名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
依頼が終わり家に帰る。時間は遅く、普通ならば腹が減る時間。まあ、とうにそんな感覚は無いわけだが。
家の中の食料を見る。何もない。探すまでもなく何もない。
このまま買って調理してもいいのだが、面倒という気持ちが強い。
ならば、外食にしよう。どこでもいいから、腹を膨らませたい。
そう思い、家を発つ。
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店を探して通りを歩く。正直どれも代わりがないのだが。
だが出来るなら安いものか、それか相応に量があるものがいい。
客寄せの声が聞こえる。全て無視する。この手のものはろくでもない。いわゆる、ぼったくりばかりだ。
そこで見つけた、1つの店。少し寂れた雰囲気で、静かに佇んでいる。
騒がしいのもあまり好きではなかったから、ちょうどいいと感じ。
今日はここで食おうと決めて、中に入った。
中は見た目通り、古臭いものだった。
客はまばら、しかし全員満足そうに席に座っているようだ。
案内はない。適当に座っていいのだろうと思い、空いてる近い席に座る。
少し経つと、水を持ってこちらに店員が近づいてきた。しっかりと、飲める水をだ。
やられたか?ぼったくりか?などと考えていると、店員が水はサービスなので気にしないでください、などと信じられないことを言う。
なるほど、外に噂がもれないわけだ。こんな貴重な場所をばらして荒れることを誰もが望んでいないのだろう。
ご注文が決まりましたら、などと定型文を言おうとしていたのでそれに途中で割り込んで。
一番安く、一番量が多いものをくれ
と正直に言った。そうすると店員は、かしこまりました。と言って下がっていく。
ちらり、と周りを見渡す。かなり見栄えのいいものばかりがテーブルに置いてある。合成食材を使っているにしてはなかなかに上出来だろう。
まぁ、所詮は合成食材。味は大したことがないのだ。そう考えていると、食料が届く。周りのものに比べて、彩りはない。だが指定通り量が多い。
俺はその事実に満足し、飯を食い始めた。
黙々と腹に入れる。そうしたら増える、口の中の唾液。
そんなことにも気づかず、ただただ口に運んでいった。
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金を払い店を出る。相場よりもかなり安いものだった。
何日も来る訳には行かないがそれでもたまに来てもいいと思う程に美味かった、と感じた。そこで気づく、自分への違和感。
いま、俺は美味かったと思ったのか?
その事実に、少し頬が上がるのだった。
ここは、名も無き傭兵たちの戦場。
食料とは、生命を輝かせるための原動剤である。
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