名も無き傭兵達の戦場 作:狐狐
──ディム・インダストリアル本社にて。片手で足る程度の人数が集う。
議題…いや、議題とも言えぬ恨み言を吐く先はただ一つ。最も敵視する企業について。
「ルミナスめ、これだけ妨害をしかけても尚動かんか」
「かの会社は、未だ代替わりを行っていないのでしたか。頂点に立つ者の視点が揺らぐことがないというのは、素晴らしいことだと思いますね」
まず話し出したのは、老齢の男。見える限りの毛は全て白くなり、しかし恰幅が良い男。
「やかましい…!なんのために貴様を育て上げたと思っておる…!」
「分かっております。ルミナスを蹴落とし、この星の支配者となるため。ですが客観的な視点も必要かと」
次に話すは脂肪を蓄えた男。声は汚く、聞こえづらいがそれでも、そこに込もった恨みは強い。
「ディム・インダストリアルが生き延びる道の提示は容易い。ですが、御祖父様達が目指すものはそこではない。それを理解しているからこそ、こうして抗い続けている。違いますか?」
「貴様!育てた恩をなんだと…!」
「黙れ、今この場で吐く言葉ではない。それにこやつは対外的に最も良く見える道具だ。なんのために代表を変えた?お前のその溢れんばかりの欲汚さが目立ちすぎたからだろう」
それらに答える、まだ若い男。表情を一切変えることなく、まるで機械のように佇んでいる。
この場を見たものは、皆一様にこう思うだろう。
掃き溜めそのものだ、と。
「我らディム・インダストリアルは確かにルミナスを忌わしいという言葉をすら足らんほどに憎んでいる。だが市民を憎んでいるわけではない。なのに、この現状だ。なぜこうなった?その原因は誰にある?」
「そ、それは…」
「間違いなく父上の過失かと」
「そう、その通りだ。貴様の度が過ぎる行為により市民からも憎まれている。今存在できているのは間違いなく過去の栄光、そして現在の最低限の誠実さからだ。貴様は儂の栄光を貶めた。それなのに切り捨てておらんのは家族の情からだ。それを理解しろ」
「も、申し訳ありません…」
会話を聞けば語らずとも、誰がこの場の頂点かが明確である。そうした会話を続けているその時である。
「おや、また家族内での愚痴の吐きあいかね?辞めるべきといつも言っとろう」
1人の男が入り込む。
「むっ…周か」
「周大人…」
専属のAC乗りである、周念真であった。
「“茶会”は終わりましたので?」
「あぁ、いつもと変わりなくだ。全くもって奴らも暇人らしい」
飄々と、何を気にすることもなく喋る。まるで最も力を持つものかのように。己こそが王であると言わんばかりに。
「…下がれ。これから周と話す」
「…分かりました」
「分かりました」
老人は、二人をさがらせる。この場において邪魔であるから。やがて二人が部屋を去り。
「では、どう進めようかね?会長よ」
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