名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
今日もここには、大量のACがくる。
企業のAC、傭兵のAC。
自由なヤツ、凝り固まったヤツ。
様々な形の翼を、俺たちの手で整備する。
飛ぶための翼じゃない。
駆けるための翼を。
飛ぶヤツなんて、それこそ例外。
…今、目の前にあるコイツのような。
いつも無茶苦茶にして渡してきやがる。
俺たちの苦労なんざ知らんと言うように。
白い
こいつについては、前に違うやつが乗ってた頃から知っている。
そん時と比べると、本当に酷い。どんな無理すりゃこんなに焼ける。馬鹿じゃねぇのか。
いや、だからこそトップランカーなのか。
外傷じゃねぇのがまじでだりぃ。…だからこそ、俺たちの腕が出る。
この整備を行わないだけで、俺たちは人殺しになる。
殺しの機械を整備してるのは、わかってる。
だがそれとこれとは、話が別だ。
俺たちが責任もって、信頼されて渡されてる
部下たちに指示を出しながら、他を見渡す。
当然帰ってくるヤツもいれば、帰ってこないヤツもいる。
そういうヤツは、割とわかる。
妙に綺麗な機体ほど、帰ってこない。
綺麗ってことは、戦わなかったか、圧倒したかのどちらか。
そこも見ればよくわかる。戦わねぇやつは、判断ができるようなやつだ。だから綺麗と言っても、背中にかすり傷や少し他より焼けたようなブースター。こっちは帰ってくるだろうよ。
だが問題は、後者の方。かすり傷もほとんどなく、腕、脚関節が焼けてる程度のやつだ。
こういうやつは無駄に自信をつけたせいで、無駄死にをする。馬鹿なヤツらだ。それで俺たちの評価を落とすんじゃねぇぞ。落ちることなんて滅多にねぇが。
だが、俺たちが忠告する理由は全くない。その道を選んでるのはてめぇらなんだ。俺たちみたいな整備士が説教くせぇことしてどうすんだ。
それでも、いい子ちゃんな奴は忠告をする。まぁわかるぜ?自分が整備した機体なんだ。愛着もわかぁな。
俺はそれに対しては何も言わん。そこも個性で自由だからだ。
こんなクソッタレな世界でも、その程度の自由はいいだろうさ。
こんな機体の中にも、特殊なヤツも存在する。
乗り手に置いてかれたヤツだ。
ACを売るなら、こんなとこには残らねぇ。
だがなぜ残ってる?そんなものの答えはシンプルだ。
殺された、それだけだ。
預けてる間を狙われて、力を持たねぇ、持てねぇ乗り手はそのタイミングでころされる。
ほんとに、ひっでぇ世界だよ。
こうやって考えりゃ考えるほど、コイツに乗ってるやつは頭おかしいな?暗殺まで乗り越えてるのは意味わからん。主人公か?てめーがそんな柄かよ…。
なんて考えながら手を動かしてりゃ、あっという間に整備の終わり。
いつかこいつらが、真の自由に飛べる日は来るのかね。
ま、その先も火の手だろうがな。
ここは、名も無き傭兵たちの戦場
火の手の裏では、油に塗れる維持の手が
読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!