名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
もっと欲しい!と欲望をたまにはひけらかします。
今回こちらシリアスとなっております。
炎が燃え上がり、煙が立つ。
ぱちぱち、ぱちぱちと
傭兵だったものが音を鳴らす。
既に、任務終了の無線は貰っている。だが、それでも。
この煙を、ずっと見続けていた。
周りは既に、撤収しはじめていて。
だけど俺は、動かずに見続けている。
一応、今回で最も活躍したらしく報酬も上乗せされるようだが。
そんなものより、今この時間が欲しかった。
煙の先に、
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俺自身は、頭が回らないことは自覚している。同時に、判断が悪いのも。あの時は、明確にそれが影響した。
依頼なぞ捨てて、離脱すればよかったのだ。そうすれば死ななかった。
だがそれは、傭兵としてのちっぽけなプライドが許してくれなかった。
向こうも、それが分かっていたはずだ。なのに逃げなかった。いや、分かっていたからこそなのだろう。
《…aい……るよ…》
あの時の無線が、ずっと脳裏にこべりついている。
お前が殺したと見せつけるように。
お前が悪いと恨むように。
お前の
そして俺は、それを忘れられるわけがないのに逃げようと。依頼をこなし続けている。
彼女が、今の俺を見たらなんというのだろうか。
こんなことを考えるのだから、忘れられるわけがない。
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周りの無線が耳に入る。見たくもない現実に連れ戻される。
全体に向けての無線。それぞれが言いたい放題言い合っていて。やれ奢りだ、やれ酒だと話している。
今を生きるために、今を楽しんでいる無線。
そんな会話を耳にして、ネックレスを強く握った。
あぁ、ダメだ。思い浮かべるな。
あの日が帰ってくることはない。俺が壊したから。
あの時を取り戻すことはできない。俺が焼いたから。
それでも、やはり思い浮かべてしまう。
そんな様子を知ってか知らずか、こちらに対して無線が飛ぶ。
功労者だなんだと、おだてられる。
酒をタダでありつきたいのだろう。俺も前はそうだったから。
…そういえば、マトモな飯を食ったのはいつだったか。
そう考えると、体がやっと気づいたかと言わんばかりに音を鳴らす。
…たまには、傭兵同士で飲み食いするのも悪くないか。
少しでも逃げるように。そうやっていいわけをする。
そうして、返事をして見ていた煙を後にする。
したところで浮かぶ、あの時のこと。
俺は、今でも。
あの戦場から、離れることができなかった。
恐らくは、これからも。
ここは、名も無き傭兵達の戦場
消えた焔は、残滓を残して祝うだろう
読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!