言うなら。
この老骨が鞭を打っても良いと思った。
──研究者とは、こういうタイプが多いしな。
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クライス社。はっきり言うとここの評判は悪い。依頼の値段、態度、依頼文の内容まで、何もかもが。
だが、ここのヤツらはどうだろうか?
「よく来てくれた。まさか有名な4脚乗りに来てもらえるとはな。早速データ取りを開始しよう。」
「はは、これならば大丈夫だろう。本社に認められるぞぅ!」
「そんな危険なことないのにな。だーれも信じちゃくれん。本社でどんな噂流れてんだよ」
なんというか、愉快なヤツらだった。
予想通りの、変人の集まりだ。
「…これが、そのテスト用の機体かね?」
「あぁその通り。」
これは…なんだ?胴体より上、その部分は既存のパーツを流用している。問題は、下半身だ。
「足がない。これで動くのか?」
「よく聞いてくれた!」
いきなり横で大声で喋られて、少し驚く。なんでも、この機体は海上であろうとエネルギー消費なく動けるように内蔵の低燃費のブースターを使用しているのだとか。
「常に、4脚でホバー移動してるようなもんか」
「まぁ、概ねその通りだな」
「なんのために作ったんだ?」
本当になぜ作ったかが分からない。こんなもの、4脚でいいだろう。常に浮いている訳だが、ACSの負荷限界が来れば間違いなく接地する。そして再び浮くならかなり大きくエネルギーを消費するだろう。そんな隙を見逃さないヤツはいない。
そう疑問を浮かべると、研究者は不思議そうな顔でこう言った。
「だってかっこいいじゃん」
…ここのやつは、馬鹿なヤツが多いらしい。
だが、気に入った。
「話を長引かせすぎた。乗らせてもらうぞ」
「色々こちらでは出来んこともある。めちゃくちゃに動き回してやってくれ」
こんなヤツらの依頼なら、再び受けてやってもいい。
「この脚部、なんて言うんだ?」
「もう決めてある。フロートだ」
ここは名も無き傭兵達の戦場
燃え尽きようとしていた炎は、新たな火によって再び昇る
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