名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
街を歩く。喫茶店を目指して、時間に間に合うように。
珍しくメールではなく、実際に会って話す。彼は結構人付き合いを大切にするから、それの一環なのだろう。
今日はどんなことが聞けるのか、今日は何を流すのか。
ネタが向こうからやってくるのは、最高の環境なのだから。
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喫茶店の中に入り、目当ての人物を探す…までもなく。店主と、隅に座る1人の男。この2人しか店内には存在しない。
私は迷わず、彼のテーブルに向かい。
「こうして会うのは久しぶりですね、ナインブレイカー?」
「称号で呼ばれるのは好かん」
相変わらず、ぶっきらぼうな方だ。それでもこれがジョークと理解しているからこその対応だ。
「ふふ、申し訳ありません。こうしてお会いするのは久しぶりですね、アストラ」
「偶には会って生存を確認すべきだ。AIに成り代わられるなどたまったものじゃない」
「今のご時世で反AIですか?随分と時代遅れでは?」
「友人の無事の確認をしたいだけだ」
この人は本当に…なんとも人たらしな事だ。こんな対応をすれば異性に勘違いされる可能性もあるでしょうに。
「あなた、いつか刺されるのでは?」
「なんのことだ。本題に入れ」
「あぁ、はい。わかりました。すいません、彼と同じものをひとつ」
飲み物を注文し、今の情勢を語る準備を整える。彼にとってはただの雑談、情報提供なのかもしれない。だが私にとっては、ここは戦場。
親しき者だが、それと同時にここにおける最強。そんな人物と話すのだから、生半な覚悟でする訳には行かない。
店主から飲み物が届き、頭を切替える。
「では、お互いに話し合うとしましょうか」
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──貴方が今いる星の情勢はどうなってますか?
「掻き回しすぎたのか落ち着いている。小競り合いが続くのみだ。知っていると思うが俺自体が狙われもした」
──これからそちらはどうなっていくと予想しますか?
「恐らくだが二分するだろうな。C社とM社で星を二分。互いに出すリソースを減らしたがっている」
──つまり終戦するだろうと?
「終戦だろうな。こちらも、随分稼がせてもらった。だが領土の取り合いは起こるだろう。傭兵側も稼ぎに困ることはないだろうが、容易には稼げなくなる。これからは傭兵同士の争いになるだろうな」
──ありがとうございます。貴方はどうするのですか?
「暫くは転々とするだろうな。面倒だが仕方ない」
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「お前の方で、いい星はないのか?」
あちらから質問が飛んでくる。今度はこちらが答える番となる。
「ずっと言ってる場所しか思い当たるところはありませんね」
「あそこは無しだ、誰が行くものか。そもそもが厄ネタの星になぜ行かねばならん。一度焼かれて今は惑星封鎖機構が管理しているんだぞ?」
「そうですよねぇ…あんな所に行くのはよっぽどのバカか、そこに利益を見出したものか…」
「あの星になにか未練があるか、だ」
本当に、よく調べている。例のハンドラーもそこに向かおうとしているのも知っているのだろう。関係がないから語ろうとしないだけで。
「最近で、何か面白いことはあったか?」
「面白いこと、ですか…」
さて、なにかあったか…。彼が気に入りそうな話とすれば…
「ランク3がここ最近活発に動いていますね」
「ランク3…?どいつだ…」
ほんとに人のランクに興味がないな、彼は。
「
「あぁ、あの気狂い女。近寄りたくないな…。どこの星だ?」
「クライス本社がある惑星キログ一帯ですね。」
「変わらずその辺にいるか。わかった、感謝する」
他になにか、彼が興味が抱くものはあっただろうか…。いや、関心を寄せる話題はある。それを出してみよう。
「アストラ、未確認兵器の噂をご存知ですか?」
「何かあったな。確か惑星センテシア、だったか?」
「はい、あそこで相当昔のデータログが見つかったようですよ。驚く事にデータの破損も無し」
「あそこもやはり相当厄ネタの星じゃないか。封鎖機構は仕事を…いや、あそこは封鎖機構が追い払われたのだったか…?」
「傭兵と企業両方が団結して追い払った、とされていますね。」
そうやって、2人で話し込んでいく。そして気づけば解散の時間。
「おや、いい時間になりましたね。それでは、今日はこの辺りで」
「あぁ、そうだな」
「それでは、また」
「またな」
そうして、喫茶店から出る。
ふふ、良いネタが貰えた。これから文字に起こすのが楽しみだ。
ここは、名も無き傭兵達の戦場。
戦火の周りは、また別の戦場がある
読んで頂き感謝感激雨霰ぇ!